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「高商品回転率」で支えられるコンビニ

コンビニでは、毎週火曜日に新商品が店頭に並びます。そのような新商品を、消費者はどのように認知し、購入しているのでしょうか。
コンビニが産声を上げて約40年。コンビニは流通の一大勢力となり、各メーカーからすると「販売数量が稼げる」「価格が守られる」「高頻度来店の消費者にアプローチできる」「詳細な販売データが入手できる」と良い面と、「売れないと2週間で店頭から排除される」「新規商品を発売続けないとメーカーシェアが奪われる」といった苦しい面が同居している販売チャネルです。
コンビニの現場では、毎週水曜日頃から来週に入荷する新規商品の販売方法を検討します。同時に、売れない(死筋)商品を選び出し、「発注停止」の作業を行います。発注停止をかけているため、売れていくと在庫が無くなっていきます。
月曜日の午後の時間からは、その日の深夜に入荷する新規商品の陳列場所を決めて売場の準備を行います。火曜日の朝からは新規商品がビッチリと陳列されていることで、消費者の「飽き」に対応することができ、高頻度での来店が実現されています。
コンビニビジネスはこのような「高商品回転率」で支えられているのです。そのため、新規商品と死筋商品の入れ替えという新陳代謝は必要不可欠であり、メーカーからすると新規商品を開発・発売し続けなくてはいけません。もちろん新規商品開発には、マーケットリサーチや商品パッケージデザイン、製造ラインの変更などのコストがかかり、メーカーにとってはかなりの負担となります。
消費者が新規商品の存在を知るきっかけは?

ここまではコンビニにおける新規商品の重要性についてお話しましたが、では消費者により多くの新規商品を「知らせ」「買ってもらう」には、どうしたら良いのか。そこで重要となってくるのが、商品のプロモーションです。
プロモーションは大きく分けると「アウトオブストアプロモーション」(店外)と「インストアプロモーション」(店内)があります。一般的にメーカーはTVCM、鉄道広告、ネット広告などの広告費を多く支出し、商品の認知度を高めて販売を増やす取組みをしています。
ただ、コンビニで売られる新規商品の販売促進にとって、TVCMなどの広告は有効なのでしょうか。株式会社ネオマーケティングが週1回以上コンビニエンスストアを利用する20~69歳の男女1000人に行った「コンビニエンスストアでの購買行動に関する調査」というアンケートの報告によると、以下のような結果が出ています。

Q.新商品の発売を知ったのは?
1位:「店内(コンビニエンスストア)」66.9%
2位:「テレビ番組/テレビCM」59.6%

この結果は、私が知っている中でも約20年間傾向は変わっていません。消費者が新規商品を知る(買おうと思うきっかけ)のは、店頭で商品が陳列されている様子を見た時です。
各メーカーも当然この結果は知っています。でも、相変わらず新商品を発売する際には、膨大な広告費(5千万以上かかると言われています)が掛かるTVCMを検討するのです。
これは、これまでの大量消費型の良い時代の成功体験から抜け出せていないからです。また広告代理店(電通等)のアドバイスも、時代が変わっても大きく変化していません。
しかし、やっと近年になって「ショッパーマーケティング」という概念ができつつあります。これは、ショッパー(=買物客)に対して直接店頭で商品告知を行おう、直接的に商品購買をする後押しをしようという活動です。実際に、とある大手菓子メーカーではこの方針を打ち出しており、TVCMに掛かるコストをショッパーマーケティングに全額回しているところもあります(しかも、過去最高益を出しました)。
ただ全体的には、いきなりショッパーマーケティングに移行することは無く、徐々にTVCM等のアウトオブストアプロモーションからインストアプロモーションの世界に移っていくと考えられています。要するに完全移行ではなく、ハイブリッド型や連携型になるのです。
新規商品は調べてから買う人が多い
さらに「コンビニエンスストアでの購買行動に関する調査」ではもう一点、興味深い調査結果が発表されています。

Q.新商品を購入する際の行動は?
1位「他に並んでいる商品と比較して良さそうなら購入する」73.8%
また20代限定では、以下のような傾向もあります。
「店内でスマホを使い商品情報を検索した後に購入する」25.0%
「その場では買わず、商品を調べてから後日購入する」20.5%

他商品と比べて迷ったら、検索してから購入する“購入慎重派”“失敗回避型”の割合が増えているのです。
実際「SNSがきっかけでコンビニエンスストアの「新商品」を購入した経験は?」という質問に対して、49.3%の人が「SNSがきっかけで、コンビニエンスストアで新商品を買ったことがある/新商品に興味を持ったことがある」と回答。年代が若くなるにつれてその割合は高くなり、30代で58.0%、20代では68.0%となっています。
このような傾向を鑑みるに、今後はネット広告(SNS)と店頭プロモーションの連動が、今後の新規商品拡販プロモーションの重要なキーとなってきそうです。……それにしても今の若い人は、それだけ自分のチョイスには自信がないのでしょうか? それとも友達の意見を大事にしたがるのか? そもそも衝動買いをしたいという欲求が低いのか? こういう傾向があるのであれば、店頭にサイネージを設置して、アマゾンの星やコメントを出すといった施策も、有効なのかもしれません。

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来店客伸び悩みの「ファミマ」 乾坤一擲の〝ドンキ化〟は起死回生の一手になるか

2018.6.26 07:00
チェーンに商品を取り付けるなどドン・キホーテの手法を取り入れた実験店「ファミリーマート立川南通り店」
 「ファミリーマート」の大胆な変貌に度肝を抜かれた人も多いだろう。外観はファミマの略称で親しまれるおなじみのコンビニエンスストアだが、一歩足を踏み入れると、ディスカウント店「ドン・キホーテ」の店舗なのだ。新たな店舗像を探る共同実験に異業種同士がタッグを組んだ。来店客数が伸び悩み、成長神話にも陰りが見えるコンビニ業界。ドンキ化したファミマは果たして台風の目となるか。
6月1日、東京都立川市のJR立川駅から徒歩約10分。幹線道沿いにあるその店舗はいたって普通のファミマの外観だった。ただ目をこらすと、出入り口上部の看板に「PRODUCED BY ドン・キホーテ」の文字。店舗外側の窓際には商品を満載したワゴンが並び、一つ手に取ると、ドンキの商品であることを示す「情熱価格」のシールも目に飛び込んできた。
 この「ファミリーマート立川南通り店」がユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)とドンキホーテHDが手がける共同実験店舗の第1号店だ。勢いのあるドンキのノウハウを取り入れ、ファミマ改革に生かそうという試みだ。
 店内に入ると整然と商品が並ぶ従来のファミマと違い、ぐっと目の前に商品が迫ってくる印象だ。通常より20センチ高い180センチの陳列棚にぎっしりと商品が並び、床から天井近くまでうずたかく積み上げるドンキ流の「圧縮陳列」を彷彿(ほうふつ)とさせた。
 また、人の腰の高さほどのタワー型の陳列棚はファミマにはない陳列手法で、商品の一部が飛び出すほど詰め込まれていた。天井からつるしたチェーンにいくつもの商品を取り付けて目立たせる、いかにもドンキ風の陳列も。なんと、レジ脇ではドンキ名物の焼き芋まで売られていた。
 実験店ではこうした陳列によって商品数も当然増え、改装前の約1.5倍に相当する5000点に膨らんだ。このうち、ドンキからの供給商品が2800点と半分以上を占め、中身もドンキ化した形だ。
 特に若者や女性客の需要を積極的に取り込むため、菓子の商品数を従来比で3倍に拡大。商圏のユーザーの嗜好(しこう)を踏まえ、加工食品や日用品、酒を充実させたのも特徴だ。
 ただ店内はドンキの特徴である「迷路」は再現しておらず、動線は直線的。うろつきながら好みの商品と出合い、買い物の楽しさを再発見させてくれる体験は本家本元でないと難しいだろう。会社の出勤前や昼休みに来店するコンビニ客は目当ての商品を速やかに購入したいというニーズがあり、ドンキの客層とはやや異なるからだ。
 実験は立川店を含む都内の直営3店舗で実施され、来店客数や売り上げ動向を綿密に調べ、今後拡大するか検討する。
両社は昨年8月に資本・業務提携した。「現状の改革」を目指し、具体的な試みとしてこの実験に着手した。
昨今、ファミマを含むコンビニ業界は来店客数の伸び悩みに苦しみ、コンビニ離れというべき事態に直面している。
日本フランチャイズチェーン協会によると、今年4月のコンビニ既存店の来店客数は前年同月比0.8%減を記録し26カ月連続のマイナスだった。コンビニが得意とする食品がドラッグストアでも扱われるようになり、24時間化も進む。インターネット通信販売の普及も加速するなど、コンビニの事業環境は厳しさを増す一方だ。
ファミマのライン運営事業部の今木誠部長は実験店舗のオープン初日、「(新たな取り組みによって)コンビニから離れている人に戻ってきてもらいたい」と率直に語った。つまりドンキの力を借り、ファミマ起死回生の一打とする構えというわけだ。
 ファミマは、他にもコインランドリーやフィットネスジムを併設した店舗を今年に入って矢継ぎ早に開店。来店客を呼び戻そうと躍起になっている。
 一方、ドンキにとっては、ファミマの全国約1万7000店の店舗網は魅力的だ。ドンキは圧倒的な商品開発力で高い知名度を誇るものの、実は店舗数は約200店舗(ドン・キホーテのみ)と少ない。ファミマでの共同実験を通じて小型店運営のノウハウを吸収したいとの思惑もある。
 さて勝算だが、興味深いのはユニー・ファミリーマートHD傘下の流通大手ユニーの動きだ。一足先に総合スーパー(GMS)6店をドンキとの共同店舗「MEGA ドン・キホーテUNY」に刷新している。
 ドンキの店作りのノウハウを取り入れた結果、今年3~4月の売上高は共同化前のユニー単体と比べ2・2倍に増加、1日当たりの客数もユニー単体と比べ1・9倍に伸長し、テコ入れはひとまず成功した形だ。
 GMSとコンビニでは業態が異なるものの、ファミマ側でもこうした先例をみて、ある程度勝算を見込んでいるとみられる。
 ただ、見た目の奇抜さに頼ることはかえって固定ファンの反発を招きかねない。今回の新たな取り組みはもろ刃の剣でもある。果たして、吉と出るか凶と出るか-。ファミマの挑戦から目が離せない。

