目次

ミニストップ、FC契約見直し
コンビニ、加盟店の権限強く 「24時間」柔軟に

2019/4/25 2:00 朝刊 [日経]

コンビニエンスストアのミニストップが2019年度内にもフランチャイズチェーン(FC)の加盟店と結んでいる契約を抜本的に見直す。競争激化などで経営環境が厳しくなっていることを受け、加盟店の自主性を高めて、利益配分なども修正する。セブン―イレブン・ジャパンもセルフレジの導入などで人手不足に直面する加盟店を支援する。24時間営業問題を巡り事業モデルのあり方を問われるコンビニ大手が対応を急いでいる。
ミニストップは利益配分のあり方を見直す方針(東京都内の店舗)
コンビニのビジネスモデルは本部と加盟店が、粗利益を分け合う仕組みを採っている。人件費は加盟店側が負うため、人手不足に伴う人件費の上昇が加盟店の経営を圧迫している。
ミニストップ本部はFC各店舗がより自由に経営判断ができるように関係を見直す考えで、24時間営業についても柔軟な対応を認める方針だ。
利益の配分も加盟店に手厚くする。国内に約2200店を持つミニストップは現在、4種類のFC契約を持つ。ある契約では24時間営業店舗は加盟店側が売上総利益の4割超をロイヤルティーとして本部に支払っている。親会社のイオンの岡田元也社長は「コンビニはこれまでよりも加盟店の自主性を高める必要がある」としており、本部と加盟店が互いに納得する平等な関係の構築や公平な利益配分を目指す。
コンビニが日本で普及してから約40年が経過し、岡田社長は「幾つかの点で今の時代にそぐわなくなっている」と指摘する。現在のコンビニはFCでありながら、全店一律の運営を目指す直営チェーンのようになり、加盟店の経営の自由度が低い。店舗数が増えて競争が激しくなる中、オーナーの経営を後押しする新たな仕組みが求められている。

目次に戻る

5月15日 日本のコンビニの原型 セブンイレブンが開店

2019/5/14 15:30 夕刊 [日経]

1974年5月15日、東京都江東区に「セブンイレブン」1号店の豊洲店が開店した。酒販店を経営していた山本憲司さんが転業し、ヨークセブン(現セブン―イレブン・ジャパン)とのフランチャイズチェーン(FC)加盟店として開いた。日本のコンビニエンスストアの原型ともいえる同店を訪れた最初の客の男性は800円のサングラスを買ったという。セブンイレブンは1号店の開店から45年で、店舗数が2万900店に達した(豊洲店)
加盟店が本部とFC契約を結び、共同事業として店舗を運営、利益を分け合うモデルは定着し、その後45年でセブンイレブンの店舗数は2万900店(19年4月末時点)にまで増えた。19年7月には最後の空白地だった沖縄県に進出し、全都道府県に出店する。ただ、FC加盟店を取り巻く環境は大きく変わった。人手不足の影響で、人件費を負う加盟店オーナーの経営は厳しくなっている。本部側も「チェーン運営を根本から見直す」として店舗の省人化支援に取り組み始めるなど、ビジネスモデルの変化を迫られている。

目次に戻る

コンビニ、外国人頼み 「気がつけば日本人1人」

2019/5/12 19:00 [日経}
飲食店や小売店などで、外国人従業員は今や姿を見ない日はないほど定着している。中でも、深刻な人手不足に見舞われている24時間営業のコンビニエンスストアに欠かせない存在だ。店員の数が日本人を上回る店舗も珍しくない。なぜ彼らはコンビニを働き先として選ぶのか。(玉岡宏隆)
ローソン芝浦八千代橋店でレジ業務を教える中国人の王茜さん(右)(東京都港区)
「焼き鳥10円引きです。いかがでしょうか」。3月下旬の平日の昼下がり、オフィスビルとマンションが混在する場所にある「ローソン芝浦八千代橋店」(東京・港)に元気な声が飛ぶ。この時間帯、シフトに入る店員5人はみな中国人だ。
宅配便の受け付けや公共料金の支払いなど幅広いレジ業務をてきぱきとこなし、客をどんどんさばいていく。この日は初勤務する店員の研修もあり、中国籍で店長の王茜さん(29)が日本語でレジ打ちを教えていた。
同店にいる14人の店員のうち、日本人は1人だけ。王さんは同店で6年前からアルバイトとして働き、4年前から店長だ。「入店した時外国人は数人しかいなかったけど、気がつけば日本人は1人だけになっていた」
勤務が深夜に及び、業務が複雑になっていることが日本人が敬遠する理由とされる。王さんは「求人誌に2週間掲載しても日本人から1本も電話がこない」と嘆く。
一方で外国人は急増し、2019年3月末時点で約1万2千人と、2年前の倍となった。ローソンの店員の約6%に当たり、東京都心では3割を超える場所もある。
ここまで増えたのは、留学生が働きやすい環境づくりが背景にある。
ローソンの各店舗に店員を派遣するローソンスタッフ(新潟市)は、外国人に30時間の研修を実施する。ベトナムと韓国に研修施設をつくり、留学予定者に接客など基本動作を教えている。新型レジは誤った操作をすれば中国語やネパール語など4カ国語で注意画面が出るなどハードも整えた。
充実した研修に加え、客層もニーズも多様なコンビニの接客が「日本語の生きた勉強」になるという側面もある。タブレット端末などを使い注文を取る飲食店に比べ、客とのやり取りも多いとして人気という。
日本人からの応募がなく、留学生の店員が友人を紹介する形で採用を進めた結果、倍々ゲームのように外国人が増えていったとみられる。
ただ、外国人店員が増える陰で、偏見を持つ客から嫌がらせを受けることもある。暴言を受けたり、会計時にお金をごまかされそうになったりしたケースがあるという。
法務省が日本に住む外国人に、差別や偏見の有無を尋ねた調査(17年)によれば、外国人であることで「過去5年間に侮辱されるなど差別的なことを言われた」と回答したのは約30%にのぼる。外国人材の受け入れを進めるうえで、差別の防止や相談体制の充実は欠かせない。
王さんは「お客さんは理解がある人が多い。接客業はとても楽しい」と話す。コンビニの常連客に受け入れられ、家に招かれホームパーティーに参加することも。すっかり地域に根付く王さんを見て、もう「外国人ばかり」と驚く時期ではないと実感した。

