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セブン、前期最高益に
純利益87%増 海外コンビニ好調

2018/4/6 2:30 朝刊 [日経]

セブン&アイ・ホールディングスが5日に発表した2018年2月期の連結決算は、最終的なもうけを示す純利益が前の期比87%増の1811億円だった。4期ぶりの増益で14年2月期(1756億円)を上回り、最高益を更新した。海外コンビニエンスストア事業が好調だった。百貨店事業などで前の期に計上した特別損失の減少も最終利益を押し上げた。
売上高にあたる営業収益は3%増の6兆378億円だった。本業のもうけを示す営業利益は7%増の3916億円と、7期連続で最高となった。
海外コンビニは営業利益の2割を稼ぎ、北米を中心に展開する。前期はファストフードの売れ行きが良く、ガソリンの販売も伸びた。
営業益の6割を占めるセブン―イレブン・ジャパンは前の期比0.3%の増益にとどまった。人件費が重荷の加盟店を支援するため、昨年9月から経営指導料を引き下げた。半期で80億円の減益要因となったが、総菜や弁当などの販売増や販促費の抑制で補った。
傘下のニッセンホールディングスは不採算のカタログ通販の縮小で営業赤字幅が縮小した。そごう・西武の資産価値の引き下げに伴う特別損失や税負担も減り、最終益は大幅に増えた。
19年2月期の営業収益が11%増の6兆6830億円、純利益が16%増の2100億円になる見通しも発表した。海外コンビニ事業で今年1月に米スノコLP(テキサス州)から取得した1030店が収益を押し上げる

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セブンがレジャー保険 コンビニ初

2018/4/14 2:30 朝刊 [日経]

セブン―イレブン・ジャパンは17日から登山やゴルフなどを対象とした1日単位の保険「1DAYレジャー保険」を販売する。三井住友海上火災保険の商品で、コンビニエンスストアでの店頭販売は初めて。
マルチコピー機から申し込みができる
ハイキング・軽登山向けなど4種類を扱う。店内のマルチコピー機で申し込むことができ、保険料はレジで払う。料金は500円がメインで、補償範囲を広げた700円のプレミアム版も用意する。保険の適用期間は指定した日時から24時間。
セブンイレブンは2015年から1日単位の自動車保険を販売している。17年の店頭の販売件数は16年比で2倍に伸びた。

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ミニストップ、販売不振深刻で赤字転落…セブンらの圧迫、崩れるイートイン優位性

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント2018.03.30
 コンビニ業界4位のミニストップが苦しんでいる。
 ミニストップは3月16日、2018年2月期の通期業績予想の下方修正を発表した。連結最終損益が従来予想より13億円下回る11億5000万円の赤字(前年同期は2億1500万円の黒字)になる見込みだという。最終赤字は上場した1994年2月期以降で初となる。一方、連結売上高は従来予想から125億円引き下げ、2070億円(前年同期比5.1%増)とした。
 国内ミニストップで販売不振だったことが大きく影響した。8月の天候不良で強みであるソフトクリームなどのコールドスイーツがふるわず、さらに10月は2度にわたる台風の上陸で客足が遠のいた。他店との競争が激化したことも影響した。特にセブン-イレブンとファミリーマート、ローソンのコンビニ大手3社に押された。
  セブンは“コンビニ飽和説”が囁かれるなかでも出店攻勢を弱める様子はない。今年1月には国内店舗数が2万店を突破。これは業界一番乗りだ。18年2月末では2万260店にもなり、1年前から800店以上増えている。
 一方、ミニストップの2月末の国内店舗数は2264店でセブンの11%にしかならない。また、近年の店舗数の伸びは鈍く、1年前からはほとんど変わっていない。店舗数においてミニストップとセブンの差は広がる一方だ。そのため、セブンの圧迫が強まっているといえるだろう。ファミマは経営統合したサークルKサンクス(CKS)の店舗をファミマへ転換を進めていて、その過程で不採算店舗を閉鎖していることもあり、2月末の国内店舗数は1年前から約900店減って1万7232店となっている。
 その一方で、ファミマへ転換したCKS店舗の日販(店の1日あたりの売上高)は向上しているという。そのため、かつてはCKS店舗と競合関係にあったミニストップの店舗は、結果的に打撃を受けたと考えられる。
 ミニストップの16年度の日販は42.1万円で、ファミマより約10万円も低い。また、ファミマの日販は増加傾向にあるのに対し、ミニストップは減少傾向にある。5年前の11年度と比べると約7万円も低下しているのだ。ファミマとミニストップとでは、1店1店の競争力において大きく差が開いている状況にある。
 ローソンも出店攻勢を強めている。2月末の国内店舗数は1万3992店で1年前から約900店増えた。セブンやファミマと比べると店舗数は少ないが、ミニストップよりは断然多い。また、伸び率は高いため、店舗数においてローソンとミニストップの差が広がっている状況にある。そのため、ローソンの圧迫も強まっているといえるだろう。

優位性が消滅

 大手3社がイートインを充実させていることも、ミニストップの業績を悪化させる要因となった。
コンビニのイートインといえば、かつてはミニストップの専売特許だった。1980年に1号店を開店した時からイートインの設置を始め、買った飲食物を店内ですぐに食べたいという需要を取り込んできた。大手3社との差別化につながることもあり、ミニストップはほとんどの店舗でイートインを設置している。
一方、大手3社は一昔前まではイートインの設置には消極的だった。皆無だったと言っても過言ではないだろう。イートインに対する需要は限定的だったためだ。イートインにスペースを割くより、商品の陳列スペースに充てたほうが売り上げを伸ばすことができるという考え方からだ。
 しかし、時代の進展とともに消費者ニーズは変わり、買った飲食物を店内ですぐに食べたいという需要が高まったため、大手3社は近年、イートイン設置店舗を急速に増やすようになった。その結果、ミニストップの優位性が低下してしまったのだ。
このように、コンビニ大手3社との競争が激化したことがミニストップの業績悪化につながった。結果として、ミニストップは18年2月期の国内既存店売上高を前年比1.5%増やす計画を立てていたが、最終的には0.2%減となってしまった。
韓国の不振も響いた。実は、韓国のミニストップの店舗数は2501店(18年2月末時点)で、日本より約240店も多い。17年度は上期(6カ月間)だけで約60店も純増している。
韓国では店舗数を増やすとともに、大型店を増やしたりイートインの導入を進めるなど1店1店の収益力を高める施策を講じてきたが、18年2月期は景気低迷や天候不順が原因で販売はふるわなかった。既存店売上高を0.2%増やす計画だったが、結果は4.2%減となった。
国内と韓国で売り上げが想定に届かなかったことに加え、不採算店の閉店損失と店舗の減損損失で22億円の特別損失を計上したことが影響し、最終赤字に陥る見込みとなった。
 ミニストップをめぐっては、業界再編の行方も気になるところだ。ミニストップはイオン傘下だが、そのイオンの筆頭株主はローソンと同じ三菱商事だ。そのため、イオンとローソンが経営統合して、ローソンとミニストップを合併させるのではないかという見方がある。
イオンとローソンの関係は浅くはない。両社は12年にエンターテインメントの分野で協業していくことを発表。13年にはミニストップの店舗にローソンのマルチメディア端末「Loppi(ロッピー)」を導入するなど、関係を深めている。こうしたことが、両社が合併するのではないかという見立ての根拠となっているのだ。
 ミニストップとしては、業界再編に動くのか、それとも独自に業績回復を目指していくのか。いずれにしても、起死回生の一手を打つ必要がある。

