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コンビニ収納代行が拡大 公共料金や通販代金支払い
5年で3割増 現金派、若年層に根強く

2018/10/31 2:00 朝刊 [日経]

コンビニエンスストアで公共料金やネット通販の代金を支払う「収納代行」が拡大している。業界の推計では、2017年の取扱額は11兆6千億円となり、この5年間で3割弱増えた。政府や金融界が現金の要らないキャッシュレス化を進めるなか、現金派の若年層らが根強く存在する実態が浮かぶ。隠れた成長市場をめぐる事業者の動きも活発になってきた。

コンビニに備え付けの端末で44ケタのバーコードを読み取る

電気・ガス、水道、通販代金――。自宅に届く払込伝票をコンビニに持ち込み、現金で支払う人が意外と多い。日本通信販売協会の調べでは、17年に通販代金の支払い手段で最も多かったのがクレジットカードの63%で、コンビニでの現金払いは44%と続いた。
若年層を中心とした現金払いへのこだわりがコンビニ収納の市場拡大を支えている。「クレジットカードの利用を避けたがる人が目立つ」。三井住友銀行決済企画部の山岸誠司氏はいう。「カードを使いすぎないように利用額を月4万~5万円に抑えている」(20代女性)。こんな堅実な消費行動が底流にあるようだ。
収納代行の事業者にとっても大きな商機。収益源は公共サービスやネット通販の事業者が負担する手数料で、これを代行会社とコンビニで分け合う。合わせて市場の3割近くを占める電算システムとSMBCファイナンスサービスは、今期の部門売上高が過去最高を更新する見通しだ。
コンビニでの現金払いはスマートフォン(スマホ)に慣れ親しんだ若年層に使いやすいようデジタル化も進みつつある。
NECと三井住友銀が立ち上げたブリースコーポレーションは、払込票の情報を44ケタの高精細なバーコードに変える技術を開発。利用者は商品の購入時にこのサービスを選ぶと、スマホのアプリにバーコードが届き、コンビニで読み取ってもらえば現金で支払える。
画面の大きさや解像度を問わず、多少の傷や汚れがあっても読み取れるという。紙の払込票がスマホに替われば、事業者は印刷代や輸送費を節約できる。
このサービスはローソンに続き、12月からセブンイレブンでも採用され、約5万5千軒にのぼるコンビニの7割程度で使えるようになる。ブリース社の佐藤洋史社長は22年にコンビニ収納の市場で2割のシェアを握りたいと意気込む。「様子見だった事業者がスマホを使った請求へ切り替える契機にしたい」という。
NTTコムウェアの子会社もスマホの収納サービスを始めた。今年度中にファミリーマートなどでNTTドコモやソフトバンクの利用料金を支払えるようにする予定だ。
コンビニでは納税もできるため、自治体の関心は高い。総務省は4月に地方税法の施行令を改め、紙の納付書に加えてスマホなどでも納税手続きができるよう規制を緩めた。コンビニで納税できるしくみを整えている市区町村は、全国で約6割。スマホでの納税が伸びる余地はある。すでにブリース社は複数の自治体と交渉を始めた。はやりのキャッシュレスだけでなく、現金派に商機を見いだす動きも活発になっている。

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ローソン 竹増貞信社長が語るデジタル戦略、2025年に「店舗」はどうなるのか

AIによる発注業務の自動化支援やRFIDタグによる清算の自動化など、デジタルによる店舗開発に積極的なローソン。実はその根底には、人との触れ合いによる温かで安心できる店を作りたいとのヒューマンファーストの考え方がある。理想の実現に向け、ローソンはどのような青写真を描いているのか。また、そのための方策とは。「CEATEC 2018」のキーノートセッションに登壇したローソン 代表取締役 社長の竹増貞信氏が、同社のデジタル戦略とコンビニの未来像について語った。
フリーライター 岡崎勝己

“やりたい放題”のポジションにある優位性

 小売業界は今、熾烈な競争の渦中にある。長年の値下げ合戦に加え、近年ではネット通販が台頭し、買収などを通じてリアル店舗の運営にも乗り出す。
 その一方で、リアル店舗はサービス強化で迎え撃ち、逆にネット通販で収益拡大の機をうかがう。そうした中、一人勝ちを続けてきたコンビニも競争に巻き込まれ、「コンビニ神話も崩壊した」との囁きも聞かれている。
 ローソンで代表取締役 社長を務める竹増貞信氏は、「コンビニが踊り場を迎えているとの見方は否定しません。しかし、それは『我々にとっては』という意味でです」と訴える。
 その言葉の真意とは。「最後に勝ち残るのは、最も強いものでも、最も賢いものではなく、変化に最も適応できたものだ」――ダーウィンの進化論における有名な言葉だ。
 これをコンビニ業界に当てはめると、「ローソンは現時点で、残念ながら強くも賢くもありません」(竹増氏)。ただし、チャレンジ精神にはあふれていると意気込む。
「リーダーが失敗すると、業界の先行きが危ぶまれます。ゆえにリーダーは判断に慎重になってしまいがちです。しかし当社であれば、たとえうまくいなかくても、期待がそれほど高くないこともあり、『次はがんばれ』と激励を受けることがほとんどです。これは、追う立場だからからこその強みであり、特に先行きが不透明なコンビニ業態での業界3位は、“やりたい放題”に挑戦できる絶好の立ち位置だと言えるのです」(竹増氏)