外国人労働者、最多の146万人

 厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況」によると、2018年10月現在、国内の外国人労働者数は前年比14.2%増の約146万人で過去最高を更新した。
 国籍別でみると中国が最も多く38万9千人で、外国人労働者全体の4分の1以上を占める。次に多いのがベトナム31万7千人だった。
 同省は増加の背景に、高度外国人材や留学生の受け入れが進んだほか、技能実習制度の活用があるとみている。
 政府は4月1日に施行した改正出入国管理法で、人材不足が深刻な14業種で外国人に就労を認める新たな在留資格「特定技能」を導入した。今後5年間で最大約34万5千人の外国人材受け入れが見込まれる。コンビニは含まれておらず、日本フランチャイズチェーン協会が対象に追加するよう求めている。

目次に戻る

18年の中食市場、9年連続プラス、コンビニ総菜がけん引

小売り・外食 2019/5/14 17:10

日本惣菜協会(東京・千代田)が14日に発表した2018年の中食の市場規模は10兆2518億円で、17年より2%増加した。プラスは9年連続。全体の3割超を占めるコンビニエンスストアが2.4%伸び、全体をけん引した。共働きや単身世帯の需要を狙って各社が中食を強化しており、市場の拡大が続いている。
コンビニの総菜が好調で全体を押し上げた(都内の店舗)
中食とは家庭や職場などに持ち帰りでき、加熱調理せずに食べられる総菜や弁当のこと。購入場所別ではコンビニが32.3%と最も多く、前年比2.4%増の3兆3074億円だった。店舗数の増加が続いているほか、レジ横で販売する揚げ物や冷蔵の総菜・サラダの好調が影響した。
食品販売の強化が進む総合スーパーは全体で最も伸びが大きく、2.9%増の9481億円。食品スーパーは2.4%増の2兆6824億円だった。スーパーやコンビニとの競合が激しい弁当・総菜の専門店は2兆9542億円で、1.2%の伸びにとどまった。店舗数の減少が続く百貨店は1.3%減の3596億円だった。

目次に戻る

コンビニ、売れ残り実質値引き セブンなど食品ロス削減

小売り・外食 2019/5/17 9:57

セブン―イレブン・ジャパンは今年秋から、全国の加盟店を含む全約2万店で、販売期限の迫った弁当やおにぎりの実質的な値引きを始める。購入客にポイントを数%還元するかたちで、値引き原資は本部が負担する。売れ残りが減り、加盟店は廃棄費用の負担を減らせる見込み。ローソンも実質値引きに取り組み、コンビニエンスストア大手が食品ロスを減らす。
セブンイレブンは販売期限の迫った弁当やおにぎりの値引きを始める
セブンによる実質値引きの対象商品は数百品目で、店頭で取り扱う同社の区切り「販売期限」まで4~5時間に迫った弁当やおにぎり、麺類などが対象となる。購入客に電子マネー「nanaco(ナナコ)」のポイントを還元する。還元率は5%程度で検討中だ。
セブンイレブンでは売れ残り商品の廃棄費用について、加盟店が原則、85%を払う。本部が主導して値引きすれば、加盟店の廃棄コストの負担が軽くなる。加盟店は人件費も負担し、人手不足の中で収益環境が悪化している。今回の取り組みは加盟店支援でもある。
セブンイレブンは価格の決定権を加盟店に委ねてきたという。だが公正取引委員会は2009年、実際には値引き販売を制限しているとして、独占禁止法に基づいて排除措置命令を出した。本部側はその後も、収益確保などのため値引きに消極的で、加盟店は定価販売を続けている。
ローソンは17日、売れ残りを減らすためのポイント還元の実験を愛媛県と沖縄県で始めると発表した。6月11日~8月31日、合計約450店で、「ポンタ」会員などが16時以降に目印の付いた商品を買うと100円につき5ポイント還元する。
竹増貞信社長は東京都内で記者会見を開き「人件費と廃棄ロスが加盟店で発生する2大コスト。利用客にも理解を求めながら仕入れたものは売り切っていく」と述べた。
ローソンの店舗の食品ロスの排出量は17年度で約4万4千トンに及ぶ。おにぎりや弁当は約1割が廃棄されている。同社は総菜や店内調理品などの値引きを推奨している。
国内の食品ロスは年間約640万トンで、1人当たりにすると1日に茶わん1杯分ある。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」では30年までに食料ロスを半減させる目標がある。大手の定価販売見直しで、他のコンビニにも同様の動きが広がりそうだ。