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ファミリーマート、コインランドリー併設店舗をオープン

 コンビニ業界で来店客数が伸び悩むなか、ファミリーマートがコインランドリーを併設した新店舗をオープンしました。
 「コンビニでお買い物をしたあとに、洗濯することもできます」(記者)
 ファミリーマートが31日、オープンしたのはコインランドリーを併設したコンビニです。コンビニと同じ24時間営業が特徴ですが、無人で営業、料金は1回の洗濯につき、300円からです。
 「(隣に)イートインスペースがあって、24時間やっているというのも便利」(利用客)
 コンビニの客数が24か月連続で減少するなか、コインランドリーの併設で新たな客を獲得するのが目的で、待ち時間にイートインスペースの利用を促し、売り上げアップにつなげたい考えです。
 ファミリーマートは2020年の2月末までに、コインランドリー併設の店舗を300店にまで広げたいとしています。

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セブンイレブンが発表した「健康戦略」

先日店舗数2万店を突破したセブンイレブンは、今後の経営方針や商品政策についての説明会を2月28日に行いました。
発表された数々の施策のなかでも特に印象的だったのは、今後本格的に“健康軸”にフォーカスした商品戦略を展開するという点。説明会の模様を報じた記事によると、
全国のセブン‐イレブン店舗において、「カラダへの想いこの手から」のキャッチフレーズを新たに採用し、「安全・安心・健康」にこだわった商品の展開を強化すると発表した。
消費者に対して、身体にとって、何が良いのかを明確にするために、個別商品にもキャッチフレーズを付与する。
3月~5月は、「レタス1個分の食物繊維を使用」と明記し、食物繊維2.4gが入ったおにぎり2アイテムを投入。また、「1日に必要な1/2以上の野菜」と明記し、チルド弁当2アイテム、スープ惣菜4アイテム、麺類2アイテムを投入する。
という風に、安全・安心・健康にこだわった商品作りをアピールしていくとのことです。
コンビニ業界における「健康志向」の歴史
ここ数年のコンビニは、各社ともに「健康ブーム」といってもいい状況です。2013年にはローソンが「マチの健康ステーション」宣言をしましたし、ファミリーマートでは最近「ファミマでライザップ」を旗印に、コラボ商品を発売しました。
対するセブンイレブンですが、これまで決して健康面への配慮をアピールして来なかった訳ではなく、1990年頃には「無添加・無着色」の商品を早くも開発。食料品売場の棚板に「無添加・無着色」の帯POPを取り付けてPRしてきましたし、TVCMも放映していました。
これらの地道なアピールによって、女性・高齢者のニーズをガッチリと掴むことに成功し、既存店売上が伸び続ける素地を作ったこともあって、長らく現場にいる人間のなかには、今回の施策に対して「何をいまさら。消費者は既に認識しているだろ」という想いを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
ただし一時期まで、コンビニの主力商品である食料品類に関しては、「女性」「健康」「低カロリー」を打ち出した商品はヒットしにくく、やはり男性客向けのガッツリ系食料品が売れ筋商品の中心でした。最近はその流れも少しずつ変化している印象がありますが、そのきっかけのひとつは、サントリー「伊右衛門 特茶」の発売だったのではと筆者は考えています。
「伊右衛門 特茶」で変わったコンビニの売れ筋
「伊右衛門 特茶」の登場で何が変わったかというと、コンビニでの食事購入場面における「言い訳健康需要」が始まったということです。
要するに、高カロリーの弁当は購入するけど、同時に「特茶」を購入してカロリーを分解する……といった「言い訳健康購入」が増えたということです。時期を同じくして、少しずつですがサラダのニーズも高まってきました。昔には到底考えられなかった、サラリーマンがランチにサラダを手を出すという購買行動も始まったのです。
また、その頃には「1日分の野菜ジュース」といったネーミングの野菜飲料もヒット。コンビニでも「1日の1/2の野菜が摂れる」といった、定量化されているのかどうかよくわからないネーミングの商品が登場しました。
このような流れを踏まえた上で思うに、今回のセブンイレブンの取り組み方は、すごく上手なやり方であると感じます。商品にシールを貼ることにしても、その文言はこれまでの流れを汲んだ「定量化されているのか不明確」なものにしているところなど、とても巧みだなと思います。
要するに、ローソンのように大々的にぶち上げるようなやり方だと、確かにインパクトはありますが、現実的に商品開発やヒット商品が続かないと、逆に「口だけ」というイメージが付いてしまう、ということです。現実として、ローソンが掲げた「マチの健康ステーション」は、あまり市民権を得ていません。
大きなインパクトや売上が見込めるわけではない今回の取り組みですが、決して負けない(マイナスにならない)ようにしているところは、さすが2万店突破のコンビニ業界の王者らしい、余裕の戦略だと感じます。
文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

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セブンで商品受け取り
ジーユーのネット通販

2018/4/4 2:30 朝刊 [日経]

ファーストリテイリング傘下の「GU(ジーユー)」は3日、4月上旬からインターネット通販で注文した商品をコンビニエンスストアのセブンイレブン店頭で受け取れるサービスを始めると発表した。セブンが持つ全国の2万店強で受け取れる。利便性を高め、ネット通販事業の強化につなげる狙いだ。
ジーユーのネット通販で注文する際、受取場所として全国のセブンイレブンを指定できるようにする。従来は利用者の自宅や事務所などに限られていた。原則、ジーユーの全商品を対象にする。
コンビニでの受取手数料は無料。購入額が5千円未満(税別)の場合、450円(同)の送料が必要となる。24時間受け取れるコンビニの特性を生かしてネット販売の拡大を狙う。セブンは顧客の来店機会を増やす。
兄弟ブランドのユニクロは2016年2月からセブンイレブン店頭での受け取りを始めた。現在はファミリーマートやローソンなどでも同様のサービスを展開する。国内約4万5千店で受け取りが可能だ。
ジーユーは3日、ネット通販で購入した商品を近くの自社店舗で受け取れるサービスを始めた。配送料は購入額にかかわらず無料。これまで5千円未満(税別)の場合は有料だった。ユニクロも同様に送料を無料にした。

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伊藤忠、コンビニ経由の配送終了

2018/4/5 2:30 朝刊 [日経]

■伊藤忠商事 コンビニエンスストアを経由して荷物を配送するサービス「はこBOON(ブーン)」を5月に正式に終了する。配送を委託していたヤマト運輸との契約が切れ、2017年7月に休止していた。再開を目指して別の委託先を探していたが、物流業界の人材不足で競争力のある価格でのサービスが難しいと判断した。

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ローソン15年ぶり営業減益

人手不足で省力化投資膨らむ
2018/4/7 2:30 朝刊 [日経]

