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4月23日からローソンの都内3店舗で、スマートフォンを使って商品の決済をする「ローソンスマホペイ」というサービスが実験的に導入されました。

「レジに並ぶことなく、店内のどこでも決済が可能」、何より「待ち時間がゼロ」という画期的なサービス。その導入には、コンビニを利用する側のメリットもありますが、実はお店の側にとっても切実な事情があります。それはどんなものなのでしょうか?

コンビニ業界が抱える深刻な問題

コンビニ業界やBtoCビジネスの現場において、現在、深刻な問題となっているのが「人手不足」です。少子高齢化の影響で働き手がどんどん減少していて、これからも人手を巡る争いがさらに激しくなると予想されています。これに関連して、特に都心部で働いている読者の方々は、コンビニをはじめ多くの店舗で、外国人労働者が以前にも増して多くなっていることを実感されているのではないでしょうか。コンビニ経営における最大の経費は「人件費」です。しかし、必要な働き手に来てもらうために、採用コストを増やしたり近隣店舗との競争が激化したりすることで、人件費が高騰し、コンビニ経営自体が難しくなる場合もあります。

人手不足を解決する「スマホ決済」

つまり、労働者が足りない現状を打開するために、ローソンはお客が自分で商品の決済をする「ローソンスマホペイ」の導入を進めているという側面もあるのです。具体的には、専用のアプリを使用して、スマートフォンで商品のバーコードを読み取り、事前に登録したキャッシュカード等で支払いを行います。その後、スマートフォンの画面に表示されたQRコードを店内にある機械にかざすことで、決済が完了します。このように万引きなどへの対策もなされている上に、利用できる商品には制限があり、お酒やタバコなどの年齢確認が必要な商品は有人のレジでのみ購入できる仕組みです。消費者が自分で決済を行うことで従業員のレジ作業が必要なく、レジに並ばずに商品を購入することができるので混雑の解消にもつながると期待されています。実験的に設置を行う店舗のうち2店舗は、従業員がレジ打ち以外の仕事を行うために、午前1時~午前4時まではレジに人を配置せず「ローソンスマホペイ」での決済をメインに営業する方針を示しています。そうすることで、より少人数での営業が可能になり、人件費の削減につながるとのことです。

「無人化」が進む小売業

現在、コンビニだけでなく、スーパーマーケットやレンタルビデオ店などでも「セルフレジ」の導入が多く見られるようになっています。さらに最近では、パナソニックが開発した、レジ打ちから商品の袋詰めまでをすべて自動で行う「レジロボ」という機械が導入されたり、Amazonが運営するレジのない無人スーパー「Amazon Go」の1号店が米国シアトルにオープンしたりしています。「ローソンスマホペイ」は5月までの実験利用を予定していて、実際に利用したお客や従業員の声などによって改善点を明らかにし、今年9月にはニーズの見込める店舗や要望のある店舗での本格的な導入ができるように進めているとのこと。競争が激化しているコンビニ業界は、他の企業との差別化を図るために、そしてより効率的な営業をするために、これからさらなる変化を遂げるかもしれませんね。

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見直しの時期を迎えるコンビニの24時間営業

ファミリーレストランなどで24時間営業を止めるところが増えるなか、コンビニにおいても24時間・365日営業の是非について、各社で検討が行われています。しかしながら、この手の議論はすでに20年ぐらい前から続いているものです。
最近ではこのようなニュースがありました。福井県のあるセブンイレブンオーナーは、記録的な大雪を理由に、24時間営業の停止を何度も訴えました。しかしセブン側はその要求には応じず、店を開けるよう回答したのです。一緒に勤務していたオーナーの妻は、長時間の雪かきの末に倒れて救急車で運ばれましたが、オーナーは営業をやめられないため、付き添うことができなかったとのこと。他のスタッフの出勤も困難で、結局は約50時間不眠で働くことになったそうです。
コンビニ業務には飲料ケースの出し入れや商品の品出し作業など、肉体労働も数多くあります。過去に約2日間ぶっつづけの不眠営業を経験したというスタッフに話を聞いたことがありますが、レジでお客さんの対応をしながら、そういった数々の作業をこなしていくと、だんだんとハイになってくるとのこと。一時レジ待ちの列がお店の外にまで伸びたそうですが、誰の助けを求めることもできず、たった一人でレジを打ち続けたそうです。
また、とある私鉄線の駅前にあった店舗での出来事です。一般的には深夜時間帯であっても、駅前の店舗なら繁華街が近くにあることも多く、そこそこの客数が見込めるのですが、その駅は郊外にあったため深夜時間帯に駅前・店前を通る人はほとんど皆無でした。
この店舗のオーナーがある日、チェーン本部に反旗を翻しました。「お客さんが来ない時間に営業する必要性はない。営業時間は加盟店契約には24時間と記載されているが、24時間以外の契約に変更する」と。チェーン本部としては、この店舗が深夜営業を中止すると、商圏を他社に奪われる危険性や、物流納品時間の変更などのコスト増が発生するため、24時間営業を続けるよう必死の説得を行いました。
しかし最終的に、チェーン本部とこのオーナーとの契約は打ち切りとなり、直営店としてリニューアルオープンすることになりました。この契約変更手続きが解決するまでの期間、店舗を維持させ続けるため、本部社員が日替わりで深夜勤務をしていたそうです。
ローソンの人手不足への対応は評価されるのか
24時間・365日営業を続けているコンビニが、社会にとって必要不可欠なインフラとなっていることは間違いない事実です。しかしながら現実は、先ほどのニュースにあるように、経営者(オーナー夫妻)が自らの身を削って店舗運営を続けている側面もあります。
コンビニ本部からすると、営業時間短縮は売上ダウンに繋がり、加盟店ロイヤリティ収入の減少に繋がります。よって、オーナーから営業時間を短縮したいという訴えがあっても、「フランチャイズ契約に則り、役割分担をしています」と回答し、オーナーが倒れようとも営業を続けさせようとします。言葉は悪いですが、オーナー夫妻を含めた店舗運営コストは度外視なのです。
日本は今後人口が減少していき、同時に働き手も減少していきます。このような状況下で、これまで暗黙の了解で続けられてきたオーナー家族による滅私奉公が途切れてしまうと、これまでなんとか続いていたコンビニの24時間・365日営業が立ち行かなくなってしまうのは明白です。
こういう流れも影響してか、最近ローソンは深夜のレジを無人にした店舗を今年中に展開すると発表しました。レジ打ちの人員削減を目的とし、お客様のスマホに専用アプリをダウンロードしてもらい、それで決済を行うというもの。スマホを持たないお客さんは店内に入ることができないので、間違いなく売上は減りそうですが、それでも人手不足への対応をすることが重要と判断したのでしょう。
先日発表されたローソンの決算発表は、あまり良い結果ではありませんでした。売上的にも苦境のなか、ローソンのこのような取組みが、果たしてチェーンとしての競争力を高めるものと判断してもらえるかどうか、とても興味深いところです。

by日比谷

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セブンがネットコンビニ

2800品、最短2時間で宅配

2018/5/11 2:00 朝刊 [日経]

