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セブンイレブン、陳列や清掃時間4割減 省力化設備

2018/12/29 20:43 [日経]

セブン―イレブン・ジャパンは商品の陳列などの作業時間を1日あたり4割弱削減する。商品を並べやすいスライド式の陳列棚など省力化設備を導入する。2019年3月以降の新店や改装店で使い始め、既存店も順次切り替える。省力化で働きやすい環境にし、従業員の定着率を高める。浮いた労働力を接客販売などに振り向け、売り上げ拡大も狙う。
商品を陳列しやすいように陳列棚はスライド式にする(都内のセブンイレブン)
セブンは3月から、10種類の省力化設備を新店や改装店に導入する。商品を売り場に並べやすいようにスライド式にした陳列棚を、おにぎりや加工食品、冷蔵の弁当や総菜の売り場に置く。フライドチキンなどを揚げるフライヤーや換気扇も油が付着しにくくし、清掃の頻度が少なくてすむようにした。
対象設備を使った作業の合計時間は、1店あたり1日平均で10.4時間から4時間弱短い6.7時間程度になる見通し。
投資額は非公表だが、設備本体の導入費はこれまでよりも高くなる。冷蔵効率が高い販売ケースなども導入することで、店舗の電気使用量や二酸化炭素(CO2)排出量は5%程度削減できる見込み。運営コストを抑えることができ、導入費の上昇をカバーできるとみて新店などでの展開を始める。2万店超の既存店は設備の耐用年数に合わせて順次入れ替えを進める。
17年12月から東京都内の直営店などでテストを続け、従業員らの意見をもとに改良を繰り返したという。レジ袋はシニアの従業員に配慮して、かがまずに取り出せる位置に設置する。
小売業などで人材の確保が難しくなるなか、従業員の作業負担を減らすことで働きやすくする。浮いた労働力をおでんや中華まんなどのカウンター商材の接客販売などにあて、ついで買いや常連客作りにもつなげる。
コンビニ各社は店舗の省力化を進める。ファミリーマートではレジ内の現金を数える「現金カウンター」を19年2月までに約8千店に導入する。ローソンは19年2月末までに全1万4千店で、自動釣り銭機能の付いた新型レジの導入を終える。人手不足感が強まるなかで、店舗運営を効率化する取り組みは今後も続きそうだ。

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コンビニは失われた20年の象徴? 低賃金が支える「社会インフラ」は適正か

2019年01月04日 09時47分

2019年はコンビニ業界にとって節目の年になりそうだ。セブンイレブンとファミリーマート本部が、フランチャイズ(FC)加盟店との団体交渉に応じるべきかどうかについて、中央労働委員会(中労委)の判断が下る見込みだからだ。
いずれも地労委では、応じるべきとの命令が出ており、本部が不服を申し立てていた。
オーナーが団交を求める背景には、過酷な労働環境がある。近隣に店舗を密集させる「ドミナント戦略」などで、コンビニが飽和する一方、最低賃金は毎年引き上げられており、加盟店は難しい運営を余儀なくされている。
コンビニ加盟店ユニオンによる書籍『コンビニオーナーになってはいけない』(旬報社)の出版記念シンポジウム(2018年12月1日)から、現場で何が問題になっているのか整理したい。

オーナーの死亡率、「通常残業省」の3倍?

まず問題になるのが、労働時間だ。一部の複数店経営者をのぞき、多くのコンビニオーナーは、他のスタッフと同様、店頭に立つ。
近年は、最賃の引き上げによる人件費の高騰や、そもそも働き手が集まりづらいことなどもあり、オーナー自身の稼働が増えやすい。利益が出なくても、契約期間は10年ほどあり、途中解約には違約金が伴う。辞めるのも容易ではない。
社会保険労務士の飯塚盛康さんはこうした中、オーナーの過労死リスクが高まっていると指摘する。
飯塚さんはセブンイレブンの共済会資料を分析し、2012年7月1日~13年6月30日に43件(計9億1100万円)の弔慰金が払われていることに着目。死亡率は、飯塚さんのかつての勤務先で、激務から「通常残業省」とも揶揄される経産省の3倍ほどと試算した。
当然、すべてが過労死かは定かではない。そもそも、FCオーナーは労災の適用外とされ、公的な数字が出て来ない。しかし、言い換えれば、「本部が数字を出さない限り、闇から闇」(飯塚さん)ということでもある。
休みがとれないオーナーは珍しくなく、現状の労働環境が改善されない限り、「命と健康が惜しかったら、コンビニオーナーになったらいけない」と飯塚さんは話す。