目次に戻る

店内飲食は消費税10% スーパー・コンビニ、客申告で

2019/5/11 2:00 [日経]

10月の消費税率10%への引き上げで導入される軽減税率制度を巡り、スーパーやコンビニエンスストアで会計する際の対応策が分かった。自己申告を促すポスターを掲示したうえで、来店客が商品を持ち帰る場合(税率8%)と店内で飲食する場合(同10%)の区別は、会計時に客に自己申告してもらう。「持ち帰り」と申告した来店客が店内で食べる可能性もあり、トラブルを懸念する見方も出ている。
自己申告制にしてレジの従業員の負荷を減らす(都内のスーパー)
大手スーパーが加盟する日本チェーンストア協会(東京・港)などスーパー業界の4団体と、コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が自己申告の採用を推奨することにした。スーパーやコンビニの多くが採用する見込みだ。スーパー最大手のイオンリテールも同様の対応を取る方針。百貨店各社も多くが同じように対応しそうだ。
同じ商品でも税率が異なるため、店側が客の意思をどのように確認するのかが課題になっていた。「店内で食べる」などと申告した場合だけ税率が10%になり、申し出がなければ8%の税率で販売する。会計時に確認する手間を省き、従業員の負担を軽減する狙いだ。
国税庁が2018年11月に改定した軽減税率の「Q&A」で、「休憩スペースを利用して飲食する場合はお申し出ください」といった掲示を行えば、客への個別確認は必要ないとの解釈を示していた。今回の対応はこの方針に沿ったものだ。
ただ、都内のスーパー経営者などからは「8%で買ったものをイートインで食べる人がいれば、他の客からの苦情の原因になる」との懸念の声が既に上がっている。

目次に戻る

4月のコンビニ売上高、既存店は1.3%増 6カ月連続プラス

2019/5/20 16:00

日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が20日発表した4月のコンビニエンスストアの既存店売上高(速報値)は、前年同月比1.3%増の8408億円だった。たばこなどの「非食品」や各種チケット販売を含む「サービス」の伸びが大きく、6カ月連続で前年を上回った。
たばこが引き続き販売を伸ばし、非食品は3.5%増だった。イベントのチケット販売も好調で、サービスは7.2%増だった。構成比率の高い日配食品は、前半の気温が比較的低く中華まんなどの需要が増えたため0.7%増えた。客数は1.6%減と2カ月連続のマイナスとなった半面、客単価は3.0%増と6カ月連続のプラスだった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕

目次に戻る

コンビニ悩ます「後ろから取る客」の存在 値引きだけでは限界が

昆清徳
 スーパーの鮮魚売り場や精肉売り場で、棚の奥に手を突っ込んで商品を取り出し、より新鮮なものを選ぼうとするお客を見かける。棚の前に残された消費期限切れが迫った商品は、廃棄を防ぐため閉店間際に値引き販売されるのが一般的だ。
 この「後ろから取る客」はコンビニにも存在するが、加盟店のオーナーにとっては悩ましい存在だ。消費期限が近づいた商品ばかりが棚に残ってしまうため、廃棄のリスクが高まるからだ。
 ローソンは5月17日、新しい食品ロス削減プログラムを発表した。現時点では実験的な取り組みだが、何げなく新しい商品を棚の奥から取るお客を減らす効果が見込めるかもしれない。

新しい商品を買いたいお客は一定数いる
ローソンの打ち出した方針とは

 ローソンは6月11日~8月31日までの間、食品ロス削減プログラム「Another Choice(アナザーチョイス)」を開始する。これは、消費期限が近い商品を購入したお客に対してポイントが付与されるだけでなく、満足に食事がとれない子どもたちに寄付が届く仕組みになっている。
 アナザーチョイスが実施されるのは、愛媛県のローソン(218店)と沖縄県のローソン(231店、いずれも2019年4月末時点)。朝と昼に納品されるおにぎりや弁当などの対象商品に、工場で「Another Choice」のシールが貼付される。Ponta会員とdポイントカード会員のお客が、夕方以降にその商品を購入すると、対象商品合計金額(税抜)に対して100円につき5ポイントが購入月の翌月末に付与される。また、対象商品の売り上げ総額(税抜)の5%が、貧困などに苦しむ子どもを支援する取り組みに対して寄付される。これらのポイントや支援金を負担するのは本部側だ。
 ローソンは愛媛県と沖縄県での実験結果を踏まえ、実験エリアを拡大し、施策をブラッシュアップしながら全国展開を目指す。さらに、売り上げ当たりの食品ロスを30年度までに50%削減(18年度比)する目標も掲げた。