セブン―イレブン・ジャパンは10日、店舗で販売する商品をスマートフォン(スマホ)から注文できるサービス戦略を発表した。注文から最短2時間で自宅など指定した場所で受け取ることができる。コンビニエンスストアでは初のサービス。アマゾンジャパン(東京・目黒)などの参入で伸びが見込まれる食の宅配需要を取り込む。
「ネットコンビニ」と呼ぶサービスを、2017年10月に北海道小樽市などの25店で始めていた。効果が見込めたことから、エリアを拡大する。19年8月までに北海道内の全約1000店で展開し、同年9月以降に順次、全国の2万店超に拡大する計画だ。
利用者はスマホで届け先や店舗を選択し、コンビニで扱うおにぎりや弁当など2800品から商品を注文できる。注文は24時間可能だ。
10日開いた説明会で古屋一樹社長は「2万店で2800品をすぐに届けられるサービスは、リアル店舗を持つセブンにしかできない」と話した。店舗での販売だけでなく配送も手掛けることで、「自宅を離れられない」「2時間後に商品が欲しい」といった消費者のニーズに対応。利便性を高める。
配送は17年に業務提携したセイノーホールディングス子会社が手掛ける。利用者の注文を受けると、エリアを巡回する同社の配送車が店舗に商品を取りに行き、自宅などに届ける仕組みだ。1回の注文は千円以上とし、配送料は216円。3千円以上の購入で配送は無料とする。ドライバーは近隣に住む女性などを採用する計画で「全国展開も問題ない」(古屋社長)という。
食品スーパー大手各社は店舗で売る商品を自宅まで届ける「ネットスーパー」を展開するが、コンビニ大手で店舗の商品を配送するサービスは初めて。セブンも00年から食品の宅配サービス「セブンミール」を展開するが、扱う商品はセブンミール専用の日替わり弁当が主力で、店頭で売る商品は一部しか配送に対応していなかった。
食の宅配には参入が相次ぐ。アマゾンジャパンは17年4月、生鮮食品のインターネット宅配「アマゾンフレッシュ」を始めた。国内ネット通販大手の楽天も米ウォルマート傘下の西友と組んでネットスーパーの展開を始める計画だ。

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売上前年割れが続くローソン

昨年の話ですが、セブンイレブンの2017年10月の既存店売上高が63か月ぶりに前年割れとなったことは、当連載でも取り上げましたのでお覚えの方も多いかと思います。
2度の台風襲来による客足の鈍りが原因と考えられ、その月はローソン・ファミリーマートも前年割れとなったのですが、ではその後の3大チェーンの既存店売上高はどのような結果になったのでしょうか。
以下は、昨年度の3大チェーンにおける既存店売上高の推移を表にしたものです。
実は前年度割れは、翌月の11月も続いていました。その後はセブンイレブンは持ち直したものの、ファミリーマートは前年超えと前年割れを繰り返す状況。ローソンに至っては昨年10月以降、5か月連続で前年割れとなる厳しい結果となっています。
そんななか、先日4月11日に行われたローソンとファミリーマートの決算発表。結果は以下の通りとなり、翌日の朝刊紙は「ローソン大幅減益」「ファミリーマート営業赤字」と報じました。
いっぽうで、この2社より先のタイミングで発表されたセブンイレブンの決算は、増収増益と絶好調でした。三強寡占化といわれて久しかったコンビニ業界でしたが、現状では寡占化がさらに進んで「一強その他」という構図になりつつあります。
ローソン、ファミリーマートの決算発表の明暗
さて、ともに厳しい決算となったローソンとファミリーマートですが、決算後の株価に関しては明暗が分かれました。
決算発表翌日、4月12日の株価推移を見てみると、ローソンが7,180円から6,600円まで一時落ち込む結果となったのに対し、ファミリーマートのほうは8,970円から9,350円まで急騰する結果となりました。
両社の間で、なぜこのような差が出たのか。それは、ローソンが店舗数を増やすことで売上高を上げるという、従来からの常套手段を続けているのに対して、ファミリーマートはサークルKサンクスとの統合を進めるなかで、店舗数や売上の減少を厭わず不採算店舗や重複店舗を整理したことを、市場が前向きに評価したからだと考えられます。
不採算店舗の閉鎖や、より良い立地へのスクラップ&ビルドを進めたファミリーマート。それらの処理により、現存損失で284億円を計上しました。
くわえて興味深いのは、直営店舗数の変化です。一般的にコンビニチェーンにおける本部直営店とは、その収益性よりもマーケット占有や、フランチャイズオーナーが見つかるまでのつなぎとして出店しているケースが多いのです。実際、本部直営店では本部社員が店長として勤務しているため、人件費などのコストが高くなり、収益性が低くなる傾向にあります。
ファミリーマートの直営店舗数を見てみると、ここ1年で356店から299店に。サークルKサンクスのほうも373店から143店に減っています。合併したサークルKサンクスの直営店を減らすのはわかりますが、ファミリーマート自体の直営店舗も整理の対象となっているのは、正直驚きです。
前期決算が営業赤字となったファミリーマートですが、このように収益性改善へのアクションを積極的に行っていることを、市場は評価したのです。逆にローソンは、これまでと同じ経営を続けており、将来に向けたビジョンが見えにくいと見られたのです。

日比谷 新太(コンビニ業界ジャーナリスト

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セブン-イレブンの新型POSレジ解剖、伝統のボタンでnanacoを補完

2018/05/07 清嶋 直樹=日経 xTECH/日経コンピュータ

 コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンは2017年10月から、「第7次POS(販売時点情報管理)レジスター」の導入を進めている。2018年3月末までに、全国で約2万店、4万5000台のレジの切り替えを終える計画だ。POSレジの全面刷新は、実に11年ぶり。投資額は店頭作業用の端末など周辺システムと合わせて、約520億円と巨額だ。

セブン-イレブンの新型POS(販売時点情報管理)レジ。東芝テック製のWindows 10機を採用

 新型レジは従来と同じく、東芝テック製を採用した。OSはこれまでWindows XPを「延命」して使っていたが、新型レジではWindows 10を採用した。
 刷新の狙いは店員にとってのレジの使い勝手向上だ。少子高齢化で若いアルバイトを確保しにくくなっているが、レジの操作が難しいと余計に敬遠されたり、せっかく採用してもすぐに辞めてしまったりする。
 こうした課題の解消に向けて、セブン-イレブンの森祐樹システム本部商品・情報システム部シニアオフィサーは「レジなどの店舗機器を変えても、店員が違和感なく使えるように工夫した」と説明する。実際に新旧機を見比べると、店員側から見た画面やボタンの配置はほとんど変わっていない。
店員側から見た従来型レジ(左)と新型レジの外観。キーボードの一部をタッチパネル(ソフトキー)に変えた以外は大きな変化がない