ローソンの本業のもうけを示す営業利益が15年ぶりに減益となった。2018年2月期の連結営業利益は660億円程度と前の期比10%減ったようだ。従来予想(7%減の685億円)に25億円程度届かなかったもよう。
原因となったのが人手不足への対応だ。新型レジの導入など店舗における省力化投資を増やしたことが、コスト増につながった。
コンビニ業界ではパートやアルバイトの時給上昇が加盟店の経営の重荷となっている。ローソンは商品発注や従業員の勤怠管理などが容易になるタブレット端末を全店舗に導入。昨年11月からは経験が浅い店員でも仕事がしやすいように、釣り銭を自動計算して払い出すレジへの切り替えを進めている。
加盟店を支援するため、弁当などの廃棄損失や光熱費の一部を肩代わりする費用も積み増している。金融事業の強化に向けて今秋にも設立する「ローソン銀行」の準備費用もかさんだ。
一方、新規出店を原動力に売上高にあたる営業総収入は増加基調だ。提携した中堅コンビニエンスストアのスリーエフやポプラなどとの共同店舗も含め、この期は1250店を新たに設け、2月末の店舗数は約1万4000店に増えた。営業総収入は4%増の6600億円弱だったようだ。
既存店売上高は前期比ほぼ横ばいだった。総菜やおにぎり、サラダといった食品の売れ行きは好調。特に低糖質パン「ブランパン」や「グリーンスムージー」など、独自の健康関連商品が大きく伸びたが、コンサートなどのチケット販売の苦戦が足を引っ張った。
ローソンは22年2月期に営業利益を1000億円以上とする目標を掲げており、19年2月期までは投資を優先する方針を打ち出している。決算発表は11日を予定している。今期も旺盛な新規出店を原動力に増収基調を保つ一方、引き続き人手不足対策の省力化投資も高水準で、営業減益が続く可能性もある。

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セブンがレジャー保険 コンビニ初

2018/4/14 2:30 朝刊 [日経] セブン―イレブン・ジャパンは17日から登山やゴルフなどを対象とした1日単位の保険「1DAYレジャー保険」を販売する。三井住友海上火災保険の商品で、コンビニエンスストアでの店頭販売は初めて。
マルチコピー機から申し込みができる
ハイキング・軽登山向けなど4種類を扱う。店内のマルチコピー機で申し込むことができ、保険料はレジで払う。料金は500円がメインで、補償範囲を広げた700円のプレミアム版も用意する。保険の適用期間は指定した日時から24時間。
セブンイレブンは2015年から1日単位の自動車保険を販売している。17年の店頭の販売件数は16年比で2倍に伸びた。

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ユニファミマ14%増益

今期事業利益 コンビニ統合で販売増 仕入れや物流にも効果
2018/4/6 2:30 朝刊 [日経]

ユニー・ファミリーマートホールディングスの2019年2月期の連結事業利益(国際会計基準)は、前期推定比14%増の760億円強になりそうだ。コンビニエンスストアの「サークルK」「サンクス」を「ファミリーマート」に一本化。店舗の販売力向上による効果が統合関連の費用を上回る。総合スーパーのユニーも不採算店の閉店に伴い利益を底上げしそうだ。
国際会計基準の事業利益は日本基準の営業利益に相当する。本業のもうけを示し、投資家が注目する指標である。
売上高に当たる営業収益は1%減の1兆2600億円程度となりそうだ。ユニーの不採算店約10店のほか、サークルKとサンクスの一部店舗を閉店する影響が出る。
ユニファミマは16年9月にファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合して発足した。コンビニは旧ユニー系のサークルKとサンクスをファミリーマートへ転換する。2月末までに3549店の衣替えを済ませた。8月末までに全5000店を終える見通しだ。
店舗のブランド転換では看板や販売棚などの入れ替え費用や加盟店のオーナーに対する支援金などが発生する。18年2月期は統合に伴う費用が先行した。
19年2月期は統合効果が大きくなる。ファミリーマートに転換した店舗は客足が増加し総菜や弁当などの販売が伸びやすく、1日あたりの売上高が1割ほど増えている。規模拡大により商品の仕入れ値も下げやすくなる。物流では同じ商圏に2台走っていたトラックを1台にできるといった効果もある。
ファミリーマートの既存店は自宅で調理済み食品を食べる「中食」需要を取り込む。サンドイッチや総菜、弁当などの売り上げを伸ばす。健康的な成分が入った「バターコーヒー」や鶏胸肉を使った「ファミチキヘルシー」など女性客に人気の商品の販売を強化する。
ユニーも増益を見込む。統合前から不採算店舗の閉店を進めており、1店あたりの採算が改善する。ユニー単体の40%の株を保有するドンキホーテホールディングスと共同運営する6店も貢献する。事業利益が大きく増えるため、純利益も増加する可能性が高い。
18年2月期は営業収益が約1兆2700億円、事業利益が665億円程度となったもよう。営業収益は従来予想を280億円上回り、事業利益は予想通りだったとみられる。寒くなる時期が例年より早く、ユニーで冬物衣料品の販売が想定より伸びた。決算発表は11日を予定している。

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ファミマ、全店を「稼げる店」に 省力化600億円

2018/4/10 18:00 [日経]

ファミリーマートはコンビニエンスストアの運営効率を高めるため、全1万7千店で商品を並べやすいスライド式の陳列棚などの省力化設備を導入する。2019年2月期の既存店の投資額を前の期に比べ2倍の600億円超に引き上げる。コンビニでは客数が長期間にわたって伸び悩み、人手不足も続く。働きやすい環境を整えることで競争力の向上につなげる。
既存店への投資では省力化を柱に据え、おにぎりやサンドイッチ、カップ麺などの陳列棚を引き出し可能なタイプに取り換える。コンビニでは商品の陳列作業に時間を要しているため、売り場に並べたり撤去したりする作業を効率化する。冷蔵の紙パック飲料の売り場では客が商品を取り出すたびに、自動で商品が最前列に並ぶ棚も導入する。
主力商品のフライドチキン「ファミチキ」などの揚げ物を店内で調理するフライヤーを従来の2倍の容量にして、商品を作る回数を減らせるようにもする。検品作業を不要にする運用も始める計画だ。一連の省力化によって、1店舗当たりの作業時間を3.5時間減らす効果を見込んでいる。
ファミマが既存店向けの投資を増やす背景にあるのがコンビニ市場の伸び悩みだ。大手7社の既存店客数は2月末まで24カ月連続で前年を下回る。出店拡大を続けるコンビニ同士の競合のほか、ドラッグストアやインターネット通販に客を奪われているとみられる。
客数の伸び悩みに小売業を取り巻く人手不足や人件費の上昇も加わり、加盟店の経営環境は厳しさを増す。経営難に陥る既存店が増えれば、コンビニ市場が持続的に成長していくことが難しくなる。
大手各社は既存店の省力化投資を進めている。セブン―イレブン・ジャパンでは2月までに70億円を投じ、自動の食洗機の設置スペースを確保できる1万3千店に導入。1日あたりの作業時間を約1時間減らした。ローソンでは4月中にも都内でスマートフォンを活用した無人レジの実験を始める。店員の操作が容易な新型レジも19年2月末までに全1万4千店に導入する。

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セブンがレジャー保険 コンビニ初

2018/4/14 2:30 朝刊 [日経]

セブン―イレブン・ジャパンは17日から登山やゴルフなどを対象とした1日単位の保険「1DAYレジャー保険」を販売する。三井住友海上火災保険の商品で、コンビニエンスストアでの店頭販売は初めて。
マルチコピー機から申し込みができる
ハイキング・軽登山向けなど4種類を扱う。店内のマルチコピー機で申し込むことができ、保険料はレジで払う。料金は500円がメインで、補償範囲を広げた700円のプレミアム版も用意する。保険の適用期間は指定した日時から24時間。
セブンイレブンは2015年から1日単位の自動車保険を販売している。17年の店頭の販売件数は16年比で2倍に伸びた。

