目次

ファミマ・ユニー、1日統合 コンビニ2位連合誕生

2016/8/31 19:10

 ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(GHD)が1日に経営統合し、新会社「ユニー・ファミリーマートホールディングス」が発足する。新会社のコンビニエンスストアの国内店舗数は約1万8千となり、首位のセブン―イレブン・ジャパンに迫る2位連合が誕生する。店舗網の拡大をテコに運営の効率化を進め、セブンイレブンを追い上げる。
 新会社ではコンビニのブランドを「ファミリーマート」に統一すると決めている。ユニーGHD傘下であるサークルKサンクスのコンビニ約6250店舗は、2018年度までに順次ファミリーマートに転換する。
 コンビニで採用する共通ポイントも「Tポイント」に一本化する方針。サークルKサンクスは「楽天スーパーポイント」を採用しているが、ファミマへの転換にあわせTポイントに切り替える。
 コンビニ業界ではセブンイレブンの日販(1店舗1日あたりの売上高)が約66万円と、ファミマやサークルKサンクスを10万円超上回る。新会社は店舗網の拡大を機に、仕入れや配送の効率化、商品開発のテコ入れを進めて収益拡大を目指す。

目次に戻る

沢田・ファミマ社長「店名一本化を前倒し」

日経朝刊
サークルKサンクスと統合で 海外、5年で1万店超に     
 ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合して1日発足したユニー・ファミリーマートホールディングスのコンビニ事業会社、ファミリーマートの沢田貴司社長は7日、複数あるコンビニの店名を今後2年半で統合する計画について「できる限り前倒しする」ことを明らかにした。両社の一体化を早期に進めて競争力を高める考え。
沢田社長
 ファミマの店舗数は約1万8千店となり、首位セブン―イレブン・ジャパンの約1万9千店に迫る。約1万2千店あるファミリーマートと合わせて約6千店の「サークルK」「サンクス」を順次ファミマに一本化する。沢田社長は「1万8千店の影響力は大きい。良い商品をしっかり伝えて販売拡大につなげたい」と話した。
 海外出店も力を入れる。台湾や中国など6カ国・地域で約6千店ある店舗網を、今後5年以内で7割近く増やし1万店以上にする計画だ。「アジアの成長可能性は大きい。現地市場を理解し慎重に見極めながら出店を増やしたい」とした。
 1店1日あたりの売上高(日販)はセブンイレブンが約66万円なのに対してファミマは約52万円にとどまる。
 沢田社長は「ニーズに応え切れていない部分は多い。課題を整理した上で優先順位を付けて取り組む」と説明した。
 総菜など食の分野を中心に新商品を開発。インターネットなどを活用し収益力を高める。