キーボードには伝統の客層キーを残す

キーボードの中央部分には10個のキーがある。店員が顧客の見た目から、性別と年代を入力する「客層キー」だ。店員が会計の最後に客層キーを押さないと、精算が完了しない仕組みになっている。左側の5個は青い数字(男性)、右側の5個は赤い数字(女性)で、それぞれの数字は「12(~12歳)」「19(~19歳)」「29(~29歳)」「49(~49歳)」「50(50歳以上)」を意味している。
キーボードにある10個の客層キー。店員が顧客の性別と年代を見た目で判断し、入力する
 客層キーは顧客分析を徹底するため、1985年ごろにセブン-イレブンが業界で初めて導入したものだ。その後、同業他社にも広がった。しかし今回、セブン-イレブンとほぼ同時期にレジの刷新を進めているファミリーマートとローソンはともに、新型レジで客層キーを廃止した。いつまでもセブン-イレブンのまねをしていては、最大手の壁は越えられないと判断し、違う道を選んだ。
 セブン-イレブンが客層キーを残したのは、決済手段の多様化と関係がある。セブン-イレブンは独自の電子マネー「nanaco(ナナコ)」を発行しており、nanacoの利用者については客層キーがなくても顧客属性を把握できる。しかし、nanacoの利用率はまだ顧客全体の20%強にとどまっている。
全体を把握するには、全然足りない。客層キーは店員の「押し間違い」や「面倒なので適当に押す」といったリスクを避けられないが、それでもセブン-イレブンは押し間違いを10%台に抑えられているという。分析精度はある程度確保できていると判断し、客層キーを残した。

「マニュアルが嫌で辞める」は避けたい

 店員側の操作画面の大枠は変えていないものの、細かい点では機能や操作性を向上させている。例えば、数字キーや客層キー以外のキーは、画面変更で柔軟に機能を追加・修正できる「ソフトキー」に変えた。
 タッチパネルのディスプレー画面の操作では「マニュアルレス」を徹底した。宅配便や年賀状、スポーツくじなど10種類のサービス処理については、詳細なガイドを画面に出す。宅配便の受け付けなら、伝票のバーコードをスキャンすれば、あとは宅配の種類や届け先の入力ボタンが画面に表示され、それに従って順にタッチしていけば受け付けを完了できるようにしている。店員が迷うことなく、顧客を待たせる時間を最小限に抑えられる。
宅配便受け付け用の画面。店員が直感的に入力していけば、手続きを完了できるように工夫している。
 セブン-イレブンの店員数は2万店の合計で、約37万人に上る。だがそのなかには「店舗機器のマニュアルを覚えるのが苦痛で辞める」という人も少なくない。店員が辞めれば、人手の確保と教育はやり直しになり、コスト負担が増えていく。「そうした事案を少しでも減らしたい」(森シニアオフィサー)との思いで、マニュアルがなくても操作できるレジの設計を心がけた。
 店員確保のため、今後は外国人の採用を一層増やしていくことが考えられる。新型レジは店員用の画面を多言語対応できるように準備しているという。ただ、実際に使うかどうかは、今後慎重に検討していく。「レジの操作は日本語が分からなくてもできるように工夫したつもりだ。しかし、日本語が分からない外国人が本当に店舗業務をこなせるのかを精査していく必要がある」(同)。

改正割賦販売法には今秋にもソフト変更で対応

 顧客側から見た新型レジの外観は大きく変わった。ディスプレーは12インチから15インチに大きくなり、文字サイズも2割大きくなった。「高齢者にも文字が見やすいように配慮した」(森シニアオフィサー)。
顧客側から見た新型レジ(左)と従来型レジの外観の違い。新型レジはディスプレーを12インチから15インチに大きくし、接触ICクレジットカード対応のピンパッドを付けた
 レジの右下には、暗証番号入力用のピンパッドとカードの挿入口があるのも目新しい。接触ICクレジットカードに対応するために取り付けた。もっとも、2018年6月1日に施行される改正割賦販売法ではクレジットカードを扱う全加盟店に接触ICクレジットカードへの対応が義務づけられるが、新型レジはまだソフトが対応できていない。接触ICクレジットカードは使えない状態だ。2018年秋ごろをメドに、ソフト更新で対応する計画である。

レジ前面右下に接触ICクレジットカードの挿入口とピンパッドを内蔵

関連記事:店舗決済端末のICクレジット対応、義務付けも目立つ遅れ
 ライバルは決済端末をレジの外付けにしているケースが多い。しかし、セブン-イレブンはレジと一体化した。篠沢良太システム本部店舗システム部決済・サービスシステムマネジャーは「接触ICクレジットカード対応を含むセキュリティの強化は、第7次POSレジスターの構想に最初から入っていた。従来型のレジでも電子マネー決済端末をレジと一体化していたが、第7次POSレジスターでもカウンタースペースを広くスッキリさせるため、レジとの一体化にはこだわった」と説明する。
 決済端末部に採用したのは、パナソニックの「JT-R610CRシリーズ」である。これをレジ本体に組み込み、レジの一部として利用できるようにした。

新型レジに組み込んだ決済端末は、パナソニックの「JT-R610CRシリーズ」

 セブン-イレブンは一部の店舗で、中国発の2次元バーコード決済サービス「支付宝(Alipay、アリペイ)」を導入している。現在アリペイだけはレジとは別の機器で決済処理をしている。だが今後のインバウンド需要の動向を見据えながら、ほかの電子決済と同様にレジの一部に処理機能を取り込むことを視野に入れている。

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ファミマ、民泊でエアビーと提携 店舗で鍵受け渡し

2018/5/14 10:38

ファミリーマートは14日、民泊仲介の世界最大手、米エアビーアンドビーの日本法人と業務提携することで合意したと発表した。民泊利用者への鍵の受け渡しなどにファミマの店舗網を活用する。民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法(民泊法)の施行を来月に控え、コンビニエンスストアと民泊事業者の提携が広がりをみせてきた。
21日午前に東京都豊島区のファミマ本社で両社共同で記者会見を開き、業務提携の内容や今後の両社の取り組みについて説明するという。
6月15日の民泊法施行に合わせ、コンビニが民泊の拠点となる動きが相次ぐ。最大手のセブン―イレブン・ジャパンはJTBと連携し、店舗を民泊のチェックイン拠点として活用する。店内に専用端末を設置し、本人確認や鍵の受け渡しをできるようにする計画で、2020年度までに全国主要都市の1千店で展開する。
ローソンでは1月、民泊などで使う鍵の保管ボックスを店内に設け、物件の所有者や運営会社と対面せずに鍵の受け取りや返却ができるようにした。18年度末までに外国人観光客が多く訪れる都市部を中心に100店に拡大する。
既存店の来店客数が伸び悩むコンビニ各社は、民泊のサービス拠点となることで、訪日客などの民泊利用者を店舗に呼び込みたい考えだ。