コンビニ独自の会計方法

オーナーの労働時間を短くするためには、利益が必要だ。しかし、店舗にノウハウを伝えるはずの社員(OFC/SV)の能力にはバラつきがある。
本部社員にノルマが与えられていることもあり、「本部のセールスマン」にしかなっていないことも珍しくない。商品を大量に発注させるだけだったり、ひどいときは勝手に発注をしてしまったりすることもあるという。
商品を大量に並べれば、売上はあがる。ただし、オーナーの利益になるとは限らない。チャージ料を計算するとき、そのベースとなる粗利益(売上-仕入原価)から、売れ残りの仕入れ代は除外されてしまうからだ。
一方で、売れ残りを減らそうとしても、本部側は価格を下げる「見切り販売」によい顔をしない。

仕入れ値の高さ、ぬぐえない「中抜き」疑惑

大量発注にはもう1つ問題がある。仕入れを「代行」する本部は、スケールメリットがあり、本来は安く商品を仕入れられるはずだ。しかし、仕入れ値が近所のスーパーの売価より高いことがままあるという。
公認会計士の根本守さんは、「かかっているコストをなんらかの形で仕入れ先に負担してもらっている可能性がある」と指摘する。帳簿からは見えない「リベート」があるかもしれないということだ。
もちろん、仕入れそのものが安くできても、配送や保管コストがかかることも考えられる。しかし、その内訳が開示されないため、「中抜きされているのでは」とオーナーの不信感は募る。
コンビニ業界では2016~17年にかけて、ファミリーマート、山崎製パン(デイリーヤマザキ)、セブンイレブンの3チェーンに対して、下請法違反で公正取引委員会の勧告が出ている。
商品の製造委託先(ベンダー)に対し、キャンペーン費用などの負担を求め、支払いを不当に減額していたというものだ。
経済ジャーナリストの北健一さんは、「ベンダーは仕入れてもらう客(コンビニ本部)に対し、身を切って便宜を図っていたということ」と述べ、リベートの存在を推認させる事案との見解を示した。

「労働者」になりたいわけではない

日本にはフランチャイズ(FC)を規制する法律がなく、脱サラオーナーと日本有数の大企業は法律上は対等関係になる。しかし、交渉力が違うのは明らかだ。
コンビニ加盟店ユニオンはだからこそ、「点」ではなく「面」としての団交を通じ、チャージ料の減額などを求めている。
中労委では、ユニオンにその団交の権利があるかどうかが争点になる。オーナーが労働組合法上の「労働者」と言えるかということだ。
一方で、「労働者」という響きを嫌がるオーナーもいる。経営者になりたいから脱サラしたのに――といった具合だ。実際、オーナーの中には複数店舗を経営したり、自分の土地で開業したりすることで大きな利益をあげている人も一部存在する。
この点について、ユニオンの副執行委員長も務めた元オーナーの三井義文さんは、「日本の法制度では、団交するには労働組合法しかない。『労働者』になりたいということではない」と説明した。
ユニオン顧問の中野和子弁護士も、「事実はいろんな側面を持っている。労働者だろうが、経営者だろうが、使えるものは使えばいい。大事なのは、本部に『今までのやり方ではダメだ』と気づかせること」と強調した。
オーナーとしては、「経営者」としての自負もある。一方で、店の「看板」やシステムを利用するためのチャージ料は払っているのだから、割に合わない部分は、社会・経済状況も考慮して、改めてほしいという。
現在のFC保護は手薄と言ってよく、日本大の大山盛義教授(労働法)は、「救済を求めても『サインしたでしょ』『契約の自由でしょ』と言われてしまう」と説明する。
こうした状況で、仮にコンビニオーナーが労組法上の労働者でないと判断されれば、FCを規制する法律の必要性はかえって高まると言えるだろう。

