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コンビニから「日本人アルバイト」が消えた理由

まいじつ 2017年09月28日

コンビニエンスストアのアルバイト募集に集まる日本人が減少している。なぜ日本人バイトが集まらなくなっているのか。第一に挙げられるのが、有効求人倍率の上昇である。
現在の有効求人倍率は「バブル以来の高水準」といわれるほどで、約1.4倍程度で推移している。2009年度は0.4倍ほどだったことを思い起こすと隔世の感がある。
有効求人倍率を都道府県別で確認すると、最も高い東京都では、ひとりの求職者に対して2件以上の求人があり、コンビニに限らずバイトの人員は簡単に集まらない。さらに、募集をかけてもバイトがなかなか集まらなくなると、求人媒体のより目立つ場所に募集広告を掲載する必要が出てきて、結果的に採用コストもかさんでいく。
「求人倍率の上昇に加えて、コンビニ業界にとって悩みの種となっているのが時給の高騰です。バイトの最低時給は年々上がっており、それに伴って人件費も上がっています。特に東京は、人を集めるコストも高ければ、雇用した後のコストも上昇しています。さらにコンビニは、他の業種と比べて時給が低い傾向がありますから、好景気では嫌われるのです」(求人誌担当デスク)

新宿のコンビニチェーンは外国人バイトの比率が4割

アルバイトがなかなか集まらないエリアの代表格といわれる“東京駅周辺”にある居酒屋とコンビニの時給を比較すると、居酒屋のホールスタッフは1100~1200円(オープン~22時まで)だったのに対し、コンビニスタッフは1000~1100円(9時~22時まで)だ。
そのため、東京の新宿エリアのあるコンビニチェーンでは、外国人バイトの比率が40%を超えた。ただ、外国人が日本で働くには、業種と労働総時間に制限があり、具体的には下記のふたつの条件を守らなくてはならない。
パチンコ、麻雀店、ゲームセンター、キャバレー、スナックなどの風俗関連の業種は禁止
1週間の労働時間の合計は28時間以内
コンビニの場合、業種は問題ないのだが、働ける時間がやや短くなってしまうのが雇う側としてはネックになる。
外国人バイトには「接客態度が良くない」というクレームもよくある。これは日本語力の低さが原因となっているのだが、このため外国人バイトのトレーナーとして、同じ国籍の先輩外国人バイトを付ける方策が多用されている。いずれ無人化しないとコンビニは立ちいかなくなるかもしれない。

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コンビニ、働くママ争奪戦 セブン・ファミマが保育施設

2017/9/30 0:31

 コンビニエンスストア大手が「働くママ」の活用に乗り出す。セブン―イレブン・ジャパンは29日、コンビニの店員が利用できる保育施設を都内に初めて開設。ファミリーマートも来春、都内に同様の施設を開く。コンビニは若者の職場というイメージが強かったが、人手不足を受けて印象を変えようと躍起だ。働く意欲がある子育て中の女性の活躍の機会にもつながりそうだ。
 セブンは29日、東京都大田区のコンビニ店舗の2階に「セブンなないろ保育園」を開いた。定員は30人で平日の午前8時から午後8時まで0~2歳の子供を預かる。1カ月の料金は約5万円。子供を預ける30代女性は「保育園と働く場所を一緒に決められたのは大きい」と話す。
 セブンは同様の保育施設を10月に広島市でも開き、2018年以降も需要が見込める地域で増やす方針だ。「一部店舗で人手が集まりにくいという声がある」(幹部)という。女性が働きやすい環境をアピールし、人手不足を補う狙いがある。

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ローソン、純利益4%増
3~8月、サラダ好調で一転増益

2017/10/3 2:30 朝刊 [日経]

 ローソンの2017年3~8月期の純利益は前年同期比4%増の約235億円だったもようだ。7月時点で7%減の210億円と予想していたが、一転して増益になった。スイーツやサラダ、総菜など利益率の高い商品の売れ行きがよかった。店舗閉鎖にかかる費用の減少も純利益を押し上げた。
 売上高にあたる営業総収入は7%増の3300億円弱、営業利益は3%減の390億円弱だったとみられる。加盟店支援の経費が増えて営業減益だったが、従来予想(6%減の375億円)より減益幅が縮小した。
 ヒット商品が採算改善に寄与した。高級チョコレートブランド「ゴディバ」と組み、6月に洋菓子の販売を始めたところ、最初の2週間で250万食のロールケーキを完売した。
 消費者の健康志向にあわせて、5月以降にサラダの種類を16から26に増やした。これが奏功して販売額が2割増えた。パウチ総菜も女性向けに伸びた。

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セブン&アイ、営業益最高3~8月、6%増 コンビニ好調

2017/10/8 2:30 朝刊 [有料会員限定]

 セブン&アイ・ホールディングスの連結業績が伸びている。2017年3~8月期は営業利益が前年同期比6%増の1900億円強になったもようで、5期連続で3~8月の最高益を更新した。プライベートブランド(PB)の拡充でコンビニのセブン―イレブン・ジャパンの利益が伸びたうえ、総合スーパーや百貨店も経費削減や食品の強化で損益が改善した。売上高にあたる営業収益は4%増の約2兆9800億円になったようだ。営業利益は従来予想(5%増の1908億円)を上回ったもよう。国内コンビニは既存店売上高が8月まで61カ月連続で前年同月を上回った。PBの「セブンプレミアム」は野菜や精肉などの生鮮品を加え、販売額を17%伸ばした。和菓子や洋菓子は主力商品を刷新し、販売額が13%伸びた。4月に値下げした日用品も対象商品の販売数が4割ほど増えた。総合スーパーのイトーヨーカ堂と百貨店のそごう・西武は、経費削減や食品の強化を通じて採算が改善し、いずれも営業損益が改善したようだ。業績不振が続くカタログ通販のニッセンホールディングスは在庫管理の精度を引き上げることで値引き販売を減らし、営業赤字幅が縮小した。
 3~8月期決算発表は12日を予定。18年2月期通期の営業収益は前期比5%増の6兆1000億円、営業利益は6%増の3865億円と7期連続の最高を見込む。国内コンビニはアルバイトの賃金上昇などに伴い、加盟店から受け取る経営指導料を9月から減額。これが下期(9~2月)の収益を80億円押し下げるが、中食需要やシニア層の取り込みで吸収する。