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「近くて便利」の次にセブンが狙うこと

牧野 直哉
2018年4月11日(水)日経ビジネス

 コンビニエンスストアは、名前の通り「便利さ」を武器に業績の拡大を図ってきた。しかし、2017年には店舗数が5万6000店を超え、5万店で市場が飽和状態といわれる中、店舗間の競争は激化の一途をたどっている。「便利さ」を提供するためには、消費者ニーズに対応して変化・拡大が欠かせない。これまでも、公共料金収納代行サービス、銀行ATMの設置、医薬品や酒類の販売、プライベートブランドの開発といった「便利さ」を示す商品やサービスを展開して、業績拡大を図ってきた。
 4月5日に行われたセブン&アイ・ホールディングスの2018年2月期決算報告会では、「生産性向上(サプライチェーン全体の働き方改革サポート)」が発表された。サプライチェーンで「働き方改革」を実現しつつ、消費者ニーズの変化を捉え、業績の拡大を図るという難しい挑戦が示されている。具体策には新たな「便利さ」を顧客に提供する狙いがある。

物流問題は効率化で乗り切る

 セブン-イレブン・ジャパンが取り組むのは、人手不足の影響が深刻な物流への対応だ。まず、飲料やビール、雑貨類は、配送頻度をそれぞれ週7回から6回、3回から2回へと削減する。その一方で「カウンターFF消耗品」は、週3回から6回へと頻度を倍増させる。
 配送回数だけをみれば頻度アップだ。しかし、物流への負荷を増やさない工夫を施している。納入時間帯を見直し、日中納品を追加してトラックの稼働率をアップする。既存の物流リソースの生産性の向上をもくろんでいるのだ。加えて、雑貨やリキュールの納品ロットをメーカー荷姿にし、物流センターでの中間作業も削減する。こういったサプライチェーン全体を見通した、細かい各工程でのリバランスによる生産性の向上は、いかにもセブン-イレブン・ジャパンらしい取り組みだ。
 取り組みの背景には、顧客ニーズが変化すると同時に、コンビニ業界だけではなく異業種を含めた競争激化の中で、業績拡大を目指す同社の戦略がある。配送頻度を拡大する「カウンターFF消耗品」とは、レジカウンターに置いて販売するファストフードを指す。肉まんや、あんまん、おでんや揚げ物が該当する。加えて、現在展開している新型店舗では冷凍食品の陳列棚を拡大する。
 最近のセブン-イレブン・ジャパンのテレビCMを思い出してほしい。「近くて便利」を訴えると共に、カウンターFFや弁当、惣菜に必要な材料調達、調理、輸送といったサプライチェーン全体の「安心」を強調する内容が多い。カウンターFFや弁当、惣菜を家庭内の食卓へ提供するのが狙いだ。「保存料、合成着色料不使用」といった食の安全への配慮にとどまらず、「1日に必要な野菜の1/2」のような、消費者の健康志向にも配慮した商品展開を訴えている。
 食品の安全と鮮度を保つコールドチェーンも重要な役割を担う。健康志向の高い消費者には欠かせないサラダの、材料入荷から製造までを一貫して4度以下に保つ低温・連続工程を導入する。徹底した温度管理の実現によってサラダ類の販売鮮度を従来よりも1日伸ばす。販売ロスを敬遠して入荷を控えた結果で発生する販売機会の逸失を避ける狙いだ。

狙うは家庭の食卓

 従来コンビニで提供される弁当や惣菜は、家庭で調理される料理の補完的な、やむを得ない外食の位置づけだった。しかし、セブン-イレブン・ジャパンは日常的に食卓に提供する食材の販売に力を入れている。冷凍食品も「素材系商品」と呼ばれるカット野菜や、冷凍肉、冷凍果物といった時間の節約を目的にした家庭の調理に「便利な」商品を展開する。従来から外食はマイナスイメージがつきまとう。外食が続くと体調が悪くなるとか、塩分摂取量や、化学調味料や食品添加物が気になるといった話は、誰しもが考える。加えて「食事の中心は家庭であるべき」といった認識は、事実上家庭の食事を担う女性に大きな負担を強いている。こういった状況への対応として、買ってそのまま食卓に出せる食材や、短時間で調理できる材料のラインアップを増やしているのである。世間に根強い家庭料理信仰に対抗するのではなく、家庭料理に活用してもらうための「便利さ」を追求し、併せて安心、安全を前面に打ち出しているのである。

異業種との競争

 もう一つ、異なる業種の小売店と激しい競合に直面している現実もある。医薬品や日用品を扱うドラッグストアが、食料品や酒、清涼飲料品を販売しているのは、よく目にする光景だ。コンビニとは異なる業態でありながら、24時間営業しているチェーン店もある。コンビニで販売している日用品の競合店舗だ。昨年4月、セブン-イレブン・ジャパンは日用品60品目を約5%値下げした。5月にはローソンとファミマも追従した。日用品では「近くて便利」に加えて「安い」を訴え、日常生活の買い物をワンストップで対応する狙いがある。ワンストップの実現によって、国内人口のボリュームゾーンである中高年を取り込むのが目的だ。

取り逃がしている顧客が存在する40歳以上

 セブン-イレブン・ジャパンでは、2013年度から来店者の50%以上を40歳以上で占めている。2015年には来店客の55%が40歳以上になっている。高齢化の進む日本では、来店者比率で年長者が増えるのは当たり前と思うかもしれない。しかし、日本の統計2018によると、日本の総人口に占める40歳以上の割合は61%だ。40歳以上にはまだ来店者数拡大の余地が存在する。コンビニでは扱えない医薬品を購入するついでにドラッグストアで買い物するのはやむを得ない。しかし多くの高齢者が服用する薬と食品の購入頻度の違いは明らかに食品の頻度が高いはずだ。郊外のロードサイドで見かけるような大型店舗は、足腰が弱くなった高齢者の買い物に、店舗の大きさが「なかなか商品の棚にたどり着かない」デメリットになる。コンパクトな店舗を武器に、すぐにほしい商品が手に取れる「便利さ」を提供して来店頻度の拡大を目指す。

国内マーケットで蓄積する出店と店舗運営ノウハウ

 3月には小田急電鉄と業務提携が発表された。これでJR西日本を含め、電鉄系の提携は8社目だ。標準的な店舗では進出できない場所にも出店を進め業績拡大を進める。様々なレイアウトでの営業は、それだけ店舗運営ノウハウの蓄積につながる。セブン-イレブン・ジャパンに限らず、大手コンビニ各社は、海外にも店舗網を拡大している。商品は現地国のナショナルブランドを販売し、各国の好みに合わせた商品展開を行ったとしても、高齢化が進む日本での業績拡大の経験は、進出先の国々で活用できるノウハウになるに違いない。中身は違っても「便利さ」は誰しもが求めるはずなのだ。

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求む!コンビニオーナー」なり手不足で学生に説明会

4月14日 helptwitterfacebookline

人手不足の影響でコンビニの店舗を運営する人材が足りなくなってきていることから、「ローソン」はオーナーを目指す学生を対象にした採用説明会を開きました。
人手不足が深刻化する中、コンビニ業界では店員にとどまらず、店舗を運営するオーナーのなり手も足りなくなり始めています。
このためコンビニ大手のローソンは、店舗のオーナーになることを前提に新卒の学生を契約社員として採用する制度を来年春から導入することになり、14日、都内で説明会を開きました。
5人の学生が参加し、契約社員として給料をもらいながら経営のノウハウを学んだあと、1年以内にオーナーとして独立するという新たな制度を真剣に聞いていました。
参加した学生は「会社を運営する力を若いうちから学べるのは魅力があると感じました。就職活動するうえで選択肢の一つだと思う」と話していました。
会社は、オーナーとして独立する際、店舗の開店資金を支援することにしていて、採用の担当者は「若いかたは50年は店舗を運営でき、多くの店舗を経営してもらうチャンスが多いと思うので期待しています」と話しています。
契約社員として採用しオーナーのなり手に育てる制度は「モスバーガー」を展開する会社もこの春から導入し、フランチャイズ方式で店舗を拡大してきたコンビニや外食業界ではオーナー人材をみずから育成する動きがさらに広がりそうです。

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コンビニはまだまだ増える?

