森重専務の「経営の湧き水」

NEW!2026.4月シリーズテーマ:知らないと損する!令和8年度税制改正“中小企業への影響”を5分で解説/後編(2/2)

「社保の理解不足は、最も静かで深刻な離職リスク。」

今回の改正で、「178万円まで働ける」という追い風が吹いています。しかし、その風に乗れるかどうかは——社会保険の理解にかかっています。

結論から言えば、社会保険は今回、改正されていません。ここを見落とすと、現場は確実に混乱します。現在、「106万円の壁」は将来的に撤廃が予定されていますが、現時点では勤務先の規模によって加入条件が異なるという非常にややこしい状態です。
具体的にはこうです。

  • 従業員数51人以上の企業
    • 年収**約106万円以上(月額8.8万円以上)**で社会保険加入対象
    • さらに「週20時間以上」「2ヶ月超の雇用見込み」「学生ではない」などの条件あり
    • 交通費は含めず判定
  • 従業員数50人以下の企業
    • 年収**130万円以上(月額約10.8万円以上)**で扶養から外れる
    • こちらは交通費や各種手当も含めた“総支給額”で判定

この違いが、現場に大きな“誤解”を生みます。例えば、同じように働いているパート社員でも、会社の規模によって「106万円で社会保険に入る人」と「130万円まで扶養でいられる人」が存在する。

ここを説明できていない会社では、こうした声が必ず出てきます。

「聞いていた話と違う」
「思ったより手取りが減った」
そして、この小さな不信感が、静かに離職へとつながっていきます。だからこそ、今回の税制改正は“単独では語れない”のです。

税金は178万円、社会保険は106万または130万円。この“二重構造”を前提に、働き方を設計する必要があります。
重要なのは、「どちらが得か」ではなく、「どの働き方を選ぶか」を提示すること。扶養内で調整するのか。あえて社会保険に加入し、将来の保障を取るのか。その選択肢を整理し、言語化できる会社は強い。

逆に、「難しいから触れない」会社は、人材の主導権を失っていきます。税制改正はチャンスです。

しかし、その裏には必ず“見えない壁”がある。その壁を、社員と一緒に乗り越える会社か。それとも、壁の存在すら伝えない会社か。
未来の差は、もうここから始まっています。

今月のアクション5選

  1. 自社が「51人以上」か「50人以下」かを確認し、社会保険の適用ラインを明確にする
  2. 「106万円・130万円・178万円」の違いを社員に説明できる状態にする
  3. 働き方別(扶養内・社会保険加入)の手取りシミュレーションを作成する
  4. パート・アルバイトに複数の働き方の選択肢を提示する
  5. 「知らずに損している人」がいないか、個別面談で確認する

◆ 専務の森重が、お客様と今月のアクション5選について一緒に検討することも承っています。ご希望の方はぜひお問い合わせください。