最賃バイトが支える「社会インフラ」…失われた20年

日本フランチャイズチェーン協会の調査によると、コンビニの数は1990年度末に約1万7000店だったのが、2010年度末に4万3000店に増加。景気が低迷する中、高い成長を遂げてきた。しかし、ここ数年は5万8000店ほどで、足踏み状態となっている。
大山教授は、そんなコンビニを日本の「失われた20年」の象徴だと言う。
「日本から長時間労働がなくならない。夜11時、12時に会社を出ても、スーパーは閉まっているが、コンビニは開いている。朝早く会社に行くときもコンビニで弁当を買っていける」(大山教授)
もちろん、便利さは「功」でもある。一方で、どんなに遅くても買い物ができることは、労使双方に「遅くまで働ける」という意識をもたらしたと言えるだろう。
大山教授はさらに、コンビニ周辺の労働環境にも言及する。
「工場や配送業者が過重労働になっている。アルバイトも低賃金。最賃は法律で上がっていくから、オーナーが利益を出そうとしたら人件費を削るしかない」低賃金の労働者が長時間働くことで、過剰サービスを支えるーー。平成不況の中で増えたそんな働き方は、最賃の上昇などの中、転換点に立たされているのかも知れない。本部としても、加盟店を支援していないわけではない。しかし、オーナー側が交渉のテーブルにいないままの決定は、「生かさず、殺さず」を大きく超えるものにはなりづらい。「本部だけは今のシステムでなんらデメリットはない」(大山教授)からだ。
コンビニでできることは年々増えており、2019年は災害時に存在感を示すことも多かった。一方、元オーナーの三井さんは次のように問いかける。「(コンビニという)『社会インフラ』を支える現場は、最低賃金のアルバイトで成り立っていますよ。これをインフラと呼んでいいんでしょうか」
(弁護士ドットコムニュース)

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今期、440億円に上方修正

2019/1/5 2:00 朝刊 [日経]

ユニー・ファミリーマートホールディングスは4日、2019年2月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比31%増の440億円になりそうだと発表した。従来予想(19%増の400億円)から1割上振れする。同日付で総合スーパーのユニーの株式をドンキホーテホールディングスに全て売却し、繰り延べ税金資産を計上する。
売上高にあたる営業収益や本業のもうけを示す事業利益は従来予想を据え置いた。営業収益は微減の1兆2702億円、事業利益は17%増の773億円を見込む。計画比ではユニーの約2カ月分の利益がなくなるなどの影響があるものの「コンビニエンスストア事業の利益の上振れなどで補える」(ユニファミマ)という。
ユニファミマはユニーの全株売却に伴い繰り延べ税金資産を225億円計上する。一方、コンビニのファミリーマートでは不採算店の閉鎖などに伴い減損損失を計上する。店舗の省力化などに伴う投資も計画より前倒しで進める方針で、こうした費用も考慮した結果、純利益の上振れ幅は40億円となった。
同日、ドンキHDもユニーの完全子会社化を発表した。19年6月期の業績に対する影響は現在も精査中として「未定」のままにした。

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ローソン、介護相談窓口を併設した店舗 中部初

小売り・外食 中部
2019/1/29 19:16

ローソンと保険薬局を運営する協和ケミカル(名古屋市)は、介護相談窓口を設けたコンビニエンスストアを名古屋市昭和区で2月1日に開業する。店内に介護関連施設を併設したローソンは中部で初めて。高齢者や家族らの利用を見込む。
店舗は地下鉄名城線の八事日赤駅近くにあり、広さは約290平方メートル。コンビニに置いてある標準的な商品をそろえているほか、介護に必要な日用品や介護食も扱う。協和ケミカルは店内スペースで健康関連の相談会を開く予定だ。
ケアマネジャーなどの相談員が駐在する介護相談窓口(約13平方メートル)のほか、飲食や交流スペースとして使える空間(約20平方メートル)も設けた。

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なぜレジ袋の有料化はコンビニにとって「一石三鳥」なのか。困るのは誰?

マーケット・経済2019.01.20 06:00塚崎 公義

コンビニがレジ袋を有料化するようです。これはコンビニにとって一石三鳥のありがたい話だ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は説きます。コンビニ業界を含む小売業に対し、政府はレジ袋の有料化を義務付ける方針のようです※。これについて、コンビニの社長の目線で考えてみましょう。ちなみに、環境問題には全く興味が無い、金儲けのことだけを考えている社長だとしましょう。
※『レジ袋有料化、コンビニも対象 環境省が素案提示』(日本経済新聞 2018年10月18日付)