リアル店舗の価値向上の“核”は人の温かみ

 現在、ローソンはリアル店舗とネット通販の2つの顔を併せ持つ。今後、後者が伸びるのは時代の趨勢だが、リアル店舗はどうか。
 竹増氏は、「ローソンの店舗数は約1万4000店舗。競争に勝ち抜く条件となるのは、それらすべてでリアルならではの価値を高めていくことです」と強調する。
 目指すのは、デジタルで人同士のつながりを強めた、より大きな温かみと安心を顧客に与えるサービスだ。たとえば、体調を調べるために店舗に寄ると、店員が嗜好に合った店内調理のサラダを紹介する。テレビ電話で医師の体調チェックを受けた後は、体調に応じた薬やサプリメントも受け取れる。それらの代金は顔認証技術などで個人を特定し、口座から自動的に引き落とされる。
ローソンのサービス向上策の根底にあるのは温かみのある接客。数あるデジタルの仕掛けも、そのために整備される
 そこには、「ITだけに頼り、人とのつながりが薄れてしまっては、消費者の生活が無味乾燥になりかねない」との危惧があるという。
「このうち最も大事にしたいのが人の触れ合いです。心の通う交流こそ店舗の本当の存在価値と私は考えます。確かに、昔ながらの接客は労力的に難しい面もあります。だからこそ、店員を支援するためにITをフル活用するわけです」(竹増氏)
 竹増氏がコンビニに初めて触れたのは、1975年にローソン1号店が大阪府豊中市に開店して間もなくのころである。当初は「治安が悪くなる」「ポイ捨てが増える」との声が少なからずあったという。そうした逆風の中で、ローソンは24時間営業やコピー機、収納代行、マルチメディア端末の「Roppi」など、消費者の要望を踏まえてサービスを拡充。その利便性の高さから、阪神淡路大震災などのライフラインとしても機能することで、コンビニは街のインフラの1つに位置づけられるまでになった。

地方の減少人口の中でプラットフォームを目指す

 一方で、消費者のコンビニに対する意識も変わってきた。竹増氏がそのことに気づいたのは、中学生の息子との会話がきっかけだ。あるとき、わざわざ遠方のコンビニまで出かける理由を尋ねたところ、帰ってきた応えが「なじみの店員さんが声をかけてくれるから」。
「私の息子ですから、年齢的にコンビニネイティブです。そんな若者でも、人との触れ合いがコンビニを選ぶ決め手となっている。そのことに驚くとともに、彼らにとってコンビニは、我々が慣れ親しんだ商店街と何ら変わらないことを実感させられたのです」(竹増氏)
 そんなローソンの機能面での目標が「生活のプラットフォーム」になることだ。
 人口減少やコンパクト・シティの流れを背景に、地方の都市周辺エリアでは今後、各種施設の存続が難しくなると予想されている。維持に必要な人口は、銀行で6500~9500人、一般病院で7500~2万7500人、喫茶店でも2500~7500人とされる。では、ローソンはどうかといえば、竹増氏によると2000人の商圏でも存続が可能。言い換えれば、ローソンは最後まで機能を維持できる業態の1つといえる。
喫茶店を維持するために必要な商圏あたりの人口は2500人。ローソンはそれより500人少ない2000でも店舗を維持できる。
「その特性を生かし、今年10月に営業を開始したローソン銀行だけでなく、検討中の遠隔診療、学習塾といったサービスを付加することで、単なる便利なお店から、生活に欠かせない存在への脱却を目指しています」(竹増氏)
 そこでは店舗が高齢者の暮らしをサポートし、地域のコミュニティの核となって地域を見守り、暖かなコミュニケーションを実現する。ローソンのデジタル活用の本質は、そのための「人手不足」と「ライフスタイルの変化」への対応であり、根底あるのが、顧客や地域社会、さらに従業員のすべてが心身共に健康であってほしいという「“ヒューマンファースト”の理念」(竹増氏)なのである。

パートナーと二人三脚でゲームチェンジャーになる!