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コンビニ決算、セブンの一人勝ち鮮明 総菜強化が奏功

牛尾梓2017年10月13日5時

コンビニ3社の2017年8月中間決算が12日、出そろった。ファミリーマートとローソンが営業減益となる一方、セブン―イレブン・ジャパンは営業最高益を更新。もうけが大きい揚げ物など総菜商品を先行して強化したことが「一人勝ち」につながった。
 この日発表されたセブン―イレブン・ジャパンの中間決算は、売上高が前年同期比2・8%増の4348億円、営業利益は3・3%増の1307億円。総菜を中心とした商品力の高さで、広告宣伝費を減らしても売り上げは安定した。セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は「利益率の高い総菜の開発をよどみなく続ける」と話す。
 ファミマの営業利益は、傘下の「サークルK」と「サンクス」を「ファミマ」に統一する費用がかさみ、16・9%減の248億円。加盟店支援のコスト増でローソンも1・6%減の327億円にとどまった。
 激しい出店競争の中、全国2万店が間近のセブンは19年度に沖縄県へ初の出店を予定。ファミマも19年2月末までに2万店が目標だ。地方コンビニとの提携を進めるローソンも21年度に1万8千店を目指す。ネット通販やドラッグストアとの競争も激しいが、ローソンの竹増貞信社長は「小売りはネット通販とコンビニだけが生き残る」と自信を見せる。
 強気の背景には拡大する「中食」需要がある。共働き家庭の増加などで、総菜や弁当を買って家で食べる中食市場は昨年、10兆円規模にまで成長。約3割を占めるコンビニの比率は年々高まっている。ローソンの3~8月の揚げ物や冷蔵総菜の売り上げは、前年より2割増えた。ファミマは、9月から冷蔵総菜コーナーを「お母さん食堂」と名付けて拡大している。(牛尾梓)

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ユニファミマ、今期純利益8%増 コンビニ一本化が貢献

2017/10/11 18:43

 ユニー・ファミリーマートホールディングスは11日、2018年2月期(国際会計基準)の連結純利益が310億円になりそうだと発表した。統合前の旧2社を合算した前期比では実質8%増え、16%減だった従来予想から70億円引き上げた。コンビニエンスストアの看板をファミリーマートに一本化して、集客力が高まっているため。
 売上高にあたる営業収益は47億円上積みし1兆2420億円を見込む。総合スーパーのユニーを含めた不採算店舗の閉鎖により、前期より実質2%減収となる。
 本業のもうけを示す営業利益は実質35%減の329億円と、83億円下方修正した。下期に収益性の低下したコンビニ店舗を対象に約160億円の減損損失を計上する。税金の前払いにあたる繰り延べ税金資産をほぼ同額計上し、純利益への影響を相殺する。 同日、サークルKとサンクスの不採算店舗の閉鎖規模は期初に予定していた369店から295積み増し、計664店にすると発表した。高柳浩二社長は「来年度以降に向け収益基盤を整備したい」と狙いを話した。

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ローソンの3~8月、純利益5%増 営業外損益改善など

2017/10/11 16:45

 ローソンが11日発表した2017年3~8月期の連結決算は、純利益が前年同期比5%増の236億円だった。昨年4月に起きた熊本地震の災害損失がなくなり営業外損益が改善した。関係会社株式売却益の計上や特別損失も前年同期より減った。売上高にあたる営業総収入は8%増の3294億円、営業利益は2%減の389億円だった。国内コンビニ事業は新規出店効果などで増収となったが、費用増で減益となった。一方、成城石井事業やエンタテイメント事業は増収増益だった。
 18年2月期通期の業績予想は、営業総収入は前期比6%増の6720億円と当初予想(6750億円)から下方修正した。営業利益、経常利益、純利益は据え置いた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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ファミマ店舗、省エネ型に刷新 電力消費2割減

2017/10/6 2:30 朝刊 [有料会員限定]

 ファミリーマートはコンビニエンスストアの店舗モデルを約6年ぶりに刷新する。柱などを鉄から木材に置き換え、空調や換気などの機器をデジタルで制御。電力使用量を従来店舗より2割減らし、店舗建設費用も最大で8%減らせるという。このほど北関東で新設した3店舗で効果を試し、2018年2月期から新店に順次適用する。
 新型店は鉄の柱などを木に置き換えるほか駐車場に使うアスファルトの仕様も変更し、二酸化炭素(CO2)の排出量を約8割減らすという。

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コンビニ進化待ったなし。「次世代店舗」構築急ぐ レジロボやAI商品発注

コンビニ&SPA―流通から生活革命
ローソンは完全自動セルフレジ機「レジロボ」の実証実験を行った

 深刻な人手不足や人件費の高騰などを背景に、コンビニエンスストア各社がIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)を活用した「次世代店舗」の構築を急いでいる。機械などの作業精度を引き上げることで、従業員は接客に集中できる体制を整える狙いだ。