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ファミマの新型POSレジ、客層ボタンを廃止した理由

2018/05/08
清嶋 直樹=日経 xTECH/日経コンピュータ
 ファミリーマートは2017年7月にPOS(販売時点情報管理)レジ刷新に着手した。全面刷新はセブン-イレブン・ジャパンと同じく、約11年ぶりだ。
 経営統合した旧サークルK・サンクス店舗をファミリーマートにブランド変更したうえで、2018年8月までに同じ新型レジを導入する計画。2018年2月末までに、旧ファミマ全店と、ブランド変更済み店舗の合計約1万6000店への導入が完了した。ブランド変更前の残り約1500店についても、2018年8月までに新型レジの導入を進め、最終的には約1万7500店で稼働する。投資額は旧ファミマ分だけで約110億円である。
 新型レジは従来型と同じ、東芝テック製。電子マネー決済端末を一体化したうえで、本体サイズを13%縮小し、レジカウンターのスペースを広げて有効活用できるようにした。従来型レジ(左)と新型レジの外観。新型レジは本体サイズを13%縮小した。電子マネー決済機能も一体化した
操作簡略化のため客層キーを廃止
 ファミマの情報システム部門担当者は「操作を簡略化し、店員の負担を減らすことがレジ刷新の最大の狙いだ。スーパーなどに比べてコンビニのレジ業務は大変だと思われがちで、店員採用時の障壁になっていた」と説明する。その解消策の1つとして客層キーを廃止した。セブン-イレブンが新型レジでも客層キーを残したのとは対照的だ。客層キーの廃止によって、レジのボタン数は従来の41個から28個まで減った。ファミマは「キー入力1つでも店員の負担を減らしたかった。特に繁忙時は客層キーの入力が雑になっていた」と説明する。
ファミリーマートの新型レジの特徴。客層キーをいち早く廃止した新型レジでは客層キーの代わりに、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する共通ポイントカード「Tカード」の会員情報を使う。ファミマではTカードの利用率が5割前後という。Tカード利用者の客層はカード登録情報から正確に把握できる。客層キーの「正解率」を調べたところ2~3割と低く、廃止しても問題ないと判断した。
バーコード起点でサービス受け付け
 さらに、コンビニの店員が負担に感じがちなサービス処理の受け付けについては、バーコードを起点に簡略化するように手を打った。具体的には「iTunes Card」のような金券販売や宅配便受け付けなどバーコードを使う10種類のサービスについては、カードや伝票のバーコードをレジに付属するバーコードリーダーでスキャンするだけで処理できるようにした。従来はタッチディスプレーのメニューをたどる必要があり、慣れない店員が混乱する原因になっていた。バーコードを利用する発想は以前からあったが、一部のプライベートブランド商品とサービスのバーコード番号が重複していたため、実装が難しかったという。サービス用のバーコードを読み取ったときに、商品だと誤認識してしまうからだ。そこでレジ刷新の準備段階でバーコードの番号体系を整理し、重複を排除して実装にこぎ着けた。
新型レジの先行導入店では既に、昼時など繁忙時間帯にレジ通過客数が数%伸びる効果が出ているという。客層キーの廃止やバーコードの見直しによって店員のレジ処理時間を短縮でき、顧客のレジ待ち時間が減少する効果が出ているようだ。
 クレジットカードや電子マネーなどの決済機能については、現時点では新旧レジで変化はない。カード決済時は磁気ストライプを読み取る従来方式のまま。新型レジにはセブン-イレブンのような接触ICクレジットカードの読み取り機能やピンパッドはない。2018年6月1日の改正割賦販売法の施行後には必須となる接触ICクレジットカード対応は、今後の課題になる。ファミマは新型レジの導入完了後に、決済機能を順次見直していく方針である。

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セブン新型店、再生エネ5割

太陽光発電3倍・HV電池で蓄電
2018/5/16 2:00 朝刊 [日経]

セブン―イレブン・ジャパンは5月下旬、再生可能エネルギーで電力使用量の5割をまかなう新型店を開く。路面に太陽光パネルを埋め込み、ハイブリッド車(HV)の中古電池を蓄電池にするなどして現在の1割から高める。店舗の電力代も半減できる見込み。再生可能エネルギーを5割使う試みはコンビニ大手で初めて。
セブンは新型店を相模原市に開く。運営コストと二酸化炭素(CO2)排出量をともに大きく削減するため、環境などに関する90の技術を新たに採用する。初期投資額は明らかにしていない。1年間の成果をみて、利用できる技術を広げていく。
セブンは全国で2万を超す店舗のうち、約8000店に太陽光パネルを設け、各店舗の使用電力の約7%を再生エネでまかなう。新型店は太陽光パネルの設置面積を従来の3倍に増やす。屋根の敷設を広げるほか、フランス建設大手ブイググループの技術を使い、駐車場のうち車の止まらないスペースなどに太陽光パネルを埋める。
生みだした電気は昼間に蓄え、夜に使うことで電力会社からの購入を減らす。トヨタ自動車のHV「プリウス」20台分の中古電池や東芝の大型蓄電池を活用する。
セブンは16年度の1店舗あたりのCO2排出量が74トンとなる。14年度に比べ15%削減していたが、店数が増え全体は2%減にとどまった。新技術により、店数が増えてもCO2は減らすことができる仕組みを目指す。
環境・社会・企業統治の観点から投資対象を選ぶESG投資の流れが強まっていることもあり、コンビニ各社の環境対策は今後進みそうだ。

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メルカリ便、セブンでも 店側は憂鬱

2018/5/15 5:40 [日経ビジネス] 「メルカリまでとても手が回らない。うちの店舗では取り扱わないことも考えている」。都内にあるセブン-イレブン・ジャパンのFC(フランチャイズチェーン)加盟店のオーナーはこう話す。

全国2万店のセブンでメルカリの商品発送が可能に

2018年5月7日からセブンイレブンで、フリーマーケットアプリ大手メルカリの「らくらくメルカリ便」の取り扱いが始まった。らくらくメルカリ便は、売り手と買い手がお互いの宛名を表示せずに商品を発送できるサービスだ。これまでも、ヤマト運輸の営業所や同じくコンビニエンスストアであるファミリーマートなどに持ち込み、発送することができた。1日の出品数が100万品を超えるまでに成長したメルカリ。セブンイレブンとしても「発送目的で店舗を訪れる顧客の『ついで買い』が狙える」(セブン広報)など、集客効果を期待する。
メルカリ利用者にとってはうれしいニュースだが、受付の仕事を担う加盟店側の受け止め方は一様でない。冒頭のオーナーは「お客にとって便利なのは良いことだが、受け付けによる手数料収入は微々たるもの。ついで買いの効果も分からないし、店舗の負担を考えると割に合わない」と懸念する。店員の作業はどれほど大変なのか。2016年から同サービスを扱ってきたファミリーマート。記者が実際に店舗への持ち込みで商品を発送してみた。まず店内の端末にメルカリのスマートフォンアプリ上で表示したバーコードをかざすか、もしくは受付番号を打ち込むと、レシートが出力される。レシートと商品をレジに持っていくと、店員がレシートのバーコードを読み取る。お客はそこで渡される伝票を商品に貼り付けるだけで受け付け完了だ。記者が試した際は、やり取りは1分程度で終わった。ただサービスの頻度が少ないだけに「作業に慣れていなかったり理解していなかったりする店員がいるのが実態」(都内でファミマを経営するオーナー)だ。そうすると余計に時間がかかり、他の顧客がレジ待ちで並ぶような状況になりかねないという。他にも例えば「運送会社が集荷にくる時間を店員が把握せず、配送が遅れることもある」という。顧客に謝るなどの対応も迫られかねない。

