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所有地に無断駐車、賠償請求はできる 920万円判決も

弁護士 志賀剛一
2018/9/27 5:40
Q:コンビニエンスストアの経営者です。当店の駐車場に毎日のように同じ車が長時間止められています。当然、店の客ではなく、たまに止められていないときもあるので車庫代わりに使っているのではないかと思います。当店では「20分以上お車から離れて駐車されている場合には1万円申し受けます」という看板を掲示しており、実際に請求したいのですが可能でしょうか。警察にも相談すべきでしょうか。

民法上の不法行為が成立

店舗、月決め駐車場、マンションの敷地内などなど、迷惑な無断駐車があちこちで問題になっていますね。コンビニの場合、そこで買い物をする客のためにスペースを空けているわけですから、駐車スペースが無断駐車で埋まって満車になっていれば他の客が入れず、店側は売り上げの機会を喪失することになります。コンビニの駐車場は広く一般の車両が無料で駐車することを許容する公共の場所ではなく、店の経営者が所有(もしくは管理)する土地をコンビニ利用者のために駐車スペースとして提供しているにすぎません。
「無断駐車は罰金1万円申し受けます」「無断駐車は警察に通報します」など、コンビニや月決め駐車場などでしばしば見かける看板ですが、どの程度の法的効力があるのでしょうか。あなたの店では「罰金」という言い方はしていないようですが、罰金とは一定金額を国庫に納付させる刑罰の一種で、一般の私人が他人に罰金を科す権利はありません。
このため、罰金という言い方は不正確になりますが、無断駐車は他人の土地を勝手に占有する行為なので民法上の不法行為が成立します。したがって、無断駐車をした人は駐車場の所有者や管理者(以下「オーナー」)が被った損害を賠償する責任があります。ただし、その金額をオーナーが任意に設定してよいのかというのが次なる問題です。

実損に相当する金額の請求は可能

この点、双方の当事者が合意する契約であれば、損害賠償の額を事前に予定しておくことが民法で認められています。一般的に「違約金」と呼ばれているもので、違約金とは呼んで字のごとく「約束」に違反することです。無断駐車をした者とオーナーとの間に約束事、つまり契約があれば損害賠償の予定は適用されますが、無断駐車をした者とオーナーとの間に意思の合致はありません。
「看板で罰金が掲示してあるのを見たうえで駐車したのではないか」との反論もありそうですが、それだけでは意思の合致があったとはいえないのです。では、まったく金銭請求ができないかというとそんなことはなく、少なくとも実損に相当する金額の請求は可能です。これは後述します。
また、「無断駐車は警察に通報します」の看板の内容はどうでしょうか。もちろん、オーナーが警察に届けることは可能です。しかし、公道の違法駐車の場合には警察に連絡をすれば駐車違反として処理をお願いすることもできるのですが、私有地や駐車場として使用されている土地の場合、道路交通法は適用されない(したがって「違法」駐車ではない)ので、警察がそれを取り締まることはできません。

周辺の相場程度の駐車料金は請求できる

つまり、「無断駐車は罰金1万円申し受けます」や「無断駐車は警察に通報します」のような看板は、残念ながら法的な裏付けは希薄であると言わざるをえません。
しかし、これらは無断駐車は容認しないという対外的な表明であり、「駐車禁止と書いてないから止めた」などの言い訳を封じることが可能になるので意味がないわけではありません。また、この場所は管理の目が光っていることを知らしめるのは重要なことです。
では、オーナーが自分でレッカー車を手配して車両を移動したり、タイヤにロックをかけて移動不可能にしたりすることはできるでしょうか。結論的にはこれらは違法です。日本のみならず、法治国家ではたとえ権利を侵害されたとしても、国家機関の手続きによらずに実力で権利回復をすることは許されない「自力救済の禁止」の原則があるからです。
自力救済はこのコラムでも何度か登場していますね(「Case2:知人に貸した100万円が戻らない 泣き寝入りか…」 「Case4:家賃を1カ月分滞納 鍵の交換を通告されたが…」)。場合によっては逆に損害賠償請求をされるケースもありますから注意が必要です。
ただし、駐車している自動車に触れないようコーンを置く程度は許容されるでしょうし、自動車に無断駐車を注意する張り紙をすることも許されると思われます。この場合、跡が残るような接着剤を使用することは避け、ワイパーに挟むなど車両に損傷を与えない方法が無難です。
さて、そうなると結局、無断駐車をしている人を相手に損害賠償を請求していくほかありません。前述のとおり、無断駐車1回で一律1万円というような請求は難しいですが、周辺の駐車場の相場程度の駐車料金を請求することは可能です。無断駐車車両の写真を撮って時間などをしっかりと記録しておくことが肝要です。

所有者の氏名や住所を取得できる場合も

次に、いったい誰が無断駐車をしているのか、まずは相手を特定する必要があります。車の現在の所有者の氏名や住所は、最寄りの陸運支局や自動車検査登録事務所の窓口で「登録事項等証明書」を所定の手続きに従って請求することで確認しますが、これだけで一苦労です。
2007年10月以前であれば、この登録事項等証明書は車のナンバープレートに記載されている情報だけで誰でも取得が可能でした。しかし、同年11月からこの証明書の請求方法がストーカーや犯罪防止、個人情報保護の観点から変更され、この情報に加えて車検証と車のボンネットの中にあるエンジンルームの奥に打刻されている車台番号の明示が必要になり、車検証や車のボンネットの内部を見ることのできない第三者が証明書を請求することは基本的にできなくなりました。
ただし、私有地における放置車両の所有者・使用者を確認する場合には、車両の放置状況が分かる図面、車両の写真および放置日数などを記載した書面を提出すれば車のナンバープレートに記載されている情報だけで証明書が取得できる場合があります。なお、弁護士に事件として依頼すれば、弁護士は弁護士会を通じた照会で証明書を取得できます。

慰謝料と弁護士費用も認められる

無断駐車が1~数時間のことであれば数百円からせいぜい数千円の賠償であり、費用倒れになってしまいますが、先日、コンビニのオーナーが1年半にわたりほぼ毎日無断で駐車していた男性に対して損害賠償を求めた訴訟で、約920万円の支払いを命じる判決が出ました。判決が出たのは、オーナーが車に何度張り紙をしてもやめなかったという事案です。オーナーサイドは周辺の駐車場相場から1時間当たりの料金を約700円と計算し、駐車料約780万円と慰謝料などの支払いを求めていたとのことです。相手が欠席したのでほぼ請求額がそのまま認められたようですが、注目すべきは駐車料のほかに慰謝料と弁護士費用が認められていることです。

不公平感、なお否めず

無断駐車も長い期間になれば、このように高額の賠償もありうるということを示した判決として世間の注目を集めました。とはいえ、このようなケースがレアであることは否定できません。オーナー側は張り紙を一枚貼るにも細心の注意を求められるのに比べて無断駐車をした人はペナルティーが軽く、個人的な感想としては不公平感が否めません。何らかの立法的解決ができないものでしょうか。

志賀剛一

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ローソン、スマホ充電器貸し出し  まず都内6店、200円で48時間

2018年9月29日 2:00 [日経]

ローソンはスマートフォン(スマホ)充電器の貸し出しサービスを始める。利用客が店舗で充電器を受け取り、使ったら好きな店舗に返す。10月上旬から東京・渋谷などに持ち運び可能な充電器を置き、2020年度をめどに1千店に広げる。若者を取り込んで、伸び悩む来店客数を底上げする。
日本と香港に拠点を持つスタートアップ企業のインフォリッチ(東京・渋谷)と組む。ローソンは店内にスマホ充電器が数台入った専用スタンドを置く。東京・渋谷や新宿の6店で始め、18年度中に都内を中心に100店に広げる。その後、主要都市に広げていく。利用客はまずインフォリッチのアプリで会員登録をする。店舗に充電器を取りに行き、専用スタンドのQRコードを読み取り充電器を取り出す。スマホを充電する間、店舗で待つ必要がない。使用後に利用客が自ら返却する。
料金は最初の1時間が税別100円で、その後は48時間までであれば同200円。会員登録時に同1980円を預け、48時間を超えて利用した場合は充電器の返却は不要となるが、預け金は戻らない。充電器はスマホ1.5~2回分の充電ができる。
ローソンでは受け取りや返却時の利用客の来店と店内でのついで買いを見込む。インフォリッチのアプリを通じて、ローソンで利用できるクーポンの配信も検討する。
コンビニエンスストアの来店客数は長らく低迷している。
日本フランチャイズチェーン協会によると、大手7社の既存店では8月に前年の天候不順の反動でプラスとなったが、7月まで29カ月連続で前年を下回った。大手各社は異業種と新たな顧客を開拓している。
ローソンが始めるスマホ充電器のシェアサービスは国内ではまだ始まったばかり。東京電力エナジーパートナーは7月、充電池レンタルサービスの実験を都内の駅や商業施設で始めた。
ローソンでのサービスがきっかけとなって国内でも充電器貸し出しサービスが広がる可能性がある。