客の行動分析

 「ライバルは他のコンビニチェーンではなく、アマゾンなどの他業態」―。ローソンの白石卓也執行役員はこう話す。ローソンは2016年末からパナソニックと、完全自動セルフレジ「レジロボ」を使った実証実験を行った。
 商品を入れた専用バスケットを置くと、自動で精算、袋詰めをする。従業員が商品のバーコードをスキャンしたり、袋に詰めたりする必要がない。商品やサービスについて来店者が聞きたくても、従業員は忙しそうでためらってしまいがち。こうした“機会ロス”をなくすのが狙いだ。米アマゾン・ドット・コムが運営する「アマゾンゴー」のような無人店舗を目指しているわけではない。白石執行役員は「接客をしないのなら、自動販売機で良い」と語る。ローソンは一部店舗に、来店者の行動を分析するカメラを設置している。通常のコンビニが取得しているPOSデータから分かるのは「何を買ったか」。同じ「ツナ&たまごサンド購入」でも、最初からツナ&たまごサンドがほしかったのか、「シーチキンおにぎりを探したが、品切れだったのでツナ&たまごサンドにした」のかといった違いがある。映像をから来店者の行動を分析し仮説を立て、店づくりに生かす狙いだ。

電子タグ導入

 ファミリーマートは次世代店舗の構築に向け、グーグルやLINEと連携した。グーグルとはおにぎりの発注精度向上に取り組んだ。澤田貴司社長は「コンピューターができることは任せる。従業員は地域に密着し、きめ細かく手伝いなどをするようにしたい」と話す。
 セブン―イレブン・ジャパンはNECの顔認識技術を店舗の情報管理に生かす方針だ。NTTのAI技術を使い、陳列棚の商品をスマートフォンのカメラで撮影し、原材料などの情報を表示する実験にも取り組んだ。
 経済産業省はコンビニ大手5社と25年までに、全商品へRFID(電子タグ)を付けることで合意した。電子タグは非接触で個々の商品の履歴を記録可能だ。
 経産省はコンビニが電子タグを使うことでレジや検品、棚卸し業務を高速化できるほか、万引防止や食品ロスの削減につなげられるとしている。ATMや荷物受け取りなど機能が多様化し、コンビニの存在感が増す中、現場の負担軽減は喫緊の課題となっている。
(文=江上佑美子)

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「カリスマ後」のセブン―イレブン、便利でホッと徹底

セブン―イレブン・ジャパンの古屋一樹社長
2017/10/14

 カリスマ経営者、鈴木敏文氏の退任から約1年が過ぎたセブン―イレブン・ジャパン。そのDNAは健在で既存店売上高は4月まで57カ月連続プラスという快進撃を続ける。今の古屋一樹社長は鈴木モデルを継承しつつも、商品作り・売り場・価格を洗い直す。「朝から晩まで便利なセブン―イレブン」を掲げ、改革に挑む。
 ――MJは紙面も見直し、改めてリアル消費の主役であるコンビニエンスストアをさらに掘り下げます。先行きをどう見ていますか。
 「以前からオーバーストアなどと指摘されてきましたが、これからも需要は強まります。年間に200万人近くが70歳以上になり、働く女性が70%を超えます。一方で食品スーパーがコンビニのフォーマットに入り、ドラッグストアは食品を拡大。ネット販売も増加し、消費者の選択眼は厳しい。大変な時代なんです。逆にこの大きな変化はチャンスでもあります」

違和感があればダメ出しする

 ――そのポイントは。
 「奇手奇策はありません。近くて便利という当社のコンセプトは変わりません。距離だけでなく、お客様がホッとする精神的な近さも意味します」
 ――「マチのほっとステーション」?。
 「違う違う(笑)。コンビニにとって好立地、商品、サービスのかけ算がナンバーワンになる絶対的な要素なんです。当たり前のことを徹底することが一番難しく、変化対応しながらやり続けることはセブンイレブンの絶対的な方向感です」
 ――試食やダメ出しはされてきましたか。
 「してますよ。今日の塩ラーメンはまあまあだったかな(笑)。自宅や会社で食べて、違和感があったらまず調べてもらいますが。現場でおにぎりなどでおかしいという複数の意見が出たら売り場から下げます。商品だけは絶対妥協しちゃいけない。これは鈴木(敏文)さんの最大のDNAだと思っています」
 ――作り手と買い手のおいしいという感覚はどこまで一致しますか。
 「売れるだろうと思って売れないこともあるし、こちらの関心が薄い商品が当たることもあります。新商品は商品部の担当者が3週間スパンで2つの担当商品を複数地区でテストすることを義務付けています。先行販売地区での売れ方などの情報を他の加盟店に流し、助言もします。新しいカフェラテは北海道の約1千店でテストし、ゴーサインを出しました」
――この1年で商品構成は変わりましたか。
 「かつては単品を少し変えるだけでお客様はそれなりに反応してくれました。今は違います。サンドイッチの売り上げが落ちた場合、パッケージ、パン、具材を刷新し、売り場にポップをつけて目立つ提案をしないと動きません。今回のおにぎりなんかも単品でなく、シリーズで変えました」