「Another Choice」のシール
廃棄ロスを減らす取り組みはしてきたが……

 商品ロス問題に対し、ローソンはどのように取り組んできたのか。例えば、商品の発注システムを改良し、売れ残りが発生しにくいようにしてきた。また、商品の鮮度管理を徹底することでサラダや総菜などの販売時間を延長したり、店内調理品の値引き販売を実施したりしてきた。
 しかし、まだまだ十分とはいえない。その象徴的な商品がおにぎりと弁当だ。ローソンでは各店の判断で、おにぎりや弁当の値引き販売が行われている。しかし、食品廃棄を減らすという目的を達成するには「今までの値引きだけではうまくいかない」(ローソンの竹増貞信社長)という問題意識があった。加盟店のオーナーからも、おにぎりや弁当の廃棄を減らす取り組みを打ち出してほしいという声も上がっていたという。
お客への意識改革につながるか。
 もちろん、新しい商品から取っていく行為が悪いというわけではない。例えば、朝に購入したおにぎりを夜に食べたいと考えているお客が、食中毒のリスクを避けるため、消費期限を確認するのは仕方のないことだ。
 ただ、いつものクセでなんとなく棚の奥に手を突っ込んでしまうようなお客は、今回のキャンペーンを目にして食品ロスに対する意識が高まるかもしれない。キャンペーン期間中、おにぎりや弁当を並べる棚にはこのプログラムを告知するポップが展開される。そのポップを目にすることで、「子どもの支援のためならば……」と購買行動が変わるかもしれない。
 ローソンの実験は、食品ロスを減らすことにどれだけ寄与できるだろうか。

目次に戻る

コンビニ値引き、加盟店にまた譲歩 食品ロス負担軽減

2019/5/18 2:00
定価販売が一般的だった大手コンビニエンスストアが、実質的な値引きの対象を広げる。販売期限が迫った弁当やおにぎりを購入した利用客にポイントで還元する仕組みを導入する。人件費の高騰がフランチャイズチェーン(FC)加盟店の経営を圧迫しており、負担の大きい廃棄を減らす。今春に営業時間の短縮の実験などをしたコンビニが再び加盟店に譲歩を迫られた。
麺類が並ぶセブンイレブンの商品棚
セブン―イレブン・ジャパンは今年秋から全店で、販売期限まで4~5時間に迫った弁当やおにぎり、麺類などの購入客に対し、電子マネー「nanaco(ナナコ)」のポイントを還元する。還元費用は本部側が負担する。
弁当やおにぎりは同社にとって主力商品だ。それらを含む「ファスト・フード」は2019年2月期、チェーン全体の商品売上高のうち約31%を占める。前期比6%増となるなど販売は好調で、粗利率も約36%と全商品(約32%)より高い。
一方、販売期間が限られているため廃棄されやすい。商品を廃棄する場合、セブンイレブンでは廃棄に伴う損失の85%を加盟店側が負い、本部は残る15%を負担する。加盟店にとって廃棄に伴うコストは人件費と並んで重い負担になっている。
セブンイレブンは販売期限が迫った商品でポイントを付与すれば、購入を促す効果があると見込む。商品が売れ残らなければ売り上げが加盟店に入り、加盟店の収益改善につながるとみる。
これまでセブンイレブンは値下げに消極的だった。安易にそれぞれの加盟店が値下げすれば、同じ商品で価格が異なってしまうためだ。だが公正取引委員会は2009年、本部側が加盟店の値引き販売を制限しているとして、独占禁止法に基づいて排除措置命令を出した。セブンイレブンは「価格決定権は加盟店側にある」としているが、加盟店では広がっていなかった。
今回のセブンの動きにとどまらず、他社にも値下げの動きが広がる。
ローソンは17日、ポイント還元の実験を愛媛県と沖縄県の計約450店で始めると発表した。目印のついた商品を夕方以降に購入すれば、導入している共通ポイント「dポイント」「Pontaポイント」を還元する。還元率は税抜き100円につき5ポイントで、原資は本部が負担する。
ローソンは全体の約7割の店舗で店内調理の総菜などで値引きしているという。ただ、値引きの費用の多くは加盟店それぞれの判断で個別に負担してきた。今回は本部が費用を持つポイント還元となり、加盟店の支援策という面が鮮明だ。
加盟店支援の必要性から、食品廃棄の削減はコンビニ各社にとって共通の課題になっている。
ファミリーマートは22年度までに食品の廃棄費用を18年度比1割減にする目標を掲げる。19年度からは、土用の丑(うし)の日に販売するウナギやクリスマスケーキなど季節商品4つを完全予約制に切り替え、店頭には並べない。1店舗当たりの売り上げはそれぞれ2~3割落ち込むとみるが、廃棄が減ることで利益は約4割増えるとみている。
人手不足による人件費の高騰で加盟店の収益環境は厳しくなっている。2月には大阪府東大阪市のセブンのオーナーが営業時間の短縮を強行し、本部と対立した。コンビニ大手は4月、経済産業省の要請に応じ、人手不足対策などを盛り込んだ行動計画を策定した。もっとも行動計画の中で、FC加盟店が本部に支払うロイヤルティーの引き下げを盛り込んだ大手コンビニはなかった。
今回のポイント還元は本部の負担増にはなるが、還元率は数%にとどまり、品目も販売期限の迫った弁当などに限られている。本部にとっては大幅な収益減を避けられる。関東地方の加盟店のオーナーは「ポイント還元は気休めにしかならない」と話した。
(矢尾隆行)