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薬局併設のコンビニ ローソン、広島県で初

2018/7/3 1:49 [有料会員限定]

ローソンは2日、広島県内で初めて調剤薬局を併設したコンビニエンスストアを開業した。調剤薬局を運営するマイライフ(広島県呉市)がフランチャイズチェーン(FC)のオーナーとしてコンビニと調剤薬局の併設店舗を運営する。病児・病後児の保育施設や小児科診療所など子育てを支援する「こども未来広場」を庄原市が同日開設したのに合わせた。
調剤薬局として各医療機関で出された処方箋や、一般用医薬品(OTC)を販売する。コンビニでは紙おむつや子ども向けの品ぞろえをする。子どもが靴を脱いで遊ぶキッズコーナーや飲食ができる35席のカフェスペースも設けた。
ローソンは全国に調剤薬局を併設した店舗が45店ある。広島県での店舗は初めて。同社は5月末時点で県内に216店を出店している。
庄原市は同日、かつて民間企業の本社の敷地だった場所を子育て支援の広場として整備するため、広場内に小児科診療所と病児、病後児の保育施設を開いた。今後は広場のなかに放課後児童クラブなども整備していくという。

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AI 小売り戦略支える
ヨーカ堂、需要予測し発注 ファミマ、出店の可否判断

2018/7/1 2:00 朝刊 [有料会員限定]

小売り大手が人工知能(AI)を活用して競争力を高める。イトーヨーカ堂は2019年度にも全店でAIの需要予測にもとづく発注を始める。ファミリーマートは6月末からコンビニエンスストアの新規出店の可否を判断するためにAIを導入した。人手不足が続き、ネット通販などとの競合も激しくなるなか、AIを導入して生産性の向上につなげる。
日本の小売業は労働集約型産業で人の経験や勘に頼るところが製造業に比べて大きかった。AI技術の進化で、人の判断と同等以上の精度を確保できるようになったのをにらみ、AIに置き換えられる部分は委ねて生産性を高める動きが出てきた。
ヨーカ堂はスーパーの全約160店でAIによる需要予測と自動発注を導入する。生鮮品を除く食品と肌着などの衣料品、日用雑貨など5万点以上を対象にAIが個別商品の売れ行きを予測し、最適な発注数量を提案する。
イトーヨーカドー大森店(東京・大田)でこのほどAIによる需要予測の実験を始めた。対象は加工食品や日配品、日用雑貨の一部で、NECや野村総合研究所など4社のAIを使い、精度の比較検証を進めている。
各社のAIがそれぞれ発注数を予測し、実際の商品の売れ行きとの差を競う。それぞれのAIは売り上げや客数といった実績値とその日の天候などの要因を照らし合わせる深層学習を繰り返す。精度が最も高い企業のAIを採用する計画で、18年度中にも決める。
大手スーパーでは飲料や加工食品の一部で、商品の販売実績に応じた自動発注を取り入れている。こうした発注は将来の予測を含まず、売れた分の補充という意味合いが強い。ヨーカ堂ではAIでチラシの掲載の有無や前年の実績、天気予報などを踏まえて個別に売り上げを予測し、発注数を計算する。1人あたり1日40分程度かかる発注作業の時間を9割減らし、接客や売り場作りにあてて売り上げ増につなげる。
ファミマはコンビニの新規出店の可否判断にAIを導入した。グーグルと組み、データ分析のスタートアップ企業、グルーヴノーツ(福岡市)のAIサービスを使う。出店候補地の商圏内の年代別の世帯数や人口、競合する小売りの出店状況などを踏まえて、出店した場合の売上高を予測する。
AIに10~16年に出店した3500店の商圏データと実際の売上高を学習させた。ファミマではこれまで売上高と関係の深いと思われる指標を15程度選んで売上高を予測していた。AIは600項目を計算して店舗の売上高を予測する。これまで1日の売上高の予測と実績の差が5万円以内に収まったケースは4割弱だった。AIを利用すると8割弱が5万円以内の誤差に収まったという。精度の高い売り上げ予測が可能となるとみて、人口減などにより出店先が絞られる中で効率的な出店につなげる。
イオンは米EC(電子商取引)関連スタートアップ企業に出資する計画だ。AIを活用したデータ分析や物流効率化の技術を生かし、ネット通販事業を強化する狙いだ。ローソンも17年末から生鮮品などを扱う「ローソンストア100」の出店候補地の売り上げをAIで予測する実験を始めた。
人手不足や人件費の上昇に直面する小売業では生産性の向上が課題だ。日本生産性本部によると、15年の日本の小売り・卸業界の労働生産性は米国の3割の水準にとどまる。人口減に加えネット通販との競合も激しくなり、採算に合う出店先も限られてきている。AIを活用して生産性を高めたり売上高を伸ばしたりする取り組みは小売業界でも広がりそうだ。
(今井拓也)

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コンビニで「Z会」答案提出
セブン&アイ、増進会と提携 中高生店舗に呼び込む

2018/7/6 2:00 朝刊 [有料会員限定]