シニアや女性客増え…今は健康・少量

 ――高齢化だから味を変えるという判断ではないですよね。
 「そうですね。ただシニア、女性というのはマーケットの中で新しいキーワードですね。50歳以上は顧客の40%で、女性比率も今は49%なんです。すると健康と少量が重要で。今ね、セブンイレブンはビュッフェ的な使い方なんですよ。サラダとサンドイッチとか、調理麺とおにぎりの組み合わせとか。それが7割くらいの感じです」
 ――日用品の値下げをしました。狙いは。
 「やはり朝起きてから夜に寝るまでのモノを近くのセブンで買い物できたらこんなに便利なことはないと思います。これまで日用品はプレミアム戦略でしたが、お客様には不親切だったかもしれません。利用頻度が高い商品はブランド忠誠度が高いですから今の実勢価格に合わせ、60アイテムを値下げしました」
団地に狙いを定め日用品や野菜を充実させた店舗も増やす(東京都東村山市の新店舗)
 「PB(プライベートブランド)商品も10周年で、昨年には1兆円を超えました。これもグループで雑貨から菓子まで徐々に切り替えます」
 ――品数も増えていきますが、今の店舗規模では難しいのでは。
 「そのために新しいレイアウトを展開していきます。冷凍食品やカウンター商材などの売り場は広がりますが、雑誌などは多くなりません」
 ――ネットでセブンからアダルト本がなくなるとの噂が飛びました。
 「(笑)。きわどいのは推奨をやめてますからね。雑誌の棚は6段から8段へとうまく並べます。お酒もリキュールやワインは伸びています」
 ――市場が伸びているスムージーやスイーツはセブンは強くないです。
 「出遅れているスムージーは手を打つように指示しています。スイーツも優位性が持てていない。それで今回刷新し、強いセブンスイーツを作り上げようと。目玉の1つがシュークリームです。発売後、4日で商品力は分かりますが、なかなか売り上げが落ちません」
 ――経営指導料をこれから下げます。
 「これは拡大策です。売り上げは増え、店の利益も平均3%程度伸びていますが、それ以上に人件費が上がっています。下げる1%分を原資に従業員が働きやすい環境を作ってほしいですね」
(聞き手は日経MJ編集長 中村直文)

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セブン&アイ、好調コンビニの陰に漂う不安
加盟店を悩ませる人件費増にどう対応するか

2017年10月14日
常盤 有未 : 東洋経済 新聞社
好調が続くセブン‐イレブン。既存店売上高は2017年9月まで62カ月連続で前年同月超えを達成(編集部撮影)「(国内コンビニエンスストア業界での)売上高シェアを現在の43%から50%に引き上げることを目指したい」。セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長はそう強調した。
10月12日に発表されたセブン&アイの2017年度上期(2017年3~8月期)決算。売上高にあたる営業収益は2兆9871億円(前期比4.2%増)、営業利益が1944億円(同7.2%増)と増収増益で着地した。

日販は競合より10万円以上高い

苦戦が続いてきた百貨店事業や総合スーパー事業で一定の改善が進んだ面はあるが、最大の牽引役はなんといってもセブン-イレブン・ジャパンが担う国内コンビニ事業だ。今上期はグループ全体の営業利益のうち、約7割を国内コンビニ事業で稼いだ。好調な要因の一つが順調に推移する日販(1日当たり1店売上高)だ。セブンの全店平均日販は66万円を突破。それに対し、競合のローソンは55万円、ファミリーマートは53万円といずれも10万円以上の差を付けられている。
PB(プライベートブランド、自主企画商品のこと)「セブンプレミアム」の新商品を相次いで投入したほか、麺類商品の刷新や日用品の拡充が効き、好調な売り上げを維持。2017年9月まで既存店売上高は62カ月連続で前年同月を上回っている。
そのほか、3月と5月に「朝セブン」と題して、セブンカフェのコーヒーとパン(8種類から1つ選択)のセットを税込み200円で購入できるキャンペーンを実施し、売り上げ増につなげた。競合チェーンのある加盟店オーナーは「セブンはさまざまな取り組みで客を呼び込むのがうまい。商品力も大手3社の中では群を抜いている」と本音を吐露する。それだけでない。今上期のセブンの国内店舗数は429店の純増で店舗数は1万9851店(8月末時点)となった。一方でローソンは339店の純増で1万3450店(同)、サークルKサンクスとのブランド統合に追われるファミマは不採算店の閉鎖などで204店の純減となり1万7921店(同)だ。日販だけではなく、店舗数においてもセブンの存在感は大きい。

チャージの再減額は否定

“一強多弱”ともいえるコンビニ業界で順風満帆に見えるセブンだが、この下期に大きな転換点を迎えた。セブンは9月から加盟店から受け取るチャージ(経営指導料)を1%減額した。同社がチャージ率見直しに踏み切るのは1973年の創業以来初めてのことだ。コンビニでは本部が商品供給や販売指導を行う一方、加盟店はその対価として一定のチャージを本部に納める。チャージ率は店舗の土地・建物をどちらが所有するか、また店舗の売上高によって変わってくるため、一概には言い表せない。ただ、セブンの場合、店舗が稼いだ粗利の43%を本部が、57%を加盟店が取ることが基本になっている。
加盟店から徴収するチャージを1%引き下げた背景にあるのは、人件費の急騰だ。東京都の最低時給は2002年に708円だったが、2016年には932円に上昇。この10月には958円にまで引き上げられた。加盟店の負担増に対し、本部が歩み寄る形で今回の1%減額を決断した。
今回の1%減額で加盟店は1店当たり月6.5万~7万円の負担減になる反面、本部側には下期だけで80億円の負担がのしかかる。ただ、今回のチャージ減額だけで、すべての加盟店が人件費増の負担をカバーできるかは未知数だ。
井阪社長は「制度変更については現時点で考えていない。加盟店も平均では増収増益だ」と述べ、チャージの再減額を否定する。時給上昇の流れが続く中、本部と加盟店の共存共栄をどのように実現していくのか。コンビニ好調の裏側で井阪社長は難しい舵取りを迫られている。

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コンビニ売上高、既存店0.01%減少

2017/10/21 2:30 朝刊 [日経]

 日本フランチャイズチェーン協会が20日発表した9月の全国コンビニエンスストア売上高は、既存店ベースで前年同月比0.01%減となった。前年割れは4カ月連続。台風上陸などで客数は減ったが、温かい商品が好調で微減にとどまった。
 既存店の来店客数は2.1%減で19カ月連続のマイナス。客単価は2.1%増で30カ月連続のプラスだった。9月の全店売上高は8903億円で前年同月比1.8%増だった。出店数の増加で全体の売り上げは伸びた。

