目次

セブン&アイ、株価5000円の壁

証券部 湯浅兼輔 2017/4/4 5:30 [日経]

 セブン&アイ・ホールディングスのカリスマ経営者、鈴木敏文前会長の電撃退任から間もなく1年になる。後を継いだ井阪隆一社長は2016年10月、中期計画「100日プラン」を発表。過去のしがらみを断ち切って構造改革を進める考えを示したが、株式市場の評価はもうひとつだ。退任騒動前に5000円を超えていた株価は、新体制発足後はなかなか5000円を上回れない。近くて遠い5000円の壁はセブン&アイが解決すべき課題の大きさを物語る。鈴木前会長の退任が決まった16年4月7日と17年3月末の株価を比べると、日経平均が20%上がったのに対し、セブン&アイは3%安にとどまる。百貨店ののれんや総合スーパー(GMS)の店舗を減損処理し、エイチ・ツー・オーリテイリングとそごう神戸店(神戸市)などの売却で合意した。不振にあえぐネットと実店舗を融合させる「オムニチャネル」戦略の見直しも実施したが、株価は一向に上向かない。改革に対する投資家と経営陣の温度差が背景にある。「(改革の)意気込みはいいが、根本的な問題は残る」。アバディーン投信投資顧問の三沢宏明氏はこう指摘する。一例に挙げるのはGMSだ。100日プランでは都心など好立地の店舗を再開発し、不動産として有効活用する方針などを掲げた。だが三沢氏は「営業利益率目標が1%台の事業を抱える必要があるのか」と疑問を呈する。イトーヨーカ堂の20年2月期の売上高営業利益率の目標は1.3%。約30%だったセブン―イレブン・ジャパンの16年2月期の営業利益率に比べ、収益性の低さは一目瞭然だ。自己資本利益率(ROE)を10%まで上げる目標に近づくにはコンビニに経営資源を絞るのが近道と考える市場関係者は少なくない。実際、コンビニ事業は好調が続く。セブンイレブンの既存店売上高は2月まで55カ月連続で前年同月を上回った。ユニー・ファミリーマートホールディングスやローソンと比べても、セブンの強さが際立っている。プライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の品質の良さが消費者に支持され、「おにぎり100円セール」など潤沢な広告宣伝費を使ったキャンペーンで顧客をひき付ける戦略がうまく機能している。コンビニがけん引役となり、セブン&アイの17年2月期の連結営業利益は会社計画(前の期比0.2%増の3530億円)を上回り、過去最高を更新したとみられる。とはいえ、「セブン1強」が続く保証はない。コンビニ業界共通の課題である人手不足がのしかかるからだ。フランチャイズ加盟店の経営環境は厳しさを増している。「FC契約を見直して加盟店の負担減に取り組まざるを得ない」(国内証券のアナリスト)が、加盟店の負担減は本部負担の増加につながる。アナリスト予想の平均値のQUICKコンセンサスによると、18年2月期のセブン&アイの1株純利益は230円。足元の株価で算出すると、PER(株価収益率)は19倍だ。日経業種別PER「小売業」の24倍(予想ベース、加重平均)を下回る。利益の伸び悩みを懸念する市場関係者は少なくない。
 辞任劇後、井阪体制は急発進で発足し、準備期間などはないに等しかった。「『すぐに結果を出せ』という市場の催促は厳しすぎる」(ライバルのコンビニ大手幹部)との声もある。この1年間で百貨店のそごう・西武、ファミリーレストランなどを運営するセブン&アイ・フードシステムズ、イトーヨーカ堂など主要子会社のトップを相次ぎ交代させ、鈴木色を一掃した。今は地盤固めをほぼ終えた段階で、経営の指導力が試されるのはまさにこれからとも言える。GMSや百貨店の不振など内部の問題と人手不足という外部の構造問題にどう対処していくのか。まずは6日に発表する決算の中身と、会見場での井阪社長の発言に注目だ。

目次に戻る

ローソン、全国に人員派遣 今秋メド

2017/4/5 2:00 [日経]

 ローソンはコンビニエンスストアの加盟店に従業員を派遣するサービスを今秋メドに全国展開する。加盟店の要請に応じ研修を受けた従業員をローソンが派遣する。都内1カ所だった従業員を派遣する拠点を全国17カ所に増やす。人手不足感がコンビニ業界にも波及するなか、加盟店が従業員を安定的に確保できる体制を整える。同業他社も対策を講じ始めた。

研修を終えてから、要請があった店舗に派遣される

 グループの人材派遣会社ローソンスタッフ(新潟市)を通じ、コンビニ加盟店にパートやアルバイトを派遣する。学生を中心に主婦や外国人など延べ約2千人がローソンスタッフに登録をしており、都内の加盟店の要望に応じて1日か1カ月単位で派遣・紹介している。これまで派遣対象の店舗は都内の1千店強で、このうち400店ほどで利用実績があった。
 ローソンスタッフは従業員を派遣する前に日本人で12時間ほど、外国人で30時間ほどの研修を実施し、店舗でレジ打ちなどを円滑に担当できるようにする。これまで研修拠点は都内1カ所で、派遣サービスも都内に限られた。今秋メドに研修拠点を全国の主要都市17カ所に増やし1万人の登録を目指す。加盟店の要望を聞きながら将来的に約1万3千店の全店舗に派遣できるようにする。
 派遣サービスの料金は一般の人材紹介サービスより割安にする。派遣される従業員はシフトに固定されず空いた時間に働くことが可能で、受け取る給料はコンビニでパートやアルバイトとして働く通常の場合に比べると若干高くなる。

目次に戻る

ファミマへの転換加速

2017/3/31 2:30 朝刊 [有料会員限定]