セブン&アイ・ホールディングス(HD)は5日、通信教育「Z会」などを展開する増進会ホールディングス(静岡県三島市)と業務提携したと発表した。セブンイレブンのマルチコピー機からZ会の会員が答案を送信できるようにしたり、高校生向けのイベントを共同で開催したりして、セブン&アイの店舗への送客につなげる。
セブン&アイが教育業界の企業と提携するのは初めて。まず8月に全国のセブンイレブンからZ会の幼児コースの会員が答案を送信できるようにする。今後、対象のコースを順次拡大する。
セブン&アイが運営する商業施設にZ会グループの学習塾を誘致することも計画。セブン&アイ傘下の赤ちゃん本舗の顧客にZ会グループの幼児コースを案内するといった連携も検討する。
提携に先立ち2~3月にはセブン―イレブン・ジャパンとZ会が、高校生を対象としたイベント「Z会監修 全国高校対抗 超良問ドリル」を開いた。
スマートフォンのサイトで出題される問題に5問連続で正解するとセブンイレブンで使えるクーポンを受け取ることができる企画で、約10万人が参加したという。11月には同様のイベントの第2弾も展開する。
増進会HDは通信教育「Z会」のほか、学習塾「栄光ゼミナール」などを運営し、約32万人の会員を抱える。このうち8割強の26万8千人を小中高生が占める。
セブン&アイの主力事業である国内コンビニエンスストアは客数が伸び悩む。セブンイレブンでは来店客に占める20歳未満の比率が05年度の11%から15年度には6%にまで低下した。10代の会員を多く抱える増進会HDと組むことで、若い客層を店舗に呼び込みたい考えだ。
セブン&アイは同日、小田急電鉄と業務提携することで最終合意したと発表した。両社は3月、業務提携することで基本合意していた。
小田急グループが運営する駅売店やコンビニエンスストアの約100店を今後2年で順次、セブンイレブンに切り替える。セブン&アイは同社のプライベートブランド(PB)を供給する。

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コンビニ2階に保育所オープン セブンイレブン

2018/7/4 1:49 [有料会員限定]

セブン│イレブン・ジャパンは仙台市内のセブンイレブン2階に従業員の子どもを預かる保育所をオープンした。待機児童や人手不足が深刻ななか、従業員の子育てと仕事の両立を支え、人材の確保につなげる。
開園したのは「セブンなないろ保育園」。仙台市青葉区の「柳町通店」の2階にある。オーナーや従業員の0~2歳児を預かる。定員は30人で、最大で15人分を地域住民向けに開放する。
従業員は出勤時に子どもを預け、1階の店舗や近くの別店舗で働く。

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書店一体ファミマ 富山・南砺に北陸初の開業
7万冊用意

2018/7/28 1:49 [有料会員限定]

ファミリーマートは富山県南砺市で28日、北陸初の書店一体型のコンビニエンスストアを開業する。書籍コーナーには新刊やベストセラーを中心に約7万冊をそろえる。書店とコンビニのレジを一体化することで、書籍コーナーとコンビニの売り場間の往き来をしやすくする工夫も施した。
既存の地元書店を改装して「ファミリーマート+ファミリーブックス福光店」として開設する。24時間営業で、売り場面積は約570平方メートル。9席からなるイートインスペースに加え、買った本をその場で読めるBOOK&CAFEイートインスペースを20席弱用意した。
コンビニ自体も地元北陸を意識した商品構成とし、「富山県産と福井県産の地酒を多くそろえた」(同社)。今後もドラッグストアやスーパーマーケットといった他業態とコンビニの一体型店舗を展開していきたいという。

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レジが合わない バイトが「罰金」天引きされたら…

弁護士 志賀剛一
2018/7/5 5:40
Q:大学生の娘がコンビニエンスストアでアルバイトをしています。浮かない顔をしているので話を聞くと、レジの計算が合わないと店側が「罰金」「連帯責任」と称して不足額をそのシフト時に働いている全アルバイトの人数で割り、給料からその分を天引きしているのだそうです。うちの娘のミスでないとは言い切れませんが、責任がはっきりしないのに天引きするのはおかしいのではないでしょうか。

「罰金」を給与から天引き、違法

労働基準法は「賃金は通貨で直接労働者にその全額を支払わなければならない」と定めているので、正社員であろうがアルバイトであろうが、法律で定める税金(所得税や住民税)、社会保険料以外を給与から天引きすることは原則的にできません。
例外として、従業員の過半数で組織する労働組合(または労働者の過半数以上の代表者)との労使協定が結ばれている場合、法律上認められているもの以外、例えば社宅の家賃なども賃金から控除することができますが、大学生のアルバイトの場合、これによって何かが控除されることはあまり考えにくいと思います。
このため「罰金」を給与から天引きすること自体がまず違法です。

計算が合わないのはアルバイトの責任?

では、給与からの天引きが認められないとしても、計算が合わないレジの差額分を請求されたら店員は支払わなければならないのでしょうか?
民法上の原則として、自分の故意または過失によって他人に損害を与えた場合、加害者は損害賠償の責任を負います。法律的には労働契約上の債務不履行または不法行為による損害賠償責任になるでしょう。仮に店員が故意に売上金をレジから盗んだ場合、その店員は盗んだ売上金全額を店に賠償する責任を負います。あまりにも当然のことです。
しかし、人は必ずミス(過失)を犯します。あってはならないことですが、客から受け取る金銭が少なかった、釣り銭を多く返しすぎたりするミスは、どうしても起こりえます(従前はレジの入力ミスが多かったようですが、最近のコンビニはバーコード入力なので少なくなったそうです)。
店側は特定の店員が確かにレジでミスを犯したこと、そのために発生した損害金額を立証できるのであれば、計算の合わない差額をその店員に請求できる可能性はあります(ただし、後述のとおり、請求できる範囲は制限されます)。そのためには防犯カメラの映像をくまなく調べる必要があるでしょう。防犯カメラの解像度で、レジで客とやりとりしている具体的な金額まで明確に判明するのかどうかは何ともいえません。ミスをした店員も1人とは限りません。立証の難易度はかなり高いように思います。
誰のミスか特定ができないのであれば、過失が立証できていないわけですから、相談のケースのように「連帯責任」と称して不足額の責任をそのシフト時に働いている店員全員に転嫁するようなことは許されません。

賠償額は「全額」か

仮に防犯カメラなどで特定の店員の過失が立証できた場合、例えば特定の店員が客に過大な釣り銭を返しているところがカメラに明確に撮影されていた場合、それにより生じた損失全額が店員の責任になるのでしょうか?
一見それが当たり前のようにも思えますが、使用者(店)は労働者(店員)を使用することにより自らの活動を拡大し、利益を上げています。日本の判例では業務遂行上の通常のミスから生じる損害は、労働者を指揮命令する立場にあり、労働者を使用することから利益を得ている使用者が負担すべきであるという考え方が採用されています(難しい言葉ですが「報償責任の原則」といいます)。
このため、使用者から労働者への請求は判例上「損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度」においてのみ可能と解されているので、差額全額が店員の負担になるということは考えにくいでしょう。
ただし、これはあくまでも過失、つまりミスによる損失が発生した場合に限られます。前述のとおり、故意に店の売上金を盗んだような場合は店員が全額賠償責任を負うことになるので、誤解のないようにしてください。

損害賠償額を「予定」する契約は無効

店側があらかじめ「レジの計算が合わない場合、同じ時間帯に働いていた店員間でその損失を負担する」あるいは「その分の罰金を払う」といった念書や誓約書を差し入れさせていた場合はどうでしょうか?
「罰金」とは国家が国民に科す刑罰の一つですが、ここにいう「罰金」はそういう意味では使われておらず、法的な性質は民事上の損害賠償と解され、店の実損を証明しないのですから「損害賠償の予定」と解されます。
労働基準法は「労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めているので、このような書面は無効です。「損失を負担する」などの文言でも同様です。
少し前、大手コンビニチェーンの店舗で高校生が病気で欠勤したところ、店側が「代わりの出勤者を探せなかったので罰金」として10時間分の時給を支給額から差し引いたことがありましたが、この件でも結局は店側は差し引いた分を返金しています。
「遅刻したら罰金を払う」「代わりの人を連れてくる前に辞めたら罰金を払います」などの書面も無効と解されます。売り上げのノルマを課すのも違法です。(ただし、遅刻した分を給与から控除されるのはやむをえず、また、度重なる遅刻は後述する懲戒事由になる可能性はあります)

減給処分は可能?