目次に戻る

コンビニ 成長モデル転機
24時間営業や値引き制限 人手不足、食品廃棄も難題

2019/5/18 2:00 朝刊 [有料会員限定]

成長を続けてきたコンビニエンスストア(総合2面きょうのことば)が曲がり角を迎えた。24時間営業への批判に伴う出店抑制に加え、最大手のセブン―イレブン・ジャパンやローソンが実質的な値引きを始めることが17日わかった。単身世帯の増加や深夜労働、夜型生活の拡大で伸びてきたコンビニだが、人手不足や環境意識の高まりを背景に社会との向き合い方の変更を迫られている。(関連記事総合5面に)
コンビニの総店舗数は約5万8000店で過去20年で7割増え、総売上高は11兆円近くと9割増えた。今では生活に欠かせないインフラとなった。成長の原動力は日本で独自に発展してきた「24時間営業」と、効率的な発注システムに支えられた「店舗の品ぞろえ」だ。
今年2月、まず24時間営業に「待った」がかかった。セブンイレブンの大阪府東大阪市の加盟店オーナーが19時間に短縮したことで本部と対立した。これをきっかけに過去に例のないコンビニ批判が巻き起こった。
セブンだけでなく、ローソンも今期の出店数を減らし、24時間営業をしない店の実験など経営路線の修正を余儀なくされた。
そして今回の「値引き」の動きだ。従来は需要を細かく見通した発注システムを背景に、強気に定価販売を柱にしてきたがそれが揺らいできた。セブンは今秋から、販売期限の迫った弁当やおにぎりを購入した顧客に電子マネーのポイントを5%程度還元する。ローソンも17日、同じようなサービスを実施すると発表した。顧客とオーナーに配慮した施策に見えるが、実はコンビニの成長力に関わる問題でもある。
コンビニのオーナーにとって三大コストとは人件費、光熱費、そして弁当などの廃棄ロスだ。コンビニは売上高から仕入れ原価を差し引いた粗利益を本部とオーナーで分ける方式を採用する。弁当などが売れ残るとオーナーの廃棄による損失も発生する。加盟店が「値引き」しやすくなれば廃棄は減り、オーナーの負担は緩和する。
かつてコンビニ本部はオーナーが廃棄を減らすために値引くことを制限していた。2009年に公正取引委員会はセブンに排除措置命令を出した。だが現実的にはセブンは値引きには消極的だった。今回は両者の力関係が変わったことを意味する。
コンビニの競争力は欠品をできるだけしないことにある。セブンは特にこの点が優れていた。需要を読んだ商品発注を徹底し、他社より1店舗当たりの1日平均売上高が66万円と10万円以上高い。まさに本部の力が業界内の序列を決めてきた。
だが強みである欠品をしない仕組みの裏側で廃棄ロスという代償があった。成長期は本部もオーナーもその代償を問題にしなかったが、市場は飽和し廃棄ロスの負担が焦点になってきた。
企業に環境配慮などを求める「ESG」の動きも重要な課題だ。コンビニが毎年2月、大量の食品ロスを出してきた「恵方巻き」騒動のように、企業の利益を優先した拡大一辺倒の販売戦略は再び批判を浴びかねない。コンビニは成長の壁にぶつかっている。
コンビニ拡大の背景には社会のニーズがあった。とりわけ家族の変容が大きい。
1980年代までの日本の消費は家族型モデルだった。80年代半ばには夫婦と子供世帯が40%を占め、日常消費の舞台はスーパーが主役だった。だが平成に入り構図は変わる。2000年代に単独世帯が夫婦・子供世帯を逆転し、今や世帯数の割合では一番多い。
こうした流れでコンビニは急成長した。だが消費者の意識も変わりつつある。その一つが働き方改革。家族との食事がまともにできないコンビニオーナーも多く「売り手の犠牲を強いてまで便利さを求められない」と考える消費者が増えている。セブンの幹部も「大きくなりすぎてオーナーへの配慮が減ったのは間違いない」と指摘する。
コンビニだけでなく、チェーン経営の小売店は割安な労働力に依存し、規模拡大による収益の拡大を目指してきた。だが日本は人口減時代に突入し、従来の成長モデルは通用しない。デフレの中で長く続いてきた「安売り時代」が大きく変わるかもしれない。
(編集委員 中村直文)

目次に戻る

セブン、沖縄では加盟店負担軽減 粗利益5%分減額

小売り・外食 2019/5/22 19:30

セブン―イレブン・ジャパンは7月に進出する沖縄県でフランチャイズチェーン(FC)加盟店の負担軽減に乗り出す。1回の契約期間(15年間)に限り、本部側の取り分について粗利益の5%に相当する分を減額する。
コンビニは本部とFC加盟店が売上高から商品原価を差し引いた粗利益を分け合う。セブンは新規進出する沖縄県では商品原価に含む物流費が他地域よりもかさみ、粗利益が他地域よりも少なくなる。本部側の取り分を少なくすることで、加盟店に配慮する。
同社は7月11日、現地子会社を通じて沖縄に初出店する。加盟店が本部に支払う「ロイヤルティー(経営指導料)」などの契約条件は他地域と同じだが、沖縄県では特別条件を設ける形をとる。

