私は現在の仕事柄、数多くのコンビニ経営者の方や、加盟検討中の方々と日々お会いしいますが、その中でもよく伺うお悩みやご相談事があります。
そこで今回はよく出てくる案件を幾つか取り上げて、述べてみたいと思います。

Q:年齢的に事業を譲りたいのですが、子供は別の仕事に就いていて後継者とはなりません。そこで、仕事態度が真面目で、信頼している現在の店長に事業を譲渡したいと考えています。店長も了承しているのですが、具体的な手続きと注意点を教えてください?

A

代表的な例を幾つか挙げて説明します。
はじめは、単純に事業譲渡するパターン。法人ごと承継人に売ってしまう形式です。ただその場合は、事業内容により非上場企業なので株価が出ないので、株価評価(有限、合資、合同は口数評価)を会計事務所等で行ってもらい、その株価で継承人に譲渡すれば完了です。その株価には法人資産(在庫品、内装・備品の残存簿価等含む)が含まれていますが、実はそのほかにもその事業が高収益の場合、別途その付加価値について上乗せして譲渡金額をとることも可能です。ただ、あくまでもその金額はその不可価値が今後どれだけの収益をもたらすか?という評価を双方で行いすり合わせて交渉し、最終金額を決定することになります。コンビニの場合、既存の売り上げを作るまでの努力値やその売り上げを構成する固定客も財産として引き継ぐのですから、大きな付加価値となります。一方受けるほうも競合店リスク等もあり永続的な現在の売り上げ確保を保証されているわけではないので、落としどころを双方とも無理をせず見つけることが肝要です。
次に経営は任せるが、会社は譲渡しないパターンもあります。つまり株式・口数は譲らず、主たる代表役員を他人に任せる方法です。やる人のモチベーションを保ったり、(収入に応じた報酬額の変更等)不正を監視したり、かなり間接的な事業への係りは発生してきます。その場合でもその任せた方がやめたりした場合、運営責任は問われますので完全な引退とはならない為、それを望む方には適しています。
そのほかに、そのコンビニ運営法人で他事業もある場合、大きく2つ譲渡の方法があり1つ目が事業部門譲渡という方法です。大企業がこれを実施し、新聞などでよく報じられています。例としてはIBMがパソコン部門をレノボに部門譲渡をした、あるいは東芝が白物家電部門を中国のハイアールに部門譲渡したものなどが有名です。規模こそ違いますが、同じように、その法人のコンビニ事業部門を譲渡することは可能です。

ほかに会社分割という手法もあります。これは特殊な場合になりますが、現実にないわけではありません。その名の通り1つの会社を分割して2つの法人をつくる手法です。
これら2つの手段を行う場合が多いのは、その法人自体に歴史がある、他事業もあり収益挙げている、等々で法人ごとの譲渡ができない場合に選択される手法です。
先ほどの事業部門譲渡も会社分割も、譲渡する事業部門や分割して出来た子会社にコンビニ運営上のフランチャイズ契約や酒・たばこの免許の絡みがあるのであり、事前に本部・財務局・税務署等に相談しながら実施しなければならず、また、ほかの事業の状況や金融機関からの借り入れ状況、固定資産の法人所有状況等々を加味して、最善策として検討していく手段です。未経験者が実施するには難しく、税理士、司法書士、行政書士、状況によっては弁護士に契約書のリーガルチェックを受けるなど、それぞれの専門家に依頼して進めていくことが必要と考えます。
また税務上の取り扱いの違いも述べておくと 事業譲渡は、譲渡対価が現金であり、引き継ぐ資産及び負債の評価は時価となります。また、不動産取得税・登録免許税・消費税の課税対象となります。事業譲渡は限定された範囲の事業を譲渡していることから、権利義務が包括的に移転しないため、債権者がいる場合、各債権者の個別の同意が必要となります。
 これに対して、会社分割は、組織再編の手法であり、分離させた事業の対価は基本的に株式です。権利義務は包括的に新会社へ移転されるため、各債権者の同意は不要ですが、債権者保護手続が必要となります。会社分割で発行された株式をすぐに譲渡する場合、税務上は非適格組織再編となり、会社分割のタイミングにおいて資産及び負債は時価評価されます。しかし、会社分割によれば、消費税は不課税であり、不動産取得税や登録免許税は軽減されます。
以上のように、税負担のみを比較すると事業譲渡よりも会社分割後の株式譲渡が有利に取り扱われる局面が多いといえます。

Q:次のフランチャイズ契約更新時には、年齢的に無理なので、引退しようと思っているが、年金少ないので老後生活が不安です。何か対策はありませんか?

A

このご相談も多くあるので、概略を述べておきます。お子さんが事業承継する場合には、それほど問題はないかと思われますので、あくまでも身内に後継者がいない方を対象にした対策となります。その対策を行う前提として個人事業では対策は打てず、法人事業のみとなります。理由はフランチャイズ契約において、個人事業主として契約している場合、お子さんが本部のオーナー資格認定を受けていれば、その店舗での継承(前オーナー解約して子供名義で再契約)を認めてくれる場合が多いのですが、他人では原則として認めていない場合が多いからです。どんなに売り上げある店でも、個人でフランチャイズ契約を更新できない限り、契約満了で手放さなければなりません。従って事業を事前に法人化しておく必要があります。但し当然ながら引き継ぐ価値があるだけの、収益性がある事が前提です。法人化するにはメリット(個人より節税対策がとれる、条件により消費税免除が1年程度受けられる等)・デメリット(決算・申告費用アップ、社会保険加入強制適用等)がありこれは収益によって変わってくるので、収益が低いと持ち出しが多くなり、老後対策メリットとの比較となります。
法人での老後対策としては、前項で申し述べた事業譲渡と連携した対策となるのですが、
要は譲渡時に少額の役員報酬をずっと払ってもらえるようにすることで年金不足分の補填をするように仕組みつくりしていきます。
それは事業譲渡金額を単純に月額ローンにする(この場合貸付金の返済なので非課税)という方法もあれば、譲渡金額にプラスして、前項で述べた付加価値分の対価として、非常勤役員に残してもらって、少額の報酬をとる方法、また前項にもあった会社譲渡せず、経営を任せる方法で収益を得る方法等などが考えられます。
また特に個人事業主の方にお勧めするのが、10年程度事前準備の方法として、「小規模企業共済」に積み立てしておくのも、退職金を得られる方法としても有効です。月額1000円から7000円任意の金額を積み立てできて、全額経費として申告時に計上できて節税対策にもなります。またもう少し多く積み立てしたい方には、「経営セイフティ共済」という制度があり、月額5000円から20万円まで任意に積み立てできます。

こちらも全額経費(不動産収入のみのような事業所得がない場合は不可)に計上できます。但しどちらとも中途解約した場合、解約事由により積み立てた金額より、解約金が下回ってしまう場合があるので、無理なく支払いできる金額設定が肝要です。また一時金ではなく
年金みたいに月額で受け取れるようにできるので、どちらにしても加入前によくご検討されてはいられることをお勧めします。