目次に戻る

ユニー・ファミマ統合 コンビニオーナーや取引先に不安も

2016/9/1 7:00 日経新聞 地域ニュース

 中部の流通業の要であるユニーグループ・ホールディングス(GHD)の再編劇は、地元関係者に少なからぬ影響を及ぼす。一例が「サークルK」「サンクス」の看板が変わるコンビニエンスストアのオーナーだ。
 「改装したばかりなのに。また出費しろというのか」。愛知県内で複数のサークルKを経営するオーナーはため息をついた。本部の勧めもあり老朽化した一部店舗を改装し、今年オープンした。改装費用は総額で数千万円ほどかかった。
 そのさなかにユニーGHDの経営統合のニュースが飛び込んできた。しかもコンビニブランドは「ファミリーマート」へ一本化されることに。改装費用の回収が終わる間もなく、ブランド転換を迫られる。ファミリーマートは「改装費用は原則本部が負担する」というが、「統合の進捗を知っていたら、改装時期を後ろ倒しにできた」と不信感を隠さない。
 サークルKとサンクスは統合後およそ2年半で順次ファミリーマートへと姿を変えていく。店の看板だけでなく、ポイントカード、ATM、レジシステムも刷新するとみられ、店員の再教育も必要だ。「我々にとってメリットはほとんどない」とオーナーは嘆く。
 ユニーGHDは8月、全国に6千店以上あるサークルKとサンクスのうち1千店舗の閉鎖・移転を発表した。不採算店の整理や、統合に伴う店舗網の重複解消が狙いだが、身近な店舗が姿を消したり、移転したりするケースがありそうだ。
 皮肉にも統合前日の31日、名古屋市内のあるオフィス街の一角で「サークルK」が改装オープンした。紅白の垂れ幕を飾った店内に早朝から多くの利用者が訪れた。女性客の一人は「朝から弁当の種類がそろっていて、家族の分も買うためよく訪れる」とサークルKの魅力を話す。ある男性客は「明日以降、看板はどうなるんだろう」と不思議がっていた。
 ユニーGHDに商品を納入する企業への影響も避けられない。ユニーグループ会を構成していた主要取引先だけでも約700社。経営統合でユニーGHDの存在感が希薄化し、取引先も何らかの形で選別される可能性があるためだ。
 「統合後の取引がどうなるか。売り上げ計画が立てられない」。ある中部の食品関係の取引先は頭を悩ませる。コンビニ事業では、サークルKとサンクス1店の売上高は1日約43万円。ファミリーマートは52万円弱で、統合後は同社が扱う商品が優勢になるのではないかとささやかれる。
ユニーGHDが長年築いてきた商習慣が変わるかもしれないという不安も聞かれる。あるコンビニオーナーは「サークルKサンクスでは複数店舗のコンビニ経営者への優遇措置があり、統合で見直されると苦しい」と話す。ユニーGHDが卸業者への優遇措置を見直すのではないかとの観測もあり、「業績に影響がでる卸があるかもしれない」(関係者)。
 一方で取引先にはチャンスにもなり得る。例えばサークルKとサンクスで人気商品の焼き鳥や焼き芋だ。統合新会社の社長に就任するファミリーマートの上田準二会長は焼き鳥などを同店で扱うことに意欲を見せており、単純合算した全1万8千店で仮に採用されれば、納入元の企業の売り上げが一挙に跳ね上がる可能性がある。
 ユニーの経営統合は中部の関係先にとっても正念場となる。大きな変革の機会を生かし、新たな成長軌道をどう描くかは、それぞれの努力にかかっている。

目次に戻る

革新性競うコンビニ改革に

2016/9/5 日経朝刊

 小売業のファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合し、ユニー・ファミリーマートホールディングスが発足した。傘下のコンビニは1万8千店を超え、首位のセブン―イレブン・ジャパンに迫る。今後は規模だけでなくアイデアや革新性でも競い合い、生活者に新しい価値を提供してほしい。
 コンビニは食品販売から始まり公共料金の支払いやATM設置など、利便性を軸に商品やサービスの幅を広げ成長してきた。かつては単身男性が主要客だったが、東日本大震災以降は総菜などを求める主婦や高齢者の利用も増えた。価格競争とは一線を画すコンビニにとって、現在広がる消費者の節約志向は逆風だ。食品スーパー各社がコンビニに対抗し、新鮮で多種多様な総菜づくりに力を入れ始めたことも脅威となっている。数年前に始めた店頭でのいれ立てコーヒー販売以降、大きなヒット商品も乏しい。
 しかし、まだ掘り起こしていない消費者のニーズは多いはずだ。コンビニの競争力の核は消費者の立場に立った新商品・サービスの開発にある。業界3位となるローソンを含め、大手3社は積極的な挑戦を続けたい。
 日経MJが若者を対象に、コンビニに期待するものを聞いたことがある。上位に入ったのはシャワーブースや昼寝部屋だ。すでに高齢者がいれ立てコーヒーを片手に店内で談笑する光景は見られる。飲食スペースを併設する店も増えた。忙しい人が短時間、立ち寄る店から、快適な時間を過ごす居場所へ。そんな転換も一つの道だ。
 品ぞろえの点でも減塩や減糖、有機栽培品など、健康志向から需要が高まっている食品が、高級スーパーなどに比べまだ少ない。高齢者や生活にゆとりのある層を取りこぼしている可能性は大きい。
 社会のインフラとなったコンビニは、地域コミュニティーへの貢献や人々の健康にも一定の責任を負う。これからの店づくりでは、そうした視点も大切にしたい。