一石三鳥の素晴らしいこと

コンビニ業界が一斉にレジ袋を有料化したとします。コンビニにとって素晴らしいことが3つあります。
第一に、マイバッグを持参する客が増えるため、無料で配布するレジ袋が減ります。これはコストの減少ですから、素晴らしいことです。
第二に、マイバッグを持参しない客に対しては、無料で配布していたレジ袋を有料で販売することができます。これは収入の増加ですから、素晴らしいことです。
第三に、コンビニ業界も環境問題に取り組んでいるというイメージアップができます。これも客商売をしている企業にとっては素晴らしいことです。
そんな素晴らしいことを、なぜ今までやってこなかったのかと言えば、理由が2つ考えられます。
第一は、過当競争です。「自社だけ有料化したらライバルに客を奪われてしまう」と各社が考えて有料化できなかったということです。
第二は、何らかの誤解があったのでしょう。驚くことに、2005年に同様の話があった時には、日本フランチャイズチェーン協会が「コンビニでは来店客に買い物袋の持参を求めるのは困難だ」と反対したらしいのです。

官製カルテルは業界の利益

一社だけが値上げ(無料配布物の有料化を含む)をすると、ライバルに客を奪われてしまいかねませんが、全社が一斉に値上げをすれば、ライバルに客を奪われることがないので、全社が儲かります。そこで、皆が相談して値上げをしよう、と試みる場合があります。カルテルです。コンビニ業界が結託して「レジ袋を有料化しよう」と決めれば、通常は独占禁止法違反のカルテル行為として処罰されますし、カルテル破りを防ぐのも容易ではありません。カルテル破りとは、値上げをすると約束して、自社だけが値上げをせず、約束通り値上げをしたライバルから客を奪ってくることです。しかし今回は、政府の指導に従うだけですから、処罰される可能性がないのです。しかも、違反者は政府が取り締まってくれるわけです。まさに官製のカルテルです。こんな素晴らしいことはないはずです。

合成の誤謬は予想が難しいから誤解も生じやすい

合成の誤謬という言葉があります。もともとは「皆が正しいことをすると皆がヒドい目に遭う」という意味です。劇場火災の際、各人にとって正しい行為は非常口に向かって走ることですが、皆がそうすると皆がヒドい目に遭います。
そこで劇場管理人は「火災の際は走らないで」というルールを設けますが、これは不評でしょう。合成の誤謬は、実際に発生してみないと何が起きるかわからない場合が多いので、よほど想像力がたくましい人でないと予想できず、ルールができた時点で「なぜ走ってはいけないのか」という不満を皆が述べることになるでしょう。
合成の誤謬の反対で、皆が正しくないことをすると皆が儲かる、という場合もあります。値上げです。もっとも、昨今の経済情勢では各社が自発的に値上げをして全社が儲かるということは稀でしょうから、カルテルの相談や規制などが必要となります。
しかし、これも皆が一斉に値上げしたところが想像できないと、値上げの相談をする時にも反対をする人が出てくるわけです。官製カルテルにさえ反対が出かねません。上に「何らかの誤解があったのでしょう」と記したのは、このことです。

過去にもあった官製カルテルへの反対

1980年代、日本車の輸入が急増した米国から「日本車の対米輸出を減らせ」との圧力がかかり、日本政府が輸出企業に対米輸出台数を減らさせる「自主規制」が行われました。
これに対しては、自動車業界から「反対だ」「困った」という声が聞こえていましたが、結果としてはこれが官製カルテルとなり、自動車各社とも大きな利益を得ることになったのです。米国内で日本車が不足したため、「高くても日本車が買いたい」という要望が強まり、自動車各社は値上げができたのです。
もっとも、この時の反対には一理ありました。高度成長期の日本製品は、「安かろう悪かろう」と言われて、品質の悪さを価格の安さでカバーして輸出を伸ばしていたので、その時の記憶が鮮明に残っていた人々には「高くても日本車が欲しい」という米国人消費者のことが想像できなかったのかもしれませんね。
それと比べると、コンビニのレジ袋有料化は問題がはるかに少なそうです。「レジ袋が有料化されるならコンビニへは行かない」という客は少なそうですから。

日本経済としての資源配分は効率化

コンビニの視点を離れますが、日本経済としては、レジ袋の有料化で配布されるレジ袋が減るのは良いことです。消費者が「無料なら欲しいけれど、価格が5円なら不要」という物を生産するのに5円のコストがかかっているとすれば、そういう物は生産すべきではないからです。レジ袋を生産するための材料や人件費は、もっと他の物(5円払っても欲しいと消費者が考えているもの)を生産するのに使うべきなのです。これを経済学では資源配分の適正化と呼びます。「廃棄されて海に流れ込む」といった使用後の話以外に、使用前の話としても、有料化は良いことなのです。