大岩佐和子編集委員
2018/4/13 11:50 [日経]

質問:コンビニの既存店ベースの客数が伸び悩んでいますが、店数はまだ増えますか。
「ニュースのなぜ?」を日本経済新聞の編集委員が解説します。Twitterで質問を募集中です。

回答者:大岩佐和子編集委員 コンビニ大手の売り上げは軒並み伸びています。セブン―イレブン・ジャパンの2018年2月期決算はチェーン全店売上高、純利益ともに過去最高でした。店舗数は2万店を超えました。
意外な商品も売れています。例えば夜遅くに12ロール入りのトイレットペーパーを買う若い人を何度か目にしました。アマゾン・ドットコムなどネット通販で頼めば早く届けてくれるとはいえ、すぐに欲しいときに頼りになるのはコンビニです。家にストックをあまり置かなくなった生活を支えています。
深夜営業のミニスーパー、食べ物も売るドラッグストアなど世の中がどんどんコンビニ化しています。それでも成長し続けるのは最強の「弁当、おにぎり、サンドイッチ」があるからです。
最近は「玉子(たまご)かけ風」など変わり種のおにぎりが目につきます。リニューアルの頻度は速くなっています。飽きさせまいという強いメッセージが感じられますが、消費者が満足する合格ラインは上がるばかりです。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)で毎年恒例のハロウィーンイベントはご存じでしょうか。園内を徘徊(はいかい)するゾンビが年々怖くなっています。来場者が「もっと、もっと」と刺激を求めているからです。
コンビニの成長はもう限界に差し掛かっているのでしょうか。決してそうではありません。高齢者にもすっかり浸透し、次は働く女性のニーズを取り込もうとしています。総菜や下ごしらえした食材で調理時間を短縮する「ミールソリューション」です。日本の働く女性は夕飯で手抜きをすると家族に悪いと感じがちです。罪悪感を抱かずに、家事を「時短」するニーズに十分に応えられるかどうかがポイントです。
深夜営業のスーパーでも総菜にお目当てのものがあるとは限らないし、宅配サービスは1週間分などまとめて頼む必要があります。ネットスーパーは送料が無料になる金額が高い。いずれも、満足のいくレベルには達していません。コンビニには好機です。
人手不足への対応も欠かせません。24時間営業が基本のコンビニは負担が重いと思われ、店舗運営を担うフランチャイズのオーナー集めが難しくなっています。加盟店は外国人のアルバイトを増やすなど、人材確保に苦労しています。
結論:コンビニはまだ増える余地があります。働く女性のニーズに応え、加盟店オーナーや店員を確保できるかがカギです。

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ローソンへの転換が進むポプラとスリーエフ

コンビニ各社の“健康状態”を知るために、定期的に行っている決算のチェック。ところが、最近ではどのチェーンもホールディングス化が進んでおり、コンビニ事業会社の単体IRを取得することが、困難になってきている。
そこで今回は、今では数少なくなってきている単体IRが取得できるチェーンのなかから、ポプラとスリーエフの決算をチェック。この両社に共通するのが、同業の大手チェーンであるローソンと事業提携し、Wブランドのコンビニ形態を出店しているという点だ。
ポプラとローソンの提携では、「ローソン・ポプラ」への業態変更が順次進んでいる。これは両社が共同出資して「ローソン山陰」という企業を立ち上げ、FCパッケージ自体をポプラからローソンに変更するというもの。言うなればポプラからローソンへ店舗移管するという形で、今後286店舗が転換される予定だ。
いっぽうのスリーエフも、ポプラと同様にローソンと共同出資の企業「エル・ティーエフ」を立ち上げ、「ローソン・スリーエフ」へと業態転換している。スリーエフに関しては、今後全店舗を「ローソン・スリーエフ」に転換する計画だという。
両社ともに、業態転換を進めている途中だが、以下の通り決算にその影響はすでに表れている。
店舗を自社からローソン(共同出資の会社)へ移管しているため、売上・売上総利益の金額は減少。いっぽう利益に関しては、経常利益については赤字が続くものの、かなり改善している。これは業績不振店舗を移管することで、経営効率が良くなったためだ。
苦境が続くミニストップ
いっぽうで、ポプラやスリーエフと同じく中小コンビニで、今のところは単体で頑張っているミニストップのIRも確認してみたい。
売上は前年を上回る結果となったが、これは韓国で店舗数が増えていることと、ウォンのレートが上昇していることの影響である(韓国にある既存店の売上は苦戦している)。その反面で、利益のほうは大幅減益となっているのが分かる。
セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートといった大手チェーンによる寡占化で、苦境が続いている中小コンビニ。しかしながら今回のポプラやスリーエフの決算は、中小チェーンにとっては今後の方向性の指針となるものだったと言える。
つまり中小チェーンが業績改善に向けて、物流コストや商品仕入れ原価などを圧縮すべく、大手チェーンと提携してコストを共通化するというのは、方向性として正解であるということ。チェーンとしてのアイデンティティを失うことは、企業にとっては大きな決断となるが、その時はすでに来ているのではないだろうか。

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セブンのネットコンビニ慎重姿勢に潜む「遠大な戦略」

森山真二 

セブンの「強み」をネットでも生かせるか!?

セブン-イレブン・ジャパンはネットコンビニの拡大を明らかにした。これまで北海道札幌・小樽地区のわずか15店で実験をしてきたが、これを20店に拡大し、カバーエリアを広げたというのである。「ネットスーパーの方がネットコンビニよりも品ぞろえが多くて便利」とか、「近くにあるコンビニだから、店行った方が早いでしょ」という声が聞こえてきそうだが、セブン-イレブンの考えるネットコンビニは、ネットスーパーに対抗できる小規模店のコンビニだからこそ、やるべき仕掛けがありそうなのである。(流通ジャーナリスト 森山真二)
セブンも手ごたえを感じている

ネットコンビニとは

 ネットコンビニは実際の店舗に並んでいる商品を、スマートフォンを利用して購入できる仕組みである。
現在札幌・小樽地区の実験では、午前7時から午後5時までスマートフォンで注文を受け付け、最短2時間で宅配する。配送料は216円である。
 昨年から実験を始めた札幌・小樽地区では対象店舗の配送対象地区以外からのアクセスも増えているといい、セブン-イレブンでも手ごたえを感じているようだ。3月末からは対象店舗を5店増やし、カバーエリアも従来の6万1000世帯から、12万1000世帯に拡大した。
 とはいえ、ネットコンビニといっても商品数はせいぜい3000品目あまり。「2万点、3万点と品目数があるネットスーパーには品ぞろえで全然敵わない」、「やはり使い慣れたネットスーパーで注文するのではないか」という声もありそうである。事実、コンビニの主力商品はまだまだ弁当や総菜が中心で、日用品なども揃いつつあるが、生鮮食品も取り扱いが少ないし、価格はスーパーなどに比べ安くはない。表面上はネットスーパーと勝負になっていない。しかし、考えてみてほしい。
 コンビニが登場した時も「あんな小さい店で、商品も揃っていないコンビニはすぐに潰れる。スーパーに勝てはしない」と言われたが、24時間営業や銀行ATM、公共料金の収納代行と次々に新サービスを導入し、「コンビニ」という“新しい業態”を作り上げ、現在の地位を築いたのは周知のとおりである。
セブンが“コンビニの勝者”となった

