「問いの輪郭、答えの行方」― 消費税をめぐる国会論戦を見て、実務家として思うこと ―
【編集後記に代えて】
2026年2月、国会での消費税に関する質疑を拝見しました。 安藤議員が片山大臣や高市総理に対して投げかけた質問は、制度の根幹に触れようとする意図があったように思います。しかし、残念ながらその問いの幹はぼやけ、答弁を引き出す力にはなっていませんでした。
ネット上の反応もまた、「財務省いらねえ」「消費税廃止しろ」といった短絡的な声が目立ち、制度の本質や現場の実態に迫る議論はほとんど見られませんでした。
私は政治家ではありません。制度を変える力も持ちません。 しかし、実務家として、現場で日々制度と向き合いながら経営を続ける者として、今こそ「制度と現実のあいだ」にある静かな声を言葉にしておくべきだと感じました。
この寄稿は、その思いから生まれたものです。
♠ 実務家としての五つの提言
1.価格決定力を「構造」で育てる 価格は制度ではなく、市場が決める。だからこそ、価格を自ら決められる企業になるために、商品・サービスの独自性、ブランド、顧客との関係性を再構築する必要がある。価格競争から価値競争への転換こそが、企業の未来を拓く鍵である。
2.付加価値の源泉を見直す 自社の強みは何か。誰の、どんな課題を、どのように解決しているのか。原価と売価の間にある“意味”を見つめ直し、付加価値の再定義を行う。数字の裏にある物語を社員と共有し、組織全体で価値創造の方向性を確認する。
3.「制度の中での最適解」を探し続ける 税制や法制度は、個別企業の都合で変わるものではない。だからこそ、それらを「制約」ではなく「設計条件」として捉え、制度の中で最も合理的で、かつ自社らしい経営の形を模索する姿勢が求められる。
4.現場の声を“翻訳”する力を持つ 現場で起きていることを、制度や経営の言葉に翻訳する力を養う。現場の苦悩を制度の文脈で捉え、制度の要請を現場の言葉で伝える。その“翻訳者”こそが、実務家としての経営者であり、組織の舵を取る者の責務である。
5.「環境に適応する力」を組織に宿す 変わらない制度に対して、変えられるのは組織の在り方である。柔軟に動けるチーム、学び続ける文化、変化を前向きに捉える風土を育てること。それが、経営者に与えられた最大の自由であり、責任である。
◆ 専務の森重が、お客様と今月の五つの提言について一緒に検討することも承っています。ご希望の方はぜひお問い合わせください。