 ローソンのデジタル化を振り返れば、販売に関わるオペレーションを優先してきた経緯があるという。現在も自動釣り銭機能付きの新POSレジへの入れ替えや、時間を要す発注業務のAIによる自動化を進めている最中だ。ただし、すでに述べた理由から、「今後は人がやる必要のない作業のデジタル化にも注力します」と竹増氏。
「品出しや調理、清掃が、デジタル化の発想が抜け落ちていた代表格です。特に清掃はそれが顕著で、床拭きはかなりの重労働。女性や高齢者に心地よく活躍してもらうためにも、それらの見直しは当然です」(竹増氏)
 決意は生半可ではなさそうだ。そのことは、「なぜ掃除を前提にしているのでしょう。掃除しなくても良くはならないのでしょうか」との問いかけからも感じ取れる。
 もちろん、店舗サービスでの応用も視野に入っている。ライフサイクルの変化に対応するため、注文した商品を希望の店舗で受け取ったり、コンビニを冷蔵庫代わりに使ってもらったり、デバイスの性能を高めて店内調理の質を高めたりなど、デジタル活用の隠し玉はまだいくつもありそうだ。
 その実現に向けローソンは現在、パートナーの発掘に注力しているという。「その機能の多さから、当社単独では生活プラットフォームを確立するのは到底困難です」と竹増氏は断言する。そこでの協力の仕方はいくつもあるという。ローソンは「ナチュラルローソン」「成城石井」「HMV」「ユナイテッドシネマ」など、多様なブランドを展開する。パートナーは協力先をそれらから選んでもいいし、エリアなどで絞ってもいい。こうした自由度に加え、それらの実店舗をデジタル化の実証実験に使えることもパートナーにとってのメリットだ。
 ローソンは2017年、次世代店舗の研究施設である「オープン・イノベーションセンター」を開設。企業に門戸を広く開き、多様な相談に乗っている。
 竹増氏は、最後にこう訴える。
「ぜひとも我々と共にゲームチェンジャーになってほしい。我々の思いに賛同してもらえるのなら、店舗からデジタルも含めた仕組み、ロジスティックまでを広く公開します。加えて、業界でも随一の挑戦する社風も、必ずや役立つはずなのです」(竹増氏)

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和製無人コンビニ実験開始 商品手に取るだけで買い物

2018/11/7 日経クロストレンド

カメラ解析人工知能(AI)スタートアップのVAAK(東京・港)は2018年10月、書店やコンビニエンスストアなどの協力の下、レジなし店舗の実証実験を開始した。同社は映像解析技術とディープラーニングを活用した無人店舗構築サービス「VAAKPAY」の開発を進めている。実証実験を経てアルゴリズムなどに改善を加えた後、19年春の本格展開を目指す。
VAAKは防犯カメラの映像から不審な人の行動をデータ化して、事前に万引きを察知する万引き防止のためのソリューション開発を目指して設立された。ソフトバンクグループ子会社で、ディープラーニングを活用した起業家を支援するディープコアが出資する一社だ。
防犯カメラの映像から顧客行動と不審者の行動、そして過去の犯人が取った万引きと相関性の高い行動などを学習データとして、ディープラーニングや機械学習を組み合わせてAIに学ばせる。約10店舗に実験的にカメラを設置して実証実験を進めており、これまで、2万件以上の動画を学習させているという。「万引きを起こしやすい店舗、箇所を徹底的に分析する」(VAAK代表取締役の田中遼氏)
学習によりバッグやポケットに商品を入れる、店内できょろきょろするといった不審行動をAIが検知したときに、「万引き防止の見回り強化中」といった音声を店内に流したり、事前に予測して私服保安警備員(万引きGメン)を配置したりすることで、万引きを防ぐ。

センサー不要でレジなし店を実現

映像解析技術とディープラーニングでレジなし店舗を実現する「VAAKPAY」
この万引き防止のソリューションの開発で培った技術を応用して、18年4月から開発を始めたのがVAAKPAYだ。VAAKPAYはスマートフォンで利用できる決済アプリ。導入店舗には、アプリに表示したQRコードを店内のカメラに読み込ませて入店する。これにより入店者を把握する。入店後は商品を手に取るだけで、自動的にアプリ上のカートにその商品が追加される。そのまま店を出れば、アプリに登録済みのクレジットカードで決済が完了する。
まさしく、米アマゾン・ドット・コムの無人店舗「Amazon Go」と同等のサービスを実現するための決済サービスである。万引きにつながる不審行動を検知する代わりに、どの棚の商品を取ったかを検知することに防犯カメラの映像解析技術を使ったわけだ。既存のカメラの動画と映像解析技術のみを組み合わせるため、専用のセンサーなどを用意しなくても導入できるのも特徴と言えよう。
VAAKは、このVAAKPAYの本格展開に向けた実証実験をコンビニや書店と始める。実験は特定のビルの入館証を持つ従業員だけが入店できるなど、利用が限定的な店舗で実施する。利用者が限定されるため、意図的な不正によって盗難されるといったリスクを抑えられるという。既存の映像解析技術だけでは商品を手に取ったことは分かるものの、それが具体的にどの商品かまでは分からない。そこで、最初の1週間は退店時にバーコードを読み取ってもらう。この商品データと、動画で解析する行動データを掛け合わせることで、誰がどの商品を取ったかをAIが把握できるようにする。
VAAKPAYを利用すると、商品を持って店を出るだけでアプリに登録したクレジットカードで決済が完了する
「多い店舗では1週間で1000人が来店すると想定している。1商品当たり10人分の購買データが集まればそれなりの精度で解析可能になるはずだ」と田中氏は言う。
VAAKの自社内に設置しているデモスペースでは、既に高い精度でどの商品を手に取ったかを把握して、自動的にアプリ上でカートに入れられるようになっている。
VAAKPAYはコンビニや小型のドラッグストアなどでの活用を想定している。「特に深夜帯のコンビニの無人化のニーズが高い」(田中氏)。ただ、棚の商品を入れ替える場合、新商品の学習データが必要になる。そのため、なるべく商品の入れ替わりが少ない店舗から導入を進めていく。決済方法は、携帯電話の利用料金と共に支払えるキャリア決済など、複数の手段に対応していく方針だ。
今後はデジタルサイネージなどと連係したマーケティングサービスの開発にも取り組む。「来店者のうち計画購買をするのはわずか2割。その他の8割は来店してから、店頭で気になったり、商品を見て思い出したりして購入する非計画購買といわれる」(田中氏)。そこで、店内の行動とVAAKPAYの購買データを組み合わせて解析して、デジタルサイネージにお薦め商品を表示するなど、リアルタイムなマーケティング施策に活用できる仕組みの実現を目指す。
(日経クロストレンド 中村勇介)