3つの経営戦略をネットコンビニでも展開

 セブン-イレブンを“コンビニの勝者”にのし上げた経営戦略として、マーケティング上の3つの戦略がある。
 それは、まず「一つひとつ、ドミナント(地域集中出店)を実行した」、次に「競合店と差別化が図れる品揃え、商品開発で競争状態から脱出した」。
3つ目として、とくにセブン-イレブンでは“コンビニの父”といわれる鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問が「接客の重要性を繰り返し、繰り返し説いてきており、地域・顧客とのコミュニケーションを大事にしてきた」ことだ。この戦略で現在、1日1店あたり売上高(日販)は65万円と、2位のファミリーマートや3位のローソンに10万円以上の差をつけており、チェーン店舗数2万店規模にまで成長した。
実はネットコンビニでも、この戦略が展開される見通しである。それどころか、ネットコンビニからは遠大なセブン-イレブンの戦略が透けて見えてくるのである。
 まずセブン-イレブンはネットコンビニの実験成果がよくても、一気に地域を拡大することはしないと見られている。密かに北海道の15店から実験をスタートしていることからも、急激な地域拡大戦略はとらないと予測されている。
実験を継続していくならば北海道の札幌・小樽の結果を見て隣接する地域への拡大という、一つひとつドミナントを形成する戦略をとる見通しだ。
さらに、ここからが問題だ。ネットスーパーではなく、ネットコンビニに注文しようという気持ちを起こさせる必然的な品ぞろえや商品戦略が必要となる。
セブン-イレブンのネットコンビニでは基幹システムを通さずクラウド型のシステムを採用し、注文やデータの処理に素早く対応、「PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを高速に回転させていく」としている。
つまり、この仕組みの構築から読み取れるのが、“地域の嗜好”の把握である。品目数が少ないネットコンビニがネットスーパーに打ち勝つには、“地域の嗜好”を確実に把握して品ぞろえに反映させることにある。

購買動向や趣味嗜好を把握すれば品揃えの少なさは弱みにならない

 ネットコンビニで1世帯1世帯の購買動向や趣味嗜好を把握し、それをビッグデータとして処理すれば、品揃えの少なさは弱みにならない。
実際、セブン-イレブンではネットコンビニ展開にあたって「MVP(実用最小限の製品)を実現する」としている。
MVPとは、マーケティング用語で「顧客に価値があり、利益を生み出せる最小限のもの」と定義されている。セブン-イレブンがいう場合、ネットコンビニでは最小限の品ぞろえで顧客に価値を与えるというわけだ。
配送は西濃運輸がセブン-イレブン専用の配送会社として100%出資して設立したGENie(ジーニー)が担当する。ジーニーは配送と同時に配送員が顧客や世帯情報を収集、今後の配送業務に役立てると見られている。
ネットビジネスを確立した業種が“異種格闘技”から脱出できる
 まさに実店舗のコンビニのここまでの成長を支えてきた法則である「ドミナント」「差別化された商品政策」「接客」と同じ手法で、ネットコンビニも展開されるのである。
それこそ、ネットコンビニを拡大し、地域として対応店舗が“ひと塊”となった時に、地域別の商品開発がさらに進化する可能性もあるのだ。「セブン-イレブンは将来的にネットコンビニを全国に拡大するでしょうね」と話すのは大手流通業の幹部である。
今後、コンビニは実店舗ではドラッグストアや小型食品スーパーに攻め込まれ、“異種格闘技”を戦い抜かなければならない。その中でネットビジネスを確立した業種が、異種格闘技から脱出できるのである。
ネットコンビニはその戦いから抜け出せる切り札となるし、今後のネットスーパーやアマゾンフレッシュとの“空中戦”を切り抜ける武器になるのだ。
今は「ネットコンビニ」といってもピンとこないかもしれない。だが、国立社会保障・人口問題研究所は、20年後の2040年には単身世帯が全体の約4割になると予測しており、とくに未婚者の増加により65歳以上の単身世帯が増えるという。スマホを自由に操れて仕事を持つ高齢者が増加する時代には、コンビニをうまく活用することが、効率よく生きる術になることはいうまでもない。
その時に備えたセブン-イレブンのネットコンビニの実験であると考えたら、コンビニはこれからも姿を変えて生き残る業態といえる。最小の商品・品揃えで最大の効果を引き出すコンビニという業態は、ネット時代になっても、ますます重要な意義を持ってくるといえるかもしれない。

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伊藤忠、ユニー・ファミマを子会社化

ネット・金融で連携
2018/4/20 2:00 朝刊 [日経]

伊藤忠商事は19日、持ち分法適用会社のユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)を子会社にすると発表した。株式公開買い付け(TOB)で出資比率を41.45%から50.1%に引き上げる。追加の出資額は約1200億円。小売業や商社を取り巻く事業環境が大きく変わるなか、ネット企業との連携や金融などの新事業に伊藤忠が積極的に関わる。
買い付けは8月ごろに始める。買い付け価格は1株1万1000円で、19日の終値(9900円)に11%のプレミアムを乗せた。買い付け予定株数の上限は1093万株で、買い付け総額は1203億円となる見込み。伊藤忠は子会社化した後も、ユニー・ファミマHDの上場を維持する。
伊藤忠は旧ファミリーマートの筆頭株主になり、段階的に出資比率を引き上げてきた。子会社化を決めた理由について19日夕に記者会見した伊藤忠の鈴木善久社長兼最高執行責任者(COO)は、小売業や商社を巡る環境の変化を挙げた。
伊藤忠とユニー・ファミマHDは今後、IT(情報技術)にたけたネット企業などとの協力を進める方針。その際に「親と子であるか、そうでないかは外部からの見え方が違う」(伊藤忠の鈴木社長)。子会社化で経営への関与を明確にする。
総合商社では三菱商事が17年、国内3位のローソンへの出資比率を50.1%に引き上げて子会社にした。食糧調達など川上から小売りの川下を手掛け、グループの競争力を高める狙いがあった。

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グーグルAIで弁当注文 セブン、都内で実験

2018/4/21 2:00 朝刊 [日経]

セブン―イレブン・ジャパンは20日、グーグルの音声AI(人工知能)の「グーグルアシスタント」から弁当やスイーツの注文ができるようにする実験を始めた。都内の直営40店で展開する。グーグルアシスタントを通じて商品を購入できるのは国内で初めて。利用の状況を見て対象店舗の拡大を検討する。
セブンが2000年に始めた食品の宅配サービス「セブンミール」と連動する。利用にあたってはまずスマートフォンでグーグルアシスタントに「セブンミール」と話しかける。届け日や購入商品を尋ねられ、それに順次答えていくと注文できる仕組みだ。
弁当やスイーツなど約30品を扱い、対象商品は順次拡大を検討。利用するにはグーグルのアカウントを持ち、セブンのグループ通販サイト「オムニ7」で会員登録をしていることが必要となる。
セブンミールでは自宅への配送もしているが、今回の実験では店頭受け取りに限定する。インターネットや電話、店頭などでの注文受け付けに加えて、グーグルアシスタントも活用して利用者の間口を広げる。