コンビニ店員にとっては災難であろうが・・・

上記のように、レジ袋の有料化はコンビニにとって素晴らしいことですが、コンビニ店員にとっては災難かも知れません。
「袋をご利用ですか?」と聞く手間が増えますし、「有料です」と言えば嫌な顔をする客もいるでしょう。クレーム客には「法律が変わりまして・・・」と説明しなければなりません。
大量の商品を購入しておきながら、「一つの袋に全部詰めてくれ」と言う客も出てくるかも知れません。マイバッグに無理に詰めて、傷ついたら大変です。いっそのこと、コンビニもスーパーのように自分で袋詰めをしてもらっても良いかもしれませんね。
コンビニとしては上記のように大いにメリットがあるわけですから、その分は従業員の待遇改善に使いましょう。そうしないと、労働力不足で他社と労働力を奪い合っている状況下、店員が不足してしまうかもしれませんから。
本稿は以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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新宿に「エスニック」ローソン 在住外国人狙う

日経MJ コラム(ビジネス) 小売り・外食
2019/1/26 6:30 [日経]

日本に住む外国人が増えている。直近で264万人と、5年前より4割増えた。今年4月には改正入管法の施行によって、この先5年間で働く外国人は約35万人増える見込みだ。企業などにとっては貴重な戦力だが、消費者としても存在感が一層高まる。売れ筋が訪日外国人(インバウンド)とは異なる在住外国人の300万人時代はすぐそこ。いろいろな国の人たちが増えればお店も変わる?

多国籍タウン、店も七変化

東京・新宿の繁華街にある「ローソン新宿靖国通店」。一見、普通の外観だが、店に入ると左手の棚には、韓国の即席麺や中国のお茶、ハラル認証の飲料などが並ぶ。
「まさか日本のコンビニでも買えるなんて」。日本在住の30代の中国人女性が買ったのは中国で人気のココナツ缶ジュース(188円)だった。
インバウンド向けに化粧品などをそろえるコンビニエンスストアは多いが、ローソンでは昨年8月、新宿区と中野区の約60店で在住外国人向けの商品の取り扱いを始めた。まず韓国の食品10種類。反響が大きかったため10月から中国の食品5種類、11月からはハラル食品4種類を加えた。
「アイデアは現場のオーナーから生まれた」と庄司考志マーケティング本部マネジャー。新宿区在住の外国人割合は12%だが、区内には日本語学校も多く、新宿靖国通店の場合、「実感ベースだがお客様の2割が外国人」(鈴木謙也店長)。
限られた棚のスペースに海外の売れ筋をそろえるのは簡単ではない。同社では国際部が各国の人気商品を調べるが、「現地生産なので物流面がネックとなりがち。品薄になりそうな商品もある」(庄司マネジャー)。
実は本場のエスニックな商品は「日本人のファンも多く、ハラルのジュースは日本人女性によく売れている」(鈴木店長)。今後、ハラルのカレーや香辛料などを増やすとともに、2月の春節(旧正月)には帰国しない在住中国人向けにセールも検討する。
チェーン化で競争が激しいコンビニでは最近、特色を出すため、ご当地商品をそろえる傾向がある。日本に住む外国人の増加を見越して、ローソンでは外国人の間でローソンのブランドを浸透させる狙いだ。
食品スーパーの「ライフ東砂店」(東京・江東)も近隣にはアジア系外国人が多い。この店ではフォーなど5種類の乾麺やパッタイソースなどエスニック食材をそろえたコーナー「アジアンキッチン」を設けている。店内をのぞくと、日本人客も買い物籠に商品を入れていた。
ただ、日本のチェーン店が在住外国人を取り込むのは簡単ではない。
ユニーは15年、ピアゴイセザキ店(横浜市中区)を建て替えて開業した際、商圏内に外国人が多いことを受け、食品売り場に中華料理用のコーナーを設けた。調味料を中心に取り扱ったが反応が期待を下回り、約1年でとりやめた。「(中国系の)来店客は多いが買うのは日本人と同じ食材。専用食材は専門店で買っていた」(同社)
外国人が多く住む地域は、その外国人の母国の食材・商材を専門に扱う店舗もできやすい。伊勢佐木町の近くには、国内最大の中華街があり、本場の食材が手に入れやすいこともある。

