さくら相談コンビニ経営研究所 所長 三橋一公

先ごろのこの業界の動き、競合している他業界の流れ、及び慢性的な人手不足とそれに関連するセルフレジや無人コンビニ、また24時間営業をやめるという実験等々につき、多くの加盟店と常々接している物として、加盟店サイドから見た課題と期待について述べてみたいと思う。
一つ目はコンビニエンスストア業界においては、ずっとその創業期以来、右肩あがりで客数を伸ばしてきたが、ここ 20 ヶ月連続で既存店客数を昨対で減らし続けている。それはセブンイレブンといえどもここ数ヶ月からは例外ではない。つまり客数の長期停滞というかつてない転機を迎えているともいえる、重要な事態と認識する必要がある。ただ、売り上げは積極的な商品開発を各本部とも行っており、その成果もあり客単価がアップして、昨対ベースを何とか確保している状況だ。(図1参照)
図1
既存店の客数減の要因としては、出店拡大で市場の飽和感が強まるなか、ライバルとして急成長したドラッグストアなどに客を奪われていることも影響していると思われる。
(なぜドラッグストアがコンビニの強力なライバルとして急浮上してきたかというと、収益率の高い調剤薬等の収益で、コンビニ・スーパーマーケット等の扱い商品である生鮮日配品を、利益度外視したかなり安い値段で、顧客の誘引剤として販売しているからであり、さらに最近ではグループ内会社の弁当や総菜まで扱うようになってきている。)

さてそのような現状の中で、本部は加盟店指導をどのように行って、加盟店はそれに対してどのような行動をとっているのだろうか?
何といっても本部としては売り上げの確保が至上命題であり、その為にも品ぞろえと積極的なキャンペーンへの参画を加盟店に対して指導を強めていることだろう。もちろん間違ってはいないが、あくまでも加盟店の収支をきちんと考慮して廃棄ロス額のコントロールをしているかどうかは、その担当者のレベルによるもので、正直かなりの意識・能力のばらつきがあり、危惧される部分でもある。例えば我々のお客様でやはり廃棄ロスにおいて異常値を出しているお店がある。日販は約70万円の優良店舗ですが、廃棄金額が1日3万円、月に直すと90万を廃棄品として計上している。もちろん競合店対策、新規開業時の顧客付け等で本部からの通常より多い補填貰って期間定めてやっているのであれば問題ないのだが、特に補填なく素直な真面目なオーナーなので、本部指導員の指導のまま何の補填もなく、通常に出し続けているのです。私は、廃棄ロスはコンビニ経営上においては、販促費ととらえるべきと考えており、必ず費用対効果での売り上げ増への貢献度と、収益をにらみながら経営政策の中で必要コストとして、金額設定をしていくべき最も大切な、コンビニ経営者の管理項目の一つであると思う。それを言われるまま人任せでは、折角努力して売り上げを上げて日々頑張っているのに、利益が出ない店舗となってしまう。
基本的に廃棄ロスの多くはオーナー負担であり、それは直接オーナー利益減の原因となってしまうのだ。

だから利益出しているオーナーは、廃棄ロスを出すことにとてもシビアだが、品揃えと棚埋めの時間帯別毎必要量と、天気、地域のイベント情報等を十分加味して必要量を発注しているのだ。もちろん本部指導員と意見の相違も多々出て、そこはフランチャイズ契約の根本である、対等な事業者同士の共同運営であるから、真摯に話し合って双方の合意をもって進めていっている。