それでは、労働者に対する懲戒処分の一環として減給処分を課すことは可能でしょうか。理論的には可能ですが、そのためにはまず、就業規則に懲戒処分の規定があり、それが社員に周知されていることが大前提です。
当然のことですが、アルバイトにも就業規則の適用があります。そして、就業規則で定められている懲戒事由に該当する行為があり、その処分が客観的、合理的で社会的相当性を有していることが必要です。
例えば就業規則に「レジの計算違いが発生した場合、減給とする」などと規定しても、それは不合理な内容の懲戒事由として無効と判断されるでしょう。また、減給処分は一般の会社でも重い部類の処分であり、十分な事実の調査と本人の弁明を聞いたうえで決定されるべきものです。コンビニの場合、店長やオーナーの一存で恣意的に決めてよいものではありません。
仮に減給が許されるとしても、労基法は「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と規定しており、これを超える減給処分はできません。このルールに従って減給処分を課すとなると、相当ハードルは高いことが分かると思います。

「ブラック」なら声を上げて

欠勤やミスに「罰金」を科すような店の噂は今の時代、瞬く間に交流サイト(SNS)に乗って拡散し、結果的には人手不足が加速することになります(SNSによる拡散が良いことだと言っているわけではありません。流す側は名誉毀損・信用毀損に問われる可能性もあり、避けるべきです)。
とはいえ、アルバイトをする側も無断欠勤や遅刻をせず、仕事上でなるべくミスのないように勤めたいところです。ただ、不幸にして「罰金」を科すようなブラックな職場に入ってしまった場合には臆することなく声を上げるべきでしょう。

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書店としての機能を強化するコンビニ

最近のコンビニは雑誌だけでなく、ビジネス書などを置いているところも珍しくないですが、そんなコンビニの書店化がさらに加速しそうな取り組みが、ローソンで始まるようです。(SankeiBiz)

ローソン、コンビニの「本屋」機能強化 専用棚設置店1000店舗増へ

記事によると、文庫本やビジネス書などを並べる書籍専用棚の設置店を、年内をめどに約4000店に拡大する予定。また書店との併設店や、コミック本の品ぞろえを充実させた店舗も増やすという計画です。
ローソンが展開している書籍専用棚は、一般的なコンビニの雑誌コーナーとは違って、文庫本や料理・健康関連の実用書などを充実させていて、文庫本では映画化やドラマなど映像化された作品などの売れ行きが好調のほか、歴史物なども人気が高いとのこと。ちなみにこの書籍専用棚を設置した店の平均日販(1店1日当たりの売上高)は、未設置店よりも600円多いというデータも。ローソンは店舗オーナーに積極的に提案し、設置店を増やしていきたいとしています。
先日も、ローソンが大手コンビニ業界で「一人負け」という話を書かせていただきましたが、ジリ貧のローソンとしては、この「書店化」で大きな増収を見込んでいるのかもしれません。
実現困難な「幅広い品ぞろえ」
Amazonに代表されるネット書店に消費者ニーズが移行したことで、街の書店は激減しており、この19年で9770店が減少しました。ネットビジネスに書籍がハマった理由としては、ロングテール商品であることで、顧客ニーズを満たすには幅広い品揃えが必要であること等が挙げられます。そのためリアル書店が生き残るには、より広いお店を作って幅広い品揃えを実現する必要がありました。ただ、駅前や住宅街といった地価の高いエリアでは広い店舗を確保することが困難で、そこで郊外へと移転していったのです。このような外部環境下において、(街中にある)コンビニと書店との融合というのは、戦略ストーリーとしては間違っていません。しかし、そもそものリアル書店の勝ちパターンである「幅広い品ぞろえが必要」という点に関しては、どうやら抜け落ちているようです。
コンビニの店舗面積は大型化しています。30年前は平均で30坪でしたが、最近は40坪超のモデルとなってきています。面積が広くなった分、イートインや多目的トイレなどといった来店動機をつくるサービス設備を充実してきました。ただコンビニ側としても、サービス設備の充実だけでは売上が伸びないため、新しいマーチャンダイジング追加を求めています(ファミリーマートとドン・キホーテのコラボが最近の事例です)。
その点で、ローソンの書籍専用棚はどうでしょうか。今回、実際に店に赴き確認したところ、90cmほどの木製ゴンドラが展開され、そこに書籍が約50アイテムが並んでいました。あえて本屋さんをイメージさせたかったのでしょうが、他のゴンドラと一体感が無くなり浮いていました。
商品陳列には工夫をしているようで、表紙陳列ができるようにアイテム数を調整していました。ただ今後売上が伸びず返本作業が滞ると、この表紙陳列が崩れて背表紙陳列になりそうで、そうなると商品回転率が下がって売上が下がることが懸念されます。
90cmほどの売場で1日600円の増収が見込め、それもリスクが低い(返品できる)商品で売上が上乗せできるという取り組みですが、個人的には正直なところ「他にも取り組むことがあったのではないか?」と考えてしまいます。
日比谷 新太(コンビニ業界ジャーナリスト)

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ユニファミマに統合効果

3~5月、純利益62%増 コンビニ統一で販売拡大
2018/7/13 2:00 朝刊 [有料会員限定] ユニー・ファミリーマートホールディングスが12日に発表した2018年3~5月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比62%増の137億円だった。コンビニエンスストアのブランドを「ファミリーマート」に統一する作業を進め、総菜などの販売が伸びた。コンビニ単体の営業利益では大手3社で唯一の増益を確保し、3~5月期では初めてローソンを抜き2位となった。
 売上高にあたる営業収益は2%増の3165億円。日本基準の営業利益に相当する事業利益は8%増の203億円だった。コンビニ店舗の減損損失の減少や、総合スーパーのユニーが保有していた不動産の売却益も純利益の増加に貢献した。
ユニファミマはドンキHDと組んだ実験店も展開(東京都立川市)
「うちの看板にブランド力があったと再認識できた」。あるファミマの幹部は胸をなで下ろす。「サークルK」や「サンクス」の店舗をファミマに変えると、1店1日あたりの売上高(日販)が1割上がるというデータが上がっているからだ。
ユニファミマは16年9月に総合スーパーのユニーグループ・ホールディングスとファミリーマートが経営統合して誕生。旧ユニー系のサークルKやサンクスは「ファミリーマート」に一本化する方針で、今秋までに全5000店を転換する。
ブランド転換を始めた前期は店舗改装などの費用が先行した。一方、転換店は総菜や弁当、麺類などの販売が伸びている。ファミマに切り替わった店の数は5月末で約4000店に達した。前年同期より約2400店増え、販売増の効果が実現してきた。
統合効果により、ファミリーマートの単独営業利益(日本基準)は17%増の113億円だった。最大手のセブン―イレブン・ジャパンは加盟店から得る経営指導料を引き下げた影響で6%減の557億円。ローソンは既存店売上高の減少や、店舗の省力化費用で、26%減の93億円だった。ファミマの国内店舗数は今年5月末で約1万7千店と、ローソンより3千店強多い2位。ただ今回の決算で、営業利益でも初めて2位に浮上した。
一方、ファミマの全店平均の日販は51万2千円とローソンに5千円及ばなかった。ブランド転換店舗を含まないファミマ既存店だけでみた売上高は1%のマイナス。5月の気温の低下で飲料などが不振だった。ブランド統一の効果に頼らない成長戦略も課題となる。
総合スーパーのユニーも春夏衣料の販売回復などで、単体の営業利益が47億円と18%増えた。今年2~3月には40%の出資を受けるドンキホーテホールディングスとの共同店舗6店を出店。ファミマでもドンキとの共同出店を開始し、若者らの集客増の効果を見込む。
12日のユニファミマの株価は午後2時の決算発表後、内容を好感した買いで、一時前日比5%高の1万1590円まで上昇した。終値も1万1340円と3%高だった。
ユニファミマの4割の株を持つ伊藤忠商事は、8月ごろに1万1000円でTOB(株式公開買い付け)を実施して保有比率を50%強まで高め、子会社化すると表明済み。このため株価は伊藤忠のTOB価格引き上げを期待する短期筋などの買いで、6月下旬には1万2670円と上場来高値をつけるなどして、割高感も指摘されていた。
ただ「好業績が確認できたため、上値を追える余地が出てきた」(楽天証券経済研究所の窪田真之氏)との見方もある。統合のプラス効果が業績に影響するのは20年2月期半ばまでの見通し。この間に業績を市場の期待に比べてどこまで伸ばせるかが、株価にも影響しそうだ。
(野口和弘)