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セブン、自前主義と決別 デジタル競争へ異業種連携

2018/10/2 7:00 [有料会員限定]

米アマゾン・ドット・コムの台頭が世界の小売りを脅かしている。セブン&アイ・ホールディングスも例外ではない。中核であるコンビニエンスストアの育ての親、鈴木敏文前会長が経営から退いて2年半。井阪隆一社長は自前主義を捨て、異業種と組む「開かれた経営」に活路を見いだす。
6月14日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で、セブンイレブンが国内2万店を超えた記念式典があった。そこへ鈴木氏が登壇し、会場が静まりかえった。
「セブンイレブンのモットーは自分たちで考え、自分たちでやることだ」。そしてこう加えた。「アイデアをもらうようなことは絶対しない」
しばらくして井阪社長が壇上でこう言った。「私どもの知恵だけでは大きな変化を乗り越えられない」。鈴木氏を否定するような言葉に周囲は息をのんだ。世界で従業員5万6千人の巨艦が変わる姿を印象づけた。
セブンは1974年に国内コンビニ1号店を開き、日本の生活インフラを築き上げた。鈴木氏が中心となっておにぎりの販売や高価格帯のプライベートブランド、銀行業参入など前例のないアイデアを連発した。
井阪社長は「自分たちだけで答えを出す」という考え方からの脱却を目指している。開かれた経営の象徴が、他社と連携する「セブン&アイ・データラボ」だ。2018年6月に発足した。
NTTドコモ、東京急行電鉄、ANAホールディングスなどまず10社が名を連ねた。例えば、セブン&アイの消費データとドコモの携帯電話の位置情報をかけ合わせる。買い物が不便な地域を割り出せば、ネットスーパーの展開に生かせる。
国内だけで1日2300万人のデータを持つが、それだけでは優れた価値を生まない。自社にないデータとの組みあわせに期待している。セブン&アイ幹部は「成果があれば、個別の共同事業を検討する」と明かす。
セブン&アイは18年2月期連結で、売上高にあたる営業収益が6兆378億円だった。国内外のコンビニが5割を占める。国内コンビニは営業利益が7期連続で過去最高を更新している。3~8月期も業績は伸び、会社全体の営業利益が前年同期より3%程度増え、1%増としていた従来予想を上回る見通しだ。
内向きを打破する方針は様々な形で表れる。人工知能(AI)やIoTなどのデジタル技術を見ようと、幹部がシリコンバレーに足を運ぶ。カリフォルニア州でスタートアップ企業を発掘するファンドに、日本の小売りでは珍しく出資した。
店舗の力を高めるために、デジタル革命をどう取り込むか。ヒントは足元にある。米セブン―イレブン・インクだ。
テキサス州ダラスの本社。1階の店舗で5月、スマートフォン(スマホ)を使う決済「スキャン&ペイ」の実験が始まった。消費者はレジに並ばず、スマホで商品のバーコードを読み取り決済する。19年中に全米で導入する。ガミート・シン最高情報責任者は「AIで商品を認識する仕組みも取り入れる」と話す。
別の実験も進めている。スマホで商品を注文、自宅で受け取る「セブンイレブン・ナウ」だ。注文から配達まで約30分。ジョセフ・デピント社長は「消費者に近い場所に店がある。これがアマゾンに対抗する上での強み」と話す。約100店で実施中で、18年内に全米の主要都市で始める。
米国での小売りの競争は激しい。世界最大手のウォルマートはマイクロソフトと提携するなど、先端技術を貪欲に取り入れている。デジタル技術で変わる市場を眼前でみてきた米セブンは17年、デジタル戦略を担う組織を発足させ、データサイエンティストなど技術者120人を採用した。
セブン&アイは米国にならい、3月にデジタル戦略推進本部を設けた。9月にはセブン―イレブン・ジャパンに司令塔の部署を設置、デジタルシフトを急ぐ。井阪社長率いるセブン&アイは従来と全く違う小売りの競争についていけるかどうか、大きな節目にある。
コンビニ頼みに課題
セブン&アイ・ホールディングスはコンビニエンスストア分野では国内最大手として先頭を走り続けているが、世界の有力小売りと比べると

存在感はまだ小さい。

2018年2月期のグループ売上高は加盟店を含めると11兆円にのぼる。しかし、米国で競合する小売り最大手ウォルマートの5分の1だ。米アマゾン・ドット・コムと比べても半分しかない。
セブン&アイの売上高営業利益率は6%で、4%のウォルマート、2%のアマゾンを上回る。ただ営業利益3916億円のうち、8割強を占めるコンビニに頼っている。
アマゾンは食品の宅配を広げるなど勢いを増すが、小売りで大きな利益を出す必要はない。ネット事業のため築いたコンピューターネットワークを生かし、計算能力を貸し出すクラウドサービスがあるからだ。稼ぎ頭となっており、他の事業を補っている。
アマゾンは人工知能を使った無人レジの店を開くなど、買い物のあり方を変える実験を進めている。セブン&アイが直面しているのは異次元の競争だ。コンビニが伸びているうちにスーパーと百貨店を再建し、同時にデジタル技術を取り入れていく難題を抱えている。

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日本フランチャイズチェーン協会は10月4日、昨日報道があった「コンビニ業界が全食品を軽減税率対象で調整」の報道についてコメントを発表した。

協会によると、「2019年10月の軽減税率制度導入に伴い、店舗での混乱が生じないよう運用方法について要望を行っているところですが、現段階で政府から新たな方針が示されている事実はない。したがって、コンビニエンスストア各社は新制度導入により顧客間の不公平等が生じないよう慎重に対応を検討しながら、現行制度の内容に基づき、準備を進めている」という。
報道された内容(例えば、コンビニエンスストア各社のイートインスペースについて、飲食禁止とすること等)は関係省庁、日本フランチャイズチェーン協会ともに確認された内容ではないことを理解してもらいたいと述べている。

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コンビニ百里の道をゆく

「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
 政府が「働き方改革」に本腰を入れています。人手不足も深刻化し、限られた時間で最大の成果を上げる「生産性の向上」は待ったなし。ローソンも数年前から、さまざまな施策を試みています。
 加盟店では、主にオーナーの経験などに基づいて日々の発注業務をこなしていましたが、2年前、機械学習などを使って商品の適切な発注や品ぞろえができるセミオート発注システムを導入。各店舗での品ぞろえの偏差は小さくなり、2時間半ほどかかっていた発注が店舗によっては約30分で済むようになりました。
 消費期限が長い商品については、在庫が一定数にまで減ったら自動的に補充する計画発注システムも入れました。在庫切れを回避でき、お客さまのニーズにも対応できるようになっています。8月から導入を進めているタブレットでは、シフト管理やファストフーズの作成管理もできます。秋からは、自動釣り銭機を備えた新レジも順次導入。レジ作業を簡素化します。
 店舗だけではありません。加盟店の経営指導をするスーパーバイザーが無駄な会議や書類作りに忙殺されて店舗と向き合う時間がない!ということをなくすため、本部の仕組みも改善しました。
 午後6時以降は、メールや電話、会社支給携帯の使用を原則禁止する試みも始めています。店舗からの問い合わせには時間外も対応しますが、専用の「コンタクトセンター」を設けて分散していた窓口を一元化しました。結果、むしろ対応がスムーズになったという声があがっています。
 そして、本丸は「店舗の改善大作戦」(仮称)。ローソンオーナーやクルーのみなさんも巻き込んで知恵を集め、オペレーションを抜本的に見直します。「ムリ・ムラ・ムダ」は徹底排除して、最適な店舗レイアウト、働き方を見つけたい。私が社会に出た頃と比べると、働くことについての価値観は多様化しています。今後も商売同様、社会の変化にしっかり対応できる会社でありたいと思っています。

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ローソン、「セルフサービス」取り入れた新店舗オープン

コンビニ大手のローソンは混雑緩和や人手不足に対応するため、セルフサービスを多く取り入れた新型店舗をオープンしました。
 「普通のお店ではショーケースの中の商品は店員が取り出しますが、こちらのお店では、自分で選んで取り出します」(梅田翔太郎記者)
 ローソンが9日、東京・秋葉原にオープンしたのは、「セルフサービス」を多く取り入れた新しいタイプの店舗です。レジに並ばなくても購入できるコイン式のコーヒーマシンが設置されているほか、支払いも客自身がスマートフォンで商品のバーコードを読み取りネット上で行うため、レジに並ぶ必要がありません。ローソンによりますと、ランチタイムでの混雑緩和やアルバイト従業員の人手不足に対応するため新たな店舗を開発したということです。
 コンビニ業界をめぐっては、セブン-イレブンやファミリーマートでも主婦や高齢者の採用を積極的に行うなど、人手不足への対応を急いでいます。