「正直セブンに流れてほしい」

これまでコンビニは、顧客ニーズへの対応を大義名分にサービスメニューを広げ続けてきた。公共料金の支払いに始まり、コピー機の管理、店内調理の揚げ物の販売など様々だ。ネット通販商品のコンビニ受け取りも急速に広がった。最近では、セブンイレブンが先月、登山やゴルフなどを対象にした「レジャー保険」の販売を始めるなど、店員が覚えなければならない作業は増えている。都内のファミマで働くアルバイトの男性は「メルカリの利用は正直セブンに流れてくれた方が楽」と話す。業務が増えても簡単に時給は上げられず、より採用が難しくなると懸念するオーナーもいる。消費者にとって便利であっても、人間の作業には当然限界がある。人手不足を背景に各社は無人レジなどの研究を進めている。通常の買い物は無人レジで処理し、店員は人手のいるサービスに集中するような店舗運営の仕組みが整わないと、さらなる利便性アップは難しいかもしれない。

(日経ビジネス 浅松和海)

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セブンVSアマゾン、食品ネット販売、勝つのはどちら?

大岩佐和子編集委員 2018/5/18 11:50 [日経]

 セブンイレブンとアマゾンが食品のネット販売で競合すると聞きました。暮らしにどう影響しますか。
「ニュースのなぜ?」を日本経済新聞の編集委員が解説します。Twitterで質問を募集中です。
回答者:大岩佐和子編集委員セブンイレブンが「ネットコンビニ」を全国で始めます。スマートフォン(スマホ)で注文すると最短2時間で食品や日用品などを届けてくれます。日用品のネット販売はすでに広く普及していますが、生鮮品を含む食品のネット販売は大手スーパーのほか、アマゾンが参入し、ネット販売の主戦場の一つとなっています。セブンとアマゾンの戦いはどちらに軍配が上がるでしょうか。

コンビニの商品を24時間注文可能に

ネットコンビニの取扱品目は約2800点。スマホで注文する際に、近くの店舗を選び、その時点で、その店にある品物が発送対象となります。全国2万店の店舗をデポ(物流拠点)、店頭の商品を在庫として活用する発想です。送料は216円(3000円以上で無料)で、1時間単位で届け時間(午前11時から午後8時まで)を選べます。一方、アマゾンが昨年4月に始めた「アマゾンフレッシュ」は品ぞろえが17万点以上で、コンビニにない新鮮な野菜や肉もあります。深夜も受け取り可能ですが、送料は500円(6000円以上で無料、別途会費が月500円)。最短でも4時間かかり、配送時間の指定は2時間単位から、とネットコンビニに比べると不便です。
ネット通販の利点は店舗に行かなくても欲しい商品を手に入れられることにあります。しかし、小さなスマホ画面での買い物は快適とは程遠い状況です。商品の検索や比較のために何回もクリックしたり、画面をスクロールしたりしなければなりません。次の画面や前の画面に行ったり来たりするのは面倒です。
店頭で棚に並ぶ品物がぱっと目に入り、いろいろ比べて、カゴから簡単に出し入れできる。こんな「いつもの買い物」を超える利便性がなければ、ネットで食品を買うのは、物理的にどうしても店に行けないときなどに限られるでしょう。
食品のネット販売が広く普及するには、映像や音声などの最新技術を組み合わせた新しいインターフェースが欠かせません。たとえば仮想店舗の売り場をカゴを持って歩きまわり、音声で品物をカゴに入れ、手に持った感覚で生鮮品の品質を確認できれば、もっと使いたいと思うはずです。
忙しい現代の消費者はインターフェースの使い勝手が少しでも悪ければストレスを感じます。店頭に行く以上の便利さを実感できるようになるにはまだまだ改善の余地が大きいです。
結論:セブンとアマゾンの戦いでどちらが勝つかは、品ぞろえや配送時間だけでなく、消費者にストレスを与えないインターフェースを実現できるかどうかにかかっています。

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ローソンの全く新しいPOSレジ 物理ボタンが無い

コンビニ3社 POSレジ競争

2018/5/21 6:30 [日経]

コンビニエンスストア大手のセブン―イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンの3社は2017年から19年にかけて、一斉にPOS(販売時点情報管理)レジを全面刷新する。ボタン配置や決済対応などに各社のこだわりがにじむ。

コンビニ初の全面タッチ操作

ローソンの新型POSレジ。15.6インチの縦長ディスプレーを2枚組み合わせた特徴的な外観
ローソンは17年11月からPOSレジの刷新を始めた。18年3月上旬までの導入店舗数は約250店。セブン―イレブン・ジャパン(以下、セブン)やファミリーマート(以下、ファミマ)に比べればまだ台数は少ないが、19年2月末までに全国約1万3000店、3万2000台の置き換えを済ませる計画だ。
レジの刷新は約10年ぶり。投資額は非公開である。ローソンはセブンやファミマとは根本的に構造が異なるフルタッチディスプレーのレジを採用した。コンビニ大手としてフルタッチの全面採用は初めてのことだ。15.6インチの縦長ディスプレーを店員側と顧客側に2面配置したレジを、NECと共同開発した。
レシートのプリンターや決済端末は外付けであり、新たに自動釣り銭機をレジ下の棚に配置。レジに物理的なキーは一切無く、全てをタッチディスプレーで操作する。機器コストは従来よりも、やや高くなった。

大画面でも幅狭く カウンターを広く使える

新構造を採用した理由について、秦野芳宏経営戦略本部副本部長は「画面サイズを大きくしつつ、カウンタースペースを確保するため」と説明する。レジの横幅は従来型の43cmの約3分の2に相当する29cmに抑えた。その分、カウンターを広く使えるようにしている。物理キーを廃止したため、レジ操作は3社のなかで最も変わった。だが「個人向けタブレットの操作に慣れた若い店員にとっては、物理キーと画面が分かれた従来型のレジよりも、むしろ使いやすいようだ」と秦野副本部長はみる。レジ機能の切り換えにはスワイプ操作を使うが、従来型に慣れたベテラン店員向けには矢印キーによる切り換えもできるようにした。
ローソンの新型レジの店員側の様子と特徴(出所:ローソン提供のレジ画像を日経コンピュータが加工)
ローソンもファミマと同様に、新型レジで客層キーを廃止した。共通ポイントカード「Ponta(ポンタ)」の利用率が5割程度と高いため、そこからの情報で分析できると考えたからだ。