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ローソンの3~5月期、純利益36%減 新型レジ切り替えなど費用増

2018/7/11 15:35

ローソン(2651)が11日発表した2018年3~5月期の連結決算は、純利益が前年同期比36%減の61億円だった。コンビニの新規出店効果などで増収だったが、新型レジの切り替えなどで費用がかさんだ。
売上高にあたる営業総収入は7%増の1705億円だった。新規出店効果などで加盟店売上高と直営店売上高ともに伸びた。営業利益は22%減の126億円だった。新型レジ投資のほか、設立準備を進めている「ローソン銀行」の費用も利益を圧迫したという。19年2月期の連結業績予想は据え置いた。営業総収入は前期比11%増の7320億円、純利益は4%増の280億円を見込む。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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セブン、生ビールテスト販売中止

2018/7/18 2:00 朝刊 [有料会員限定] セブン―イレブン・ジャパンは17日から実施予定だったつぎたて生ビールのテスト販売を中止した。キリンビールと組んで、レジの前に専用のビールサーバーを設置する計画だった。価格は100円からで、発売前から交流サイト(SNS)で話題が先行し、十分な販売体制を整えられないと判断した。セブンは実験の詳細を明らかにしていないが、17日から東京都や埼玉県などの5店前後で生ビールの販売テストを実施する計画だった。

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ミニストップが始めた「ミニストップビジョン」

イオン系列の中堅コンビニ「ミニストップ」が、2017年1月から以下のような新たな取り組みを始めていたことを、皆さんはお気づきだったでしょうかそれは、各店舗のレジ上に「デジタルサイネージ」(デジタル技術を活用して平面ディスプレイなどに映像や文字を表示する広告媒体)を設置するという取り組み。以下の記事によると、ミニストップの店舗規模を生かした広告手段を構築し、利用客へ有益な情報を配信するため、デジタルサイネージの展開を決めた、としています。

コンビニエンスストア初の全国展開。ミニストップ、店内に専用ディスプレイを設置しデジタルサイネージを導入

コンビニには、1日平均約900人の来店客が存在しています。今回の取り組みは、この来店客に対して商品告知を行うことで、広告収入を得ようという活動です。
コンビニ(お店)に来店しているお客さんは、その時点で買い物モードに入っており、買い物モードの消費者に効果的な広告を打つことで、販売数もアップする。こういう考え方を「ショッパーマーケティング」と呼んでいます。広告を出すメーカーからすると、消費者に直接リーチできる広告媒体となるため、非常に魅力的に映ります。そうなると、今回の「ミニストップビジョン」構想は戦略的には正しいように見えますが、実はこのような取り組みは、これまでセブンイレブンを始め大半のコンビニが挑戦をし、そして失敗をしてきているのです。

ローソンも厳しい展開に。難しいコンビニ店内の広告媒体

例えばローソンも、2010年からこのような取り組みを始めていました。同じくデジタルサイネージを活用した広告配信サービス「東京メディア」というものです。
「特定の場所で、特定の時間に、特定の人に広告をぶつけたい」という広告主のニーズを満たすメディアを目指し、2010年5月29日に東京都内の300店舗で始まったこのサービス。端末設置店舗は1年後には720店舗、2年後に1390店舗、4年後には首都圏と名古屋や関西地区で2640店舗に拡大することを目指していました。
いま現在、この「東京メディア」がどうなっているのかというと、お世辞にも成功しているとは言えません。一般的に広告媒体は、その媒体を見る人数と料金のバランスが納得できるものであれば、出稿する側から高評価を得られます。ところがこのサービスの場合、リーチできるのはコンビニの来店客のみとなってしまい、視聴者数が限定されてしまいます。その点がメーカーからの出稿が伸び悩んでいる理由のひとつとなっているようです。
しかし失敗例だけではありません。JRの駅ナカを主戦場にしているコンビニ「NewDays」では、首都圏の店舗に「NewDaysビジョン」を約200台設置しています。このケースは、駅構内という圧倒的に視聴者数が稼げるロケーションに優位性が出ます。また、新宿駅のようなビッグターミナル駅では店舗躯体そのものをラッピングして媒体化することも行なわれています。

「ミニストップビジョン」が成功するには?

さて、最初にお話しした「ミニストップビジョン」について、成功するかどうか。私が思うに、かなり厳しい結果が待ち受けていそうです。
理由①:来店客数が他のコンビニと比べても少なめ
理由②:サイネージが設置されている場所がレジ上のメニューボード横になっており、視聴率が下がる恐れがある
いっそのこと、レジ上ではなくイートインに設置したほうが、ミニストップらしさが出ていいのかもしれません。滞在時間が長くじっくりと画面を見てくれそうなイートイン利用客に向けて、天気予報やニュースとともに商品紹介を見せるようにしたほうが、視聴率が高くなるような気がします。
日比谷 新太(コンビニ業界ジャーナリスト)

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ドンキ風ファミマ、売上高1.5倍に 来店客の滞在時間長く

2018.7.20 05:00

チェーンに商品を取り付けるなどドンキの陳列手法を取り入れた実験店「ファミマ立川南通り店」
 ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は19日、ドンキホーテホールディングスとともに6月から進めるファミマの2カ所の共同実験店舗について、売上高が従来の約1.5倍になったことを明らかにした。ドンキのノウハウを採用したことが奏功したとみられる。
 両社は6月1日から東京都立川市と同目黒区の2店舗、同29日から同世田谷区の1店舗で実験に着手。ドラッグストアなど異業種との競争激化による来店客数伸び悩みの打開が狙いで、コンビニらしい利便性は維持しながら、商品をうずたかく積む「圧縮陳列」などドンキのノウハウを採用して動向を探っている。
 このうち実験開始から1カ月経過した2店舗ではドンキファンの集客に成功したとみられ、客数が平均で約1.3倍に増加。品ぞろえを強化した酒類の売り上げが約1.5倍、ドンキで売れ筋の携帯関連グッズなど日用品も約2倍に伸び、全体の売上高が約1.5倍になった。ドンキ流の陳列を楽しみながら見て回る来店客も目立ち、「滞在時間が従来比で2倍以上長くなった」(広報)ことも、売り上げ増に貢献したようだ。

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6月のコンビニ売上高、1.1%増 アイスや飲料が好調

2018/7/20 16:00

日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が20日発表した6月のコンビニエンスストアの既存店売上高(速報値)は、前年同月比1.1%増の8080億円だった。2カ月ぶりに前年を上回った。全国的に例年と比べ気温が高く、飲料やアイスクリームなどの夏物商材の売れ行きが好調だった。
客単価は3.0%増と39カ月連続でプラスとなった。品目別では飲料やアイスクリームを含む「加工食品」が1.3%増だった。宅配便やコピーなどを含む「サービス」も19.1%増えた。コーヒーや揚げ物などカウンター商品や弁当などの「日配食品」は0.04%増とほぼ前年並みだった。一方、客数は1.9%減と28カ月連続でマイナスだった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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ファミマ株価絶好調、他コンビニ2社との違い際立つ。なぜ上がっている?