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ローソン営業利益40億円上振れ 3~8月、総菜類好調と経費抑制

2018/10/3 2:00 [日経]

ローソンの2018年3~8月期連結業績は、営業利益が前年同期比1割減の345億円程度になったようだ。新型レジなどのデジタル投資や「ローソン銀行」の開業費用がかさむため、22%減の305億円を見込んでいた。費用の抑制や採算のいい商品の販売増加などで利益が40億円ほど上振れしたようだ。
売上高にあたる営業総収入は6%増の3500億円強だったとみられる。積極的な新規出店に加え「セーブオン」や「スリーエフ」といった同業のコンビニとの提携を通じローソンとの共同運営店舗が増えた。8月末の国内店舗数は1万4340店と1年前に比べ890店の増加だ。海外でも中国の上海や重慶などで出店を加速し、1892店と4割増やした。ローソンの既存店売上高は1%弱のマイナスだった。客単価はプラスとなったが、客数が減少した。天候不順などで特に5月から6月にかけて客数の落ち込みが目立った。雑誌やパンの販売が不振だった。
一方で採算のいい弁当や総菜の販売に力を入れた。消費者の健康志向を背景に1食で半日分の野菜が取れる調理麺や、「ウチカフェ」シリーズの洋菓子がヒットし、利益上振れの要因になった。
今期は経費が増加する。人手不足で加盟店が負担するパートやアルバイトの人件費は増加傾向にあり、新規採用も同業や他業種との競争が激しくなっている。このため外国人や経験の浅い店員でも操作しやすいように、自動釣り銭機能や多言語で操作できる機能がある新型レジを全店に配置する。需要予測の精度向上や販売促進、店舗の省力化につながる複数の新たなシステムも並行して開発している。
15日には子会社のローソン銀行がサービスを始める。それに伴う費用もピークに差し掛かっているが、システム開発などの費用抑制を進めた結果、計画比で約20億円を削減できた。計上時期が後ろにずれた費用もあったとみられる。3~8月期の決算発表は11日を予定している。19年2月期通期の連結営業利益は前期比9%減の600億円を見込んでおり、現時点では計画を据え置く可能性が高い。

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9月のコンビニ売上高、3.5%増 たばこの駆け込み需要で

2018/10/22 16:00〔日経QUICKニュース(NQN)〕

日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が22日発表した9月のコンビニエンスストアの既存店売上高(速報値)は、前年同月比3.5%増の8373億円だった。4カ月連続で前年を上回った。大型台風の影響で客足が低調だったものの、たばこの需要が旺盛で単価を押し上げた。
客数は2.6%減と2カ月ぶりにマイナスに転じたが、客単価が6.3%増と42カ月連続でプラスだった。
客単価の大幅な伸びのけん引役はたばこだ。10月からたばこ税が引き上げられるのに伴い駆け込み需要が発生し「非食品」の既存店売上高は13.8%増えた。客数は減ってもコーヒーやおでんなどカウンター商材の販売が堅調で、構成比率の高い「日配食品」は0.3%減にとどまった。菓子などの「加工食品」は0.2%減だった。

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「最低賃金」アップで24時間「コンビニオーナー」から悲鳴、本部の支援乏しく

2018年10月01日 11時08分

この10月から最低賃金(最賃)が上がる。全国の加重平均は874円。前年比26円アップは過去最高の上げ幅だ。この5年で見ても、764円(2013年)から110円もアップしており、中小企業を中心に経営層からは悲鳴も漏れ伝わる。特に影響を受けるのが、24時間営業のコンビニ業界だ。しかし、大手コンビニ3社(セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン)に取材したところ、いずれもフランチャイズ(FC)店に対し、特別な対応はしないという。
年々上がる最賃、法令遵守の厳格化、2019年度から始まる「有給休暇の取得義務化」などが、真綿のように24時間営業の灯を守るオーナーたちの首を締めている。(編集部・園田昌也)

コンビニの時給は最賃に近い金額

コンビニの時給は、最賃近くであることが知られている。リクルートジョブズによると、三大都市圏のコンビニ平均は955円(調査時の最賃は東京958円、大阪901円、愛知871円)。50以上ある職種のうち、下から2番目だ。
一方で、店員に求められる業務は多く、なり手は少ない。24時間営業だから、時給アップは容易ではなく、フランチャイズ(FC)店舗で、オーナー夫妻が人件費の削減も兼ねて、長時間労働で穴埋めしていることは珍しくない。

24時間営業で人手が必要…5年で人件費が年150~200万円増?

コンビニ経営は、店舗の増加やドラッグストアの躍進などもあって、年々難しくなっている。一方で、最賃は年々上昇。影響はどの程度かーー。平均的なコンビニで、人件費は月130万円ほどとされる。2012年~2017年の5年で最賃の全国加重平均は13%増。もちろん、すべてのコンビニがそうではないにしても、最賃で雇っている場合は単純計算で月15万円(年換算150~200万円)ほど増えていることになる。
最低賃金の推移
この規模のオーナーの年収モデルは、年600万円程度(日販50万円)と言われていたから、影響は大きい(実際は年収300万円台のオーナーなどもいる)。
しかも、この金額は家族全員を合わせたものだ。ここからさらに税理士や社労士の費用などを差し引くから、人件費を削らなくてはならない。結果、人件費の抑制に成功しても、オーナー家族が過労死ライン超えや、時給換算で最賃より低い収入での働き方に追い込まれることが珍しくない。
そこに来て、10月からさらに最賃が26円(前年比3%)引き上げられる。上の例だと、時給26円アップは単純計算で年50万円弱の経費増になる。

未払いが多かった労働保険と社会保険…取締り強化へ

しかも、この人件費はあくまで時給分のみだ。
人手不足だと、従業員1人あたりの労働時間も長くなる。(1)労働保険(雇用保険・労災保険)、(2)社会保険(健康保険・厚生年金保険)の問題が出てくるが、コンビニでは払われないことも多かったようだ。
2018年5月、愛知労働局はコンビニにおける労働保険の加入状況を発表した。愛知県内の全店3327店のうち、182店(5.4%)が加入手続きをしておらず、488店(14.6%)が無回答だったと報告している。
さらに、ある地方のオーナーは「周りを見ても、3割くらいのコンビニが社会保険料を払っていませんでした」と打ち明ける。「うちはアルバイトやパートだけでなく、社員の店員もいます。毎月に換算して労働保険1万円、社会保険8万円ほどを払っています」社会保険の未加入は、国会でも問題視された。厚労省などを中心に指導が強化されており、近年はマイナンバーの導入などで、労働保険とあわせて、払い逃れが困難になってきている。これまで未払いだった店舗なら、年100万円ほど負担が増えることもありえる。
労働保険や社会保険の未払いについて、コンビニ本部はどう考えているのか――。大手3社とも「加入は加盟店の責任だが、FC本部として指導している」という立場だ。

労働法規違反があふれるコンビニ業界

しかし、本部がいくら対策はしていると言っても、コンビニでは労働問題が相次いでいる。「都内のコンビニ95%で法令違反」ーー。東京労働局は2018年3月、こんな調査結果を発表した。定期監督した269事業場のうち、257事業場で労働関係法令の違反があったという。
前出のオーナーは、「何の知識もない元サラリーマンが(脱サラして)オーナーになっているわけですから…。知っていて払っていない人もいるだろうけど、違法という意識すらない人も多いですよ」。
当然、オーナー自身の責任も追及されるべきだが、労働法規などと無縁だった人たちと契約を結んでいる以上、本部にも責任はあるはずだ。これだけの違反があるということは、各店舗を回ってアドバイスする「SV」や「OFC」と呼ばれる社員も含め、本部の指導は機能していないと言わざるを得ない。過去には、本部が提供するシステムに問題があったこともあった。セブンイレブンの勤怠管理システムに、勤務時間の集計を「1分単位」にするか、「15分単位」にするかを選べる機能があることが分かったのは、2016年のことだ。本部に非があるかどうかは別として、勤務時間の切り捨てはセブン以外のチェーンでも報告されていた。

「働き方改革」で有休取得率アップ、コンビニの対策は?