A/Bテストを重ね、画面デザインを工夫

人手不足や店員の採用難への対策にも余念がない。店員向けの大きな画面に宅配便やチケット、金券販売など多様なサービスの受け付け方法を細かく表示。採用したばかりの新人でも、マニュアル無しで操作できるように配慮している。
ローソンの高原理彦店舗システム部部長は「従来はユーザーインタフェース(UI)の設計にさほど注力していなかった。だが新型レジへの刷新に際しては、UI重視の姿勢に変えた」と話す。UI設計のため開発チームにデザイナーを入れ、複数のデザイン候補から操作しやすいほうを選ぶA/Bテストを重ねたという。
フルタッチディスプレーの採用には、UIの変更をしやすくする狙いもある。「従来型レジはサービスの追加や業務変更のたびに、その内容を無理やりレジに反映することを繰り返してきた。そのため操作が複雑になってしまった。新型レジではソフトウエアの変更だけで、操作方法を柔軟に変えられるようになった」(高原部長)。
18年6月以降には店員の操作画面の多言語対応も予定している。日本語のほかに、簡体中国語、ベトナム語などにも対応。日本語が得意ではない外国人の店員でも操作しやすくしている。
食品スーパーなどでの導入が多い自動釣り銭機の本格導入も、コンビニ大手では初めてだ。現金を投入すれば釣り銭が自動的に出てくるのでわざわざ数える必要がなく、間違いもない。レジ処理時間の短縮につながる。「現金に触れる時間や緊張感を減らし、その分を『からあげクン』の調理など、他の業務に使ってもらいたい」(秦野副本部長)。

大手コンビニで唯一、接触IC対応を完了

18年2月までに接触ICクレジットカード対応を完了させたのも、他社にはないローソンのレジの特徴だ。新型レジは導入時点から対応済み。現行の従来型レジも18年1月から2月にかけて、切り換え作業だけは先行して実施した。
接触ICクレジットカード対応完了後のレジの様子(出所:ローソン)
18年6月1日に施行される改正割賦販売法では、クレジットカード決済を扱う店舗は接触ICクレジットカードへの対応が義務づけられる。セブンとファミマは18年3月時点では接触ICクレジットカードに未対応であり、クレジットカード利用時は磁気部を読み取っている。
ローソンは新型、従来型の両方のレジで、外付けの決済端末にパナソニックの「JT-R600CRシリーズ」を採用している。従来型レジは切り換え前には接触ICクレジットカードの関連機能部分にプラスチックカバーが付いており、非接触電子マネーの読み取り部だけを使っていた。
だが現在はカバーが外されている。クレジットカード決済を希望する顧客は、自分でカードを挿入する。接触IC非対応のカードを使う場合も、自分でカードをスワイプして磁気部を読み取らせる方式に変えた。カードの悪用を心配する顧客が店員にカードを手渡すのを嫌う海外では、一般的な方式だ。
改正割賦販売法の施行により、他のコンビニやスーパーなどにも、この決済方式が広がるのは確実。ローソンは一足早く対応することで、決済の安全性も訴求する。

(日経 xTECH/日経コンピュータ 清嶋直樹)

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消えゆくコンビニ客層ボタン 生みの親はどう見るか

コンビニ3社 POSレジ競争 インタビュー
2018/5/22 6:30 日経クロステック
大手コンビニエンスストア3社が2017年から19年にかけて一斉に全面刷新を進める新型POS(販売時点情報管理)レジについて、シリーズ「コンビニ3社 POSレジ競争」では1社ずつ詳細に見てきた。そのなかで大きな違いの一つが、「客層ボタン」を残すか、廃止するかだ。
客層ボタンは、店員が来店客の見た目から性別と年代を推測して入力するもの。セブン―イレブン・ジャパン(以下、セブン)は客層ボタンを残したのに対し、ファミリーマートとローソンは同時期に廃止した。
もともと客層ボタンは1985年ごろにセブンが業界で初めて導入し、同業他社にも広がった。その客層ボタンの「生みの親」は、今回の改廃をどう見ているのか。セブンで長年情報システムの構築に関わり、同社の常務取締役情報システム本部長を務めたのちに退社し、現在は流通業を中心としたコンサルタントや大学教員として活動するオピニオン代表取締役の碓井誠氏に話を聞いた。

客層ボタンを作った理由

――碓井さんが「客層ボタン」を作ったのか。
「私がセブンに勤めていた80年代に、客層ボタンの実装に関わったのは確かだ」
「客層ボタンはスーパーのレジにはない、コンビニならではのものだ。家族需要をまかなうスーパーの場合は、来店客の客層を見ても、その背後にある家族のことまでは分からないので、あまり意味がない。一方、コンビニは個人需要を満たすことが主体だ。個店ごとに異なる客層を正確に把握して、それぞれの店舗の客層に合った品ぞろえをする意義は大きいと考えた。そのための情報を得るために、客層ボタンを作った」

セブンが新型レジでも引き続き利用する客層ボタン

「例えば、住宅地だが近隣にオフィスも多い場所にあるコンビニの場合、平日と休日とでは客層が大きく変化する。こういう店では『住宅地立地』『オフィス立地』という単純な立地の分類だけで品ぞろえを組み立てるのは得策ではない。客層ボタンで曜日や時間帯ごとの客層を捉えて、平日ならオフィスワーカー向けの弁当を多めに発注しておくといった、きめ細かな店舗オペレーションが必要になる」

ポイントカードだけでは見誤る

――ファミリーマートとローソンは今回の新型レジの導入で、客層ボタンを廃止する。ファミリーマートは「Tカード」、ローソンは「Ponta(ポンタ)」と、それぞれポイントカードから客層情報を取得するとしている。
「ポイントカードの客層情報の扱いには注意を要する。日本全体の人口分布と、ポイントカード保有者の分布は必ずしも一致しないからだ」
オピニオン代表取締役の碓井誠氏
「例えば、私自身はポイントカードをほとんど使わない。私ぐらいの年代の男性にはそういう人が多いかもしれない。ポイントカードの客層情報に依存し過ぎると、若年層や女性・主婦層に偏ってしまう可能性がある。その情報を基に品ぞろえをすると、誤った商品構成になる」
「そうした特性を踏まえたうえでデータ補正など代替策を取れるなら、客層ボタンをやめるのも一つの考え方だ。しかし、店員が『ちゃんとボタンを押せないからやめる』というのであれば、それは単にチェーンオペレーションとして『ギブアップ』しただけの話であり、消極的に思える」