2018.07.19 08:05
 コンビニ大手ファミリーマートの株価が絶好調です。他のコンビニや日経平均と比較してもそのパフォーマンスは突出しています。なぜファミリーマートの株価だけが上がっているのでしょうか。

6月には1万2000円を突破

ドンキと提携したファミマの実験店舗(写真:西村尚己/アフロ)
 ファミリーマート(ユニー・ファミリーマートホールディングス)の株価は、今年に入って7000円台で取引されていましたが、2月に入ってからグングン上昇し、6月には1万2000円を突破。その後、株価は少し調整しましたが、年初との比較では1.5倍となっています。同じ期間、競合であるセブン&アイ・ホールディングスは一進一退、ローソンは下落しています。日経平均もわずかに下落していますから、ファミリーマートの株価は際立っています。
 同社の株価が買われている最大の理由は、業績見通しです。同社は2016年9月、サークルKサンクスを展開していたユニーグループ・ホールディングスと合併し、両社のコンビニ事業をファミリーマートに統一しました。ファミリーマートとサークルKサンクスは重複店舗も多く、その統廃合がうまくいくのか市場は心配していました。

利益体質を最優先、新規事業に対する期待も

 しかし統合後の新会社は利益体質を最優先する方針を打ち出し、店舗の統廃合は予想よりもスムーズに進むことになりました。2018年2月期の決算こそ営業利益は減益でしたが、2019年2月期の業績は営業利益が2.4倍、純利益についても19%増の400億円を見込んでいます。こうした姿勢を投資家が評価し、継続的な買いが入ったことが株価上昇の最大の理由であることはほぼ間違いないでしょう。
 これに加えて、ファミリーマートには新規事業に対する期待もあります。同社はSNS企業であるLINEとの提携や、コインランドリー併設店舗の展開、ディスカウントストアのドン・キホーテとの提携など、矢継ぎ早に新事業への展開を打ち出しています。また親会社である伊藤忠商事と連携して、アプリを使った金融サービスにも乗り出そうとしています。
 これらの施策がうまくいった場合、従来のコンビニとはまったく異なる売り方が実現できる可能性があり、長期的にはこうした新業態への期待も株価に作用している可能性があります。
 一方、業界トップであるセブン-イレブンは人による接客の効果を打ち出すなど、同じコンビニでも方向性の違いが鮮明になっています。これまでは上位3社のシェア争いという図式でしたが、今後はビジネスモデルの違いという新しい切り口が加わることになります。投資家にとっては面白い展開となりそうです。
(The Capital Tribune Japan)

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セブン、消えた100円ビール
テスト段階、SNSで拡散 マーケティングに課題浮上

2018/7/20 2:00 朝刊 [有料会員限定] セブン―イレブン・ジャパンが17日に店頭の専用サーバーで提供する予定だったビールのテスト販売を中止した。いれ立てコーヒーで消費者の心をつかんだセブンが100円玉1枚で買える生ビールを販売すれば、再び新たな消費トレンドを起こせる可能性があった。だが、交流サイト(SNS)で事前に情報が拡散、飲酒運転などリスクも勘案し取りやめた。ソーシャルメディア全盛期、セブンはマーケティングの難しさに直面している。
キリンはセブン限定の「一番搾り」を開発するなど関係を深めてきた(都内のセブンイレブン)
東京の最高気温が35度を超えた14日から16日にかけて、東京都三鷹市など首都圏の一部店舗でビールサーバーが設置された。17日からの販売に備えるなか、思わぬ事態が待っていた。
「セブンが生ビール販売!」。販売前、SNSにはビールサーバーの写真とともにこんな文言が踊った。来店客が撮影した写真がネット上で拡散。セブンが生ビール販売を始めるという情報が広まった。
SNSでの話題先行はセブンにとって計算外。発売直前の16日になり「販売体制を整えることが難しい」と取りやめた。顧客が押し寄せて十分な供給が難しくなることへの懸念もあったが、中止のもっと大きな理由はマイナスイメージが広がることにあった。
生ビール販売について、セブンのお客様相談室に1日数十件の意見が寄せられた。同社は詳細について明らかにしていないが、飲酒運転を助長することへの危惧など否定的な意見も少なくなかったようだ。
「今回の取り組みは現場レベルのテストという段階で、経営陣にも報告していなかった」(セブン幹部)という。事態を知った経営陣もイメージ低下や事故などのリスクを踏まえ中止を指示した。
セブン関係者は「今回は延期ではなく中止。供給体制の問題だけが理由ではないので、再開は難しいだろう」と話す。当面、サーバーによるビール販売の道は絶たれたようだ。
店頭に置いたサーバーで鮮度の高い飲み物を提供する――。セブンの今回の手法は、2013年に展開を始めたいれ立てコーヒーと似通っている。ドリップしたばかりのコーヒーが100円で手軽に飲めるとあって人気になり、来店客の増加にもつながった。
今回、キリンビールと組んだビール「一番搾り」もその場で本格的な味を楽しめるとあって集客の目玉になる可能性があった。17年6月には酒の安売り規制が強化され、スーパーなどでのビールの販売価格は上昇。好機とみたセブンは17年春からキリンと準備に入り、生ビールの価格をSサイズが100円、Mサイズを190円と安価に抑え、ビールの消費意欲に火を付ける算段だった。足元でコンビニエンスストアは客数が伸び悩む。大手7社の既存店客数は5月末まで27カ月連続で前年を下回る。最大手のセブンでも、2017年度は11年ぶりに既存店の客数が前年を下回った。
セブンはいれ立てコーヒーに次ぐ大型のヒット商品を求めていた。つぎたての生ビールがその候補となる可能性はあったが、「ビールはコーヒーと違って誰でも歓迎してくれるわけではない」(セブン関係者)。イートインなど店内で飲酒する利用者が増えることを嫌う来店客もいる。集客にどんな影響があるか見極めるテストという位置づけだったが、それも実現せずに終わった。
セブンは全国で1週間あたり10~20の売り場テストを実施している。最低でも3週間程度試し、導入する場合も地区ごとに少しずつ広げるのが通例だ。丁寧なマーケティングは同社の持ち味だが、今回はSNSによって足をすくわれた。
誰しもがスマートフォン(スマホ)1台あれば情報を発信でき、それが一大ニュースにもなるソーシャルメディア時代。小売りにとってヒットを狙うなら店舗でのテスト販売は欠かせないが、場所や時間帯、手法も入念に練らなければ水の泡になる。

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住宅専用地にコンビニ
国交省、規制緩和 高齢者暮らしやすく

2018/7/22 2:00 朝刊 [有料会員限定]

国土交通省は主に住宅だけを建てられる地域に、新たに商業施設を設けられるように建築規制を緩和する。2019年夏から一定の条件を満たせばコンビニエンスストアなどをつくれるようにする。少子高齢化が進んで小売店が撤退したような地域では徒歩で通えるコンビニなどへのニーズが強い。騒音対策などを施すことを前提に、町づくりの自由度を高める。
日本の都市計画は地域ごとに用途を定め、建てることができる施設を制限している。例えば「第一種低層住居専用地域」は戸建て住宅か低層マンション、学校などの公共施設だけが認められる。原則として商業施設は建てられない。
国交省は19年夏に定める政省令で規制を緩める。地域の用途ごとに新設を認める施設と、騒音や振動対策などの条件を定める。合致した施設は、都道府県や市区町村で有識者が審査や許可をする「建築審査会」の同意がなくても建てられるようにする。
具体的には戸建て住宅の地域ではコンビニや飲食店などの小規模な施設を、主に住居が並ぶ第一種住居地域では自動車修理工場などを想定。防音壁の設置や営業時間の制限などを条件とする。
今でも建築審査会の同意が得られれば住居専用地域に用途外の建物を建てることはできる。ただ、手続きに数カ月かかる場合が多く、企業が積極的に利用しにくかった。
一方、都市部でも小売店が撤退した地域では、高齢者を中心に買い物に困る人が増えている。13~15年度に第一種低層住居専用地域で用途外の建物を許可した事例を見ると、店舗・飲食店が38件で最多だった。国交省は一定の条件のもとで商業施設を作りやすくし、高齢者でも暮らしやすい町づくりにつなげる考えだ。

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ローソンが行ったレジ無人化の試み

中国ではすでに実店舗も登場している「無人コンビニ」。日本のコンビニでも、その実現に向けた試みが始まっています。なかでもローソンがこの春に実施したのは、独自のセルフ決済サービス「ローソンスマホペイ」の実証実験です。同社のニュースリリースによると「ローソンスマホペイ」とは、スマホに公式アプリをダウンロードし、利用者が買いたい商品のバーコードをスマホのカメラで読み取ることで、店内のどこでも決済できるというサービス。退店時には、スマホに表示されたQRコードを店頭の専用読み取り機にかざすことで、決済済みであることを確認するそうです。
具体的な実験内容ですが、日中の時間帯は「ローソンスマホペイ」と有人レジを併用して、レジの混雑緩和を目的とした実証実験を。また、利用者が少ない深夜1時~4時に限り、従業員のレジ作業を軽減することを目的としたレジ無人化の実証実験も行ったとのこと。今後は、今回の実証実験や利用状況等の検証を行なったうえで、2018年度下期以降には効果が見込めそうな他店舗への導入を検討していくとのことです。

各種レジの組み合わせが効果的?