2019年4月からは、年10日以上の有休の権利がある従業員に、有休を5日は取得させなければならない制度も始まる。アルバイトやパートでも、働いた期間によっては対象になる。労働保険などと同様、人手不足の店舗ほど対象になりやすい。
前出のオーナーの店舗では、社員のほかにパート2人が対象になる。法律上は発生しうるとはいえ、実際に有休をとっているアルバイトやパートは少数だろう。
たとえば、来年4人が取得義務化の対象になるとしたら、20日分の労働力を埋めるための人件費は約14万円(最賃874円×8時間×5日×4人)。有休取得率があがれば、経費はさらに増える。人手を確保できなければ、オーナーが埋めるしかない。
では、本部は具体的にどんな対策をとっているのか。3社の回答は一致している。勉強会などにより、周知徹底を図るというものだ。
聞き取り

「本部は加盟店が苦しいのを知らんふりしている」

長々と見てきたが、ここ数年、コンビニで稼ぐのが難しくなる一方、経営面では(1)最賃の上昇、(2)労働保険・社会保険の取締り強化、(3)有休取得義務化、などで経費が増えている。
どんなに経営が厳しくても、オーナーは法律を守らなくてはならない。有休だって、本来的には取得が義務化されていなくても、自由にとれる環境を構築すべきはずだ。
しかし、法令遵守で、今のコンビニを維持し続けられるのか。24時間の便利な社会インフラは、低い最賃とオーナーの長時間労働、そして法律違反を前提に構築されてはいなかっただろうか(コンビニに限った話ではないが…)。
確かに、本部が何もしていないわけではない。たとえば、セブンイレブンは2017年9月、FC店のチャージ率(上納金)を1%引き下げた。店舗の売上にもよるが、年70〜80万円ほどの還元になる。決して少なくない額だが、それでも最賃の上昇を十分にカバーできているとまでは言えない。なお、9月30日のニュースイッチ(日刊工業新聞)の報道によると、セブン加盟店の人件費は6年間で約7%増だという。
ほかの大手だと、ローソンは「見切り・処分額や光熱費の負担」を増やしたという。各社、経費や業務負担の軽減にも取り組んでいる。
聞き取りとはいえ、過去最大の上げ幅となった今回の最賃については、各社特別な対応は取らないという。最賃や有休取得率は今後も上昇が見込まれる以上、抜本的な対策が望まれる。
前出のオーナーは言う。「加盟店はコンビニ本部と一心同体です。でも、本部は加盟店が苦しいのを知らんふりしている。このままだとオーナーになりたい人がいなくなってしまいますよね」

(弁護士ドットコムニュース)

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コンビニ業界が全食品を軽減税率対象で調整 消費増税で イートインは「休憩施設」

来年10月の消費税率引き上げと同時に導入される軽減税率をめぐって、コンビニエンスストア業界が、酒類を除き取り扱う飲食料品全てを、客が持ち帰り、税率が8%となる軽減税率の対象品とすることで、政府と調整に入っていることが3日、分かった。店内のイートインコーナーでの飲食を「外食」扱いとすれば税率は10%となるが、コンビニ業界は同コーナーを「休憩施設」と位置づけ、「飲食禁止」を明示することで、外食としてのサービス提供でないことを明確にする方針だ。
コンビニ業界は既に、財務省などに対して、この方針を伝えている。関係者によれば、財務省や国税庁からも一定の理解を得ており、調整を経て、今後、国税庁のガイドラインなどで運用ルールの具体化を進めるとしている。ただ、外食産業からは、税率差が生じるため、反発が強まりそうだ。
 コンビニ大手は軽減税率に対応した新型レジシステムの導入を済ませている。だが、レジで客に購入する飲食料品について、「持ち帰りか、イートインで飲食するか」と、いちいち確認することは難しいとみている。コンビニは飲食料品だけでなく日用品など幅広い商品を扱い、レジでは短時間に大量の接客をこなさざるを得ないからだ。
 外食は「テーブルやイスなどの設備がある場所で飲食サービスを提供する」と定義される。コンビニ業界は、イートインを、飲食のサービスを提供するのではなく、単に休憩施設として場所を提供するものとして位置づける。
 購入した飲食料品がトレーに載せられて座席に運ばれたり、返却が必要な食器に盛られて提供されたりすると、外食と判断される。このため、そうしたサービスはできないようにして、全ての飲食料品を持ち帰りができる状態で販売するよう徹底する。コンビニ業界は、こうした施策で、取り扱う飲食料品は持ち帰りと定義でき、客がイートインで飲食したとしても税率は8%になるとみている。
 しかし、持ち帰りと店内飲食ができるファストフードなどの外食産業などからは、コンビニの対応に対して批判が強まる可能性がある。あるファストフードの首脳は「同じ昼食でも、外食は10%、コンビニ弁当は8%と、税率差が生じることは不公平だ」と警戒感を示している。
 コンビニ各社は、外食の利用者を取り込もうと、イートインを増強。ファミリーマートは平成27年2月には2800店だった設置が今年2月には7千店と2・5倍に拡大した。セブン-イレブン・ジャパンも全店舗の約3割、ローソンも4割近い水準まで拡充している。

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コンビニ「ローソン」のデジタル戦略とは? 次世代店舗や旅行とのシナジーの可能性を聞いてきた

2018年10月9日
コンビニ「ローソン」のデジタル戦略とは? 次世代店舗や旅行とのシナジーの可能性を聞いてきた
レジャーチケットの委託販売や観光案内、民泊のカギの受け渡しなど、ビジネス領域を観光分野にじわじわ広げているコンビニエンス業界。今年のWIT Japan 2018では、大手ローソンで未来の店舗づくりを担うオープン・イノベーションセンター マネジャーの谷田詔一氏がミニセッションに登壇し、1万4000のリアル店舗を持つ同社のデジタル戦略の概要を語った。トラベルボイスが行なった谷田氏への個別インタビューとあわせて、コンビニの変革から旅行業界との相似性やシナジーを考えてみたい。

オンラインの波で変わるコンビニ業界

無形商品である旅行は、オンライン化が早期に起こった業界の一つ。しかし、有形商品を身近な実店舗で気軽に買えることがウリのコンビニにも、オンラインの影響が波及している。
谷田氏はミニセッションで、「コンビニ創業当初はナショナルブランドが売れ筋だったが、いまはそれに加えてお弁当やおにぎりなどのプライベートブランド商品やチケットを買いに来て頂けるお客様も多い」と、来店客の購買変化を説明。さらに、アマゾンなどのEコマースも市場参入をしてきており、競争が激化している。
これに加え、オフラインの実店舗が主戦場のコンビニでは、日本の少子高齢化が店舗運営や店舗網の維持で大きな課題になっているという。谷田氏は「事業環境の変化で生じた課題を、IoT、AI(人工知能)、モバイルなどの新しいテクノロジーで解決することができる。加えて、お客様に新しいテクノロジーで快適なお買い物を行って頂きたい。これが、弊社がデジタル戦略を進める理由」と語り、もはやリアルの店舗こそデジタル戦略が今後の成長のカギになっていることを強調する。ローソンでは、2017年5月に「オープン・イノベーションセンター」を立ち上げ、同10月には品川に「オープン・イノベーション・ラボ」を開設。「ロジスティクス」「アナリティクス」「ロボティクス」の領域に注力しながら、同社の最大のプライオリティである“お客様”に対する新しいショッピング体験の提供を目指す。ラボでは同社のメンバーのほか、パートナー企業なども参加し、新テクノロジーによる商品・サービス開発に着手している。

未来のコンビニでできる体験

では、コンビニの未来の店舗はどうなるのか。谷田氏が、その基盤となるプロジェクトとして提示したのが、電子タグ。経済産業省が旗を振り、他の大手コンビニ、食品・日用品メーカーなどがタッグを組んで、2025年までにコンビニで販売する全商品に電子タグをつけるというプロジェクトだ。
電子タグをつけて情報共有システムで商品を管理することで、在庫情報などを共有できるようになる。これにより、例えば店舗の在庫情報をオンライン上で公開し、消費者が来店前にスマートフォンで目的の商品の有無や価格を確認できるようになる。
さらに、食品などは賞味期限に応じた値引きなど、変動制の価格設定(ダイナミックプライシング)を自動で設定できるようになる。この値下げを消費者が来店前にスマートフォンで確認できれば、購買意欲を喚起できるメリットもある。もちろん、店舗側にとっては、在庫管理や価格管理の自動化により、ラベルの貼り替え作業の省力化
これに加え、電子タグをはじめ、AIの搭載やIoT化したデバイスから得られる購買情報は、人口減の時代に「新たな収益源となる可能性がある」と谷田氏。これらのデータに、移動などその他の事業者のビッグデータを加えることで、「広告代理店やメーカーなどに販売できる情報になる」と期待を示す。