廃止した2社、セブンより優位に立てるか

――セブンはポイントカードに頼らないスタンスのようだ。
「セブンはポイントカード機能も持つ『nanaco(ナナコ)』の利用率がいまだ高くない。ポイントカードにもメリットがあり、セブンはそれを十分に享受できていないという弱みがある」
「ポイントカードの顧客固有のIDを使えば、リピート客の動向を把握できる。セブンはファミリーマートやローソンに比べて、その手立てに乏しい。ただ、コンビニ業態ではリピート客を把握しても、それをどうやって品ぞろえに反映するのかというところまで、店舗オペレーションに落とし込めていないのが実情だ。ファミリーマートとローソンがリピート客の情報をうまく生かして、セブンよりも優位に立てるとは限らない」

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ファミマとドンキ コンビニ共同運営を発表 都内3店から

2018/5/28 12:34

ファミリーマートは28日、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」とコンビニエンスストアを共同で運営する実験を始めると発表した。商品の約半数をドンキから仕入れ、天井近くまで陳列するなどの売り場作りのノウハウを取り入れる。6月から都内の3店で実験し、客数や収益を検証して全1万7千店超への拡大を検討する。
都内のファミマ直営3店を改装する。6月1日に東京都立川市の「ファミリーマート 立川南通り店」と「同 大鳥神社前店」(東京・目黒)を開き、6月29日に「同 世田谷鎌田三丁目店」(東京・世田谷)を開く。
ファミマの通常店舗では約3千点の商品を扱うが、実験店では4千~5千品とし、このうち最大2800品をドンキの商品とする。ドンキから仕入れる商品は雑貨や日用品と加工食品や飲料で、ドンキのプライベートブランド(PB)「情熱価格」も売る。弁当やおにぎりといった日配品やレジ回りで販売するカウンター商材はファミマの商品とする。
コンビニでは既存店の客数が伸び悩む。ファミマはドンキの商品や売り場作りを導入して客数の底上げを狙う。

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「中食」市場10兆円超え

昨年、共働き世帯「時短需要」 総菜拡充・増産に動く

2018/5/22 2:00 朝刊 [日経]

総菜や弁当など「中食」の市場規模が2017年に初めて年10兆円を超えた。共働き世帯が増加し「時短需要」が拡大しているのが背景だ。総菜・弁当専門店の業績は好調で、コンビニエンスストアなども需要を取り込もうと中食分野の強化を競う。年25兆円ある外食市場の3分の1超の規模に膨らみ、飲食小売りの成長をけん引している。日本惣菜協会(東京・千代田)が調べた17年の中食の市場規模は16年の9兆8399億円から2%強増え、10兆500億円前後になったもよう。生活に密着した消費では、織物・衣服(10兆8千億円)や医薬品(10兆5千億円)に迫る規模だ。
「調理に時間をかけなくていい分、家族と過ごす時間を増やせる」。大阪府豊中市在住で共働きの加藤真希子さん(31)は平日はほぼ毎日、近くのコンビニでサラダなどの総菜を購入する。総菜や持ち帰り弁当は洗い物の手間が省ける点や手早さから、共働き世帯から支持を集める。日本惣菜協会によると、飲・食料の出費に占める外食の割合は16年で35.6%と07年から3.6ポイント下がったが、中食は13.8%と1.1ポイント伸びている。このため、総菜各社の業績は好調だ。
ロック・フィールドの18年4月期の売上高は522億円で前年比3%増の見込み。柿安本店の18年2月期の売上高は前年比で1%増え、過去最高の439億円だった。需要を取り込む手も打っている。ロック・フィールドはパック詰めのサラダや総菜など加工済み商品の供給能力を高める。神戸市の工場を増床し、8月をめどに生産能力を前年比で2倍にする。静岡県磐田市の工場にサラダ用野菜の研究施設を設け、5月に一部の運用を始めるなど、商品開発にも力を入れる。コンビニやスーパーでも中食関連の売り上げが伸びている。日本惣菜協会によると、16年の中食市場のうち食料品スーパーの売上高は15年比で3.6%増加。コンビニは5.0%増えた。17年も同程度伸びたもようだ。
コンビニでは、ローソンが店内調理の弁当や総菜を提供する店舗を18年度末までに17年度比4割増の6000店にする計画。竹増貞信社長は「夕方や夜間にも来客のピークを作りたい」と話す。ファミリーマートは協力工場と組み、20年2月期までの4年間で中食の生産体制の整備で累計350億円を投資。工場の製造品目見直しや省人化設備を導入する。食品スーパーでも、総菜事業の拡大が広がる。サミットは17年から、一部店舗で揚げ物などの総菜を午後9時ごろまで製造する取り組みを始めた。売れ行きが好調なため、全店に広げる方針だ。
いなげやは傘下の高級スーパー、三浦屋から、共同開発した付加価値の高い総菜の調達を増やす。三浦屋は19年3月までに、いなげや向けの生産を1.5倍の月45万パックに増やす。マルエツも店内加工の総菜を強化する。野菜や肉の売り場と食材を共用し、新鮮な総菜や弁当を提供する店舗を増やす。現在約30店で展開しており、新店や改装に合わせて対応店を広げていく。
厚生労働省によると、17年の共働き世帯数は1188万世帯で、6年連続で増えている。中食を巡る競争は一段と激しくなりそうだ。

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アマゾンgoより手軽にGO 無人コンビニ即出店

コラム(ビジネス) スタートアップ モバイル・5G

2018/5/27 6:30

流通業界が人手不足と労務コストの上昇に直面する中、スタートアップの600(ろっぴゃく、東京・渋谷)が無人のミニ・コンビニエンスストア事業を立ち上げた。米アマゾン・ドット・コムの「amazon go」などとは方向性が異なり、機能を絞り込んだ軽装備システムで店員ゼロを実現しようとする試みだ。日本の買い物に変化を起こせるか。

RFIDで商品識別

600の久保渓社長(32)が「財布からお金を取り出さなくても自動で清算が終わる」と話すシステムは、コンビニ店内で見かける冷蔵ショーケースを3分の1程度に小ぶりにしたボックスだ。弁当やパン、カップ麺、ヨーグルト、お菓子、お茶や清涼飲料など数十種類の商品が詰まっているが、ガラスの扉越しに見える。
利用者はまず扉の横に付けられたタブレット(多機能携帯端末)型の専用端末へクレジットカードを通す。すると扉のカギが開き、あとは好きな物を取り出すだけ。料金は自動的にカード払いとなる。買い物にかかる時間は3秒ほどだ。
カギとなるのは無線識別機能を持つICタグ(RFID)だ。縦1センチメートル×横4センチメートル、1枚あたり7円程度のRFIDが商品にシールのように貼り付けられており、利用者が商品を取り出すと、ボックスの棚の上下に取り付けられたアンテナが即座に反応し、タブレットで集計が始まる。
タブレットはネットとつながっている。クラウド上に商品情報や値段が登録されており、利用者は意識はしないが、実際には一般的な電子商取引(EC)のサイトと同様の仕組みでカード決済したことになる。ICカードをタッチしたり、硬貨を出し入れしたりする必要はない。
ボックスを置くだけで開店する即席の無人コンビニは初期費用がゼロで、月額利用料が5万円。サイバーエージェントの子会社やネットショップを作成するBASE(東京・渋谷)など都内数カ所で試験運用が始まっており、年内には100カ所へ増やす計画だ。
商品の供給は当面は久保社長を含む600の社員が手がける。規模が大きくなれば流通業者への委託や連携もあり得る。粗削りのサービスでも注目度が高いのは、現状のコンビニや自動販売機ではすくい取れない需要があるからだ。
例えば、社員食堂の営業時間を延ばしたいが、調理スタッフが集まらない。入院中の患者がちょっとした買い物をする病院内のコンビニは、アルバイト不足で運営が難しくなってきた。高層マンションの共有スペースを充実させたいが、有人店舗を設置するほどの販売量は見込めない――。