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コンビニ全店で2%分ポイント還元…経産省打診

スマートフォンとQRコードを使った決済サービス(8月、東京都世田谷区で)
 2019年10月の消費税率10%への引き上げに伴う消費下支え策として、現金を使わないキャッシュレス決済を利用した消費者への2%分のポイント還元を巡り、経済産業省がコンビニ業界に、原則として全店を対象とする案を打診したことが分かった。フランチャイズ(FC)加盟店は中小企業の扱いと同じく還元分を国が補助し、直営店はコンビニ本社に負担してもらう仕組みとする。
 経産省は、中小の小売店などでクレジットカードやQRコードなどで決済をした消費者に、増税分と同じ2%のポイントをカード会社などを通じて付与する制度を検討している。対象は、小売店や飲食店、宿泊業など、消費者向けビジネスを展開する全ての中小事業者に広げる方向だ。

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セブン 団地住民高齢化、新たな市場に

都内初の移動販売 ニーズ、過疎地だけにあらず
2018/11/10 2:00 朝刊 [日経]

コンビニエンスストア各社の移動販売が、人口の多い都市部にも広がりを見せている。セブン―イレブン・ジャパンは10月、東京都内で初めて移動販売を始めた。近くに小売店がなく、日常の買い物に不便を感じる「買い物弱者」支援として過疎地を中心に始まった移動販売。都市部も住民の高齢化が進む団地などが新たなマーケットとなりつつある。
光が丘団地への移動販売では弁当など約150種類の商品をそろえた
「3年前に近所のスーパーが閉店してから一人では買い物に行けなかった」。セブンイレブンの移動販売でパンや飲料を購入した92歳の女性はこう話す。ヘルパーの付き添いで週2回、徒歩で10分離れた駅前のスーパーまで買い物に行っていた。これからは「一人で買い物ができる」と笑顔を見せる。
セブンイレブンが10月25日から移動販売を始めたのは、練馬区の光が丘団地。軽トラックに弁当やサンドイッチ、おにぎりなど常温や冷蔵・冷凍の約150種類の商品をそろえた。最寄りの店舗が運営し、毎週火曜日と金曜日の週2日、出張販売する。
コンビニ各社の移動販売は2011年の東日本大震災後に始まった。セブンイレブンは現在、34都道府県で77台の移動販売車を走らせ、19年2月までに100台超の運用を目指す。ローソンは39都道府県で112台を展開、ファミリーマートも全国で18台の移動販売車が稼働している。
各社が移動販売を展開する地域は店舗まで遠く、高齢者の住民が多い地方の過疎地が多い。買い物のニーズはあるが、人口や立地などの条件を満たさないため、出店できない場所へ出向いていく。地震や台風などの災害時には、被災者の買い物支援としても活躍する。
だが日ごろの買い物に不便を感じる「買い物弱者」は、被災地や過疎地に限らない。首都圏では1960~80年代ごろに建設され、現在は住民の高齢化に直面する団地も多い。
その一つがセブンイレブンが都内で初めて移動販売を展開する練馬区の光が丘7丁目地区。ここでは65歳以上の高齢者比率は32%と全国平均より5ポイント程度高い。最寄りのコンビニやスーパーまでは徒歩で10分程度。決して遠くはないが、近くもない。そんな場所にも移動販売のニーズがある。
高齢者は、自宅まで商品を届けてくれるインターネット通販に不慣れな人が多い。コンビニ各社の手掛ける移動販売は、高齢者を見守る役割も期待されている。高齢化した住民を抱える都市近郊の団地は、出店余地にも限りのあるコンビニにとって新たな市場となる可能性を持っている。
(今井拓也)

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コンビニ 成長続くの?

銀行や行政関連、役割増やす
ニッキィの大疑問
2018/11/12 15:30 夕刊 [日経]

日常生活で何かと利用しているコンビニエンスストア。お店の数は増え続けている感じだし、銀行を始めたコンビニもあるわ。でもお店同士の競争は大変そうだし、この勢い、いつまで続くの?
コンビニ業界の将来について、村上優希さん(26)と藤本美由紀さん(46)が田中陽編集委員に話を聞いた。
 またコンビニが銀行をつくったそうですね。
ローソンが10月15日、ローソン銀行を開業しました。コンビニが運営する銀行としては、2001年に開業したセブン銀行に続くものです。
コンビニ銀行の登場は不思議なことではありません。1980年代後半、それまで東京電力が金融機関に任せていた電気料金の収納を、セブン―イレブン・ジャパンに依頼しました。セブンは領収書にバーコードを印刷するよう提案し、レジで簡単に処理できるようにしました。収納代行はガスや水道などにも広がり、やがて店でお金を「払う」だけでなく「引き出せる」ようにしようと、銀行を設立したのです。
一方でメガバンクなどは支店を次々と閉鎖し、ATMもじわじわ減っています。その代わりをコンビニが担ったのです。大手銀のATMが現在2万台程度なのに対し、コンビニATMは6万台近くにまで増えています。銀行が消費者から遠ざかり、その需要をコンビニが拾い上げたともいえます。コンビニの社会的な地位も高まりました。

まだコンビニの店舗数は増えているの?