目次に戻る

セブン、5%値引きで廃棄ロス削減 後手に回った対策

日経産業新聞 コラム(ビジネス) 小売り・外食
2019/5/22 4:30 NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

スーパーやデパ地下の弁当、総菜類は閉店間際には3割引き、半額となるのが一般的だが、セブン―イレブン・ジャパンは消費期限切れ寸前の商品を5%引き(実際はポイント還元)と小幅にとどめる。そんなことで消費者は飛びつくのか。だが今回の値引きの結果、売上高だけでなく利益も増加し、食品廃棄ロスもなくなる可能性が高くなるのだ。セブンの「深慮遠謀」を読み解いていこう。
麺類が並ぶセブンイレブンの商品棚
冒頭から堅い話になってしまうが、経済学に価格弾力性という言葉がある。価格を1%変化させたときに需要がどれだけ変化するかを見る数字だ。5%引きで売れ残り商品がどれだけさばけるか。利益が増加すればなおいい。セブン本部と加盟店の最大の関心事に違いない。

5%の値引きで需要が14%増える

もう少し経済学の知恵を借りなくてはならない。「ドーフマン・スタイナーの定理」というものがある。商品の価格と広告費の関係を定義したものだが、これを今回の問題になっている商品の廃棄率と価格の関係に置き換えてみるとどうなるだろうか。
同定理は「価格弾力性は商品の粗利益率(粗利益額を価格で割ったもの)の逆数になる」と定義される。式で表せば「価格弾力性=1÷粗利益率」となる。
分析に必要なデータはそろっている。2019年2月期のセブンの弁当、おにぎり、サンドイッチ、総菜類などのファスト・フードの粗利率は36.1%なので、価格弾力性は2.8だ。
5%引きだと、その数字に2.8を掛ければ需要の変化量がわかる。14%だ。つまり5%の値引きによって販売量が14%伸びる計算になる。
セブンで1日に消費期限を迎える商品は、おそらく10%前後だと思われる。その根拠は各店舗の運営をサポートする経営相談員は店主などに対して「廃棄は2万円くらい必要です」とアドバイスをよくする。
19年2月期のセブンの平均日販(1日の売上高)は65万6千円。このうちファストフードの割合は30.6%だから金額では約20万円になる。ということは廃棄の量は全体の10%になる。
ここからが結論だ。5%値引きして販売量が14%増えるのなら、売れ残っている10%の商品は計算上は売り切ってしまうことになる。むしろ足りないくらいだ。これまでは廃棄の費用は損失の85%を加盟店側が負い、本部は残る15%を負担していた。どちらも経営の足を引っ張る問題だったが、売り切ってしまえばその負担はなくなる。

発注量5%上積みへ

もしここで書いたことが正しいとするなら売り逃し(チャンスロス)を防ぐためにもセブン本部は加盟店に対して従来よりも5%前後の発注量の上乗せを促すはずだ。値引き(5%)は本部の負担だが、ポイント還元なので次の販売につながるマーケティングコストと考えれば安いものだろう。
値引きにより自社のポイントカード「nanaco」への誘導もできる。キャッシュレスの流れにも合う。そしてポイント還元だから定価主義を修正することなく、売り上げも利益も増える。
セブンの”値引き”が明らかになった17日のセブン&アイ・ホールディングスの株価が前日比で60円高となったのはその効果をかぎ取ったからかもしれない。株価は20日も続伸して取引を終了した。
ただ現実もこの通りに展開するとは限らない。そもそも弁当、総菜類が価値に見合った価格で販売されていないといけない。おいしくなければいくら価格を引き下げても二度と手にとってはくれないからだ。
今回もセブンと同様にローソンが5%の還元とは別に5%分を子供の食支援活動などを行う団体へ寄付する実証実験をおこなうことを発表した。社会貢献にもつながるこの取り組みはセブンよりも消費者の共感を得やすいはずだ。
そうなればセブン以上にFFの売り上げが増え、廃棄ロスがなくなることも予想される。FF強化が長年の課題のローソンにとってセブンよりも熟慮の末の決断に違いない。

処理の煩雑さ嫌い対応後手に

値引き問題について、セブンは10年前に公正取引委員会から排除措置命令を受けたことがある。それ以降、同社は消費期限が長い弁当や総菜の開発に取り組んできたが、それは定価販売を死守するためのものだった。
スーパーや百貨店と違い、24時間営業のコンビニでは消費期限間際の商品とそうでない商品が混在して価格が異なると店舗運営が煩雑になる。セブンはこれを恐れた。だが持続可能な社会を目指す中で、より踏み込んだ施策を打ち出さないことには、社会が納得しない空気が醸成されたのも事実だ。
コンビニの「5%還元」はニッポンの消費社会にいろいろな示唆を与えることになりそうだ。
(編集委員 田中陽)