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月のコンビニ売上高、3カ月連続増 中食など好調

2018/4/20 16:00

日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が20日発表した3月のコンビニエンスストアの既存店売上高(速報値)は、前年同月比1.3%増の8026億円だった。前年の実績を上回るのは3カ月連続。花見などの行楽需要を背景にカウンター商材や調理麺、総菜などの中食が好調だった。全国的に気温が高かったことで飲料やアイスクリームも伸びた。
客単価は1.9%上昇し、36カ月連続で前年の実績を上回った一方で、来客数は0.6%減と25カ月連続でマイナスだった。部門別では、弁当やおにぎりなどの「日配食品」や菓子類など「加工食品」が好調だった。各種チケットなど「サービス」も前年同月比5.7%増と伸びた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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セブン、客数減+店舗の稼ぐ力衰退鮮明…ファミマ、経営統合でも売上減予想で失敗か

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント2018.04.23

セブン-イレブン・ジャパンの2017年度のチェーン全店売上高は、前年度比3.6%増の4兆6780億円だった。増収ではあるものの、増収率は2年連続で低下し、直近8期では最低だ。同期間で5%を下回ったのは17年度だけとなっている。明らかに失速しているといえるだろう。
 セブンの店舗数は大きく増えている。17年度(18年2月)末時点の店舗数は1年前から838店増えて2万260店となった。増減数は13年度の1247店増から4年連続で低下しているものの、それでも11年度以前と比べれば高い水準で増えている。それにもかかわらず、チェーン店売上高が伸び悩んでいるのはなぜか。それは、1店1店の稼ぐ力が衰えているためだ。17年度の既存店売上高の伸び率は0.7%にとどまった。直近5年では最低だ。客単価は上昇したものの、客数が0.9%減ったことが影響した。全店の日販(1店舗の1日当たり売上高)も低下した。17年度は前年度から0.6%(4000円)減って65.3万円となった。それまで2年連続で増えていたが、ここにきて急ブレーキがかかったかたちだ。セブン1店1店の稼ぐ力が衰えているのは、競争が激化していることが影響している。
 競争相手のファミリーマートはサークルKとサンクスを傘下に入れたこともあり、16年度に6469店増えて1万8125店にまで一気に急拡大。セブンとの差は、15年度末は約7000店あったが、16年度末は約1300店にまで縮まった。17年度は893店減らして1万7232店になったものの、サークルKとサンクスがファミマに転換した3549店の日販は転換前と比べて11%も増えている。そのため、セブンとファミマの競争はより激化しているといえるだろう。
 ローソンとの競争も激化している。ローソンは出店攻勢を強め、17年度は881店増の1万3992店となった。セブンよりも6200店以上少ないが、17年度の増減数はセブン(838店増)を上回っている。18年度もセブンより100店多い800店が増える見込みで、出店攻勢でセブンを猛追している状況だ。

セブン、新レイアウトで売り上げ増加

 異業種との競争も激しさを増している。特にドラッグストア市場が急拡大しており、コンビニの大きな競争相手となっている。ドラッグストアの「コンビニ化」も顕著で脅威度が増しているといえよう。たとえば、ドラッグストア大手のウエルシアホールディングス(HD)は、公共料金などの支払いができる収納代行サービスを受け付ける店舗を急速に増やしている。同サービスはコンビニでは当たり前だが、ドラッグストアでも広がっているのだ。ウエルシアHDでは現在、全体の8割にあたる約1300店で実施している。また、24時間営業店や弁当・総菜の取扱店、イートインを備えた店舗も増やしている。コンビニの十八番を奪いつつあるのだ。
このように競争が激化しているわけだが、セブンは競争力を高めるために「新レイアウト」の導入を推し進めている。共働き世帯や単身世帯の増加、高齢化の進展などによって自炊の手間を省く人が増え、「中食需要の拡大」と「食の外部化」が進んだため、そういった変化に即した売り場に変更する必要性が生じたためだ。
 従来はレジカウンターを入り口付近に配置していたが、それを入り口から入って正面奥に変更。揚げ物などのカウンター商品をより多く展開できるようにするため、カウンターの広さを従来よりも3割ほど拡大した。また、弁当や総菜といった中食と冷凍食品の売り場も拡充している。
 新レイアウトは21年度までに既存店1万店と、原則すべての新店に採用する方針を示している。17年度は既存店350店、新店950店、合計1300店で導入した。18年度は既存店600店、新店1100店、合計1700店で導入する。
 新レイアウトに変更した店では、冷凍食品や日配品、カウンター商品を中心に売り上げが伸張し、日販が約1.5万円増えたという。一定の効果があったといえよう。ただ、セブンは当初、押し上げ効果として3〜4万円を見込んでいた。それを考えると、期待通りの結果には達していないともいえる。まだまだ改良の余地がありそうだ。

ファミマ、ローソンも苦戦

セブン同様、ファミマも苦戦している。17年度のチェーン全店売上高は、経営統合前のサークルKサンクス(CKS)の上期実績を含む16年度との比較(日本基準)で、前年度比0.2%増の3兆160億円にとどまった。店舗数が減ったことなどが影響した。ファミマの既存店売上高は0.3%減っている。全店の日販は0.4%(2000円)減って52万円だった。18年度のチェーン全店売上高は店舗数が378店減ることもあり、0.5%減(IFRS/国際財務報告基準)の3兆円を見込んでいる。
 ファミマは近年、フィットネス事業やコインランドリー事業などの異業種へ参入したほか、ドラッグストア一体型店舗や書店一体型店舗を展開したり、RIZAPとのコラボ商品を販売するなど、異業種と連携した施策を強化し、集客を図っている。ただ、どれも斬新ではあるが、抜本的なテコ入れにつながっているとはいいがたい。こうした施策も悪くはないが、やはり全体的な商品力の底上げが不可欠といえる。
 ローソンも苦戦している。17年度のチェーン全店売上高は前年度比5.8%増の2兆2836億円で大きく伸張しているが、これは大量出店によってもたらされたものであり、1店1店の収益性は低下している状況だ。既存店売上高は0.1%減っている。全店の日販は0.7%(4000円)減って53.6万円だった。ローソンは健康関連商品を充実させることで差別化を図ってきた。01年に健康関連食品が充実したナチュラルローソンの出店を開始。03年には調剤薬局併設型店舗の出店を開始した。12年には糖質が少なく食物繊維などの栄養成分を多く含んだ「ブランパン」の販売を開始し大ヒットした。こうした取り組みにより、16年度の健康関連商品の売上高は3年前と比べて4倍となる2500億円にまで拡大している。この分野では、ある程度の競争力を保っているといえよう。
ただ、セブンやファミマも同分野で黙っておらず、今後も優位性を保てるかどうかは予断を許さない。セブンは3月から「カラダの想いこの手から」のキャッチフレーズを新たに採用し、健康に配慮した商品の展開を強化する方針を打ち出している。ファミマは前述したRIZAPとのコラボ商品などで同分野を開拓している。
 異業種を巻き込んだ競争が激しさを増しているコンビニ業界。大手3社といえども安泰ではない時代に突入した。1店1店の稼ぐ力を高めることがこれまで以上に求められているといえそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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メルカリ、セブンと提携

匿名配送サービスを拡充
2018/4/26 2:00 朝刊 [日経]