目次に戻る

新生ファミマ発足、ローソンの一手に関心 コンビニ再編を主導

2016/9/1 14:34 日経新聞 企業

 ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合し、ユニー・ファミリーマートホールディングスが1日発足した。約1万2000店の「ファミリーマート」と約6000店の「サークルK」「サンクス」が1つになった新生ファミリーマートは店舗数でコンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンに肩を並べた。大手3社への集約が進むコンビニ業界。再編を常に主導してきたローソンの次なる一手に関心が高まっている。
 ローソンは1975年4月にダイエーが設立したダイエーローソン(現ローソン)がはじまり。セブンイレブンが1号店を出店してから約1年後の75年6月に大阪府内に1号店を出店した。ほぼ同じ時期に国内でコンビニ事業を始めたセブンイレブンとローソン。しかし、自前の出店で店舗網を構築したセブンイレブンに対し、ローソンはM&A(合併・買収)を積極的に活用した。
 89年に旧サンチェーンと合併。2008年には首都圏でコンビニ「新鮮組」などを運営していた新鮮組本部と業務提携し、50店舗弱をローソンに転換した。
 さらに09年には「ショップ99」などを展開していた九九プラス(現ローソンストア100)を取り込んだ。全国に「am/pm(エーエム・ピーエム)」を1000店以上展開していた旧エーエム・ピーエム・ジャパンも最終的には09年にファミリーマートが買収したものの、先に買収で合意していたのはローソンだった。
 コンビニ業界史上最大の再編案件となったサークルKサンクスについては「統合に向け、ローソン側も動いていた」(関係者)。ファミリーマートとサークルKサンクスの統合が決まり、店舗数で業界3位への転落が確実となったなか、ローソンは6月1日付で竹増貞信氏が社長兼最高執行責任者(COO)に昇格した。
 竹増氏は筆頭株主である三菱商事出身。本業である国内コンビニ事業は会長兼最高経営責任者(CEO)となった玉塚元一氏が統括し、竹増氏は海外事業や新規事業、M&A(合併・買収)を担当する。
 コンビニの店舗数拡大に向け、中堅以下のコンビニチェーンの取り込みを進めるのか、あるいは高級スーパーの成城石井やシネコン運営のユナイテッド・シネマなど近年の特徴でもある事業の幅を広げるM&Aに力を入れていくのか。三菱商事のグループ力を最大限活用し、竹増氏が新たな成長戦略をどう描くのか。ローソンの動向は日本のコンビニ業界、さらには小売業界の将来に大きく影響を及ぼす。
(豊田健一郎)