デジタルと人の温かみが生む未来の可能性

現在、ローソンの店舗で行なっている主な観光対応は、店頭端末ロッピーでの高速バスや航空券、レジャーチケットの委託販売や、店舗でのインバウンド対応。インタビュー時に谷田氏が、代表的な取り組みとしてあげた回答だ。このうちインバウンド対応では、空港内や宿泊施設、観光地に近い一部の店舗で、訪日外国人向けの土産品や旅行備品などを意識した商品の品揃えや免税対応を強化しているほか、おにぎりなどのオリジナル商品パッケージの英語表記がある。また、全店舗で中国モバイル決済「アリペイ」にも対応している。一部店舗では民泊などの鍵の受け渡しが出来るキーボックスも設置しており、2019年3月までに100店舗へと広げる方針だ。では今後、デジタル活用で観光分野の対応はどう発展していくだろうか。
谷田氏によると、ローソンとして「未来の店舗づくりを議論する中で、旅行や余暇を楽しむというキーワードは入っている」という。旅行に限らず、現段階では、どのテクノロジーを取り入れていくのかを検討している段階で、その方向性は、「テクノロジーで現場の負荷を軽減し、お客様にいかにリアル店舗に来たいと思ってもらえる新しいショッピング体験を提供できるか」ということ。「作業効率化」と「リアル店舗での新しい購買体験」の2つを念頭に、次世代店舗を作ろうとしている。
だから、技術的には“アマゾン・ゴー”も可能だが、ローソンでは店舗を完全無人化にしようとはしていない。谷田氏は、「リアルの店舗の強みを突き詰めると、人のふれあいが強み。テクノロジーが進んでも、やっぱり人の温かみのある店舗づくりが重要」と力を込める。ただし、レジは無人化、品出しはロボットが行なうなど、自動化の流れが進むのは間違いない。その時、人のスタッフができることは、「来店客とのコミュニケーション。例えば、コンシェルジュのようなことがあり得るかもしれない」と谷田氏。1店舗あたり1日平均800人が購買するローソンでは、全国規模では1日約1000万人とのコンタクトを持つことになる。「地域の生活の接点で、これだけのトラフィックがあるのは強み。様々な業種のカウンター業務を引き継ぐことはあり得るのでは」といい、リアルの店舗の強みを生かした観光案内所などの窓口機能などを担う可能性も示唆する。すでにローソンでは2017年4月から、銀座の商業施設「GINZA SIX」で、観光案内や免税サービス、手荷物取次や一時預かり、外貨両替などにワンストップで対応するツーリストサービスセンターを各事業者との連携でオープンしており、タビナカの観光客をターゲットとした店舗展開を始めている。
とはいえ、多くの消費者とって、日常使いのローソンといえば街中の従来型の実店舗。観光関連商品との接点はロッピー端末であり、今年から一部店舗でスタートした民泊の鍵の受け渡しも、店内設置のキーボックスを介在とするセルフサービスだ。ここに、コンシェルジュが登場すれば、観光分野の取り組みがより深まるのは間違いない。
店舗運営、維持という共通課題を持つ両業界が、シナジーを考えていく時代になっている。実現には様々な課題があるが、メリットだけを見れば非日常の観光を日常からアプローチできる機会になるといえるだろう。

記事:山田紀子

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バイト確保へ「報い方改革」 ファミマ、家電6割引き

小売り・外食 2018/10/10 6:57 [日経]

アルバイトやパートの確保と定着を狙い、コンビニエンスストア大手が賃金以外の待遇改善に動いている。ファミリーマートはアイリスオーヤマ(仙台市)と組み、全国1万7千店舗で働く従業員が同社の家電製品を最大6割引きで買える制度を導入する。セブン―イレブン・ジャパンは店舗併設型の保育施設を増やしている。「働き方改革」に続いて「休み方改革」も広がっているが、採用難が深刻な業種では働き手をつなぎ留める「報い方改革」も欠かせなくなっている。
ファミマはパート・アルバイト向けに家電の割引販売を始める。

ネット通販より安く

ファミマは全国の店舗で働くパート・アルバイト向けに、まずアイリスオーヤマの炊飯器など家電15品の割引販売を始める。北海道や東北地方など一部地域で試験導入したところ、従業員や店舗オーナーに好評だったことから、10月下旬に同制度の対象を全国1万7千店で働く20万人強に拡大。約1万人の利用を見込む。
店員向けの販売価格はメーカーの希望小売価格に比べ最大で6割以上安く設定する。インターネット通販や家電量販店の価格よりも安い水準になるという。
今後は家電以外にも食品や日用品、旅行などにも対象を広げ、割引販売を年に4回程度実施していく考えだ。20万人に直接販売できるメリットを生かしてファミマ側がメーカーなどと交渉し、中間流通を省くことで格安販売を実現する。

セブンは保育所拡大

働く特典を拡大してパートやアルバイトの確保につなげる動きはコンビニ業界に広がっている。セブン―イレブンは7月、仙台市にある店舗の2階に従業員向けの保育所を設置した。子育て中の主婦などを呼び込もうと、2017年秋に初めて店舗併設型の保育施設を開設した。仙台が3店舗目となる。セブンは福利厚生代行のリログループが提供するホテルや旅行などの割引きを17年4月からパート・アルバイトにも提供している。これまでに半数にあたる約1万店の店員が同サービスを利用した。
ローソンも店員向けにグループ会社が扱うCDやDVD、書籍を割引価格で購入できる仕組みなどを設けている。

店舗任せ限界に

8月末のコンビニ大手7社の店舗数は5万5483店で、10年前に比べ3割超増えた。大量出店を続けるには、新店を出しても既存の店が成長し続けられることが条件となるが、採用難によりその前提が崩れつつある。
厚生労働省によると、小売りの現場などの「商品販売」のパートを含めた有効求人倍率(8月)は2.59倍。全産業の平均(1.46倍)を大幅に上回る。
パート・アルバイトの時給も上昇を続けている。リクルートジョブズによると、8月の三大都市圏(首都圏・東海・関西)の募集時平均時給は1039円。前年同月比2.4%(25円)増え、3カ月連続で過去最高を更新した。このうち「コンビニスタッフ」は前年同月比で2.7%上昇し、955円だった。
埼玉県のあるコンビニオーナーは「時給1000円以上にしないと人手が集まらないが、新規採用だけ時給を上げると不公平感が強まる。結局、全員の時給水準を見直さないといけなくなる」と明かす。この店では人件費が5年で1割強増えたという。
コンビニ大手はセルフレジやICタグの導入による業務の効率化と省人化を進める一方、採用や待遇、福利厚生などは店舗のオーナーに委ねてきた。ただ採用難が深刻になったことで、福利厚生などで店舗支援が不可欠になってきている。

外食では奨学金や就活支援も

コンビニ同様、人手不足が深刻な外食各社も知恵を絞っている。吉野家ホールディングスは4月、大学生バイトを対象とした奨学金制度を導入した。吉野家に入社すれば返済は全額免除され、同業他社に入社しても半額を免除する。
居酒屋「塚田農場」を経営するエー・ピーカンパニーではメーカーなど他業種の人事担当に紹介するなど大学生バイトの就職活動を支援している。アルバイトと就職活動を両立できるようにすることで人材をつなぎ留めるのが狙いだ。
あらゆる業界で時給が上昇傾向にあるなか、数十円の時給の差だけでパートやアルバイトを確保することは難しくなっている。自動化などによる効率的な店舗運営の仕組みと、従業員の満足度を高める施策の両輪なくして成長は難しくなっている。

(今井拓也、江口良輔)

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無人レジ店を全国展開 トライアル、まず福岡・佐賀で60店

カメラ・AIで在庫自動管理 2018/10/10 1:49 [日経]

ディスカウント店大手のトライアルカンパニー(福岡市)はレジを無人化し、カメラで在庫を自動管理する「スマートストア」を2019年度に60店開業する。米アマゾン・ドット・コムが無人コンビニ「アマゾンGo」を多店舗展開する計画だが、トライアルは国内の小売り大手に先行し、22年度には全国展開する。店舗運営の自動化を進め、レジや商品の棚出しに関わる人員を半減できるとみている。
スマートストアを訪れた買い物客はタブレット端末付きのカートで商品の値段を読み取り、専用プリペイドカードで決済する。レジに並ぶ必要がなく、カートに入れた商品を袋に入れてそのまま持ち出せる。
店内では700台の小型カメラを天井などに設置し、陳列棚の欠品や消費者が手に取った商品の配置などをデータ化。人工知能(AI)がデータ分析し、欠品の補充を指示したり、売れ筋商品を発注したりする。買い物客が手に取りやすい棚の傾向を分析し、メーカーに最適な商品ラインアップを提案することも検討する。
従来の機能に加え、陳列棚ごとに大型のデジタルサイネージ(電子看板)を配置して販促映像や商品概要などを表示する。画面は即時に切り替えられるようにし、メーカーと一体でよりきめ細かな店頭販促ができるようにする。新規出店や既存店の改装で、19年度末までにまず地盤の福岡県と佐賀県で60店をスマートストアにする。同社は31道府県で約200店を展開しているが、22年度をメドに全国でスマートストアを広げる。
同社は2月に福岡市にスマートストアの1号店「アイランドシティ店」を開業し、既存の「鹿島店」(佐賀県鹿島市)を改装するかたちで2号店を開業した。運営ノウハウを蓄積できたとして大量出店に踏み切る。
19年1月ごろには現在建て替え中の「唐津店」(同唐津市)を新型店として開業する。スマートストアでは店舗の従業員を従来の半分程度に減らしても運営できると見ている。
スマートストアの運営システムを他の小売店に外販することも狙う。ショッピングカートによる決済のほか、カメラによる売れ行き情報や商品管理のシステムを導入できるようにする。
小売店ではIT(情報技術)を活用して自動で無人にする動きが広がっており、アマゾンはアマゾンGoを現在の4店から21年までに3000店にする計画。中国でも電子商取引(EC)大手のアリババグループがスマホ決済と連動したスーパー「盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)」店を急拡大している。
スマートストアは省人化だけでなく、データ分析と組み合わせることで販売効率を高められることが期待されている。国内ではイオンや大手コンビニが実験的に取り組んでいるが、多店舗展開に乗り出した例はまだない。大手に先んじて事業化し、システムの外販も検討する。
トライアルは棚にセンサーをつけた店を実験するなどITと実店舗の融合を進めてきた。社内に中国人を含めて約400人のシステムエンジニアを抱え、スマートストアに関して流通大手を上回る体制を整えている。