フリーマーケットアプリ大手のメルカリ(東京・港)は、セブン―イレブン・ジャパンと組み、売り手と買い手が互いの宛名を非表示で荷物を配送できるサービスを始める。出品者はメルカリで売れた商品を全国2万店のセブンのコンビニエンスストアから送れる。知らない人とやりとりする不安を取り除き、より手軽に送れるようにする。
5月7日から、メルカリがヤマト運輸と組み提供する匿名配送サービス「らくらくメルカリ便」をセブンで使えるようにする。出品者は商品が売れた後に発送方法でセブンを選ぶ。するとアプリにバーコードが送信され、レジでセブンの店員が読み取ると自動で送り状を作成する。
送り状はバーコードのためヤマトの配送員が端末で読み取らなければ住所が分からない仕組み。らくらくメルカリ便は2016年にユニー・ファミリーマートホールディングス傘下の「ファミリーマート」などへ提供しており、セブンの参画で配送拠点は倍増する。
らくらくメルカリ便の利用者数は非開示だが、専用の箱をコンビニ店頭で購入できる利便性が受け、年々増えている。通常の郵便以外では初となる発送サービスの導入に踏み切った。

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実は日本語エリート? 外国人コンビニ店員がすごい

2018/4/26 5:40
コンビニでは食べ物の注文や宅配便取り扱いで店員と言葉を交わす機会が少なくない。
近所のコンビニエンスストアの店員さんが胸につけている名札。数年前までは「ハンさん」「ホンさん」「テイさん」「ギョウさん」といった、韓国・中国系と思われる名前が多かったが、近ごろは「サリムさん」「チャドさん」など、西アジア系だろうかと思える名前が目立って増えた感じだ。
いまさら言うまでもないが、「外国から来た店員さんゆえに不便を感じた」なんて経験はない。
私はカラーコピーをとるとき、しばしばコンビニのお世話になるが、何度やっても「拡大」「縮小」など、誰でもできるようなことでに失敗し、しょんぼりしていると大抵、彼らが「どうしました?」と助けてくれる。
宅配便を利用する際、郵便番号を書き忘れたりすると、「郵便番号をお調べしますか?」と、中東系とおぼしき「ラウルさん」が笑顔で声を掛けてくれたりする。

コンビニで働くための日本語能力

こんな話を、先日、某勉強会で知り合った、日本語学校に勤める堀みどりさん(学校法人東京ギャラクシー日本語学校)にしたら、彼女はニッコリ笑い、「それはね……」と言って説明してくれた。
堀「一部の例外を除けば、来日外国人がコンビニで働くためには日本語能力試験(国際交流基金などが主催する、日本語を母国語としない人のためのテスト)で最も難しいN1のワンランク下にあたるN2合格程度の日本語力が必要だとされているんです」
梶原「Nって何ですか?」
堀「日本語のNです。最難関のN1から初心者のN5まで5段階に分けられます」
梶原「N2って、上から2番目。レベル高いですねえ」
堀「はい、N2は、具体的には『敬語を含め場面に応じたコミュニケーション』や『抽象的なことの説明ができる日本語レベル』とされています。コンビニの人は、劇場予約の端末操作の方法とか、パパッと教えてくれますよね」
梶原「そう言えば、やってますね!」
堀「電気代などの公共料金支払いから税金の納付までスムーズに処理してくれますでしょ? コンビニ振込用紙は原則として現金支払いだけですが、コンビニによってはそのチェーン独自のカードを使えば払える場合もある。その場合にはリボ払いになる、なんていう、複雑な説明もする必要がありますね」
梶原「ひえ! そんな対応、私の日本語力では到底無理だ」

日本での語学上達ペース

考えてみれば、食品、雑貨から金融サービスに至るまで、何でも取り扱わせなければならない「コンビニ」を切り盛りする店員さんのコミュニケーション能力は相当なものだった。「外国から来たばかりなので、そのあたりは大目に見てください」と甘ったれることは許されない。
堀「母国であらかじめ学習してくる学生さんもいますが、一般的には1年9カ月にわたって学校に通い(もっと短い速習クラスもあるらしいが)、N5(日常生活の中でもよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができる)からスタートし、N1(幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる)を目指します」
取材時にお邪魔した堀さんの学校のロビー掲示板には、東京大学をはじめとする「名門校」の大学、大学院に合格した卒業生の名前がズラリと並んでいた。
梶原「え! 小学生レベルの日本語を2年足らずで大学院生レベルまで引き上げる?」
堀「ですから教える側も教わる側もすごい集中力が必要とされます。決まりでは1日4時間以内のアルバイトは許されますが、予習、復習でそれどころではないという生徒も当然います」
梶原「でも、むしろバイト先で生の日本語でもまれたほうが学習効果が上がるという考えもあるのでは?」
堀「ありです! でも、バイトとはいえ、N5レベルの日本語だと会話の機会が少ない清掃関係、N4では数人で淡々と行う袋詰め関係などになりがちで、会話場面が限られます」
梶原「街中の居酒屋でバイトする外国人の若者を見かけますが、あの人たちは?」
堀「N3(日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる)レベルに到達して初めて無理なくできる仕事ですね」
梶原「言葉のスキル次第で就ける仕事が違うんですね」
堀「たまたまバイトを例にお話ししたんですが、生徒たちはバイトを目的に学校に来るわけではありません。残念ながら、そういう日本語学校が存在することも事実ですが。ただし、日本語のレベルを上げることが職業選択の幅を広げ、より豊かな人生を手にできるという認識は彼らが共通に持っていて、それは私たち日本人にはあまりない感覚かもしれません」

日本語力と収入の関係

梶原「下品な言い方をすれば、日本語力を上げれば金持ちになれる?」
堀「そう言えなくはないですね。たとえばこの学校にはそれぞれの国の一流大学を卒業した人が少なくありません。ところが、そのまま母国の企業に採用されるより、その国に進出している日本企業に雇用されれば給料が何倍にもなるというケースは珍しくありませんから、あえて来日して日本語を学ぶ」
梶原「日本でも外資系企業(主として欧米系)は給料が高いと憧れる若者が少なくないですが、そういう感じですかねえ」
堀「給与水準について言えば、一部を除くと、アジアの国の企業と日本企業の差は一般に思われている以上にあります」

日本企業で働くという「ステータス」

国外の企業に職を求めるとなれば、まずはその国の言葉に通じていることも要件の一つだろう。日本企業で働くためにはそれなりの日本語スキルが欠かせない。その力を測る「日本語能力のものさし」がNに添えた数字の1~5で示されるということになるらしい。
堀「たとえばアジア某国の一流企業の大卒初任給が5万円としましょう。日本語がN2の資格を持って日系企業に就職すれば約3倍の15万円。N1を持っていれば、より高い仕事力が期待され4倍の20万円。日本から見れば『普通』にも見えそうな『20万円』ですが、平均収入も土地も家賃も食費も全てが格段に安い現地では、親兄弟の面倒を見るのに十分な給料です。その後の昇級も日本並み。世界では『日本企業という外資系』は我々の想像以上に『高いステータスを保証する国』であり、その国の企業で働くことを『一族の誇り』と喜ぶ親たちがいます」
梶原「日本企業に就職すると、親孝行ができるんだあ……」
堀「そういう一家はご近所の憧れの的になるでしょうね。となれば『よし! 自分だって!』と闘志を燃やす若い世代が次々と日本を目指す原動力になりますよね」
梶原「は~。日本語という外国語能力を高めると、お金と地位と名誉が手に入り、一族郎党が誇りに思ってくれる! そりゃあ日本語学習に熱が入るってもんですね」
堀「語学学習には強烈なモチベーションが大切だといわれるのはそういうことですね」
「いらっしゃいませ!」「こんばんは!」「宅急便ですね?」
コンビニでかいがいしく働く「サリムさん」「チャドさん」が「親孝行できる日」は、そう遠くなさそうだ。

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