目次に戻る

ファミマ社長「出店抑え、時短営業も」 ロイヤルティー下げ検討

2019年5月25日 2:00 [日経]
24時間営業、食品の廃棄ロスなど批判が広がったコンビニエンスストア。店舗数2位のファミリーマートの沢田貴司社長は日本経済新聞の取材に応じ「出店は抑え、特定日の時短、ロイヤルティーの引き下げなど既存店強化へあらゆることを検討する」などと語った。
――セブン―イレブン・ジャパンで本部と加盟店オーナーの対立からコンビニ批判が広がりました。
「あれは事件かもしれないが、2016年に社長に就いて以来、(オーナーの不満は)ずっと聞いてきたし、考えてきた問題だ。先ほども定期的に開いている加盟店オーナーとの会食で、『レジの使い勝手が悪い』などとおしかりを受けた。システム面で他社に劣っているのは事実で、優先順位を付けて改善していく」「組織は本当に忖度(そんたく)する。まずバッドニュースを伝えろと現場に指示しているが、先に来るのはグッドニュース。本部の社員は言い訳するが、とにかくすぐに加盟店の不満に対応する必要がある。だから社長が加盟店と対話しないと情報が上がってこない」
――経済産業省が各社に人手不足の是正に向けた行動計画の策定を要請するなど政府が介入してきました。
「行動計画はつくった方がいいと思ったので策定した。だがあるべき姿ではない」
――加盟店は休みたくても休めない。労働環境をどう改善しますか。
「例えば日を決めて時短営業するとか社員の副業を認めてアルバイトに入るとか、色々な研究をしている。社員がなかなか手を挙げない可能性があるので、その時は『俺が店に入る』と言っている」
――セブンとローソンはポイント還元による実質値下げに動きました。
「7月から決済サービスアプリ『ファミペイ』が稼働した後、時期を見て(還元策を)やろうと考えている。その前にクーポン券が発行できないかなど研究中だ」
――Tポイントはやめないのですか。
「続ける。dポイントや楽天スーパーポイントと並行にする」
――(加盟店が本部に支払う)ロイヤルティーを下げる考えはありますか。
「考えてはいる。必要と判断すれば見直す」
――廃棄ロスを削減するためお節やクリスマスケーキの予約販売を始めます。
「オーナーから『売れなくなるのではないか』と心配されている。ところがすでに予約販売で成功している店は地域に密着している。規模の拡大よりこうした質の向上が重要だ。コンビニは会社都合で拡大した。市場が飽和した以上、ゲームをチェンジするしかない」
(聞き手は編集委員 中村直文、矢尾隆行)2019年5月25日 2:00 [日経]
24時間営業、食品の廃棄ロスなど批判が広がったコンビニエンスストア。店舗数2位のファミリーマートの沢田貴司社長は日本経済新聞の取材に応じ「出店は抑え、特定日の時短、ロイヤルティーの引き下げなど既存店強化へあらゆることを検討する」などと語った。
――セブン―イレブン・ジャパンで本部と加盟店オーナーの対立からコンビニ批判が広がりました。
「あれは事件かもしれないが、2016年に社長に就いて以来、(オーナーの不満は)ずっと聞いてきたし、考えてきた問題だ。先ほども定期的に開いている加盟店オーナーとの会食で、『レジの使い勝手が悪い』などとおしかりを受けた。システム面で他社に劣っているのは事実で、優先順位を付けて改善していく」「組織は本当に忖度(そんたく)する。まずバッドニュースを伝えろと現場に指示しているが、先に来るのはグッドニュース。本部の社員は言い訳するが、とにかくすぐに加盟店の不満に対応する必要がある。だから社長が加盟店と対話しないと情報が上がってこない」
――経済産業省が各社に人手不足の是正に向けた行動計画の策定を要請するなど政府が介入してきました。
「行動計画はつくった方がいいと思ったので策定した。だがあるべき姿ではない」
――加盟店は休みたくても休めない。労働環境をどう改善しますか。
「例えば日を決めて時短営業するとか社員の副業を認めてアルバイトに入るとか、色々な研究をしている。社員がなかなか手を挙げない可能性があるので、その時は『俺が店に入る』と言っている」
――セブンとローソンはポイント還元による実質値下げに動きました。
「7月から決済サービスアプリ『ファミペイ』が稼働した後、時期を見て(還元策を)やろうと考えている。その前にクーポン券が発行できないかなど研究中だ」
――Tポイントはやめないのですか。
「続ける。dポイントや楽天スーパーポイントと並行にする」
――(加盟店が本部に支払う)ロイヤルティーを下げる考えはありますか。
「考えてはいる。必要と判断すれば見直す」
――廃棄ロスを削減するためお節やクリスマスケーキの予約販売を始めます。
「オーナーから『売れなくなるのではないか』と心配されている。ところがすでに予約販売で成功している店は地域に密着している。規模の拡大よりこうした質の向上が重要だ。コンビニは会社都合で拡大した。市場が飽和した以上、ゲームをチェンジするしかない」
(聞き手は編集委員 中村直文、矢尾隆行)