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ファミマ「家電6割引き」でバイト確保に「賃金上げろ」の声続出…本部に伝えてみた

2018年10月14日 09時50分

人手不足が叫ばれるコンビニ業界。スタッフを集めるため、さまざまな策が講じられている。10月10日の日経新聞は、ファミリーマートの取り組みを紹介。10月下旬から全国20万人強のスタッフを対象に、アイリスオーヤマの家電商品を最大6割引で買える制度を導入するという。セブンイレブンやローソンでも、スタッフ確保のための制度が導入されているようだが、共通するのは「賃金以外の待遇改善」ということ。ネットからは「どうしてそこまで賃金をあげたくないのか」「賃金を増やせよ」とツッコミを食らっている。弁護士ドットコムニュースが「賃金は上げないんですか」と質問したところ、ファミマは「賃金はオーナーが決めること」と回答。「その代わりに本部はサポート的な取り組みをしている」という。(編集部・園田昌也)

「スタッフの賃金を上げろ」ではなく「チャージ率を下げろ」?

「スタッフの賃金を上げろ」というネットの言葉は、どこに向けられているのかーー。もしも本部だとしたら、それは誤解だ。コンビニはほとんどがフランチャイズ(FC)店舗。ファミマが言うように、時給をいくらにするかは「独立した事業者」であるオーナーの裁量だ。
もしも本部に言うとしたら「加盟店のチャージ率(ロイヤリティー)を下げろ」や「チャージの計算に人件費も含めろ」だろう。コンビニ業界のチャージ率は平均60%ほど。各店舗は、売上から売れた商品の仕入れ値を引いた額(純粋粗利)のうち、60%を本部に差し出し、残る40%から人件費などの経費を払う。最後に残るのがオーナーの収入だが、最低賃金の引き上げなどで人件費が高騰している。

時給を上げるに上げられない現場

24時間営業だと、平均的な店舗でも時給が5円あがると人件費は年間10万円ほど増える。一方、最低賃金の全国平均は、この5年で、764円(2013年度)から874円(2018年度)へと、110円もアップしている。
多くの店舗は夫婦で営業しており、単純計算すると、年間の世帯収入600万円だったのが、400万円にダウンするくらいのインパクトだ。それではやっていけないので、多くの店舗でオーナー夫妻が休みなく働き、人件費を節約している。
【参考記事】「最低賃金」アップで24時間「コンビニオーナー」から悲鳴、本部の支援乏しく(https://www.bengo4.com/c_5/n_8617/)
時給を上げたくても上げられない。そして時給が見劣りするため人が寄りつかず、さらに自身の労働時間が増えるという悪循環に陥っているオーナーが少なくない。
本部もサポートはしているが…チャージ率は手付かず
本部も、現場の労働を軽減するための施策はとっている。ファミマでも利益率が高い商品の開発や、廃棄商品の本部負担を増やすなどしているという。
しかし、本部収入の大部分を占めるチャージ料に手がつけられる気配はない。むしろ、ファミマとローソンは新規の契約からチャージ率を上げている。
2017年にセブンは1%下げたが、これについても、同業他社と比べて元々セブンの店舗は売上が高く、チャージ率も高いという事情があった。ちなみに、あるセブンのオーナーによると、チャージ率が1%下がったことで、店舗の取り分が月6〜7万円(年70〜80万円)ほど増えたという。

オーナー「過労死ラインの2倍働いている」

兵庫県内のファミマ店舗オーナー・酒井孝典さんは、家電を割引するというファミマの施策について、「福利厚生としてはよいと思います。スタッフの間でも『安い』と話題です」と評価する。一方で、抜本的な待遇改善にはつながらないと見る。
酒井委員長
酒井さんは、オーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」の執行委員長でもある。
「地域や店舗によって売上が違うので、一律のチャージ引き下げを疑問視する意見もあります。そうであれば、オーナーが過労死ラインを超える働き方をしなくても、なんとか暮らせる程度の水準まで、『最低保障』を引き上げるという考え方もあります」
最低保障とは、店舗の年間総売上が一定額に達しなかったとき、本部が補填してくれる仕組みのことだ。
ユニオンでは、オーナーの労働環境の改善をめぐり、セブンとファミマに対し、団体交渉を求めている。本部と店舗が共存共栄しなければ、コンビニシステムを維持できないと考えるからだ。
一方、本部側は、ユニオンを労働組合と認めず、交渉を拒否している。早ければ、年内にも中央労働委員会で、その是非に判断が下される見通しだ。
なお、酒井さんの店舗では、最低賃金が上がっているのに、5年前に比べて人件費が下がったという。一体なぜか。酒井さんの労働時間は現在、月300〜350時間ほど。5年前より50時間以上増やしている。残業換算すると約120〜170時間。それでも収入は増えず、年収は300万円に届かない。
「過労死ラインの2倍」ーー。酒井さんが自己紹介するときの決まり文句になっている。

(弁護士ドットコムニュース)

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ローソン銀行、革新的なサービスは?

佐藤大和編集委員 2018/10/16 6:00 [日経]

新しいコンビニ銀行『ローソン銀行』が営業開始しました。戦略の特徴は。
「ニュースのなぜ?」を日本経済新聞の編集委員が解説します。Twitterで質問を募集中です。
回答者:佐藤大和編集委員 銀行新設は、既存銀行の合併などを除くと、2011年の大和ネクスト銀行以来7年ぶりです。
先行する流通系2社にどう対抗するか(会見するローソン銀行の山下雅史社長)
開業日の15日午後、職場近くのローソン店舗を訪ね、ローソン銀行開業に合わせて改良したATMを使ってお金を引き出してみました。これまでとの違いは、現金、取引明細書に続いてクーポンを打ち出せることです。10月30日までは人気商品「からあげクン」(税込み216円)の半額クーポン(108円相当)です。
こうしたキャンペーンは、コンビニ銀行のビジネスモデルを端的に示します。
記者のようにローソン銀と「無料ATM提携」している銀行のカードを使えば、クーポンは何枚でも入手可能です。ローソン側に立てば、半額割引で売上げが目減りするように映ります。しかしATMが使われるたびに、提携銀行から「銀行間手数料」がローソン銀に支払われるため、埋め合わせできるのです。
からあげクンの売上げ個数の伸びが期待できるうえ、店舗への集客効果も見込めます。ローソン銀はATMとコンビニ商材を絡めたキャンペーンを継続的に打ち出す方針。ATMの利用を促し手数料増とコンビニ店舗への集客増という「一挙両得」をねらいます。
現状の超低金利環境は、貸出金利ざやの縮小が続く「銀行・冬の時代」です。これに対してコンビニ銀行の収益源は融資ではなく、コンビニに設置したATMを通じた手数料収入なので、収益には安定感があります。
いま多くの銀行は自前のATM網を維持するコストが重荷です。コンビニ銀行にとって既存銀行のATM網を丸ごと代替する提携も有望です。ローソン銀もそうした需要を狙っています。ただ、ここまでは初の流通系銀行として01年に登場したセブン銀行(当時はアイワイバンク銀行)が切り開いてきたビジネスモデルの延長線にすぎません。
「セブン銀行とは全然違う」――。07年、流通系として2社目の銀行参入に際して、イオンの岡田元也社長はセブンへの対抗心を露わにしました。実際にイオン銀行は抜群の集客力があるショッピングセンターに有人店舗を展開。住宅ローンや投資信託から保険まで取り扱う独特のリテール銀行を構築しました。
流通系3社目となるローソン銀。セブン銀の二番煎じにとどまらない革新的な顧客サービスを実現できるかが注目です。
結論:当面は安定感のあるコンビニATMを通じた手数料収入に収益を依存。そのうえで「キャッシュレス決済」など有望分野で独自戦略を打ち出していく構えです。