次に慢性的な人手不足について述べてみたいと思う。ここのところの外食産業の活性化や競合異業種の急激な店舗増等でコンビニは慢性的な人手不足に陥っている。居酒屋・ラーメン店、中華料理店などでは多くが、日本人雇用が出来なくなり、店舗従業員をいまや外国人留学生に頼っている状況であり、優良な留学生の奪い合いとなっている。最近ではコンビニにおいても、オーナーでさえ外国人が増えてきており、今では日本語レベルがかなり低いオーナーまでおり、オーナー選定基準までが下がってきている。正直、私どもが税務会計のお話に伺っても、全く理解できないレベルで、このようなオーナーはどうやってコミュニケーションを取っているのか、不思議に思うこともしばしばある。
ましてやコンビニで使える留学生レベルは、飲食店よりはるかに日本語の能力が求められる為、優秀な留学生は奪い合いとなっており、やはりそれなりの時給を出さないと雇えず、オーナーの収益を圧迫している。さらに外国人留学生は週労28時間の週労制限があり、フリーターなどに比べると使い勝手が悪い。でも今後さらに少子化で若年層が減っていくことを考えると、留学生がコンビニの中心戦力となっていくことは間違いないであろう。現在、本部も認識はしているので、ベトナム等から流通小売業研修生として、3年間FULLに働ける人材を確保できるように、その海外官庁や日本の官庁と調整をしているいくつかの本部もあるようで、この様な動きは加盟店としては助かる活動といえる。また今までのコンビニ人材派遣会社を使っていては、最低時給1500円は払わなければならず、よほど豊かな加盟店でないと恒常的には使えない。最近ではコンビニ人材紹介会社から人材を紹介してもらって使うケースが増えている。基本的には固定の2万~3万程度を毎
月払い、何回でも募集がかけられるというものだ。このような人材募集の補助は、もっと本部に積極的に対応して上げて頂きたいと思う。
ここで実店舗の対照的な2店舗の数字を取り上げてみたいと思う。
あるお店ではどうしても人の採用が出来ず、結局オーナーが長時間労働を強いられ、日販60万程度あるのに月人件費が100万程度であり、売り上げ構成比でいくと7%~8%あたりが平均だがここは 5.5%であり、これを続ければ、利益はとれるがオーナーの健康を害するのは必然であり、アルバイトが取れないなら、条件を出して社員を雇う方向で提案して改善された。またある店では人が取れないので、時給単価をかなり高くして採用した結果、日販50万くらいなのに、人件費は月で160万円にもなり、売り上げ構成比で12%近くに成ってしまっていた。当然利益は出ず何のために事業をしているのかわからない。さらに法人であれば逃れられない社会保険の強制適用を受けるとすると、さらに14%程度のプラスの出費をしいられる。端的に言えば40年前に作られたコンビニFCモデルが完全に崩壊してしまっていると言える。

これを仕方ないと放置してしまえばこの業界の未来はない。将来にわたってこの事業を発展させるのであれば、あまり無理をしなくてもある程度利益が取れる新たなコンビニ経営モデルを、構築していかなくてはならないだろう。
この流れを受けて、将来的には間違いなく全商品に電子タグが付いて、検品から品出し、廃棄、棚卸まで全自動化となり、人がやることは、サイトの短い米飯・惣菜等の商品発注とお客さんとのコミュニケーションだけとなる日も、そう遠くないのに違いない。だからセルフレジもその一環の技術であるのであろう。ただし、中国やアマゾンで行われている無人コンビニは、日本でいえば自販機やコインランドリーの分類で、今後少子高齢化社会が進んで、客層の高齢化が進むことを考えれば、日本においてはコミュニケーションによる、顧客の支持を得られるようにしていかなければならないのではなかろうか。
最後に最近ファミリーマートが行っている24時間をやめて開閉店にしたら、収支はどうなるかという沢田社長の話された実験結果を注視してみたい。当然ながらオーナー収支と本部収支はイコールではなく、かなり相反する部分があり、ほとんどが今までは本部サイドの意向に沿って進められてきた。だが、今からはもっとオーナー収支に目を向けた政策こそ本部に必要なのではないだろうか?
深夜営業をやめた場合、その前の日配品等はロスコントロールの為品ぞろえを絞らざるを得ず、その分売り上げも客数も減るのは自明の理ではあるが、逆にオーナー利益で考えれば売り上げが減っても、深夜の25%増しの従業員給与がカットできれば、収支はプラスになる店も多くなることも予測できる。ただ本部にとっては24時間店を開閉店すれば売り上げ減と本部利益減になることは間違いないことで、セブンイレブンの社長が語られた24時間は止めないとの事情にも通じてくる。
セブンイレブンはロイヤリティ1%ダウンという思い切った政策を打ったせいもあり、ファミリーマートとは一線を画している。ただどちらにしても、人材不足は今後永遠に今の仕組のままであれば解消せず、最低時給も20円近くしばらく毎年上がり続けることを考えれば、開閉店化、省人力店化を進めていかざるをえないだろう。また、加盟店募集に多額のコストをかけているのであれば、収支面で既存オーナーを豊かにして、新規参入の方がもっと来やすいようにすることも一考ではないだろうか?