森重専務の「経営の湧き水」

NEW!2026.3月:特別寄稿「制度と現実のあいだに立つ」― 消費税をめぐる五つの視点と、実務家としての応答 ― 第4回

制度は変わらない。しかし、企業の構造は変えられる

税制は、すぐには変わりません。個々の企業の事情に応じて柔軟に変化するものでもありません。これは厳しい現実です。

しかし、もう一つの現実があります。それは、企業の構造は経営者の意思によって変えることができるということです。
消費税を価格に転嫁できる企業と、できない企業があります。この違いは何でしょうか。それは、付加価値です。

顧客が価格ではなく価値で選ぶ企業は、価格決定力を持ちます。その結果として、消費税は本来の意味で「転嫁される税」として機能します。一方で、価格でしか選ばれない企業は、常に価格競争の中に置かれ、消費税は利益を圧迫する要因となります。

これは税制の問題であると同時に、経営の問題です。

税率は変えられません。しかし、付加価値は変えられます。
どの市場で戦うのか。どの価値を提供するのか。どの顧客に選ばれる企業になるのか。これらはすべて、経営者の意思によって決まります。

制度に適応できる企業だけが、生き残ります。
これは冷たい現実ですが、同時に、経営者に与えられた可能性でもあります。