ユニー・ファミマHD、今期3000店計画
 ユニー・ファミリーマートホールディングスは傘下のコンビニエンスストアのブランド統合を加速する。2018年2月期は「サークルK」「サンクス」の3000店規模を「ファミリーマート」に転換する計画。19年2月末としていた統合の完了時期を前倒しし、食品スーパーやドラッグストアなど異業種との競合も厳しさを増しているコンビニの競争力を高める。
 1日就任した高柳浩二社長が30日、日本経済新聞の取材で「看板替えを今期、相当前倒しする。前期(16年9月~17年2月)の800店超に比べると、3~4倍の3000店くらいになる」と述べた。約6000店あったサークルK、サンクスのうち、ファミリーマートに転換した店舗では売上高は平均15%ほど伸びているという。
 スーパー事業では不採算店舗の閉鎖を進める一方、高柳社長は「店舗のスクラップ・アンド・ビルドなどを通じて活性化する」と強調。コンビニとスーパーで共通する新サービスの開発に向け、筆頭株主の伊藤忠商事と連携する考えも明らかにした。具体的にはポイント制度などの開発を検討する。

目次に戻る

ファミリーマート一本化を半年前倒し、18年8月までに

TBS NEWS 4/12(水) 01:20

 ユニー・ファミリーマートホールディングスは、コンビニの「サークルK」と「サンクス」の全店舗をこれまでの計画より半年早い2018年8月までに「ファミリーマート」に転換すると発表しました。
 「ブランド転換を17年度で2600店を計画している。早期のブランド転換完遂を中計期間中の最優先課題と考えている」(ユニー・ファミリーマートホールディングス 高柳浩二社長)
 ユニー・ファミリーマートホールディングスの高柳浩二社長は、決算会見で、傘下のコンビニ「サークルK」と「サンクス」のブランドを「ファミリーマート」へ転換する時期について、これまでの計画より半年前倒して2018年8月にすることを明らかにしました。
 すでに「ファミリーマート」への転換を終えたおよそ830店舗で一日の売り上げが15%程度伸びたということで、早期の一本化でコンビニ事業の強化を図りたい考えです。(11日23:50)

目次に戻る

コンビニ大手3社決算出そろう 営業利益は2社が増益

4月12日 20時17分

コンビニ大手3社のことし2月までの1年間の決算が出そろい、店舗数の増加や総菜などの販売が好調だったことから、本業のもうけを示す営業利益で2社が増益となりました。
コンビニ大手3社は12日までに、去年3月からことし2月までの1年間の決算を発表しました。
各社単体の決算によりますと、最大手のセブンーイレブン・ジャパンの本業のもうけを示す営業利益は、前の年度より3.6%増えて2434億円余り、ローソンも574億円余りと0.3%増加しました。
これは店舗数が増えたことや総菜などの販売が好調だったためで、ローソンは全国で進めた店舗の改装費用が利益を圧縮したということです。
一方、ファミリーマートの営業利益は、去年9月に経営統合したサークルKとサンクスのブランド転換を進める費用がかかっていることなどから、427億円余りと前の年度に比べて14.5%の減益となりました。
大手3社は今後も出店を増やす方針ですが、競争の激化に加えて、人手不足によるアルバイトの人件費の上昇なども店舗を増やしていくうえで大きな課題となりそうです。
記者会見でローソンの竹増貞信社長は「人手不足が深刻化する中で、負担を軽減するシステムを導入するなど、環境の変化に合わせ、加盟店の支援を変えていかなければならない」と話していました。

目次に戻る

ローソン営業益最高740億円 17年2月、他店から転換増加

2017/4/8 2:00 [日経]

 ローソンの2017年2月期の連結営業利益は、前の期比2%増の740億円弱になったようだ。14期連続の営業増益で、最高益を更新した。他店からの転換や新規出店で店舗数が増え、「グリーンスムージー」など健康志向の商品の販売が伸びた。
 営業利益は従来予想の760億円(前の期比5%増)をやや下回った。加盟店が負担していた弁当の廃棄損や光熱費の一部を本部が肩代わりした。販売促進の費用も増えた。売上高営業利益率は前の期の12.4%から1ポイント近く下がったもようだ。
 売上高にあたる営業総収入は8%増の6300億円強だったとみられる。今年2月末のグループ国内総店舗数は1万3111店と1年で716店増えた。提携先のポプラやスリーエフ、セーブオンからローソンへの転換が進んだ。3チェーンからの切り替えは共同ブランド店も入れると200店強になる。都市部への新規出店も増やした。
 加盟店や直営店の売上高を合計したチェーン全店売上高は、5%増の約2兆1500億円だった。消費者の健康志向を意識した商品の売れ行きがよかった。野菜を豊富に使った冷蔵飲料の「グリーンスムージー」、糖質を抑えたパンの「ブランパン」などだ。調理済み食品を自宅で食べる需要が高まり、総菜や独自ブランドの冷凍食品も好調だった。
 グループ会社では、高級スーパーの成城石井が増益。複合映画館のユナイテッド・シネマは「君の名は。」のヒットで収益が拡大した。

目次に戻る

ローソン、銀座に訪日客向け店

2017/4/11 2:30 朝刊 [日経]

 ローソンは10日、東京・銀座で20日開業する商業施設「GINZA SIX(ギンザ シックス)」(東京・中央)に、訪日外国人向け商品を充実させたコンビニエンスストアを出店すると発表した。日本土産となる約300種類の食料品・雑貨を販売する。外貨両替や免税対応などのサービスも一体で提供し、訪日観光客の需要を取り込む。ローソンは施設1階の訪日外国人に対応する拠点「ツーリストサービスセンター」内にコンビニを出店。店舗面積は約300平方メートル。弁当や飲料など通常商品のほか土産品、イスラム教の教えに沿った「ハラル認証」取得商品も6種類販売する。同センターでは三井住友銀行や佐川急便なども外貨両替や宅配便取り次ぎ、免税カウンターなどのサービスを提供する。