在住外国人300万人時代すぐそこ

とはいえ、日本に住む外国人は今後も増え続ける。法務省によると在住外国人は約264万人(18年6月時点)と5年前に比べて4割増え、日本の人口の2%強を占める。4月の改正入管法によって、介護や建設業、飲食業で働く外国人は5年間で34万5千人増える見通しだ。
さらに増加するとみられるのが留学生だ。日本学生支援機構によると、17年は16年比12%増の26万7千人で、5年前と比べるとほぼ倍増した。国別では中国人(約11万人)が最も多いが、最近はベトナム人(約6万人)とネパール人(約2万人)が急増している。
留学生などの若者は学校や働く場所が多い大都市圏に集まる傾向がある。東京都では20歳代の人口のうち、10人に1人が外国人だ。ニッセイ基礎研究所の鈴木智也研究員は「海外ではスマホ決済が進んでおり、在住外国人の消費をつかむには、キャッシュレス決済対応なども必要になるだろう」と指摘している。

1月中旬、都内の居酒屋。「履歴書、持ってきたね」「包丁は使える?」「働けない日はある?」。人事担当者は2人のネパール人のバイト採用面接をしていた。この居酒屋チェーンでは外国人の応募比率が3割近い。

都内に外国人タウン続々

日本語学校に通うブルテル・マナズさん(26)は「調理のスキルを伸ばしたい」と話す。
マナズさんのような留学生は週28時間まで働ける。人手不足感が強まるなか、留学生の求人ニーズは高まる一方だ。セントメディア(東京・新宿)が18年4月に始めた紹介サービス「ジョボティ」では現在、飲食など約100社、外国人7万人が登録している。
国籍別で目立つのはベトナム人やネパール人、ミャンマー人。同社の橋本竜平事業責任者は「以前は門前払いだった企業からも問い合わせが急増している」と話す。
日本に住む外国人が増えるといっても、各地域均等に増えるわけではない。特にアジア系を中心に顕著だが、特定のエリアに特定の国の人たちが集まる傾向にある。都内なら北区東十条にバングラデシュ人、葛飾区立石はエチオピア人、新宿区高田馬場にはミャンマー人といった具合だ。
昨年12月の忘年会シーズン。東京・池袋のある飲食店ではバイト求人の応募者40人のうち8割が外国人だった。同時期に募集した上野や神田のコンビニでも応募者の半分が外国籍だった。
人材紹介会社のプレシャスパートナーズ(東京・新宿)の高崎誠司社長は「家や日本語学校の近くなど留学生の生活圏にある店舗は人が集めやすい傾向がある」と指摘する。都内のラーメンチェーン店の経営者は「外国人がいなければ、もう新店は出せない」と明かす。
増え続ける外国人を消費者として、働き手として取り込めるかどうかが、人口減のニッポンで勝ち残る条件になる。

(ゼンフ・ミシャ、小林宏行)

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ファミマも成人向け雑誌取り扱い中止へ。セブン、ローソンなどコンビニ3社

臼田勤哉 2019年1月22日 15:28

コンビニエンスストア各社が、店舗における成人向け雑誌の取り扱いを中止している。
’18年1月には取り扱いを終了しているミニストップに続き、1月21日にはセブン-イレブンと、ローソンも2019年8月末までに成人向け雑誌の取り扱いを中止する方針を決定。さらに22日にはファミリーマートも8月末までの取り扱い中止を決めた。
セブン-イレブンは、「本部の推奨で、実際の取り扱いの判断は加盟店次第」としながらも、8月末までの取り扱い中止を決定。理由については、「かつてはセブン-イレブンの利用者は男性が多数だった。しかし、いまは家族連れや高齢者などが増えており、全ての利用者が安心して利用できるようにするため」(セブン&アイ・ホールディングス広報)と説明している。
ローソンは、沖縄県では2017年11月より成人向け雑誌の取扱いを中止しており、「利用者や加盟店の理解を得られた」としており、全国の店舗でも成人向け雑誌の取り扱いを中止を決めた。
ファミリーマートも22日に、成人向け雑誌の取り扱い中止を決定。昨年4月から直営店を中心に約2,000店舗では、取り扱いを止めていたが、2019年8月末日をもって、原則、全国のファミリーマート店舗にて、成人向け雑誌の販売を中止する。
理由については、「女性やお子さまのお客様に、安心してお買い物をしていただける店舗づくりをさらに進めるとともに、2020年のオリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博等の開催を控え訪日外国人の大幅に増加していること等を踏まえ、中止する」としている。

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