店舗数はほぼ一貫して増えていて、現在は全国に約5万5千店あります。しかも11年以降、伸びが大きくなっています。同年の東日本大震災の際に物資の供給などでコンビニが再評価され、社会インフラとして改めて認められたのです。日本の居住可能な土地で平均すると、500メートル以内に必ずコンビニがあるといわれていて、高齢者らでも歩いて行ける最も身近な拠点といえます。

コンビニを脅かすライバルはいないの?

コンビニが脅威と見ているのはドラッグストアでしょう。利幅が大きい化粧品を扱う一方、弁当の廃棄ロスのような負担がないぶん、加工食品や飲料をコンビニよりも安く販売できるからです。一方で米アマゾン・ドット・コムなどのインターネット通販とはあまり競合せず、荷物の受け取りなどでうまく共存するのではないでしょうか。
そのアマゾンが米国で運営するレジなしの無人店舗「アマゾン・ゴー」が注目されています。センサーや人工知能(AI)で客が購入した商品を検知し、スマートフォンで決済する仕組みです。日本でもローソンやファミリーマートが研究を進めています。こうした無人コンビニは初めは話題を集めるでしょうが、一般的になってしまえば、最後はやはり商品力やサービス力の勝負になるはずです。

コンビニの成長もそろそろ限界なのでは?

日本の小売業の売上高は約142兆円で、このうちコンビニは約11兆5千億円です。小売業では売上高12兆~13兆円がひとつの壁とされ、スーパーや百貨店はこの壁を超えられませんでした。恐らくコンビニはこの壁を突き破るのではないでしょうか。
ひとつには、一部の医薬品、酒類など販売の規制緩和の動きにもうまく対応しながら、取扱商品を増やして成長を続けているからです。バーコードの導入で収納代行を取り込んだように、小売業のイノベーションを生む力があります。もう一つには、書店やクリーニング店、行政といった地域の拠点が減っていく中で、コンビニがその代役になると期待されるからです。
コンビニの飽和論はもう20年ほど前から聞かれますが、今も成長が続いています。優れた情報システムを構築し、世の中のプラットフォームになったといえます。出店先も例えば西日本はまだ余裕があり、オフィス街や病院といった空白地帯もあります。高齢者向けの商品を充実させるなど、消費者のニーズの変化に対応できれば成長できる余地は十分にあるでしょう。

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人員確保、コンビニも苦戦

2018/11/10 2:00 朝刊 [日経]

FC展開する企業では、コンビニエンスストアもオーナーの高齢化や担い手確保に苦戦している。日経MJがまとめた17年度のコンビニ調査では、「出店計画以上にオーナー希望者がいる」とした企業はなかった。
ローソンでは複数店舗を経営するオーナーの割合が2017年度末に42.3%となり、5年で約10ポイント上昇した。既存のオーナーが廃業店舗を引き継ぐ例が増えている。19年春の新卒を対象に、入社1年以内にオーナーとして独立することを前提にした採用を始めている。
居酒屋チェーンでは身売りする企業もある。1973年に創業し、FCを中心に居酒屋チェーンを展開してきたつぼ八は今年11月末、酒販大手やまやの傘下に入る。つぼ八の2018年3月期の売上高は75億円。この10年間で4割減収と苦戦が続いてきた。
日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)によると、17年度のFC総店舗数は16年度比0.1%増の26万3490店。高齢化などの問題はあらゆる業態のFCにかかわり、今後の経営を左右する要因になっている。
(川名如広、江口良輔)

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バイト時給1000円超え 小売り・外食に重圧

レジや配膳、効率化急ぐ
2018/11/16 2:00 朝刊 [日経]

パート・アルバイト職の時給高騰が続いている。リクルートジョブズが15日発表した10月の三大都市圏の平均時給は前年同月比2.6%増の1047円と過去最高を更新した。慢性的な人手不足と10月の最低賃金改定を反映した。パート・バイトへの依存が強い小売りや外食産業では対応を急ぐが、自動化など生産性の向上が不可欠だ。「時給1000円」を前提に戦略を描けなければ生き残れない時代になってきた。
「まるで異次元」
「この1~2年で2割は上がった。まるで異次元だ」。浜松市郊外の大手コンビニエンスストアチェーンの店主は嘆く。人手不足に加え、昨年9月に会員制の卸売り大手コストコ・ホールセールが近隣に出店しバイト代が高騰している。
コストコは倉庫のような大型店舗で商品を大量に陳列する効率経営で知られる。1店舗で400~500人規模を雇い、時給は全国一律で1250円から。一定期間働けば自動昇給し、手厚い福利厚生や正社員への転換の機会も多い。近くの飲食店店主は「あの待遇にはかなわない。うちからも人が流れた」と話す。
パート・バイトの時給上昇は各地で加速している。リクルートジョブズによると平均時給は10月まで前年比で64カ月連続で上昇し、昨春以降は1000円超が定着した。
特に10月は各都道府県が定める最低賃金が全国平均で26円増と過去最大の引き上げ幅を記録した。販売職は3.0%増の1011円、ファストフード店は3.7%増の989円になるなど、もともと最低賃金に近い低めの時給が多い小売りや外食で上昇が目立った。
パーソルキャリアが全国を対象にした調査でも、「建築・土木」や「運輸」で10月の平均時給が1200円前後に達した。コンビニ店員(934円)や飲食店員(1002円)も含め全体の平均は1046円だった。
パートやバイトは同じ事業所の正社員と比べて1週間の所定労働時間が短い労働者を指し、総務省の労働力調査によると人数は全国に約1500万人。2000年ごろまで増えてきたがここ数年は伸び悩む。少子化の影響で15~24歳の若年層の割合が減り、65歳以上が2割弱に増えている。