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コンビニ、健康シフト
セブン、塩分カット品投入/ローソン、低糖質商品を拡大

2018/10/23 2:00 朝刊 [日経] コンビニエンスストア大手各社が健康に焦点を当てた商品の開発に力を入れている。セブン―イレブン・ジャパンは今秋、塩分を抑えた商品群を発売する。ローソンやファミリーマートも低糖質をうたったパンや菓子を展開する。コンビニの来店客数が伸び悩むなか、中高年など健康を意識する客層の利便性を高めることで成長継続を狙う。
セブンは10月中旬に塩分25%カットの牛丼を発売した(都内のセブンイレブン)
セブンイレブンは食品の原材料や製法を見直し、塩分を抑えても現在と同じ水準の味を確保できた商品を順次販売する。食塩相当量の多い弁当や総菜、麺類カテゴリーの全約90品を対象とする。
10月末時点で、従来品に比べ10%以上の塩分カットをした商品は1割にあたる9品となる見込み。毎月2~3品で、既存品に比べ塩分を10%以上抑えた商品を発売する。
セブンは保存料や合成着色料の不使用などは進めてきたが、塩分カットの取り組みは進んでいなかった。塩分量を抑えると、味への影響が大きくなるためだ。消費者の健康への意識が高まるなかで、「塩分が多い」というコンビニ食品へのイメージを覆す商品の展開が欠かせないと判断した。
ローソンは緩やかに糖質を制限する「ロカボ」をうたう商品を、2019年2月末までに前年の3倍の120品まで増やす。グリーンスムージーなど健康を訴求した商品の売り上げを19年度に17年度比1.3倍の3800億円に引き上げる。
ファミリーマートは16年からRIZAP(ライザップ)と組み、糖質を抑えたスイーツやカップラーメンなど約80品を販売してきた。4月からは食物繊維を豊富に含んだ「スーパー大麦」を使ったおにぎりを定番化し、8月末までに累計で2500万個を売り上げた。
コンビニ各社が健康シフトを強める背景にあるのが客層の変化だ。日本経済新聞社がまとめた「2017年度コンビニエンスストア調査」によると、来店客に占める60代以上の比率は11年度の11%から17年度には19%に高まった。20代以下は11年度は23%だったが、17年度には14%に低下。少子高齢化もあって客層の高齢化が進んでいる。 出店拡大を続けるコンビニ同士の競合が激しくなっているほか、ドラッグストアやインターネット通販も伸びている。人口が減るなかで新規客は限られており、既存客に利用頻度を高めてもらう必要がある。塩分や糖質を抑えた商品を充実し、中高年をはじめとした健康を気にかける消費者を取り込みたい考えだ。

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無人店舗、米中追う日本勢 JR東、駅ホームで実験

アマゾン店舗拡大 技術の壁まだ高く

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2018/10/25 2:00 朝刊 [日経] 小売企業が人工知能(AI)などを活用して、店員が不要の無人店舗の研究に力を入れている。無人店舗では米国や中国のネット通販会社などの取り組みが先行し、日本勢は出遅れている。ネット通販に押されている小売企業にとって店舗の進化は喫緊の課題。本格展開に向けては技術やコストなどの問題を解消する必要がある。

無人店舗拡大の壁は初期コストの増大

無人店舗を実験するJR東日本。売店などの人手不足に直面しており、17日から約2カ月間、赤羽駅(東京・北)のホームで実証実験を始めた。
IC乗車券「Suica」(スイカ)をゲートにタッチして入場し、商品を手に取ると、天井のカメラなどを通じて「商品が棚から1個減った」と認識し、金額を加算する仕組み。出口まで来ると、壁掛けディスプレーに購入商品と合計金額が表示される。これをSuicaで支払う。来店客の行動をAIに学習させ、将来は通常のコンビニ並みの店舗を目指す。

コンビニ大手では、ローソンが無人店舗の研究開発に積極的だ。

電子タグのついた商品をバッグに詰め、スマートフォン(スマホ)に表示したQRコードを読み取り機にかざして利用者のIDを照合。バッグごと専用ゲートでスキャンすると決済が完了する。「ありがとうございました」。店員の代わりに接客するのは、壁に投映したアニメ風キャラクターだ。いずれはAIを活用し、自然な会話ができるようにする。
ローソンが描く「未来のコンビニ」のイメージだが、2025年を想定したという。このほかイオンや食品卸の国分グループ本社などでも無人店舗の研究を進めている。米中では、すでに無人店舗は実用段階に入っている。アマゾンは1月、米シアトルで無人店舗「アマゾン・ゴー」の1号店が開業した。21年までに最大3千店規模まで増やす計画とされる。中国には無人店舗は1千店程度あるとみられる。このうち中山市賓哥網絡科技の「ビンゴボックス」が約600店、ネット通販大手の京東集団の「X」が20店程度を構える。これらを含めて70社程度が無人店舗を手掛けている。小売り大手の蘇寧易購集団は無人の衣料品店を手掛けるなど、業界や業態の垣根を越えた参入も相次ぐ。
米中以外でも台湾では、米セブン―イレブン・インクからライセンスを受けてコンビニを展開する統一超商(台北市)が7月に2号店を開いた。関連技術を持つスタートアップには資金が流入し、次世代の店舗を模索する動きが広がっている。国内外で無人店舗の拡大が期待されているが、乗り越えるべきハードルは多い。拡大を阻む最大のネックはコストだ。無人店舗では、個人認証に必要なシステムや商品を検知するセンサーなどが上乗せされる。特にカメラは「情報を精緻に把握するには1店に100台いる」(中国の無人店運営会社の幹部)。
「無人」店舗といっても、商品の搬入や陳列は人に頼らざるを得ない。海外の場合、ネット通販会社が無人店舗の出店に意欲的だが、多くは実店舗の運営経験が浅く、効率的な物流システムなどのノウハウが乏しい。
カメラやセンサーといった認証にも必要な技術レベルは、まだ不十分との指摘もある。来店客が手に取った商品を陳列棚に戻しても、購入したと誤認するトラブルも多い。その結果、来店客の不満につながっている。
とはいえ、無人店舗は次世代店舗の最有力との見方は変わらない。普及に向けて関連技術をどこまで進化させられるかが競争力を左右しそうだ。

(河野祥平、岩本圭剛、中藤玲、大連=原島大介、台北=伊原健作)

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三菱商事とローソン、AIでコンビニ節電

2018/10/30 2:00 朝刊 [有料会員限定]

三菱商事とローソンはコンビニエンスストアの電力使用を集中制御し、電気代を抑制する取り組みを始める。2020年度末までに5000店を通信回線で結び、人工知能(AI)を活用して空調や照明の電力使用を抑制するシステムを整える。電気代の削減額は年間数億円とみられる。加盟店の電力使用をまとめて管理し、効率的な店舗運営につなげる狙いだ。
三菱商事とローソンは共同出資の新電力、MCリテールエナジー(東京・港)を通じて各店舗に電力供給している。同社が開発した電力需要の予測システムを用いて、各店舗に節電を指示する。AIが過去の電力使用状況や天気予報などを分析。店舗運営に支障がない範囲で店舗の照明を暗くしたり、空調の設定温度を変えたりする。
指示は節電開始の10分前に各店舗のタブレット端末に届く。店舗の運営者はその場で受諾するか拒否するかを決める。受諾すれば自ら操作しなくても、自動的に空調や照明の設定が切り替わる。小売店チェーンで複数店舗の節電を集中制御する仕組みは珍しい。既に東京電力管内の100店に設備を導入しており、18年度末までに270店まで増やす。20年度末までに全国の5000店に広げる。コンビニは一般的に月間30万円程度の電気代がかかるとされる。新システムによる節電で、電気代を数%削減したい考えだ。
ローソンは20年度末までに1店舗当たりの電気使用量を10年度比20%削減する目標を掲げるが、17年度の達成率は10%にとどまる。省エネ効果が高い照明や冷蔵設備の導入を進めているものの、機器の性能に頼る節電は限界がある。AIを利用した集中制御により省エネを推進する。
一方、MCリテールエナジーは電力卸売市場から電気を調達して顧客に供給している。調達価格は変動制で、電力需給が逼迫する夏季の日中は通常の5倍以上に跳ね上がることもある。顧客には固定価格で販売しており、赤字が出ていた。需給逼迫時の電力調達を減らせれば採算が改善する。調達コストの削減分の一部を、顧客に還元する仕組みも検討する。コンビニではセブン―イレブン・ジャパンが約8000店に太陽光発電パネルを設置するなど、再生可能エネルギーの導入を拡大している。5月には蓄電池も活用して、再生エネで電力使用量の5割を賄う新型店を開いた。

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ファミリーマートとドン・キホーテの公開実験店に潜入 奇妙な同居が生む相乗効果