目次に戻る

セブン、宅配を外部委託

2017/4/14 2:30 朝刊 [日経]

セイノーから配達員 加盟店の人材確保限界
 小売り大手が宅配網のてこ入れに乗り出す。セブン―イレブン・ジャパンはセイノーホールディングス(HD)と提携。セイノーHDがコンビニエンスストアに配達員を送り、宅配を代行する。ニトリホールディングスは家具を運ぶ提携運送会社向けにトラックを割安に貸し出す。流通業の代表企業が物流の末端まで支援しなければならないほど人手不足が深刻化している。
 資本力のある大手が先行して配達員の確保策を進めることで、人材獲得競争が一段と過熱する可能性がある。
 セブンは弁当を中心にコンビニで購入した商品を店員が自宅まで届ける宅配サービス「セブンミール」を全店の7割超の約1万5千店で展開する。店員は接客なども担うため、多くの店では十分な人手を割けなかった。セブンイレブンの各店舗は個人事業主の経営が多く、採用力にも限界があった。
 セイノーHDはセブンの宅配を代行する全額出資子会社を設立、5月から本格稼働する。まず約100人の配達員をそろえ、広島県など1都7県の約150店を担当する。将来は全国に広げる方針だ。
 セイノーHDは接客や運転技能に関する社内検定に合格した人のみを派遣する。商品は軽トラックで運ぶが、運転免許以外の資格は必要なく、担当も自宅に近いエリアに限られるため、比較的、配達員も集めやすいとみられる。主婦など女性を積極的に活用する。
 セブンはセイノーHDに宅配を委託することで配達の頻度を増やせる。5店舗で試行したところ、利用金額は10倍に増えた。関連コストは増える見込みだがメリットの方が大きいと判断した。
 セブンミールは500円以上の商品を購入した場合の送料は無料で、今後も料金は変更しない。セブンミールの売上高は2017年2月期で266億円。全売上高の1%にも満たないが、高齢者や女性向けに潜在需要は大きいと見込む。
 ニトリHDは20年までをメドに2トンと10トンのトラックを計1200台購入し、家具を運ぶ約100社の提携運送会社向けに割安に貸し出す。月々のリース料は通常に比べ少なくとも1割程度(数万円相当)抑えることができるとみられる。運送会社の負担を抑え、運転手の人件費確保などにつなげる。小売企業が配送網維持のために、車両のリースまで手がけるのは珍しい。
 労働人口の減少で人材は建設や小売りなど各業界をまたいで取り合いになっており、トラック運転手は確保しづらい。

目次に戻る

セブンイレブン、団地「守る」コンビニ100店
UR子会社と提携 高齢者サービス拡充 食事宅配や電球交換

2017/4/17 2:30 朝刊 [日経]

 セブン―イレブン・ジャパンは団地の住民向けコンビニエンスストアを開発する。団地内に出店し、電球交換といった身の回りの悩みに対処するサービスを提供する。団地は郊外に立地する例が多く、買い物などに悩む高齢者も増えている。食事宅配などのサービスを充実し、生活インフラとして住民を支える。全国で100店規模の出店を目指す。都市再生機構(UR)子会社で団地の管理事業を手掛ける日本総合住生活(JS、東京・千代田)と提携する。JSがセブンとフランチャイズチェーン(FC)契約を結びコンビニを運営する。21日には東京都東村山市のURの団地「グリーンタウン美住一番街」内で開業する。
 1960年代~70年代に、都市部の郊外で本格的に建設された団地では住民の高齢化が目立つ。買い物に行くのが難しいなど、日々の生活に不自由を感じる団地住民は増える見通し。セブンは団地内で、日々の買い物に悩む高齢者など向けに食事宅配を提供するほか、身の回りの悩みを解決するサービスも検討する。 鍵の紛失解決や水道トラブルへの対処、粗大ゴミの搬出といったJSが手掛ける団地管理業務の一部をコンビニでできるようにする。コンビニはオフィス街や大学構内といった立地のニーズに合わせて品ぞろえを変更しているが、団地内でも地域住民の要望を反映させていく。団地内に住む主婦や学生らを店員として雇用する。
 団地内のコンビニはこれまで少なかったが、URは団地の利便性を高めるため、約100の団地でコンビニ出店の公募を始める。セブンはUR子会社のJSと連携して出店し、団地のニーズをとらえた品ぞろえで収益を確保していく。団地は都市部の郊外に立地する例が多いが、団地と同じように買い物などで悩む地域は地方でも増えている。セブンは団地内のコンビニで蓄積した品ぞろえや住民サービスのノウハウを、地方にある店舗にも導入していく考えだ。

目次に戻る

ローソン、看板替え出直し 玉塚会長退任 「スリーエフ」にローソンの冠
三菱商事主導 上位2社追う

2017/4/13 2:30 朝刊 [日経]