実は今回の実証実験と同様の取り組みは、以前より同社社員を対象に行われていました。その結果、入店から退店までの平均時間が約3分から約1分に短縮。また「ローソンスマホペイ」を利用していない社員以外の利用者にとっても、レジ待ちの行列が短くなるというメリットがあり、最終的に売上の伸びにも繋がったそうです。
もともとローソンとしては、今回の取り組みの狙いは「無人店舗」を作る事ではなく、あくまでレジ決済時間の短縮・従業員のレジ作業の軽減にあったとのことで、狙い通りの結果となったわけです。私も「ローソンスマホペイ」を実際に体験してみましたが、確かに商品を手に取ってスキャンし、レジに並ばずに決済が終了するのは快感でした。ただし、アプリをダウンロードする手間とクレジットカードIDとの紐付けが面倒な点が課題だと感じました。ちなみに「ローソンスマホペイ」の決済スペースですが、店内にわかりやすいデジタルサイネージでの案内があり、買い物終了の操作も分かりにくいということはありませんでした。
このように「ローソンスマホペイ」は、同社の狙いであるスマートな決済(キャッシュアウト時間の短縮化)には、大いに寄与できそうな取組みだと実感しました。特に都市部(特に駅前)などの客数が圧倒的に多い店舗や、オフィス街などランチ時間に一気に来店するような店舗では、かなり有効的でしょう。
ただ個人的には、もう一歩踏み込んだ取組みになると更に素晴らしいと考えています。無人店舗を作らなくても、省力化に伴う人件費ダウン(人手不足対策)に役立てるように、この機能がブラッシュアップしてもらいたいです。従業員が操作する通常の「POSレジ」、商品登録作業は従業員が行うが決済はお客さんが行う「セミセルフレジ」、商品登録から決済までお客さんが行う「セルフレジ」、これに加えて今回の「スマホペイ」。これらを有機的に組み合わせて、最小コストで店舗特性に合わせた導入ができると、レジ人員の削減と決済スピードの向上が実現すると考えています。現実的にはPOSレジシステムの改修や、レジハードベンダーとの調整がとても大変そうですが、ぜひローソンにはこのようなチャレンジを進めてもらいたいですね。
by日比谷新太

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コンビニ加盟店の苦悩、本部は「社会保険未加入問題」も対応渋る

週刊ダイヤモンド編集部 岡田

人手不足や市場の飽和が叫ばれるコンビニ業界で急浮上しているのが、社会保険への未加入問題だ。国は従業員や店のオーナー自身が社会保険に未加入の加盟店を調べ、加入促進に力を入れている。だが保険料は、経営が順調な加盟店にとっても大きな負担だ。『週刊ダイヤモンド』7月28日号の第2特集「コンビニクライシス 社会保険が追い詰める加盟店経営」の特別版として、社保未加入問題をレポートする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)
「私たちとしては、本部は店(加盟店)にできるだけのことをしないといけないと。店からすると、痒い所に手が届くとまではいかなくても、それに近いものをつくることができた。世界で初めてです」──。
2016年にセブン&アイ・HD会長の座を追われた日本のコンビニの生みの親、同HDの鈴木敏文名誉顧問。約2年ぶりに公の場に姿を現したのは、6月14日、東京都港区内のホテルで開かれたセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)の国内2万店記念パーティーだった。政財界の大物や取引先幹部が居並ぶ中、その足取りと語気の強さは、85歳という年齢を感じさせなかった。
 少年のように目を輝かせながら鈴木氏を見詰める井阪隆一HD社長の後ろで、グループ最大の稼ぎ頭となったSEJの古屋一樹社長の表情はさえなかった。うつむいて顔をしかめたり、眼鏡に手をやったり──。その胸中を推し量るすべはないが、3週間前、5月24日に開かれた株主総会は、司会を務めた井阪氏よりもむしろ古屋氏にとって厳しい時間だったことは確かだ。
 1990年にSEJの加盟店を始めたというオーナーの株主が、「日販50万円からスタート。毎日働き、最近は競合(他チェーン店舗)の閉店もあって、80万円に伸びたが、その途端、近くにSEJが出店した」と暴露。その結果、このオーナー株主の店舗は日販が65万円に下がった。「行き過ぎたドミナント(限られたエリアへの集中出店)、人件費のアップ、社会保険への加入と、店の経営は日々厳しくなっている」と声を震わせながら訴えたのだった。
古屋氏ではなく井阪氏が「一店ごとの経営が健全になされていることが重要だ。店舗巡回する(本部の)社員が店舗の意見を伺って経営に生かす」と決意を語ったが、他にも「カウンターのおでんは大量の廃棄が出る」「17年のロイヤルティー(加盟店が本部に支払う経営指導料)1%の特別減額の効果は」などと、SEJに対する質問が続出。時折ヤジが飛ぶなど、波乱含みの総会となった。長年指摘されてきた本部と加盟店との力関係から生じる問題は、大きく改善されたとは言い難い。例えばSEJでは17年2月、節分の季節商品である恵方巻きについて、本部社員が前年を超える売上数量を示し、従業員別の目標を記録して張り出す用紙まで見せられ、大量の発注を働き掛けられたと現役オーナーが匿名で訴え、テレビのニュースで報じられた。セブン&アイHD広報センターの伊藤真由美シニアオフィサーは本誌の取材に対し、「加盟店に決してノルマは課していないが、目標達成に取り組むのはビジネスマンの責務。私たちも同じ」と話した。
各社とも事情は大きく変わらない。ファミリーマートのあるオーナーは「本部の決算期末に近いころ、おにぎりの割引キャンペーンで、通常の3倍ほどの量を仕入れるよう言われて仕入れたが、大量に売れ残り、廃棄した」と話す。売れ残った商品の廃棄費用の過半は加盟店が負担する。嫌なら仕入れなければよいのだが、そうはいかない。
 「本部との関係が悪化すれば、フランチャイズ契約を解除されたり更新を拒否されかねない」(あるベテランオーナー)との心理が働くのだ。さらに最近では、店舗数を多く増やせない本部が「ビルト・アンド・スクラップ」と呼ばれる店舗の改廃や移転を急ピッチで進めている。その際「普段から本部の指示に従う従順なオーナーほど、よい立地の店を回してもらいやすい」(同)。立地は売り上げに直結するため、まさに死活問題だ。
 「見切り販売」(消費期限が近づいた商品の値下げ販売)が広がらない要因にもこうした背景があるとされる。ファミマのオーナーで、後述するコンビニ加盟店ユニオンに加入し、見切り販売を実施している盛山教也氏は「そもそも見切りのやり方を知らないオーナーも多いが、本部が怖くてやれないという人もいる」と話す。見切りをした店舗に客が集中すれば、定価で売っている店が客を奪われる。本部はやめさせることはできないが、広がってほしくはないというのが本音だ。まさに消耗戦の様相を呈しているコンビニ業界だが、さらなるボトルネックとして加盟店の社会保険料負担が急浮上している。