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仙台にコンビニ・生協一体店舗 みやぎ生協

2017/10/20 2:19 [日経]

 みやぎ生活協同組合(仙台市)は19日、仙台市の鶴ケ谷地区にスーパーとコンビニエンスストアを合わせた「ファミリーマート+COOP鶴ケ谷店」を開業すると発表した。開店は12月13日ごろ。年間2億円超の売り上げをめざす。同様の一体型店舗は4月に宮城県七ケ宿町で開業しており、今回が2店目。周辺はこれまでコンビニがなかった地域で、24時間営業や公共料金支払いなどコンビニサービスの需要に応える。
 売り場面積は約200平方メートルで、ファミリーマートが8割、みやぎ生協が2割。生協のコーナーでは主に生鮮品を扱う。周辺には生協の店舗もあるが、宮本弘理事長は「既存の店舗とコンビニ機能を持つ新店舗で使い分けてほしい」と話している。

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セブン、移動販売型コンビニを本格開始…約150種の商品をどうやって販売?

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント2017.10.12
 5万6000店以上のコンビニエンスストアが全国に乱立する現在、都市部に住んでいると、不便を感じることなく買い物ができる世の中になったと思い込みがちだ。
 しかし、コンビニなどの小売店が自宅近くにない地域は、まだまだ多い。また、高齢化が進む世の中とあって、都市部に住んでいても遠方に行くことが困難など、買い物に不便を感じている人も増えてきている。そうしたなか、「移動販売」に対する注目度が高まっている。
 セブン-イレブン・ジャパンは、移動販売サービス「セブンあんしんお届け便」に力を入れ始めている。実は、移動販売自体は2011年5月に開始したサービスだ。販売設備を持つ専用の軽トラックに食品や飲料、日用品などを積み込み、買い物に不便を感じている人が多い地域を巡回して販売する。
 移動販売というと、車両でクレープやアイスクリームなどを販売する光景を思い浮かべる人も少なくないだろう。人が集まる繁華街の路肩に車両を止めて通行人に販売するイメージだ。セブンの移動販売も、そのコンビニ版といって差し支えない。ただ、販売する場所は多くの人が自然と集まる繁華街の路肩ではなく、その真逆といえる場所だ。セブンの「川西矢問3丁目店」は、9月14日から移動販売を開始した。トラック型の移動販売専用車両に冷蔵庫や冷凍庫を備え付け、4つの温度帯で食品や飲料を保存できる。扱う商品は、弁当やおにぎり、サンドイッチ、日用品、加工食品、冷凍食品など約150種類だ。携帯型のPOS端末を使用して精算する。
 兵庫県川西市北部の集落センターや事業所、個人宅などを巡回して販売する。買い物に不便な地域に住む人や、移動手段が限られる高齢者を中心に、気軽に利用してもらうことを狙う。セブンは、このような移動販売サービスを拡大しているのだ。

東日本大震災がきっかけで移動販売に注目

 セブンが移動販売に注力するのは、少子高齢化が進展していることや飲食料品を扱う店舗が減少していることが背景にある。日本で少子高齢化が進んでいることは周知のとおりだ。飲食料品を扱う店が減少していることは、経済産業省の調査で明らかになっている。07年調査では約39万の事業所があったが、14年調査では約24万にまで減っているという。高齢者と地方在住者を中心として、近隣に店がない、店に行けない、荷物を運べないといった具合に、買い物に不便・困難を感じている人が増えている。都市部でも、大きな幹線道路や坂などがあるために、小売店に行くことが困難な場所に住んでいる高齢者が少なくない。こういった人たちは「買い物弱者」と呼ばれるが、経済産業省は14年10月時点で700万人いると推計し、増加傾向にあるという。買い物弱者がクローズアップされたのは、11年3月に発生した東日本大震災の時だろう。被災で多くの小売店や交通機関が機能しなくなってしまった。飲食料品や日用品を扱う小売店には人が殺到し、商品はすぐになくなっていった。そして被災地での生活は困難なものとなり、多くの買い物弱者が発生した。その際、ファミリーマートが移動販売車「ファミマ号」で被災地の買い物弱者に飲食料品や日用品などを届けたことが注目された。そして、これをきっかけに移動販売ビジネスが注目されるようになった。ファミマは移動販売に力を入れるようになり、ローソンも13年から本格的に移動販売を開始している。