 ローソンが2つの「看板」をかけ替える。12日、玉塚元一会長が退任する人事と、中堅コンビニ「スリーエフ」の看板をローソンにする戦略を発表した。2月にローソン株を買い増し子会社化した三菱商事が主導して経営基盤を立て直す。ただ玉塚社長の在任期間にコンビニエンス業界の再編に出遅れ3位に転落したままで、再浮上への課題は多い。「やはりトップは1人のほうがいい。(退任は)ローソンのため6割、自分のわがまま4割だ」。12日、都内で開いた記者会見で、5月末の株主総会での退任を説明した玉塚氏。時折、目に涙をためながら話した。伏線はあった。2月、三菱商事がローソン株をTOB(株式公開買い付け)で買い増して子会社化した。三菱商事出身の竹増貞信社長が経営、玉塚氏は企業統治と役割を明確にし、玉塚氏は一歩引く場面が増えていた。玉塚氏はファーストリテイリング社長などを経てローソンに2010年に入社。当時の新浪剛史社長(現サントリーHD社長)にスカウトされ、14年に新浪氏がサントリーに移った後も同氏の強い要請で社長・会長になった。高級スーパーの成城石井やユナイテッド・シネマなどをグループ傘下に収め事業領域を広げたが、コンビニ事業は底上げできなかった。
 12日発表した17年2月期連結決算は、売上高にあたる営業総収入が前の期比8%増の6312億円、純利益が16%増の364億円だった。だがコンビニ首位のセブン―イレブン・ジャパンの背中は遠い。17年2月期の1店舗1日あたり売上高(全店の平均日販)はセブンが65万7千円。ローソンは54万円。約10万円の差を縮められない。
 今後のローソンは竹増社長を中心に三菱商事主導になる。12日にはスリーエフが東京都や神奈川県などで展開するコンビニ281店を「ローソン・スリーエフ」に変えると発表した。ローソンは広島が地盤の「ポプラ」や、北関東が地盤の「セーブオン」といった中堅コンビニを傘下に入れた。「スーパーなど異業種との連携も進めていく」(竹増社長)考えだ。
 3位に甘んじていた雰囲気だったファミリーマートが16年9月、コンビニ4位のサークルKサンクスと統合。店舗数でローソンを上回った。そのファミマも親会社の伊藤忠商事が主導する。ファミマの持ち株会社の社長に3月就いた伊藤忠出身の高柳浩二氏は「伊藤忠を使い倒す」と強調。金融やネット対応などサービスを充実する。
 既存店売上高が3月まで56カ月連続でプラスの首位セブンも安泰ではない。チェーン全店売上高の増加率は18年2月期に4.3%の見込み。17年2月期の5.2%、16年2月期の7.1%に比べ鈍化する。カリスマ経営者の鈴木敏文氏が16年にグループ経営から退き「以前よりは緊張感が薄れている」との声もある。
 ローソンは数少ないチャンスを生かし再浮上できるか。12日に「1万8千店、日販60万円」をめざす中期計画を掲げたが、国内コンビニ市場に飽和感が出るなか、達成へのハードルは高い。
(川上尚志)

目次に戻る

ファミマが店長・店員研修 加盟1万8000店人材定着へ支援

2017/4/19 2:30 朝刊 [日経]

 ファミリーマートはコンビニエンスストア加盟店の全約1万8千店を対象に店長や店員の研修に乗り出す。19日に新しい研修制度を始め、座学形式で店舗運営や実技を教えるほか、研修担当者が各地域の店舗を巡回し店員を教育する。年間で延べ4千回程度研修を開く。コンビニ業界では加盟店が自ら店員の採用や教育を担うのが一般的だが、人手不足感の強まりを受け人材定着へ支援を強める。

全国を24地区に分け、担当者が店舗を巡回。要望に応じて店員を教育する

 19日に「ファミマスクール」の名称で加盟店向けの研修制度を新設する。座学と実践の2種類を用意する。座学では労務やリスクの管理を学ぶ店長向け研修、基本動作や売り場作りを学ぶ店員向け研修の2種類を用意し各2時間ほど。全国の175営業所にファミマから講師を派遣する。各地でそれぞれ年3回ずつ開く。
 実践では全国の24地区にそれぞれ3人ずつファミマの研修担当者を配置。担当者が各地域の店を巡回し、店の要望に応じて新人やスキルアップを望む店員を教育する。ファミマは店員の能力に応じて5段階の資格制度を設けており、全約20万人のうち最上位の「マスター」は約1千人、次に上位の「トレーナー」は約1万3千人いる。研修によりそれぞれ約2割増やす。コンビニ加盟店は本部とフランチャイズチェーン(FC)契約を結んだ個人事業主が経営する場合が多い。店員の採用や教育は加盟店が行うが、人手不足などで時間が確保できないケースが増えている。
 ファミマの沢田貴司社長は「加盟店支援が最優先」とし、店で出る食品廃棄物の買い取りや光熱費の支援などを拡充しており、研修制度も設けて店員の定着まで踏み込み加盟店を支える。コンビニは外食などの業界よりも従業員を確保しやすかったが、人手不足感が強まっている。

目次に戻る

全コンビニに無人レジ 大手5社
流通業を効率化 ICタグ一斉導入

2017/4/18 2:30 朝刊 [日経]