目次に戻る

ファミマ1.8万店、セブンに迫る ユニーとの統合会社発足

2016/9/2 3:30 日経朝刊

 ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(GHD)が1日、経営統合して「ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)」が発足した。統合前にコンビニエンスストア4位だったサークルKサンクスがファミマのブランドに変わり、店舗数約1万8千に増加。首位セブン―イレブン・ジャパンに肉薄する新時代を迎え、「質」が今まで以上に問われることになる。
 「規模拡大は質の拡大につながる。新生ファミリーマートとして質を高め、新サービスを提供していきたい」。ユニー・ファミマHDが1日、都内で開いた記者会見で新会社社長に就任した上田準二氏(旧ファミマ会長)はこう表明した。ユニー・ファミマHD傘下のコンビニ(7月末)はファミマが1万1872店、サークルKとサンクスが計6251店で合わせて1万8123店。ローソンを抜き首位セブンイレブンに迫る。
 国内コンビニは多くの再編を重ねてきたが、今や4位のミニストップは約2200店にとどまる。勢力図は固まったとの見方が大勢だ。
 今後の焦点は収益力という「質」だ。ファミマは1店舗1日当たりの売上高(日販)の小さいサークルKとサンクスを2019年2月末までにファミマへ転換するのにあわせ、飲食できるイートインコーナーを新設し販売を強化する。ただ、ファミマ自身もセブンイレブンに比べ収益力は低い。日販はセブンイレブンが65万6千円であるのに対し、ファミマは51万6千円にとどまる。
 収益力向上のカギを握るのが総菜だ。ファミマは8月末に全面刷新し、冷蔵の総菜ではガスを充填して密封し鮮度を高める容器を採用。店内で調理する常温の総菜でもステーキなど夕食のおかず向け商品を増やした。関東約1千店で始め、10月に5千店に広げる。コンビニが弱いとされる午後の集客力を高める。
 ユニー・ファミマHDにとってコンビニ以外の事業立て直しも課題となる。旧ユニーは8月、不採算だった呉服店のさが美、衣料品専門店のパレモを投資ファンドに売却することを決めた。食品スーパーやドラッグストアなどとの競争が激しい総合スーパー事業は、物販以外で集客が見込める施設をそろえるなどの店舗改革が必要となる。
 ユニー・ファミマHD以外でも、コンビニ大手は今年、大きな節目を迎えている。セブンイレブンでは親会社セブン&アイ・ホールディングスでコンビニ事業をけん引してきた鈴木敏文氏が会長を退任。ローソンも三菱商事出身の竹増貞信氏が社長に就任した。人口減など構造的な問題を抱えるなか、新しい人材がコンビニ新時代を引っ張っていく。
 ユニー・ファミマHD傘下のファミマは、ファーストリテイリングで副社長を務めた沢田貴司氏が指揮をとる。沢田社長は1日の記者会見で「コンビニ業界は、まだまだできていないことが多い。セブンイレブンとの差を縮めるだけでなく、それ以上のものを作りたい」と熱く語った。消費者をひきつけるコンビニ像をいかに示せるかに注目が集まる。

目次に戻る

ユニー、ファミマとの統合で大量閉店の衝撃

又吉 龍吾:東洋経済 記者

9月1日、コンビニエンスストア3位のファミリーマートと、愛知県地盤の小売大手、ユニーグループ・ホールディングスが晴れて経営統合を果たした。
新しく発足したユニー・ファミリーマートホールディングスの上田準二社長は同日、「これからセブンーイレブンにキャッチアップしていきたい」と宣言。コンビニの店舗数が単純合算で約1.8万となり、業界首位のセブンーイレブンの約1.88万とほぼ拮抗するからだ。だが、この統合の陰で、ユニーは大リストラに踏み切っている。

スーパーは約15%の店舗を整理

8月上旬には、主力の総合スーパー「アピタ」と「ピアゴ」計約25店を、2019年2月末までに閉鎖すると発表(2016年2月期末計228店)。すでに閉鎖が決まっていた11店と合わせ、今後2年半で全体の約15%の店舗を整理する。閉店の詳細は明らかにされていないが、ファミマのある役員は、「中部圏以外を整理してくれれば、経営の足を引っ張ることはない」と語る。今後ユニーは、厚い顧客基盤を持つ愛知県など中部圏に経営資源を集中し、関東などは縮小していくと考えられる。
大ナタを振るうのは総合スーパーだけではない。
傘下の呉服チェーンのさが美は、全株式を10月に投資ファンドへ売却、計25億円の売却損・債権放棄損を計上する。さが美は2016年2月期まで7期連続で最終赤字だった。
婦人服専門店を展開するパレモも苦戦しており、10月に全株式を売却する。ホームセンター事業は今年8月までで撤退した。2016年4月の決算会見でユニーグループの越田次郎専務は「負の部分は限りなく出しきり、筋肉質の会社になったうえで経営統合したい」と語っていた。
他方、前出のファミマ役員は、「統合に向けて話し合った不採算店閉鎖はすべて実行されている。統合後に大きな事業整理をすることはない」と、ユニーのリストラが一段落したとの認識を示す。
今後、ユニーの総合スーパー事業は新規出店を抑えつつ、売り上げ上位店を中心に改装する。投下資金は3年間で約150億円を計画。採算の厳しい衣料品や住居関連品の直営売り場は縮小、新しいテナントを入れる。いずれにせよ今後は「中部圏のスーパー」に存続を懸けるしかない。