移動販売が活況

 移動販売に力を入れているのは、もちろんコンビニ勢だけではない。コープ(生活協同組合)や大手スーパーなども行っているが、そうしたなかで急成長し注目されている企業がある。12年1月に創業し、徳島県徳島市に本拠地を置く「とくし丸」だ。とくし丸の移動販売は、仕組みが少し複雑だ。自社では移動販売をせず、販売パートナー(提携の事業者)が行う形態をとる。とくし丸が商品を調達するスーパーを探して提携し、販売パートナーがそのスーパーから商品を仕入れて移動販売車に乗せて販売する。販売して得られた粗利益を販売パートナーと提携スーパーとで分け合う仕組みだ。とくし丸は提携するスーパーから収入を得る。車両1台を導入するごとに発生する50万円の契約金と、1台ごとに発生する月額3万円のロイヤリティを得る仕組みとなっている。とくし丸が販売パートナーから手数料などを徴取することはない。とくし丸の移動販売の仕組みは、セブンなどと大きく異なるといえる。セブンなどは、店舗販売が主で移動販売は従という位置づけになるが、とくし丸の販売パートナーは基本的に移動販売を専業とする。移動販売の売り上げがとくし丸の販売パートナーの生活を大きく左右することになるため、必然と力を入れざるを得ない仕組みになっているのだ。このことが成長の大きな原動力となっている。販売パートナーはスーパーへ赴き、その日に販売する商品をピックアップする。顧客宅を1件ずつ巡回して販売するスタイルのため、顧客一人ひとりが何を欲しがっているのかを的確に予測して販売する力が問われる。例えば、顧客がトイレットペーパーを買った日を記録し、消費サイクルに合わせて、切れそうになる前に声かけをする、といった提案型の営業も重要になってくるだろう。これは、セブンとは若干異なる。セブンの場合、個人宅を回ることもあるが、基本的には集落センターなどの拠点で客を待ち受けて販売するスタイルだ。移動販売は、場所と時間が固定的なタイプと戸別訪問に近いタイプに大きく分けられるが、セブンは前者に近く、とくし丸は後者に近い。セブンの客は基本的に常連が多くを占めることにはなるが、どの常連客が来るかは不明なこともあるため、ある程度万人受けする商品を用意することが求められるだろう。とはいえ、客の顔が見えやすい商売に変わりはないため、セブンの場合でも客ごとの嗜好や販売状況に沿った品揃えももちろん求められる。とくし丸は大きく成長している。現在、提携するスーパーは約80社、移動販売車は約230台にもなるという。宅配ネットスーパーのオイシックスがとくし丸を16年5月に買収しているが、とくし丸の成長性を買ってのことだろう。移動販売といえば、飲食料品や日用品を扱うのが一般的だが、珍しいところでは書籍の移動販売がある。TSUTAYAがネスレ日本と組んで移動販売を3月から九州で始めたのだ。人が集まる場所を巡回し、テーマで選書した本の販売や中古本の出張買い取り、またコーヒーなどの飲料の販売も行う。体験型のワークショップを開くなど、地域の人々が気軽に集まることができるコミュニティを目指すという。なかなか面白い取り組みだ。
 少子高齢化が進展し買い物弱者が増えていくなか、“客に来店してもらうビジネス”から“客がいる場所に出向くビジネス”へのシフトが静かに進行している。その主役になりそうなのが移動販売だ。今後の行方を注視したい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

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留学生、矛盾抱えた戦力「もっと働かないと」

2017/10/18 2:30 朝刊 [日経]  100万人を超える外国人労働者の中で、技能実習生と並んで留学生が急増している。約21万人に上り、5年前の約2倍に増えた。アルバイトでいわゆる単純労働の分野を支えている。
コンビニなどが人手確保の受け皿としている(東京都新宿区の店舗)
 都内の日本語学校に通うミャンマー出身のス・ライさん(28)は、老人ホームに加えてコンビニでも働き始めた。アルバイトに費やすのは規定ぎりぎりの週28時間。「それでも生活費が足りないので親の仕送りでやりくりしている。本当はもっと働かなきゃいけない」
 学業目的でビザを得る留学生の労働は「資格外行動」で週28時間以内に制限される。だが、学費や生活費を自分で賄う理由で違反する人もいる。28時間を超えて働くネパール人留学生のハサン・ヤーダブさん(仮名、24)は「制限がきつすぎる。少しぐらい許してほしい」と声をひそめる。
 バイト先に困らないのはコンビニや飲食業界などが人手確保の受け皿としているからだ。技能実習制度は職種や受け入れ企業に制約があるが、留学生にはそれがなく雇い入れの自由度が高い。
 留学生急増の背景には日本での学業や就職だけでなく滞在中に「高賃金」で働ける魅力もある。日本語学校はここ10年で200以上増え600校を突破。2016年度の学生数は6万8165人で前年度比21%増えた。
 学生は2種類にわかれる。技術・知識取得や就職のため専門学校や大学に進む留学生と、授業をそっちのけで働く「出稼ぎ留学生」だ。
 2月から福岡県内の日本語学校に通うネパール人留学生のラム・ライさん(仮名、27)は「日本で稼げるだけ稼ぐ。帰って裕福に暮らしたい」と言い切る。コンビニなどで週60時間働き、学校には毎日1~2時間顔を出すが「建前上、行かないといけないからだ」。
 沖縄県内のある日本語学校の幹部は「出稼ぎがかなり含まれている」と打ち明ける。出稼ぎ留学生は来日するために借金し、出身国の業者に多額の仲介料を支払う場合がある。週28時間を大幅に超えて働かなければ、来日の目的が果たせない。政府は日本語学校や企業に監視を促すなど防止や取り締まりを進める。
 出稼ぎ留学生の存在は人手不足の地域や企業のニーズの副産物といえる。経済協力開発機構(OECD)によると、主要国のアルバイトの時間制限は「週20時間程度」が多く、そもそも日本の「週28時間」は最も長い。
 留学生が学費を自分で賄おうとしたり社会や企業と接点を持って就職につなげたりするのは大切なことだ。ただ、国内で留学生が外国人労働者の一翼を過度に担うようであれば、あまり健全な姿とはいえない。
 政府が単純労働を目的とする外国人を原則受け入れていない中、若い労働力を確保するためのびほう策にすぎない。今後も増えそうな「働く留学生」は、外国人材受け入れのひずみを映し出している。

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オフィス内コンビニ「プチローソン」がキャッシュレスな理由