 セブン―イレブン・ジャパンやファミリーマートなど大手コンビニエンスストア5社は消費者が自分で会計するセルフレジを2025年までに国内全店舗に導入する。カゴに入れた商品の情報を一括して読み取るICタグ(総合2面きょうのことば)を使い、販売状況をメーカーや物流事業者と共有する。深刻化する人手不足の解消を狙うとともに、流通業界の生産性向上につなげる。
 経済産業省と共同で発表する「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」に、25年までにセブンイレブン、ファミマ、ローソン、ミニストップ、ニューデイズで取り扱う全ての商品(計1000億個)にICタグを貼り付けると明記する。
 コンビニで買い物をする消費者は商品をカゴや袋に入れたまま専用機械を組み込んだ台に置くだけで会計できる。スーパーではバーコードを一つ一つ読み取るセルフレジが広がりつつあるが、日用品を扱う大手がカゴごとに瞬時に会計できる仕組みを全面導入するのは世界でも例がないという。
 コンビニ大手5社が共通のICタグを使うことで納入業者が異なる規格に対応する必要がなくなる。経産省は各社の系列のスーパーやドラッグストアなどに活用が広がることを期待している。
 ICタグは厚さ1ミリメートル以下で、商品の包装に組み込む。RFID(無線自動識別)と呼ばれる技術を使い、商品情報を書き込んだり内容を機械で読み取ったりできる。
 ICタグを読み取るレジは1台100万~200万円の見通しで、全国のコンビニ約5万店に導入すると500億~1000億円の新たな投資が発生する可能性がある。
 経産省はコンビニやIT(情報技術)企業、食品メーカー、物流業者などを集めた協議会を年度内に発足させる。コンビニ各社は18年以降、首都圏など都市部の店舗からセルフレジ化を進める。
 タグには商品が作られた日時や工場、消費期限などの情報も書き込める。遠隔でも閲覧可能で、メーカーは商品の販売状況を即時に把握できる。
 メーカーが店頭の需要に合わせた商品を提供することでコンビニから返品される商品も少なくなり、物流業者の負担抑制にもつながる。消費者もインターネットを通じて自宅から産地や消費期限を確認できる。
 大手コンビニ5社がICタグ導入に踏み切るのは、人手不足が一段と深刻化しているためだ。コンビニを含む小売店のアルバイトの有効求人倍率は17年2月時点で2.8倍と高止まりしている。コンビニ5社は店員を全く置かない無人店舗の設置も進める考えだ。
 課題はICタグの生産コストだ。現在は1枚あたり10~20円程度で、数十円の商品も取り扱うコンビニでの導入の壁となっている。経産省は技術開発と量産化に向け、タグを開発する企業への補助金などで普及を促す。

目次に戻る

セブン-イレブンが加盟店のロイヤリティ引き下げ コンビニのビジネスモデル変える?

ITmedia ビジネスオンライン2017.4.19 16:40
 《セブン-イレブンが、これまで「聖域」としてきたフランチャイズ(FC)加盟店のロイヤリティ引き下げを表明。コンビニにとって核心部分であるロイヤリティの見直しを実施しなければならないほど、セブンは追い込まれつつあるのかもしれない。[加谷珪一,ITmedia]》
コンビニ業界に激震が走っている--。4月6日、コンビニ大手のセブン-イレブン(以下、セブン)が、これまで「聖域」としてきたフランチャイズ(FC)加盟店のロイヤリティ引き下げ(1%減額)を表明したからである。
 減額を開始するのは9月1日からで、期間は「当面の間」としている。ただ減額の目的の一つに、将来の加盟促進を挙げていることを考えると、恒久的な措置になる可能性が高いだろう。
 加盟店から徴収するロイヤリティは、FC制度を基盤とするコンビニビジネスの核心部分だが、同社がここに手を付けたことの意味は大きい。コンビニのビジネスモデルは今後、大きく変貌することになるかもしれない。

本部と加盟店の微妙な関係

 コンビニの業態はFC制度を抜きに語ることはできない。コンビニは他業態と比較して店舗数が突出して多く、直営店だけで機動的な店舗展開を実現するのは困難だからだ。例えばセブンは全国に約1万9000店舗を展開しているが、直営店舗となっているのは500店舗ほどであり、それ以外の店舗には独立したオーナーが存在している。各店舗のオーナーは、FC加盟店として本部にロイヤリティを支払う代わりに、チェーンの看板を使わせてもらったり、商品の仕入れなどで支援を受けることができる。ただ、本部と加盟店の関係は非常に微妙だ。その理由は、本部と加盟店は常に利益相反を起こすリスクを抱えているからである。
 ロイヤリティを一方的に高く設定すれば本部の利益は増加するものの、各店舗の利益は減少してしまう。FCに加盟する店舗がもうかっていないと、新しくチェーンに加盟する人が減ってくるので新規出店が難しくなるほか、店舗の経営が苦しいと接客の質などサービス低下にもつながってくる。一方で加盟店の利益を過度に大きくしてしまうと今度は本部企業の業績が伸び悩んでしまう。もし市場が順調に拡大している場合には、両者の利益が拡大するので、いわゆるWin-Winの関係になれる。だが市場が伸び悩んでくると、場合によっては本部と加盟店との間でパイの奪い合いとなり、両者に亀裂が入るケースも出てくる。FC制度は外食など他業種でもよく使われているが、成長が頭打ちになり、本部とFCの関係がギクシャクする事例は少なくない。極論するとFC制度というのは、市場が拡大することを前提にしたシステムと考えた方がよいだろう。

コンビニのロイヤリティはかなり高額

 加盟店とセブンの契約条件は、店舗の開設に必要な土地や建物をどちらの負担で用意するのかによって変わってくる。多くをオーナー側が用意するパターン(もともと酒屋など自らの土地で小売店を経営していたオーナーはこの形態を選択することが多い)では、粗利益の43%をセブンに支払うことになる(ローソンやファミリーマートは30%台)。ITmedia ビジネスオンライン2017.4.19 16:40
 《セブン-イレブンが、これまで「聖域」としてきたフランチャイズ(FC)加盟店のロイヤリティ引き下げを表明。コンビニにとって核心部分であるロイヤリティの見直しを実施しなければならないほど、セブンは追い込まれつつあるのかもしれない。[加谷珪一,ITmedia]》
コンビニ業界に激震が走っている--。4月6日、コンビニ大手のセブン-イレブン(以下、セブン)が、これまで「聖域」としてきたフランチャイズ(FC)加盟店のロイヤリティ引き下げ(1%減額)を表明したからである。
 減額を開始するのは9月1日からで、期間は「当面の間」としている。ただ減額の目的の一つに、将来の加盟促進を挙げていることを考えると、恒久的な措置になる可能性が高いだろう。
 加盟店から徴収するロイヤリティは、FC制度を基盤とするコンビニビジネスの核心部分だが、同社がここに手を付けたことの意味は大きい。コンビニのビジネスモデルは今後、大きく変貌することになるかもしれない。