家電を割引販売

就業者の2割を占めるパート・バイトの賃金上昇は、働く人々の生活水準向上や消費底上げなどプラスの側面が大きい。一方、企業や事業者は必要な人材を確保するためのコスト増を迫られる。自動化などを通じ生産性を高めなければ1000円を超す時給が常態化する時代を生き残れない。
吉野家ホールディングスは18年3~8月期連結決算で最終損益が8億5000万円の赤字(前年同期は13億円弱の黒字)になった。売上高は過去最高水準だったが、人件費が想定以上に膨らんだ。「未曽有の人手不足」(河村泰貴社長)への対策として、配膳などをセルフ式にして効率を高める新型店舗を来期から年100店ずつ増やしていく計画だ。
ファミリーマートは全国の従業員を対象に家電を割引販売して人材を確保する一方、業務の効率化を進める。商品の検品作業を廃止したほか商品を並べやすい陳列棚を導入。省力化で1店舗1日あたりの作業時間を最大3.5時間減らす効果を見込む。効率化へ向け、19年2月期の既存店の投資額を600億円超に倍増する。イオンもセルフレジの導入など自動化投資を拡大する。
企業は時給水準だけでなく、処遇や採用など柔軟な対応も求められる。
求人サイト運営のディップは、顧客企業の従業員が給料日を待たず実労働に応じて給与の一部を「日払い」で受け取れるサービスを提供する。10月にジャパンネット銀行と提携し、24時間365日の即時払いに対応した。
米国ではアマゾン・ドット・コムが11月、最低賃金を時給15ドル(約1700円)に引き上げた。10~11ドルの水準だった従来の賃金への批判を受けた措置だが、競争力が高く資金余力の大きい企業が雇用を集める構図が鮮明になる。
政府は外国人労働者の受け入れ拡大を進めているが、不足する人材のすべてを賄えるわけではない。パートやバイトに依存する小売りや外食産業でも賃金上昇への対応が優勝劣敗を分ける。一段の生産性の向上が待ったなしだ。

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コンビニ客単価43カ月ぶり減 10月、たばこ増税響く

2018/11/20 16:39

日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が20日発表した10月のコンビニエンスストア既存店(大手7社)の客単価は、前年同月を2.0%下回った。マイナスは43カ月ぶり。増税で値上がりしたたばこの購入を控える人が増えたため。
大手3社の既存店売上高はそろってマイナスとなった
客単価は602円で12円下がった。たばこ増税前の駆け込み消費で9月は623円と40円弱(6.3%)伸びていた。客単価がマイナスとなったのは消費増税前の駆け込み消費の反動減となった2015年3月以来。
客数は0.5%伸びて、2カ月ぶりにプラスに転じた。前年に台風や大雨などの悪天候で客数が落ち込んだ影響が一巡した。既存店売上高は1.5%減の8193億円だった。マイナスは5カ月ぶりとなる。客単価の減少を客数の伸びで補えなかった。
大手3社の既存店売上高はそろってマイナスとなった。セブン―イレブン・ジャパンは0.7%減となり、11カ月ぶりのマイナス。たばこの買い控えが売上高を3%弱押し下げる要因になったという。客単価も43カ月ぶりにマイナスとなった。ファミリーマートとローソンは3カ月ぶりに既存店売上高が前年同月を下回った。

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セブンが植物工場 サラダ7万食分のレタス安定調達

2018/11/20 18:00 [日経]

セブン―イレブン・ジャパンは東京都と神奈川県の店舗で販売するサラダやサンドイッチ向けに、大規模な植物工場を設ける。発光ダイオード(LED)を使って1日でサラダ7万食に相当するレタスを生産する能力を持ち、天候で仕入れ価格や品質が変動するリスクを抑える。流通大手による大量調達は植物工場の経営安定にもつながり、拡大を後押ししそうだ。