加盟店オーナーの懸念

進展するユニーのリストラだが、9月発足の新会社には乗り越えるべきハードルがまだある。コンビニの統一だ。ユニーグループのコンビニ、サークルKとサンクスは9月から順次ファミマへ看板替えをする。7月末の店舗は計6251店。うち約1000店を大量閉鎖し、残る店舗をファミマに転換する。
コンビニのビジネスモデルは、本部が加盟店に商品供給や販売指導を行う一方、加盟店はその対価として、稼いだ利益から一定の割合を、ロイヤルティの形で本部に納める仕組みとなっている。それだけにファミマの本部とブランド転換を迫られるサークルKサンクスの加盟店オーナーとの意思統一が不可欠だ。
関西地区でサンクスを運営するある加盟店オーナーは、「日販(1日当たり1店売上高)はサンクスよりファミマのほうが高い」と期待を示す一方、「契約内容を見ると、日販の低い加盟店にはきつい」と不安を口にする。
ファミマは7月に加盟店との契約を見直した。水道光熱費や弁当などの廃棄損の本部負担を増やす反面、加盟店が本部に支払うロイヤルティは増額している。「本部の支援はありがたいが、支払うロイヤルティも増えた。日販の高い加盟店はいいが、45万円以下の加盟店は苦しい。アルバイトの給料は払えても、オーナーの生活は厳しくなる」(ファミマの加盟店オーナー)。

焦りを募らせるベンダー

サークルKサンクスの日販は45万円未満。ファミマへの看板替えで金額が増える可能性はあるが、立地条件により上昇が鈍ければ、加盟店オーナーの間で不満が高まりかねない。
日販引き上げには商品力の向上が欠かせない。が、それを支える弁当やおにぎりを供給するベンダー企業にも、不安が垣間見られる。サークルKサンクスと取引している東海地区のあるベンダーは、2015年秋から今春に数億円をかけ、炊飯ラインを刷新した。
表向きは品質向上が目的と説明するが、「むろんファミマさんとの統合を見据えてのこと」と本音を漏らす。統合後、ファミマ向けに取引が拡大できればよいが、現時点で取引拡大は決まっていない。他方、統合で取引が消滅してしまうのではと、焦りを募らせるサークルKサンクス系ベンダーも少なくない。
看板替えは約2年半をかけて完了する予定だ。新会社の上田社長は「1年半でやれ」と檄を飛ばす。加盟店の不安を取り除き、看板替えをスムーズに進められるのか。ファミマ主導で進むリストラに、ユニーグループの存在感はかすむばかりだ。

目次に戻る

8月のコンビニ売上高、3カ月連続増 台風影響で客数は減少

日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が20日発表した8月のコンビニエンスストア既存店売上高(速報値)は、前年同月比0.6%増の8693億円となり、3カ月連続で増加した。全国的に気温が高い日が続きアイスクリームなど夏物商品の販売が好調だった。平均客単価は1.2%増の612.6円に上昇。一方で客数は0.6%減と6カ月連続で減った。台風の影響により北日本や太平洋側の東日本で客足が遠のいた。
 いれたてコーヒーや弁当など「日配食品」が0.2%伸びた。菓子やアルコール飲料といった「加工食品」が1.2%増、たばこや雑誌などの「非食品」は0.3%増、クリーニングや各種チケットなど「サービス」は1.7%増といずれも増加した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕

目次に戻る

騒動なんの、最強セブン 既存店売上高4年連続増

日経MJプレミアム

脱カリスマ経営を模索

 セブン&アイ・ホールディングスのお家騒動から5カ月。コンビニ生みの親である鈴木敏文会長の退任後も、傘下のセブン―イレブン・ジャパンは順調だ。国内既存店売上高の連続増収は7月で4年(48カ月)を記録。カリスマ後の経営を模索するセブンの姿と今後のリスクを検証した。
 「香りが良くて印象が強い」「ちょっと味が薄いのでは」。セブンが8月下旬に中京地区限定で発売した「混ぜ飯おむすび 桜海老とあおさ」(120円)。発売に先立ち7月に名古屋市内で開いたミーティングでは、招かれた地元加盟店のオーナーから率直な意見が飛び、セブンの担当者が熱心にメモを取った。

オーナーの声、聞くように

 「悩んだらまず売り場でテストしてみなさい」。5月に就任した古屋一樹社長は、ことあるごとに社内の会議で発破を掛ける。売り場の最前線に立つ加盟店のオーナーはセブンからは独立した関係にあり、その声を商品開発に生かす機会はこれまであまり多くなかった。古屋体制では新たに「エリアミーティング」という名称を設け、地域のオーナーの声を聞く機会を四半期に1回開催するよう制度化した。販売の最前線に立つオーナーも巻き込み、チームで取り組む古屋カラーが徐々に鮮明になっている。
 時計の針を5カ月前に戻そう。社内はセブン―イレブン・ジャパンの社長人事を巡って怒号と怪文書が飛び交う修羅場だった。セブンイレブン好調の功績を当時の鈴木会長と井阪隆一社長が奪い合う形で対立。鈴木会長は4月の取締役会で井阪社長の交代を提案したものの軍配は井阪氏に上がった。創業者で大株主の伊藤雅俊名誉会長との信頼関係も崩れ、鈴木氏は退任に追い込まれた。
 セブンの生みの親でありカリスマであった鈴木氏は社会の変化をいち早く読み取り、形にしてきた。コンビニでの公共料金の収納代行や小売業による初めての銀行設立などはみな、鈴木氏が周囲の反対を押し切って実行したものだ。これに他のコンビニが追随し、今や多くの消費者が日常的に利用する基本サービスに成長した。
 おにぎりや弁当などの新商品も自ら試食しセブンイレブンの味に大きな影響力を持ってきた。セブンの競争力は、鈴木氏が取引先、社員、フランチャイズオーナーとの間で保ってきた緊張感にあるともいえる。退任した今も鈴木氏のもとには商品部長が新商品を持ち寄って感想を聞くほどだ。だがカリスマにはもう頼らない。
 セブン&アイ・ホールディングスの井阪社長は「本音で語れる風土ではなかった」と鈴木体制時代を振り返り、これからは「風通しの良い自由な雰囲気で率直に語れる企業風土にしたい」と軌道修正を明言した。