2018/10/29 17:15東京ウォーカー

立川駅南口を降り「柴崎町三丁目」の交差点を左折。国立方面に5分ほど歩いたところに駐車場を備えたコンビニエンスストア「ファミリーマート立川南通り店」がある。
ごく普通のファミリーマートかと思いきや、店外にはペットボトル飲料やスリッパなどの日用品が山積みされ、そこに書かれている値札は、どこかで見たような書体。看板を見ると納得した。この店舗は「ファミリーマート」と「ドン・キホーテ」のコラボ店舗だったのだ。店内に脚を踏み入れると、笑ってしまうほどファミリーマートとは大きく異なる。人が一人通れるかどうか、という狭い通路。天井近くまで積み上げられた商品。ドン・キホーテではお馴染みの圧縮陳列だ。
それもそのはず、ファミリーマートの商品だけでなく、ドン・キホーテ側の商品も取り扱うことで、通常のコンビニエンスストアの約2倍近い約5000種の商品が並んでいるのだ。
並ぶ商品も日用品(特に衣料品)や化粧品、携帯関連用品、そして加湿器に腕時計と、今までのコンビニエンスストアでは見られないものばかり。しかも、どれも驚きの「情熱価格」。奥に進むとファミマでお馴染みの「お母さん食堂」の惣菜や弁当、飲料などが並ぶ。この空間まで進むと、なぜかホッとする。大型の冷蔵庫やホットドリンクコーナーなども、コンビニではよく見かける光景。逆にドン・キホーテではあまり見ない光景といえる。レジにはファミチキや肉まんといったファミマではお馴染みのホットスナックの隣に、ドン・キホーテではお馴染みの焼き芋、そして10円のガチャポンのガムが置かれている。もはやファミリーマートなのかドン・キホーテなのかよくわからなくなってきた。この発想力、恐るべしである。

「顧客満足度向上に寄与する新たな可能性を検証する」実験店舗

ファミリーマートは以前からレンタル大手のTSUTAYAをはじめ、スギ薬局など、異業種とのコラボレーションを行っていた。しかし量販店と手を組んだことは今までにはない。では何故にドン・キホーテと手を組んだのだろう。担当者に話を伺った。「2017年8月にユニー・ファミリーマートホールディングスとドン・キホーテホールディングスが資本・業務提携に関する基本合意を締結し、昨年より様々な検討を進めてきました。大きな取り組みの一つとして、ユニー株式会社の展開する『アピタ』『ピアゴ』と、ドン・キホーテの展開する『MEGA ドン・キホーテ』のノウハウを結集した、ダブルネームブランド『MEGA ドン・キホーテ UNY』の展開を、現在 6 店舗実施しています。
また、様々な業態との競争が激化するコンビニエンスストア業界においても、ファミリーマートの基本的な売場づくりや品揃えに、ドン・キホーテ店舗の強みである地域のニーズに合わせた商品提案や演出ノウハウを付加することで、顧客満足度向上に寄与する新たな可能性を検証するために、実験をすることになりました」
この実験は6月から開始しており、立川のほか、目黒区「大鳥神社前店」と世田谷区「世田谷鎌田三丁目店」で行われている。「地域のニーズに合わせた商品提案や演出ノウハウ」ということもあり、他の2店舗が「立川南通り店」と同じ商品を取り扱ったり演出を行っているわけではない。また、この実験店舗は、現時点ではこれ以上拡大する予定はないという。「ドンキとファミマがコンビに」は3店舗限定なのだ。
売上3割増!ついでに買ってしまう相乗効果
では、実験の途中であるとは知りながらも、その成果について伺った。「6月~8月までの3ヶ月間の実績で、3店舗平均で売上は約3割増えています。また、客数、客単価共に、以前よりも 1 割以上伸長しています。 特に日用品は前年比 300%、加工食品や菓子等も 200%以上伸長しています。 ファミリーマートで人気のファミチキなどに加え、ドン・キホーテで取り扱っている『情熱価格極氷』や『焼きいも』などが人気です」と、どうやら売上の面では実験は成功しているようだ。顧客一人あたりの単価が伸びているということは、たとえばお弁当のついでに化粧品を、といった具合で、本来の目的とは異なる何かを買っていると思われる。
ファミリーマート側は、この相乗効果ともいえる状況を、どのように分析しているのだろう。「ファミリーマートの強みである、ファミチキや焼きとり、中華まんをはじめとしたファストフード や、おむすび・サンドイッチ・パスタ・デザートなどの中食商品に加え、ドン・キホーテの強みである日用品や衣料品の品揃えや、POPなどの販促手法が加わることにより、これまで以上にお客さまに利便性と、お買い物の楽しさを提供できていると考えています」。コンビニエンスストアはもともと、目的買いの店舗だと思う。今回の実験は、そこに衝動買いの要素が加わるのか、という実験をしているように見えた。実験の期間は明らかにされていないものの、ここでのノウハウが今後のファミマ商品や店舗運営に生かされることは想像に難しくない。
もし立川や目黒、そして二子玉川に立ち寄る機会があったら、いずれも駅から若干距離はあるものの脚を運んでみてはいかがだろうか。なるほど、というアイデアがいっぱいあるし、地域差が見えて面白いと思う。ちなみに筆者は、ここで紹介する立川の他に目黒の店舗にも訪問したが、立川南通り店の方がより「ドンキ度」が高いように感じた。
栗原祥光
■ファミリーマート立川南通り店         ■ファミリーマート大鳥神社前店 
住所:東京都立川市錦町3-30-11          住所:東京都目黒区目黒3-10-13 
アクセス:立川駅より徒歩10分            アクセス:目黒駅より徒歩10分 
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セブン、都内初の移動販売 団地の高齢化に対応 新たな市場に

2018/10/25 15:17

セブン―イレブン・ジャパンは25日、都内で初となる移動販売を東京都練馬区の団地内で始めた。コンビニエンスストア各社の移動販売は近くに小売店がなく、住民の高齢化が進む地方の過疎地を中心に広まった。ただ都市部の団地などにも住民の高齢化が進み、買い物が不便なエリアも多い。出店しにくい団地内にも入り込んで売り上げを伸ばす。
セブンイレブンは25日、都内で初めての移動販売を始めた(東京都練馬区の光が丘地区)東京都練馬区の光が丘。大規模団地が立ち並ぶ同地区の広場の一角で、25日からセブンイレブンが移動販売を始めた。軽トラックに弁当やサンドイッチ、おにぎりなど常温や冷蔵・冷凍の約150種類の商品をそろえた。最寄りの店舗が運営し、毎週火曜日と金曜日の週2回、出張販売する。
パンや飲料を購入した92歳の女性は「3年前に近所のスーパーが閉店してから一人では買い物に行けなかった」と話す。ヘルパーの付き添いで週2回、徒歩で10分程度離れた場所にある駅前のスーパーまで買い物に行っていた。これからは「一人で買い物ができる」と笑顔を見せる。
移動販売はコンビニ大手が全国で手掛けている。セブンイレブンは2011年に「あんしんお届け便」の名称で移動販売を始めた。現在は34都道府県で77台の移動販売車を走らせており、19年2月までに100台超の運用を目指す。ローソンでは12年から移動販売に取り組んでおり、39都道府県で112台を展開。ファミリーマートも11年から展開し、全国で18台の移動販売車が稼働している。
各社が移動販売を展開する地域は店舗まで遠く、高齢者の住民が多い地方の過疎地が多い。地震や台風などの災害時には、被災者の買い物支援としても活躍している。たとえば西日本豪雨被害を受けた岡山県倉敷市では、ファミマが移動販売車を走らせている。
ただ日ごろの買い物に不便を感じる住民は、人口流入の続く都内にもいる。
セブンイレブンが移動販売を始めた練馬区光が丘7丁目地区は、65歳以上の高齢者比率は32%と全国平均に比べて5ポイント程度高い。付近の団地は1980年代初頭に入居が始まり、築年数は30年を超えている。最寄りのコンビニやスーパーまでは徒歩で10分程度。遠くはないが、近くもない。そんな場所にも移動販売のニーズがある。
首都圏では、かつてにぎわったベッドタウンの衰えが際立ってきている。日本経済新聞が市区町村別に11~16年の住民所得を調べたところ、首都圏の郊外でドーナツ状に減少が続いていた。代表的なのが60~80年代にかけて公営や民間の団地の建設が相次ぎ、人口が膨らんだ町だ。マイホームを求めて移ってきた団塊世代が年金生活に入ったことも影響しているとみられる。
高齢者は自宅まで商品を届けてくれるインターネット通販に不慣れなことも多い。コンビニ各社の手掛ける移動販売は、高齢者を見守る役割も期待されている。高齢化した住民を抱える都市近郊の団地。ここは出店余地にも限りのあるコンビニにとって新たな市場となる可能性を持っている。
(今井拓也)

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