セブン専用の植物工場は同社向けの弁当などを製造するプリマハム傘下のプライムデリカ(相模原市)が、食品工場の敷地内に約60億円を投じて建設。2019年1月の稼働を見込み、隣接する食品工場でサラダなどに加工して神奈川県内や東京都の一部、約1500店のセブン店舗に供給する。
植物工場で生産したレタスを使ってサラダなどを製造する(都内のセブンイレブン)
生産能力はレタス1日3トン規模で、ホウレンソウなどの生産も検討する。セブンは今後、全国各地の主要な取引先工場でも植物工場の併設を進める考え。
セブン向けに弁当などを製造する工場は契約農家などから野菜を仕入れているが、大雨といった天候不順で価格が2倍に急騰することもある。植物工場の生産コストは農家からの通常の仕入れと比べ割高だが、天候に関係無く価格や品質が安定する。食材として使えない部分の廃棄も減り、平均するとサラダなど商品の製造コストは下がるとみている。
植物工場は遊休地などの活用策としても注目され、参入も相次ぐ。今月からもともと農地だった場所を植物工場にした場合は、引き続き農地として税制上の優遇を受けられることになった。ただ工場などを転用した場合、土地にかかる固定資産税の負担が重いままといった課題がある。
セブンは植物工場での生産からのサラダなどの商品までを一貫して手掛け、規模の効果や価格などが安定するメリットを確保する。大手コンビニではローソンも農業生産法人を通じて植物工場を運営し、サラダ用のベビーリーフを調達している。

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第二次コンビニコーヒー戦争”勃発!? 各社の最新動向をチェック

笹木 理恵2018.11.26

コンビニコーヒー導入から5年。各社の次なる一手は?

街の至る所で手軽に買えるコンビニコーヒー
2012年頃から、コンビニが相次いでレジ横にコーヒーマシンを導入し、「コンビニコーヒー戦争」とも呼ばれる時代に突入。100円で買えるコーヒーは、我々のライフスタイルに着実に浸透してきた。
それから5年あまり経った現在、コンビニ業界では、次世代のマシンに切り替えたり、コーヒーの味をリニューアルしたりと、「第二次コーヒー戦争」ともいえる熱いバトルが繰り広げられているようだ。
独自路線のローソン。抽出時間の短縮で、業界に激震
ローソンの「マチカフェ」ブランドは、ロゴもおしゃれ
大手コンビニのなかでは、唯一、セルフサービスではなく店員が手渡しするスタイルをとっているローソン。第二次コーヒー戦争の幕開けは、2018年2月にローソンが導入した新型マシン「メリタ カフィーナXT6」によるものかもしれない。
従来から、エスプレッソ式マシンを使用してきたローソンの新型マシンは、抽出時間が大幅に短縮。ホットコーヒー(S)の抽出時間を約40秒から約25秒に、カフェラテ(M)の抽出時間を約29秒から約20秒に短縮し、これまで課題と言われていた、お客の待ち時間の軽減につながっている。
コーヒーの知識が少しある人ならおわかりであろうが、コーヒーの抽出には「蒸らし」の工程が不可欠であり、ここを短縮してしまうと、味の薄いコーヒーになってしまう。その点を踏まえて提供時間の短縮を短縮しつつ味わいも追及しており、大きな注目を集めている。さらにこの11月には、豆の比率をリニューアル。ローソンでは2015年より、産地・農園指定の豆を100%使用している。今回はブラジル・イパネマ農園の熟成豆など産地の異なる5品種をアフターミックスと呼ばれる手法でブレンドし、より深い味わいを実現。

11月20日に発売されたほうじ茶ラテ
また、ローソンはコーヒー以外のメニューにも注力している。カフェインレスコーヒーのホット・アイス・ラテのバリエーションを常備するだけでなく、紅茶、抹茶やほうじ茶のラテ、フルーツティーなど、季節ごとに様々なドリンクを用意。女性ファンが多いというのも納得だ。
セブン‐イレブンは、従来のドリップ式マシンを進化!
2017年よりホットカフェラテが加わったものの、コーヒーのみのシンプルなメニュー展開
はまだまだ続きそうだ。
コンビニ最大手のセブン‐イレブン。コーヒーマシンの導入においては後発と言われながら、2013年9月に全店導入を完了すると、その勢いは増すばかりだ。
コンビニのコーヒーマシンには、ドリップ式とエスプレッソ式の2つが主流となっているが、セブン‐イレブンでは、当初より「日本人好みの美味しいコーヒー」の提供に重点を置き、ドリップ式を採用してきた。
タッチパネル式モニターを採用した新型マシン。ホットとアイスの区別や、カップのサイズをセンサーで自動検知できる優れもの。エスプレッソ式に比べると、メニューバリエーションが限られることが弱点とされるドリップ式。ホットのカフェラテがセブン‐イレブンで飲めるようになったのは2017年2月と比較的最近のことだが、そこから怒涛の快進撃を見せる。
2018年3月には、看板商品であるドリップコーヒーの味を大幅刷新し、現代のお客に好まれるより深い味わいに一新。そして11月には、早くも「カフェラテ(ホット・アイス)」もリニューアルした。ミルクにこだわり原料や抽出を見直し、きめ細かい泡立ちのカフェラテに仕上がっている。
その上、マシンについても、3代目となる新型マシンの導入を予定。これによりお客の操作ミスをなくしたり、抽出時間の軽減も可能になるという。