自前で調理用の機械を開発

 国内最大の約1万9千店舗を抱え、毎年1割ずつ増え続ける販売力。「チームMD(マーチャンダイジング)」と呼ぶ強力な商品開発体制がセブンの基盤であり、体制が変わってもすぐに競争力が落ちるわけではない。
 セブンは今も昔も商品ごとにベンダーや食品メーカー、原料や包材メーカーに至るまで、最適の相手を選び出す。メーカーはセブン専用工場を設け、二人三脚で商品開発に取り組む。年間販売額が1兆円を超えるプライベートブランド(PB)の販売力に期待して取引先は開発に全力を注ぐ。
 今、注目するのは冷凍食品だ。東日本大震災以降、保存が利く冷凍食品をコンビニで買う客が増えた。おかずだけでなくおいしい主食が求められるとみる。
3月に発売した「セブンプレミアム 直火炒め炒飯(じか火いためチャーハン)」は一食に相当する300グラム入りで価格は300円。同社の冷食の中では高めだが、主力商品の1つに育った。
 生産するのはニチレイフーズグループで冷食製造のキューレイ(福岡県宗像市)。JR博多駅から車で約50分の山あいにある工場には、直径45センチメートルの鉄鍋がずらりと1列に並んで動いている。
ずらりと並ぶ中華鍋で次々と作られていくセブンプレミアムの「直火炒め炒飯」(福岡県宗像市)
 通常の冷凍チャーハンはドラム缶のような大鍋で一度に大量に炒める。キューレイではラインの上を鉄鍋が移動しながら、人の手のようなロボットが卵やご飯を順々に投入し炒めていく。
 商品化に動き出したのは15年末。「スプーンでチャーハンをすくった時、全ての具材が入っているようにしたい」。セブンの商品本部で冷食の商品開発を担当する子出藤優マーチャンダイザーはこんな要望を出した。
 冷凍チャーハンでは全体に占める具材の比率は通常10%程度で物足りなさがあったという。「直火炒め炒飯」では20%以上にした。キューレイの松下正信社長は「専門店のチャーハンと同じ味を実現するため機械は自前で作った」と胸を張る。発売後もすぐ次のリニューアルに向けた検討を進め、改良の手を緩めない。

カリスマの目を失いリスクも

 東海地方で販売する「セブンプレミアム どて煮」(130グラム入りで246円)。豚のモツを赤味噌で煮込んでおり、15年12月の発売以降、売れ行きは順調だ。セブンは15年1月、全国を11のエリアに分け地域商品の開発に取り組む体制にした。4県を受け持つ東海地区の商品開発チームは味噌に着目。
 まず東海の食文化の勉強から始め、地元の人たちに普段の食事で味噌をどのように使うか聞いてまわった。隠し味として空揚げに少し混ぜる、複数をあわせて使うなど、様々な発見があった。蓄えた知識を生かして開発したのがどて煮だ。発売前、弁当やおにぎりなど「デイリー商品」のうち地域商品は1割弱だったが現在は4割強。全国平均を下回っていたデイリー商品の売上高伸び率も平均を超える。この盤石な仕組みが当面はセブンを支える。今は新しい経営陣の元で売り上げを伸ばし続けなければならないという緊張感もエネルギーになる。だが仕組みだけでは成長は続かない。時代の変化にいち早く気付き、経営の舵(かじ)を切るのがカリスマだ。鈴木氏は現場から一歩距離を置き、時代の流れを読み取りながら要所要所で価格や商品、サービスを一新してきた。井阪体制に移行し、その力を失ったことはリスクとして残る。5月の就任時、井阪社長は「グループの具体的戦略を策定するため、100日を目安に重点課題を洗い出す」と述べた。新たな構造改革案は10月にも発表の予定だ。