コンビニ業界の「勝利の方程式」から取り残された加盟店

 健康保険と厚生年金保険の社会保険料の支払いは、法律で定められた義務だ。コンビニ加盟店でも、規模によっては月数十万円の支払いが発生するケースがある。所管する日本年金機構はここ数年、該当する事業所を捕捉し、加入促進に注力している。機構は2015年度から国税庁の情報提供を受けるようになり、捕捉はより確実になった。本部はどのように対応するのか――。セブン&アイHDの松本稔・執行役員コーポレートコミュニケーション本部長は「社保への未加入店舗は放置していない。契約や研修を通じて加入の必要性を伝えている」とした上で、「加盟店の独立性から、従業員を加入させるかどうかに口出しすることはできない」と説明。店舗の従業員の労働時間や給与の計算は、本部のコンピューターにつないで実施しているが、それを社保未加入の実態把握や促進に活用することは「考え方として、ない」と述べた。
 ユニー・ファミリーマートHDの岩崎浩・広報IR室長は「社保加入の必要性は店舗に伝えているが、(加盟店の独立性から)踏み込めない部分もある」、ローソンの宮﨑純・専務執行役員コミュニケーション本部長は「(未加入の)責任は加盟店にあるが、本部には(加入を)指導する責任があり、是正の必要がある」と回答した。程度の差こそあれ、社保は加盟店側の問題という認識は3社に共通している。“加盟店の独立性”を強調するのも同じだ。一方で少子高齢化を考えれば、社会保障の財源確保のため、未加入の事業所を探し出して加入を促すという政府の姿勢が弱まることは、まずない。ましてやマイナンバーの導入などにより、個人や中小企業の財務状況は近年ますます政府に把握されやすくなっている。社会保険料の負担に耐えられない加盟店が今後続出することは明白だろう。
本部はここ数年、「加盟店支援」を掲げて、ようやく廃棄ロスや光熱水費などの各種補助を打ち出している。ただ、前述のSEJのロイヤルティー1%の特別減額も「人件費の上昇分すら賄えない」(現役オーナー)との声が出るなど、抜本的な対策とは言い難い。
 「変化への対応」を掲げた鈴木氏の“勝利の方程式”に倣って成長を遂げた日本のコンビニ業界。商品やサービスは、消費者の変化に対応して確かに磨き上げられた。だが、加盟店の経営や従業員をめぐる情勢の変化に、十分に対応してきたとはいえない。

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コンビニ0.9%増どまり
昨年度店舗数、市場に飽和感 本社調査

2018/7/25 2:00 朝刊 [有料会員限定] コンビニエンスストアの成長鈍化が鮮明になってきた。日本経済新聞社がまとめた「2017年度コンビニエンスストア調査」によると、国内店舗数は5万8137店と前年度比で0.9%増にとどまり、10年ぶりの低い伸びだった。ドラッグストアなど他業種との競争が激しく、出店余地は乏しい。全店売上高も伸び悩み、市場には飽和感が広がっている。
回答を得た20社の17年度の全店売上高は11兆4813億円と2.6%増だった。成長は確保したが伸び率は16年度より0.5ポイント低下。10年度以後で初めて3%を割り込んだ。店舗の増加ペースが落ち込んだことが響いた。
コンビニ全体で6万店弱の店舗網を張り巡らせる一方、インターネット通販や出店拡大を続けるドラッグストアとの競合は激しくなっている。人手不足や人件費の上昇も負担になり、採算に合う立地は限られている。
客数の減少も顕著だ。調査では1店当たりの1日の平均来店客数が前年度比で1.6%減り、964.9人となった。6年連続で前年を下回った。
「ドラッグストアが近所に1店できたと思うとすぐ近くに競合ドラッグ店も出店してきて客数が1割近く落ち込んだ」。埼玉県でコンビニを運営する加盟店オーナーはこう話す。
17年度末の全国のドラッグストア店舗数は前年度比3.5%増の1万9534店。コンビニを上回る伸び率で店舗網を広げている。
コンビニ大手各社はレジ横で販売するフライドチキン類などを充実し、今のところ客単価の伸びは続いている。17年度は1.3%上昇した。ただ客数の減少が続けば、客単価の上昇で補うことが難しくなる可能性があり、フランチャイズチェーン(FC)のオーナーが採算を確保できる新規店舗の出店はさらに難しくなる。
大手各社は集客力の向上に向けた連携を進める。
セブン―イレブン・ジャパンでは店舗をシェア自転車の拠点としている。ファミリーマートではドン・キホーテと組んだ店舗を6月に開業。対象になった2店の客数は1.3倍に伸びた。誕生から続いてきたコンビニの成長を維持できるかどうかは、集客策の成否にかかっている。

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北海道もセブンが勝利か? 追い詰められる地域密着型コンビニ「セコマ」の苦悩

先日、北海道のコンビニ店舗をいくつか確認してきました。北海道は以前も書いたように北海道地区の地域密着型コンビニ「セイコーマート」の本拠地です。

北海道発ローカルコンビニ「セイコーマート」は本州で成功するか

札幌市の中心地よりも少しだけ郊外のエリアや、札幌市以外の市町村に行くと、セイコーマートが「こんな場所にも?」と驚くような地域に出店していました。改めて、本気の地域密着コンビニの本質を垣間見ることができました。いったいどうやって商品を配送しているのか? 近くの別の店まで20-30キロは離れてたなぁ、などなどいろいろな感想を抱きました。そして、北海道の中を移動しながら感じたことは、ローソン・ファミマの店舗がセイコーマート・セブンと比較して圧倒的に目に入ってこない点です。
北海道のコンビニ出店数を各社で比較すると、なんとセブンイレブンがセイコーマートに肉薄してきています。店舗数比較だけで見るとこれだけしか見えてきませんが、実際の店舗を現地で確認してきた感想としては「セコマがセブンに抜かれるのも時間の問題だろう」という感じです。
今回、札幌市、帯広市、千歳市を現地確認してきましたが、だいたいの傾向としては、市中心街にはセブンイレブンが出店し、中心地から少し離れた地域にセイコーマートが出店していました。
地域によっては、ロードサイドにセコマ、セブン、セコマ、セブンと連続して出店しているところもありました。しかし、店舗サイズや駐車場台数などを比較するとセブンイレブンは「新型フォーマット(大型店)」で出店してきており、集客力も高いようです。セイコーマートは比較的、設備の古い(店歴が古い)お店が多いように思いました。設備投資が滞っているのかもしれません。
さて、このセブンイレブンの新フォーマットですが、印象は「大きい」「広い」「カウンター商品充実」「アイス・冷凍食品が多い」などと好意的な感想が多いのですが、実際にコンビニ業界関係のプロとして店内を確認しますと、どうしても譲れない(妥協できない)問題点があります。
それは、商品購入の連続性が途切れてしまう点です。一般的なコンビニですと、入口から雑誌を立ち読みして、飲料ケース前で飲み物やビール類を購入してついでにおつまみも買って、パン・乳飲料・弁当・パスタを購入してレジで精算というお客さんの購買行動に合わせたレイアウトになっています。消費者として買い物をしていると、逆回りや店内をウロウロする必要がなく、欲しいものが素早く見つけられる、まさに「コンビニエンス(便利な)」買い物ができました。
しかし、セブンイレブンの新フォーマットは、弁当ケースと飲料・酒類ケースが店内の逆側に設置されているため、右奥・左奥にそれぞれ歩き回らないと欲しい商品が揃うことができません。
店舗面積が広く、消費者が「利便性」よりも「快適性・品揃えの豊富さ(ミニスーパー)」的な要素を求めている立地・地域であれば成り立つフォーマットなのでしょうが、都心部の過密・消費者の買い物時間短縮要望が強いエリアでは成り立ちにくいモデルであると感じました。今後の改善に期待したいと思います。

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