人手不足に即応できるか

店員ゼロの流通モデルは、米アマゾンが1月にシアトルに開設した無人コンビニ「amazon go」が注目を集める。カメラやセンサーによる商品識別、スマートフォン(スマホ)アプリによるキャッシュレス決済など、フルスペックの店舗は、最新技術の実験場としての側面が強い。ビッグデータと人工知能(AI)を活用した流通革命を見据えるアマゾンに対し、日本の流通業界がすぐに必要としているのは人手不足への処方箋だ。店員ゼロや無人レジを実現できなければ、売上規模やエリアによっては、閉鎖を余儀なくされる店舗が出てくる可能性すらある。大手企業の危機感は強く、コンビニではローソンがスマホを活用した無人レジの実験に取り組んでいる。JR東日本は17年11月、システム開発のサインポストと組み、JR大宮駅(さいたま市)でSuicaで決済できる無人コンビニを期間限定で試験運用した。
600が狙うのはオフィスビルや病院など、大手の商圏のふるいからこぼれそうな「半径50メートルの小さな世界」(久保氏)だ。だからこそ、軽装で素早く動く。創業は2017年秋。実績は乏しいが、久保社長はLINEの決済システム構築に携わった名うてのシリアルアントレプレナー(連続起業家)だ。
600(ろっぴゃく、東京・渋谷)の久保渓社長
久保氏の1度目の起業は米国留学中の19歳の時で、学費を稼ぐため高速バス事業を立ち上げた。2度目は大学卒業後の10年、クラウドビジネスの会社を作った。ただ、この時は「ユーザーがブラジルなどに広がったものの、課金モデルを作れずに失敗してしまった」という。
3度目は12年、日本へ帰国し金融とIT(情報技術)を融合したフィンテック企業のウェブペイ・ホールディングスを立ち上げた。顧客がシステムを組み込むと、クレジットカード決済が自社のサイトやアプリ内で即座にできる仕組みを展開し、軌道に乗せた。
順調に成長していた15年、LINEの舛田淳取締役から「一緒にやらないか」と声をかけられた。悩んだ末、LINEへの事業売却を決断し、ノウハウを「LINEペイ」へと引き継いだ。
久保氏が事業責任者として関わったLINEペイは、加盟店では3000万店を超え、10~20代を中心に利用者が拡大、18年3月末時点で登録者数は約3000万人を突破した。「自分の目の前で現金の支払いを知らない『キャッシュレスネイティブ』が育っていった」と振り返る。
LINEを飛び出したのは「自分は起業家としてやっていく」との思いからだ。妊娠中の妻が「マンションのフロアに、簡単な食べ物や飲料が気軽に購入できる場が整っていればいいのに」と漏らしたことがヒントとなり、4度目の挑戦の場として600の起業を決めたという。
社名の数字には、一般的な小型コンビニが扱う商品数をショーケースの中に実現するという目標が込められている。設置場所が広がれば、オフィス向けの売れ筋商品を分析するといったマーケティングのインフラとして活用する第2ステージも見えてくる。ただ、無人店舗を模索する動きは世界の流通業の潮流になりつつある。いずれくる激しい競争に備え日本で足場を築けるか。久保氏の力量が問われる。  (大西綾)

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コンビニ総菜、夕食に定着 17年の中食市場10兆円

サービス・食品 小売り・外食 2018/5/23 16:14

日本惣菜協会(東京・千代田)が23日に発表した2017年の中食の市場規模は10兆550億円で、16年より2.2%増加した。市場規模が10兆円を超えるのは初めて。コンビニエンスストアが3%超伸び、全体をけん引した。購入頻度も増加傾向にあり、共働き世帯の増加を背景とする「時短需要」の拡大を反映する結果となった。
サラダや総菜の需要が伸びる(ロック・フィールドの都内の店舗)
中食とは家庭や職場などに持ち帰りでき、加熱調理せずに食べられる総菜や弁当を指す。購入場所別にみるとコンビニエンスストアが前年比で3.7%増の3兆2289億円。構成比、伸び率ともに最も高かった。店舗数の増加や、ポテトサラダなどをパックにしたチルドの袋詰め総菜の人気が影響したとみられる。袋詰め総菜の市場自体は16年比で17%増加し、6832億円だった。
各社で総菜売り場の強化が進む食品スーパーは3.1%増。一方、弁当・総菜の専門店は0.6%増と小幅の伸びにとどまった。総合スーパーは0.7%増で、百貨店は0.8%のマイナスとなった。時間帯別では夕食用が62.5%で最多。昼食が29.6%で、朝食は2.7%にとどまった。総菜を買う目的では「普段のおかずとして」(61.5%)が最も多く、「帰宅が遅くなって調理の時間がない時」が25.9%で続いた。共働き世帯の増加で、手早さや洗い物が省ける点への支持が広がっているとみられる。
総菜や弁当の購入場所が増えたり各社が品ぞろえを強化したりしていることで、今後も購入頻度が高まりそうだ。今後の総菜の利用について「かなり増える」と「多少は増える」と答えた人の合計(首都圏)は24.8%。「減る」とした人は7.3%だった。日本惣菜協会の佐藤総一郎会長は市場拡大について、「単身世帯の増加や女性の社会進出など社会構造の変化やライフスタイルの変化を背景に、食の外部化が進んでいるのが要因」としている。

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愛知労働局、大手コンビニにFCの指導要請 労働保険加入で

2018/5/28 18:39

愛知労働局は28日、コンビニエンスストア大手4社に対し、傘下のフランチャイズ(FC)店に労働保険に加入するよう指導の徹底を求めたと発表した。愛知県内の全店舗を対象に調査したところ、雇用保険への加入が確認できなかった店が複数あったため。
大手コンビニに対して、加入指導の徹底を要請するのは全国でも初めてという。
労働保険への加入は法的に義務付けられているが、愛知労働局の調査によると県内3327店のうち、182店が加入手続きをしていなかった。488店は無回答だった。調査後に加入した店舗は82あったが、加入が確認できなかった店には電話や文書の送付などで加入指導を行う。

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