本部と加盟店の微妙な関係

 コンビニの業態はFC制度を抜きに語ることはできない。コンビニは他業態と比較して店舗数が突出して多く、直営店だけで機動的な店舗展開を実現するのは困難だからだ。例えばセブンは全国に約1万9000店舗を展開しているが、直営店舗となっているのは500店舗ほどであり、それ以外の店舗には独立したオーナーが存在している。各店舗のオーナーは、FC加盟店として本部にロイヤリティを支払う代わりに、チェーンの看板を使わせてもらったり、商品の仕入れなどで支援を受けることができる。ただ、本部と加盟店の関係は非常に微妙だ。その理由は、本部と加盟店は常に利益相反を起こすリスクを抱えているからである。
 ロイヤリティを一方的に高く設定すれば本部の利益は増加するものの、各店舗の利益は減少してしまう。FCに加盟する店舗がもうかっていないと、新しくチェーンに加盟する人が減ってくるので新規出店が難しくなるほか、店舗の経営が苦しいと接客の質などサービス低下にもつながってくる。一方で加盟店の利益を過度に大きくしてしまうと今度は本部企業の業績が伸び悩んでしまう。もし市場が順調に拡大している場合には、両者の利益が拡大するので、いわゆるWin-Winの関係になれる。だが市場が伸び悩んでくると、場合によっては本部と加盟店との間でパイの奪い合いとなり、両者に亀裂が入るケースも出てくる。FC制度は外食など他業種でもよく使われているが、成長が頭打ちになり、本部とFCの関係がギクシャクする事例は少なくない。極論するとFC制度というのは、市場が拡大することを前提にしたシステムと考えた方がよいだろう。

コンビニのロイヤリティはかなり高額

 加盟店とセブンの契約条件は、店舗の開設に必要な土地や建物をどちらの負担で用意するのかによって変わってくる。多くをオーナー側が用意するパターン(もともと酒屋など自らの土地で小売店を経営していたオーナーはこの形態を選択することが多い)では、粗利益の43%をセブンに支払うことになる(ローソンやファミリーマートは30%台)。
例えば、1000円の商品を700円で仕入れて300円の粗利益を得たとする。ロイヤリティはここにかかってくるので、この場合には300円の43%、つまり129円をセブン側に支払うことになる。
 もし脱サラなどでコンビニの加盟店になるケースでは、加盟店オーナーが多額の資金を用意できないケースも多い。その場合にはセブン側が資金の多くを負担する代わりに、ロイヤリティの割合が上がってくる。売上高などによってロイヤリティの率は変わってくるが、粗利益の70%以上を本部に支払う契約もあるといわれている。
 一連のロイヤリティは一般的に考えるとかなり高額である(例えば、飲食業界などは10%前後が多い)。仮に1日の売上高が50万円だとすると、1カ月の売上高は1500万円。仕入原価を70%と仮定すれば、1カ月の粗利益は450万円だ。ここで70%のロイヤリティが課せられしまうと加盟店オーナーが得られる利益は135万円に減ってしまう。
 加盟店オーナーはここから自身の給料やアルバイトの給料、その他経費などを支払うことになるので、場合によっては利益がほとんど残らないこともある(セブンの場合には光熱費の一部を本部が負担するという制度がある)。 以前、一部の加盟店オーナーが本部との契約条件があまりにも厳し過ぎるとして労働委員会に救済を申し立てるという事例があった。全ての加盟店がそうではないと思うが、店によってはロイヤリティの負担はかなり重いものとなっているのだろう。

鈴木前会長の退任が「聖域」見直しのきっかけに?

 コンビニ業界にとってロイヤリティというのはビジネスの核心部分であり、一種の「聖域」であった。ロイヤリティの設定を下手に変えてしまうと、本部を運営する企業の業績にブレが生じてしまうのはもちろんのこと、加盟店の経営状況も変化し、今後の出店戦略にも極めて大きな影響を与えることになる。
 当然、コンビニ各社は収益性の高いエリアでは加盟店の争奪戦となっている。加盟店の結束が崩れるようなことになれば、他社への乗り換えが進み、一気にシェアを奪われる可能性もある。
 セブンは、これまで鈴木敏文前会長によるワンマン経営が続いてきたが、鈴木氏はセブン側の収益低下につながるロイヤリティの減額は絶対に認めなったともいわれる。今回、セブンが聖域であるロイヤリティに手を付けたことは、鈴木氏が退任して経営体制が変わったことと密接に関係している。
 だが逆に考えれば、コンビニにとって核心部分であるロイヤリティの見直しを実施しなければならないほど、セブンは追い込まれつつあるともいえる。
 店舗が飽和状態になるなど、コンビニのビジネスモデルがそろそろ限界に近づきつつあるというのは以前から指摘されてきたことだが、それでもセブンは何とか好業績を維持してきた。だが今回のロイヤリティの見直しは、コンビニのビジネスモデルが大きく転換する予兆なのかもしれない。