目次に戻る

食品ロス削減法が成立 政府、自治体に努力義務

政治 2019/5/24 11:13

食べ物が無駄に捨てられる「食品ロス」を減らすための食品ロス削減推進法が24日の参院本会議で全会一致により可決、成立した。政府が食品ロス削減の基本方針を策定すると明記。自治体には具体的な推進計画を作る努力義務を課した。超党派議員連盟が法案をまとめ、各党に賛同を呼び掛けていた。
食品ロスを巡っては、節分の恵方巻きの売れ残りが大量に捨てられるなど社会問題化し、食品の大量廃棄を見直す機運が高まっている。一部のコンビニ大手は食品ロスを減らす狙いで、消費期限の近づいた弁当やおにぎりの購入者にポイント還元の形で実質値引きする方針を打ち出した。
食品ロスは世界的にも関心が高まっている。新潟市で今月開かれた20カ国・地域(G20)農相会合でも、G20として食品ロスの削減を主導していくことが閣僚宣言に盛り込まれた。
新法には、政府が基本方針案を作成するため、関係閣僚や有識者で構成する会議を内閣府に新設することを盛り込んだ。食品生産から消費までの各段階で食品ロス減少へ取り組む努力を「国民運動」と位置付ける。
〔共同〕

目次に戻る

コンビニ株の憂鬱 賃金の重荷、克服力は日本株左右

証券部 佐藤俊簡 2019/5/30 2:00 [有料会員限定]

米中貿易摩擦の長期化の懸念が強まり輸出株が値下がりする中、海外動向に左右されにくいとみられてきた大手コンビニエンスストア株も下げ基調が続く。政府の会議で最低賃金の年5%引き上げが議論され、人件費の増加が加盟店の利益を押し下げると警戒感が高まっている。もっとも人手不足は今や日本企業に共通する課題だ。コンビニ会社が難題に対する克服力を示せるかは日本株全体の将来も左右しそうだ。
「かつてのディフェンシブ性を失ってしまった」。ドイツ証券の風早隆弘シニアアナリストはコンビニ株の変化を感じている。
29日はユニー・ファミリーマートホールディングスが7%安、ローソンも2%下落し、日経平均(1%安)よりも大きく下げた。セブン&アイ・ホールディングスの値動きも軟調で、3社とも年初来安値圏での推移が続く。
人が生活するのに「ないと困る」存在にまで成長したコンビニは、利用が景気変動に左右されにくく、業績の安定的な成長が期待されてきた。しかし、ここにきて将来の業績不安が増している。
「5%程度を目指す必要があるのではないか」。今月中旬に内閣府が公表した経済財政諮問会議の議事要旨がコンビニ業界に波紋を広げた。新浪剛史サントリーホールディングス社長が従来は3%程度だった最低賃金の引き上げ率を高める必要性に言及したためだ。
新浪氏は元ローソン社長だが、最低賃金の引き上げを生産性向上の契機にすべきだという主張だ。それでも、大手コンビニ幹部は「あぜんとした。人件費の上昇ペースが上がるときついのは、新浪さんも分かってくれると思うのだが」とため息を漏らす。
現在の最低賃金は874円(全国加重平均)で、これが毎年3%上昇していくと政府が目標とする1000円に到達するのは2023年。しかし5%のペースだと21年に1000円台に乗る計算だ。1000円到達の時期が2年早まる。
一部の市場の試算では、セブン&アイの代表的な加盟店契約の場合、最低賃金が1000円に上がると、加盟店のオーナーが現在の収入を維持するためには1店舗当たりの1日平均の売上高(日販)で70万円に近い水準を確保する必要がある。
だが、セブン&アイの日販はここ5年は65万円台で頭打ち。3社の単純平均でみても伸びの鈍化は鮮明で「国内コンビニ市場の成長余地は小さい」(アセットマネジメントOneの鴨下健ファンドマネジャー)。各社は日販の引き上げによる加盟店利益の底上げを目指すが、その「猶予期間」が短くなる。加盟店の負担を和らげるために本部からの資金拠出が増す可能性もある。
コンビニを巡っては、経済産業省の「介入」も市場の話題だ。根拠法のない「任意の要請」という異例の形で、大手コンビニ各社に加盟店の人手不足などに対応する行動計画の策定を要求し、各社は対応策を公表した。しかし「要請内容の是非ではなく、根拠法がないことをされると投資家の予見可能性が失われることが問題」(国内証券アナリスト)といい、資金流出の一因となっている可能性がある。
もっとも、人手不足問題は日本の構造的な課題だけに、企業は避けて通れない。一足先に人手不足が表面化して16年末に「宅配クライシス」が起きたヤマトホールディングスは人件費を増やし、社会に訴えかけて宅配料の値上げも実現した。克服力が評価され、株価は18年9月に18年ぶりの高値をつけたが、年初以降はコンビニ株と同様に株価は下げ基調をたどる。
コンビニもヤマトHDも革新的なビジネスモデルを自力でつくりあげてきた企業だ。だが、多くの優秀な労働力があり、商品の需要も増えることを前提にした昭和時代に誕生し、平成時代に成長したモデルでもある。コンビニ各社が取り組み始めたセルフレジの導入や時短営業の実験など、課題克服に向けての模索はまだ始まったばかりだ。コンビニ会社が令和時代に第2の革新をなし遂げられるかどうかは、日本株全体の底上げも左右する。

目次に戻る