メリットは「小銭が不要」だけじゃない 杉浦千春
設置型オフィス内コンビニ「プチローソン」が、2017年7月3日(月)より、東京23区先行でサービスを開始しました。のねらいや、交通系電子マネーなどだけのキャッシュレス決済にした理由などを、プチローソンの担当者さんに伺いました。
「プチローソン」とは
大手コンビニエンスストア「ローソン」が展開中の「プチローソン」は、オフィス内などにローソン商品を収納するボックスを無料設置し、セルフレジで販売するサービスです。
現在、東京23区限定で展開されており、決済は交通系電子マネー決済のみ。顧客は商品のバーコードをスキャンし、Suicaなどをピッとかざすだけで決済ができます。
商品は基本的にローソン側が選定し、お菓子BOXには実店舗ではおなじみの袋菓子やスナック菓子、栄養補助食品などが取り揃えられます。
またオプションの冷蔵庫にはペットボトルや紙パックのドリンク類など、冷凍庫にはアイスが並びます。
コーヒーマシンの設置により、ローソンの「マチカフェ」と同じブレンドコーヒーを飲むこともできます。
ニーズに合わせた商品展開がキャッシュレスで可能に
オフィス勤めのビジネスパーソンにとっては気になるこのプチローソン。
そのねらいやキャッシュレス決済にした理由を、株式会社ローソン コミュニケーション本部 広報室の持丸憲さんに伺いました。
――「プチローソン」には、どのようなねらいがありますか。
「職場環境向上の一環として、オフィス内で手軽に食品などが購入できるサービスのニーズが高まっています。こうしたニーズに弊社ならではの形で提供したいというのが背景にあります」(持丸さん)
――既存サービスとして、オフィスグリコやオフィスオアシスなどが有名ですが、これらとの相違点を教えてください。
「プチローソンでは、決済をキャッシュレスにしています。現金の取扱いがないことで、お客様にオフィスで細かい小銭を用意していただくことなく、実店舗と同じ価格設定ができ、さまざまな価格帯の商品の販売が可能となっています。
オプションとして、小型冷蔵庫と冷凍庫、簡易版のコーヒーマシンの設置も行っており、キャッシュレスにしたことで、これらでご提供している商品に対してもお客様のニーズに合わせた展開を可能にしています」(持丸さん)
キャッシュレス決済は小銭を用意しなくて良いというメリットだけでなく、実店舗と同価格で商品展開できることから、細かいニーズに対応できるという点が、既存サービスとの大きな違いのようです。
商品は健康志向の高まりを考慮してセレクト
――商品は職場などで食べやすいものをセレクトされているそうですが、具体的などのような基準で選ばれていますか?
「実店舗の売上高ベスト10のうち、5品がナッツや機能性表示食品のチョコレートなど『健康系商品』(※ローソン社内基準による)となりました(集計期間:2017年7月3日(月)より7月30日(日)までの28日間の販売状況)。
現状、プチローソンにおいても健康志向の高まりをうけた『グリーンスムージー』などの健康系商品が人気です。展開商品は、先行実験結果を踏まえたローソン推奨商品をもとに、導入企業のニーズに応じて随時入れ替えを行っています」(持丸さん)
持丸さんによると、お客さんからは「会社を出ないで買い物ができるので便利」という声が多いといいます。
オフィス勤めの人たちにとって、時短だけではなく健康志向のニーズも満たされるというのは大きなメリットのようです。
労働時間削減、業務効率化が目指されるいま、その助けとなりそうですね。今後も、さらなるサービス追加など期待が高まります。
(取材協力:ローソン)

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vs.アマゾン 迎え撃つニッポン流通業

2017/10/3 12:00 日経ヴェリタスセレクト
 ドイツ、日本、英国。米アマゾン・ドット・コムの売り上げの4分の1を稼ぐ3国で、それは静かに始まった。生鮮品の宅配「アマゾン・フレッシュ」だ。
 東京都内に住む高村奈津子さん(36)は共働きで、子育て真っ最中。買い物の8割はネットで、週3回ほどアマゾンを使う。今は近場のスーパーで買う生鮮品も子どもの世話で手が離せないときは「フレッシュ」を使おうかと思い始めている。スーパー優位が揺らがないはずだった生鮮品も、アマゾンの存在感が増している。
最強の購買分析力
 世界で膨張するアマゾンは、創業から23年で株価は一時1000ドルと初値の36倍となった。時価総額は4600億ドル(51兆円)と世界小売り最大手米ウォルマート・ストアーズのほぼ2倍だ。米英で電子商取引(EC)の3割を占める巨人は、百貨店などリアルの小売業をなぎ倒しながら消費者の買い物だけでなく、動画や音楽を楽しむ「生活を丸ごと」のみ込もうとしている。
日本の小売りが流通外資の攻勢を受けるようになったのは1990年代だ。大型店を規制する大規模小売店舗法(大店法)が廃止され、英スーパーのテスコや仏カルフールが進出した。だが肉や魚の旬や鮮度に世界一厳しい日本の消費者に対応しきれず苦戦。ほどなく撤退した。
 アマゾンとの戦いは次元が異なる。消費者はスマホがあれば店に行かずとも深夜や通勤中といった隙間の時間で買い物ができる。アマゾンのアルゴリズムは世界中の利用者の購買データを分析し、一人ひとりに最適な商品を薦めてくる。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)によれば2016年、アマゾンは日本のECシェアの20.2%をおさえ、楽天(20.1%)を逆転した。現在15兆円強のECの規模は「22年度には26兆円に拡大する」(野村総合研究所)。リアルとネットが融合し、新たに生まれる10兆円市場の争奪戦は、取りに行かなければ「アマゾンに席巻されるだけだ」(クレディ・スイス証券の米島慶一マネージングディレクター)
 売り上げに占めるEC比率が3%に満たない小売り大手、イオン(8267)やセブン&アイ・ホールディングス(3382)も目の色が変わった。ネットスーパーを始めて10年以上たつセブン傘下のイトーヨーカ堂は全国の店舗で長年培ってきた「時短・簡便」のノウハウを詰め込み、肉や魚を下処理した食材キットなどネット専用商品を提案する。「指定したモノが時間通り届くだけでは他社との差が付かない」(梶川貴司オムニチャネル推進部長)。店で、ネットで、いかに多くの消費者に選んでもらうかの勝負だ。
リアル店舗と補完
 ファーストリテイリング(9983)の柳井正会長兼社長はECを「世界最大の倉庫を持つビジネス」と呼ぶ。スマホなどを通じて消費者が好みの服を発注すればすぐ届く。そんな仕組みを模索しながら、ネットとリアルの店舗が「相互に補完するのが一番良い」と話す。
 ビッグデータを切り札に自らの経済圏を立て直そうとしているのはヤフー(4689)だ。検索履歴などポータルサイトに集まる全データを基に「利用者一人ひとりのセレクトショップを目指す」(小沢隆生執行役員)
 日本のECの比率はようやく5%を超えたところだ。アマゾンは北米で稼いだカネを人工知能(AI)やデータセンター、日本など海外への投資につぎ込んでくる。最新の勢力図からニッポン流通業の勝機を探る。
[日経ヴェリタス2017年10月1日付]