目次に戻る

次々に姿を消す中堅コンビニのブランド。大手と統合し生き残り模索
コンビニ&SPA―流通から生活革命

地域に密着の良さも失ってしまうのか  スリーエフ単独ブランドの店舗は順次姿を消す

中堅コンビニエンスストアのブランドが、次々に姿を消す。スリーエフは店舗を、ローソンとの「ダブルブランド」に順次切り替える。ファミリーマートはサークルKとサンクスの運営親会社と経営統合し、店舗を「ファミリーマート」へ転換するが、完了の時期を2018年8月と当初予定より半年前倒しする。中堅コンビニは大手と比べ、商品や店舗開発の投資で劣勢だ。単独で生き残る道は狭くなりつつあり、以前に増して厳しい決断を迫られている。「さまざまな人が築き上げたブランドを切り替えるのは、重い決断。ただ、今の経営環境を考えると、単独での業績回復を目指すのは非常に厳しい」。スリーエフの山口浩志社長は13日の決算会見で、悔しさをにじませた。17年2月期連結決算は、営業利益が3期連続の赤字だった。
 スリーエフはローソンと15年8月、資本業務提携に向けた協議を始めたが、契約締結は予定より遅れた。16年9月にダブルブランド「ローソン・スリーエフ」の1号店を開いた際、山口スリーエフ社長は「(ローソンは)『何だスリーエフ』と思ったこともあるかもしれないが、水に流してほしい」と、交渉が順調ではなかったことをにおわせた。しかし、始めてみれば、ブランド転換店の売上高は転換前と比べ1割以上増えている。「スリーエフとローソン・スリーエフの売り上げを冷静に分析し、(全店舗の転換を)決断」(山口スリーエフ社長)することになった。山口社長は「地域に密着した商売をしていく証し」と、店名にスリーエフの名前を残すことにはこだわった。ただ、「ローソン・スリーエフ」はローソンの品ぞろえが基本で、従業員はローソンの制服を着ている。
 ファミマは2月末までにサークルK、サンクスの商品の大半をファミマと統合した。現在残る約4700のサークルKとサンクスは、店舗と商品のブランドがかみ合わっていない状況で、転換を急ぐ理由にもなっている。ファミマは15年12月に吸収合併したココストアの店舗に関しても、予定より早い10カ月で同ブランドとしての営業を終えた。

ファミマはサークルK、サンクスで店舗・商品ブランドが違う状況の解決を急ぐ

 セーブオン(前橋市)は2月にローソンとメガフランチャイズ契約を結び、18年末までに全店をローソンブランドに切り替える。ポプラは55店舗を、資本業務提携しているローソンとのダブルブランドにした。ポプラの17年2月期連結決算は、営業損益が4億円の赤字(前期は8200万円の黒字)に転落、18年2月期も営業赤字を見込む。合従連衡が進む中、業界4位のミニストップに関しても、ローソンとの統合などの観測が流れている。ローソンの親会社である三菱商事が、ミニストップ親会社であるイオンの株の約5%を持っていることとも関連している。
 ミニストップの宮下直行社長は「よく聞かれるが、今のところそのような話はない」と苦笑する。「規模では負けるかもしれないが、一つひとつの店を強くする」と強調する。
(文=江上佑美子)

目次に戻る

セブンとアマゾン、食の宅配で両雄対決 課題は人手不足

2017/4/22 0:28 [日経]

 日本の食卓を巡る新たな争奪戦が始まった。21日、セブン―イレブン・ジャパンは弁当などの宅配事業を強化するためセイノーホールディングス(HD)と提携すると発表し、アマゾンジャパン(東京・目黒)は生鮮食品の配送サービスに参入した。コンビニエンスストアとネット通販の最大手が激突する構図だ。
業務提携で、セイノーホールディングス子会社の配達員「ハーティスト」によるセブンイレブン商品の宅配サービスが拡充する(21日午後、東京都千代田区) 「一つ一つの店舗が地域にとって一段と近くて便利になる」。セブンの古屋一樹社長は同日、東京・四谷の本部前で開いた式典で、提携の意義を語った。セイノー側が派遣した配達員がセブンのロゴで彩られた軽ワゴンに乗り込み、会場から走り去った。
 提携はセブンが2000年に始めた食品の宅配サービス「セブンミール」の強化が狙いだ。セイノーHD子会社がセブンの加盟店に派遣した配達員は商品を届けながら、新たな注文も聞いていく。加盟店の店員が手がける従来の手法では限界があった。
 広島県など1都7県の約150店で試行を始めており、19年2月末までに全国3000店に広げる。コンビニの国内店舗数は5万5千を超え、飽和感が強まる。既存店客数は3月まで13カ月連続で下回り、コンビニ最強のセブンも今後の成長に不安を抱える。セブンの説明では、宅配を含む食品通販の市場規模は20年度に4兆円弱と5年間で1割以上増える。現代版「ご用聞き」でこの成長を取り込むが、手ごわいライバルが早速現れた。「セブンでは毎週60~70の新商品が出る。色々な組み合わせで買える」。古屋社長が式典で違いを強調した相手はアマゾンだった。 「緑の取っ手の袋に冷蔵、白の袋に冷凍の商品が入っています」。21日、アマゾンの配達員が生鮮食品を東京都内の家庭に届け始めた。「アマゾンフレッシュ」と呼ぶサービスだ。野菜や果物、鮮魚を専用の袋で温度管理し、新鮮な状態で手渡しする。
 米アマゾングループがこのサービスを手がけるのは英米に続き3カ国目。日本で生鮮食品の本格的なネット通販は初めてだ。既存の配送網を使って東京23区のうち6区でサービスを始め、大阪市、横浜市が拡大の候補とみられる。
 アマゾンは「豊富な品ぞろえ、買い物しやすい価格、迅速で便利な配送サービスを同時に提供する」(ジャスパー・チャン社長)を経営理念とする。ネット通販最大手として磨いた自前の配送網を生かし、セブンとは全く別の論理で食卓に攻め込む。
 胃袋を狙うサービスを同じ日に始めた両社だが、共通の敵がいる。一つは人手不足だ。宅配最大手のヤマト運輸は人手不足でネット通販の増加に対応しきれず、運賃引き上げなどを迫られる。両社ともサービス対象地域を広げるなら、この逆風は避けがたい。
 もう一つは別のライバルだ。食品配送には食品スーパーのほか、配車アプリのウーバーテクノロジーズなど違う業態のIT(情報技術)企業も参入。都市部に限れば類似のサービスは増え始めてきた。コンビニとネット通販の雄にとっても楽な市場ではない。(川上尚志、諸富聡)