ファミリーマートは、エスプレッソ式からドリップ式に大幅転換!
ファミリーマートでは、2018年10月より、新型マシンを導入。これまでローソンと同じエスプレッソ式を採用していたが、今回のリニューアルでドリップ式に変換している点が注目だ。
ファミリーマートの新型マシンの売りは、大きく3つある。1つ目は、ドリップ式により、すっきりとした後味のコーヒーを提供できること。より昨今の消費者の嗜好に合うようになった。
2つ目は、従来のマシンよりもきめの細かいフォームドミルクを作れるようになったこと。女性に人気のカフェラテがよりふわふわとした口あたりになった。
そして三つ目は、同じ価格で「濃いめ」が選べたり、人気の「スペシャルティコーヒー」も低価格で買えるなど、メニューバリエーションがさらに増えたことだ。
また、今回のリニューアルで、コーヒーカップのデザインも刷新。西海岸を思わせる、おしゃれなカップになった。ちなみに、スペシャルティコーヒーの紙カップだけ、ちょっと高価なカップを使っている。確かに手触りが違うので、気になる方は試してみてもらいたい。
これからどんどん進化するコンビニコーヒー
100円なら気軽に買える、という魅力もあいまって、ますます我々の日常に浸透してきたコンビニコーヒー。単に安いから、というだけでなく、味の部分でも満足して購入する人も増えているのではないだろうか。
新たなライフスタイルを生み出すほど、我々の生活に影響力を持っているという面でも、コンビニコーヒーの進化はまだまだ続きそうだ。

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脱レジ袋、コンビニ「改心」

環境省の有料化方針に前向き 高まる環境意識、背中押す
真相深層 2018/11/28 2:00 朝刊 [日経]

環境省はスーパーなどで配布されるレジ袋について有料化を義務付ける方針だ。使い捨てプラスチックごみによる世界的な海洋汚染の問題で対策を迫られた。有料化は2005年にも導入の機運を目指したが、コンビニエンスストア業界などの反発で断念した。今回は環境汚染の深刻化と消費者意識の変化からコンビニの牙城を崩せそうだ。
10月19日の中央環境審議会の専門委員会。環境省は使い捨てプラスチック削減戦略として排出量を2030年までに25%減らす目標を掲げ、レジ袋の無料配布を禁じる案も初めて示した。
「野心的な目標だ」「まず取り組んでみることが肝心だ」。大学教授や自治体関係者ら15人の委員から反対はなかった。廃プラによる海洋汚染問題の関心は高まる。米スターバックスはストロー廃止を打ち出した。日本でもすかいらーくホールディングス(HD)などが対策を表明した。
増え続ける廃プラの削減に向け、同省がレジ袋を有料化する方針を打ち出すのは2度目。05年の容器包装リサイクル法の改正時だ。しかしコンビニ業界は猛反発。日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)は「コンビニでは来店客に買い物袋の持参を求めるのは困難だ」として反対の文書を国に提出した。
それから13年が経過し、状況は変わった。投資家や消費者は企業の環境への取り組みに厳しい視線を注ぐ。タイ沖に打ち上げられたクジラの胃から計80枚のレジ袋などが見つかったニュースは衝撃を与えた。
微細なマイクロプラスチックも深刻だ。東京農工大学の高田秀重教授は「レジ袋のような薄いものほどマイクロプラスチックになりやすい」と強調する。有害物質が付着しやすく、魚を食べた野生生物や人間に悪影響が出る恐れもある。
こうした中、コンビニ業界も姿勢を改めつつある。同協会の伊藤広幸専務理事は「海洋汚染の問題ではレジ袋が1つの象徴。コンビニ業界が(環境対策に)後ろ向きと見られかねない」と危機感を示す。コンビニはレジ袋だけでなく弁当容器やコーヒーカップなど多くの使い捨てプラを扱う。衛生上、使わざるを得ないが、ビジネスモデル自体が使い捨てプラに依存している。
消費者の意識も変わり始めた。同協会の調査では有料化について賛成が58%となり、前回15年の37%に比べて上がった。「有料化になれば店舗運営で難しい問題はあるが、反対する理由はない」(伊藤専務理事)

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スーパーが先行

セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂ではレジ袋を1枚2円とするなどスーパー業界は有料化し始めた。有料化に反対してきたコンビニ業界も白旗を揚げたことで導入は時間の問題だ。スーパーでは有料化でレジ袋の辞退率が8割を超える。コンビニでも広がれば使用量が減り、海洋汚染防止に一定の効果が期待される。
レジ袋の総量は30万~40万トン程度とされ、使い捨てプラごみ総量の5%程度を占める。それでも環境省が導入を急ぐのは中国が17年末から廃プラを輸入禁止したからだ。
日本がプラごみを年80万~90万トン輸出していた中国が環境汚染を理由に輸入を停止。同省の調査では廃プラを保管する102の自治体で24.8%が保管量が増え、5自治体は上限を超えた。「有料化に踏み切れるのは今を逃せばもうない」(環境省幹部)。捲土(けんど)重来を期す。
それでも日本は世界から遅れている状況だ。イタリアやスペインは11年、英国は13年に有料化し米国でも10年から州単位で規制が進む。韓国は18年末から使用を禁止し、中国も生分解性の素材以外は認めてない。
今年6月の主要7カ国(G7)首脳会議で削減目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」に署名しなかった。使い捨プラの使用量が米国に次ぎ世界2位の日本に厳しい視線が注がれた。
日本は来年のG20で議長国を務める。原田義昭環境相は「世界の環境政策をリードしていく」と語る。
(安倍大資)

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