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ファミマ、24時間営業の見直し着手 深刻な加盟店の苦境、どうなる「コンビニの象徴」

藤村 広平  2017年10月30日(月)

 ファミリーマートが24時間営業の見直しに着手したことがわかった。
このほど一部店舗で深夜営業をやめた。売り上げはどれだけ減るのか、一方で人件費や光熱費などの経費はどれほど浮くのかなど、経営への影響を検証する。人手不足や出店競争で激化する客の奪い合いにより、コンビニ加盟店の経営状況が苦しさを増していることに対応する。「いつでも開いている」ことを他業態にない利便性として訴えてきた業界のなかでは、極めて異例の試みといえる。今夏、24時間営業から午前6時〜翌1時の19時間営業に移行したファミリーマート店舗。午前1時にはロールカーテンが下ろされ、あたりは静けさに包まれていた。

当面は「実験」との位置付け

 ファミマは2016年9月にサークルKサンクスと統合。現在、両ブランドの合計で全国約1万7800店を展開している。ファミマはこのうち深夜帯の来客が少ない数店舗で、深夜から未明にかけての営業をやめる。当面は「実験」という位置付けだ。コンビニ業界では最大手のセブン-イレブン・ジャパンが1974年に国内1号店を開業。75年には24時間営業を開始し、少しずつ全国へと広げてきた。ファミマも80年代前半には大半の店舗が24時間営業に切り替わっている。現在では鉄道駅構内やオフィスビル内を除いた約95%が24時間営業店だ。
ファミリーレストランなど他業界では数年前から、24時間営業を見直す動きが広がっている。深夜帯はアルバイトやパートが集まりにくく、人件費もかさむため、各社業績の重しとなってきたのが理由だ。一方、コンビニ業界で見直しの機運が広がらなかったのは、コンビニ店舗のほとんどが「株式会社セブン-イレブン・ジャパン」や「株式会社ファミリーマート」といったチェーン本部の直営店ではなく、本部とフランチャイズチェーン(FC)契約を結んだ独立事業主が運営するFC加盟店だからだ。

本部は「まんじゅう1個でも売れれば黒字」

 大手チェーンの場合、本部は売上高から商品原価を除いた「粗利益」の一定割合を、ロイヤルティー(経営指導料)として加盟店から受け取っている。つまり商品が売れさえすれば、人件費が増えようが減ろうが、原則として本部収益には影響しない。ある加盟店オーナーにいわせれば「深夜営業でいくら経費がかさんでも、まんじゅう1個でも売れれば本部は黒字」という構図だ。
このためチェーン本部は、人件費の上昇や深夜の店員確保が難しくなっているといった社会情勢の変化について、頭の中では理解していながらも、店舗売り上げの減少(=自身が受け取るロイヤルティーの減少)に直結する深夜営業の見直しには及び腰であり続けてきたのだ。 セブン-イレブン・ジャパンの古屋一樹社長は10月中旬、日経ビジネスのインタビューに「仮に営業時間を午前7時~午後11時に変えれば、店全体の売り上げは3割落ちる」と説明。24時間営業の見直しについて「社内で議論したことはない。加盟店からもそんな声は全く出ていない」と強調した。
ローソンの竹増貞信社長も、同じく10月中旬のインタビューで「ローソンだけが24時間営業をやめると、客が他のチェーンに流れてしまう」と慎重姿勢を崩さなかった。
深夜帯のコンビニでは、検品や品出し・清掃など、接客以外の作業も行われている――。この点も、チェーン本部からみた深夜営業継続の理由の一つだ。だがファミマの沢田貴司社長は「やってみないことには、本当に店舗のオペレーションが回らなくなるのかは分からない。『できない』ありきで結果を決めつけるのは思考停止だ」と強調。結果はどうであれ、まずは実験から始めることにした。

単なる「サービスの後退」なら業界衰退

 問題は、24時間営業をやめた場合に消費者にとっての利便性は損なわれてしまうこと。身近な店舗が深夜営業している便利さと安心感は大きい。「社会インフラ」として消費者の支持を得てきたコンビニが24時間営業を単純に縮小すれば、業界の衰退は免れない。
 そこでファミマは、店員不在の時間帯には店外に設置する自動販売機で商品を買えるようにする、いわば「実質24時間営業」という代替案も検討する。すでに神奈川県の一部店舗では、自販機設置に向けて土地所有者と交渉しているもようだ。
将来的には米アマゾン・ドット・コムが米国で試験営業している「アマゾンGo」のようなレジなし店舗の実用化も視野に入れ、店内の全商品を店員不在でも買えるようにしたい考えだ。
 日本に登場してから40年あまり。業界全体では右肩上がりのように思えるコンビニも、加盟店の収益性は伸び悩む。売り場の担い手たちの苦境を放置すれば、遅かれ早かれ、消費者の生活に欠かせない「社会インフラ」は崩壊しかねない。
 これまで数々のイノベーションによって古い商慣習を打ち破り、消費者の支持を得てきたコンビニ。ファミマの新たな取り組みは、持続可能な事業モデルの構築に向けての重要な試金石となりそうだ。

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