連続増収、商品短命化で持続難しく

 小売りの歴史を紐(ひも)解くと、9年前の2007年9月京急百貨店(横浜市)は119カ月連続の増収記録を達成した。
社員は当時「記録更新の達成感や誇りが団結力を高めた」と話した。今のセブンも同じだろう。お家騒動の後だけに、あるフランチャイズ店は「記録を途絶えさせるわけにはいかない」と意地を見せる。かつてない緊張感が成長の原動力にもなっている。
 人口減少の時代、持続的な成長を実現するにはリピーターの取り込みが欠かせない。コンビニは11年3月の東日本大震災を機に生活者のよりどころとなり、女性や高齢者の利用が増えた。セブンの電子マネー「nanaco(ナナコ)」は60歳以上の会員が15年に17%と、震災前の10年に比べて6ポイント上がった。この間セブンは、社内で「近くて便利」と呼ぶ冷凍食品やパウチ総菜などを拡充。この分野の販売額を4倍に増やした。最近はサーモンも扱う。
 外食チェーンではペッパーフードサービスのペッパーランチの既存店売上高が8月まで46カ月連続で増えている。だがこれは例外で、同社の急成長した「いきなり!ステーキ」は一時期ほどの勢いはなくなり、鳥貴族の既存店売上高も4月に減少した。
 15年度の日経MJ飲食業調査の店舗売上高伸び率の上位50社をみると、過去4年間にわたってランクインしていたのはわずか2割ほど。ファッション業界で好調と言われるしまむらやエービーシー・マートでさえ4年の間には前年実績を下回ったことが何度かある。
 ヒット商品も長く続かない。吉野家が昨夏大ヒットさせた「麦とろ御膳」。今夏も発売したが昨年ほどの勢いはなく、8月の既存店売上高は13%減少した。門脇純孝専務は「商品寿命はどんどん短命になっている印象だ」と指摘する。
 セブンは強固な仕組みの上にいれたてコーヒー「セブンカフェ」や地域商品を投入し、4年連続の増収を確保した。だが最近は大ヒット商品が見当たらない。定番商品の味や質に磨きをかけ続けるだけでは、リピーターは離れていく。
 近年、ヒット商品はモノからコトへ移っている。今後コンビニに出向くこと自体が目的になるような、消費者のライフスタイルに溶け込む仕掛けが必要になってくる。

目次に戻る

三菱商事、ローソンを子会社化 TOB検討

2016/9/15 3:30 日経朝刊

1400億円超、コンビニ2強追う

 三菱商事はコンビニエンスストア3位のローソンを子会社化する。TOB(株式公開買い付け)を実施、出資比率を現在の33%から51%に高めることを検討している。買収額は少なくとも1400億円を超える。三菱商事は食材など世界的な調達網を生かしてローソンの商品力を強化すると同時に、電力小売りや金融などのサービスも共同展開し上位2社を追う体制を整える。(関連記事企業面に)
 コンビニ業界では、1日にファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合して、ローソンを売上高で抜いて2位に浮上した。圧倒的な強さを見せる業界首位のセブン―イレブン・ジャパンとの差も開きつつある。三菱商事はローソンへの経営関与を強めて巻き返しを急ぐ。
 三菱商事はファイナンシャルアドバイザー(FA)を選定して検討を進めており、週内にも正式決定する可能性がある。ローソンの14日の株価(終値)は7410円。プレミアムを上乗せした価格で市場から買い集める。第三者割当増資と組み合わせる可能性もある。早ければ年内に子会社化の手続きを済ませる見通し。
 三菱商事は2012年に約4200億円を投じてチリの銅鉱山の権益を取得。近年では、これに次ぐ大型投資となる。
 三菱商事は子会社化することで、店舗数で業界3位に転落したローソンをてこ入れする。現在は店の1日当たりの売上高は平均50万円台半ばで、業界首位のセブンイレブンに比べ1割強少ない。収益力で2強に追いつくためには、商品力強化とともに、各店舗の経営管理など三菱商事の資金力やノウハウが必要と判断したもようだ。
 具体的には、三菱商事は出資する食品メーカーや弁当・総菜などの生産委託業者との連携を強化して、ローソン向けの専用工場を増やし商品力を高める。決済サービスを中心にした金融事業も強化するほか、割安な電力プランの店頭での取り次ぎも強化してローソンの集客力を高める。
 経営を担う人材の派遣もこれまで以上に増やす。食材や物品の調達ノウハウなどを各販売店に指導するほか、上位2社に比べ遅れている海外展開についても三菱商事の人材を活用する。
 将来的にはローソンとスーパーとの連携もめざす。三菱商事は約2割出資するライフコーポレーションなどに社員を出向させている。こうしたスーパーの人気商品を採用したり、商品や物流の相互活用などを検討したりする見通し。

目次に戻る