目次に戻る

ローソンが「稼ぐ農業」 余さず使い環境と収益向上

2017/4/25 6:30 [日経]

 ローソンが農業事業で、環境配慮と収益性の両立に取り組んでいる。土や農法にこだわりつつ、農産物の10%程度を占める規格外品を、自前の工場でサラダや総菜の原料に加工。加工時に出る端材もペットフードに使うなど農産物を余すところなく活用する。安全・安心のブランドイメージを醸成しながら、稼ぐ農業への体制整備を急ぐ。

農業生産法人に出資、全国23カ所に「ローソンファーム」

香取プロセスセンター(千葉県香取市)では、収穫した野菜をその場で加工して総菜などの工場に出荷する
 成田空港から車で15分ほどの距離にある千葉県香取市。約18ヘクタールに及ぶ露地の農場と50棟程度のハウスが立ち並ぶ。ローソンが出資する農業生産法人「ローソンファーム千葉」の農場だ。小松菜やニンジン、大根、キャベツなどの畑のすぐそばに、収穫した野菜をその場で加工する「香取プロセスセンター」がある。 エアシャワーをくぐって中に入ると野菜のカット室などがあり、根菜用の皮むき器といった設備が並ぶ。近隣の契約農家が生産した野菜が運び込まれ、皮むきやカットなどの加工をされた後、ローソン向けにカット野菜や総菜を生産する近隣の工場に出荷される。センターでは約30人の従業員が働きキャベツやニンジンなど1日に5トン前後の野菜を加工する。
ローソングループは全国23の農場で、収穫した野菜を総菜の原料などに活用している(千葉県香取市のローソンファーム千葉)ローソンが農業に参入したのは2010年。若くてやる気のある生産者と組み、農業生産法人に出資する形で農場を展開している。ローソンファームの名を冠した農場は現在、北海道から鹿児島まで全国23カ所。自社のコンビニエンスストアや小型スーパーへの野菜の安定供給と、独自商品向けの原材料調達を支えている。その第1号がローソンファーム千葉だ。

生産した野菜を無駄なく使う「環境にやさしい農業」

 農場で収穫した野菜の加工工程はこれまで外部に委託してきたが、14年に香取プロセスセンターを設立して内製化に乗り出した。ローソン商品本部農業推進部の下沢洋部長は「生産者の所得向上につなげる狙いがある」と説明する。農業の世界では、1次産業(生産)の担い手である農家が、自ら加工や販売まで行う「6次産業化」が課題となっている。「6次」とは「1次」に「2次(製造など)」と「3次(小売りなど)」を足した造語だ。
 ローソンファームにとっては、加工も手掛けることで収益機会が広がる。加工場で働く人の雇用も生み出せる。農場のそばに加工場を設ければ、保管や輸送などの中間コストも抑えられる。生産した野菜を無駄なく活用する、「環境にやさしい農業」を実践できることも大きい。
 ローソンは16年には農産物の安全性を認証する農業生産工程管理の「JGAP」を全農場で取得。水・肥料の安全性確保策や、収穫から出荷までの衛生管理体制に気を配ってきた。土壌改良や生育をコントロールしてミネラル成分を多く含む野菜を作る「中嶋農法」もいち早く取り入れ、土作りにも力を入れている。
加工の内製化は、こうした一連の流れの延長にも位置付けられる。
2016年10月から販売するペットフードには、ローソンファームで採れた野菜の端材や規格外品を原料に使っている
 表皮に染みがあったり折れていたりする規格外品は、生産品目にもよるが生産量の10%前後を占める。外部の加工場に出荷する場合、価格が安くなったり値が付かなかったりもする。ただ食用として使えることに変わりはない。折れたニンジンは短冊状やスティック状に加工することで十分に原料となる。
 加工時に出る端材も活用できる。ローソンが16年10月に発売したペットフードには、ニンジンの皮をむいたりカットしたりする際に発生する端材を細かく砕いて原料に使った。無駄を省いてコストを下げつつ、自前で生産した野菜を使うことで消費者に安心・安全を訴求していく考えだ。

加工場も各農場の状況に応じて全国に広げる方針

 自前の加工場は現在は1カ所のみ。ローソンは今後も加工場を増やしていく方針だ。
 ただ、時間はかかりそうだ。香取プロセスセンターの場合、ローソンは運営会社には直接資本を入れず、ローソンファーム千葉をはじめ千葉銀行子会社のちばぎんキャピタルが運営する「ちば農林漁業6次産業化ファンド」などが出資する形を採用した。
 あくまで「ファーム側が自前で計画を立てて経営してもらう」(下沢部長)ことにこだわり、稼げる農業へ、農家の自立を促す。ローソンは自治体や金融機関などを仲介するサポート役に徹し、全国のファームの状況に応じて順次、加工場を増やしていくという。
 「農業は一朝一夕にはいかない。ただ6次産業化やJGAPの取得、土作りなどにまで踏み込んで取り組むことで、競争力を高めていきたい」(下沢部長)。コンビニ競合間の競争が激しさを増すなか、農場と密に連携して生産するローソンの野菜は大きな強みになりそうだ。
(企業報道部 川上尚志)

目次に戻る