ファミリーマートは9月1日から新たなフランチャイズ契約パッケージを導入する。この新FCパッケージには既存のパッケージにはなかった新たな項目が新設された。

第1に「廃棄ロス助成金」

食品(カウンターFF、中食、飲料、加工食品)の廃棄ロスにかかった原価に対して、本部が一定の割合の金額を助成する。

第2に「水道光熱費助成金」

水道光熱費360万円(年間)以下の金額に対して本部が90%の金額を助成する。

第3に「店舗運営支援金」

全加盟店を対象に月額10万円(年間120万円)を支援する。

以上の3点が加盟店支援金の目玉である。

既に実施している支援金として、第1に「24時間営業支援金」がある。24時間営業の店舗には月額10万円(年間120万円)を支払う。
第2に「総収入最低保証」。加盟店の年間総収入が一定金額に達しない場合は、本部がその収入を保証するというものだ。
今回、新設した項目だけを取れば加盟店の営業総利益は向上するが、これと同時に「本部フィー率」の見直しも実施される。本部フィー率は、従前のものよりも掛け率が上がるため、仮に同じ営業を続けていた場合に、本部フィーを引いた営業利益が増える加盟店もあれば減る加盟店もある。同じ売上であっても、廃棄ロスに対する考え方により、営業利益に差は生じてくる。
本部側の狙いは、「中食カテゴリーの品揃えの拡大とボリュームの強化」(本部リリース)にある。現状は「中食構造改革」を推進する一方で、加盟店が商品の廃棄ロスを恐れるあまり、縮小均衡におちいる可能性も否めない。ある程度、商品を売場に積んでおかないと、売れるものまで売れなくなってしまう危惧を、本部は強く持っている。
商品の廃棄ロスには慎重になる必要はあるが、その一部を本部が負担することで、加盟店に対して、廃棄を恐れずに、もっと売れる時間帯に品揃えの幅を拡大して、ボリュームを持って、商品を売場で展開してほしいといった訴えがそこにある。

加盟店ボリュームゾーンに訴えかけやすい内容

今回の一番大きな見直しが「廃棄ロス助成金」である。SV(スーパーバイザー)やリクルーターも、助成金については競合チェーンよりも手厚いことを強調して加盟店や加盟希望者に説明しているという。
廃棄ロスに対する助成金はセブン-イレブンが既に2009年7月より廃棄ロス原価に対して一律15%の本部負担を導入している。
ローソンは負担率の計算が複雑で、売上に対する廃棄ロス原価の割合、すなわち廃棄ロス率に対して本部負担をしている。しかも負担率は一律ではなく、廃棄ロス率が2%を超えて3%以下の部分には20%、3%を超えて4%以下の部分には30%、4%を超えた部分には55%を負担している。
計算上の注意として、例えば4%を超えると、廃棄ロス率分すべてに55%負担されるのではなく、あくまで4%を超えた「部分」についてのみ55%の負担がある。それ以下の部分については既述した通りである。
ファミリーマートの場合は、加盟店の日販に関係なく、廃棄ロス原価について助成金を出している。この考え方はセブン-イレブンと同様だが、廃棄ロスの金額に応じて料率を変えている。この点はローソンに通じている。
ファミリーマートの設定は、月額廃棄ロス10万円以上30万円未満の金額「部分」については10%の助成、30万円以上50万円未満の金額部分については50%の助成、50万円以上の金額部分については15%の助成となった。

この廃棄ロス助成金に関して、加盟店の経営に詳しい三橋一公氏(さくら相談グループコンビニ経営研究所所長)は次のよう見る。
「廃棄ロス金額は、日販が1つの目安で、日販50万円であれば、月額原価で50万円くらいが廃棄ロス金額と言われている。30万円までは必要経費として計上できる金額だが、問題は30万円を超えて商品を積んでいくと廃棄ロス金額が重たくなって躊躇する加盟店が非常に多いということ。その部分を本部が半分負担するので、売れると判断したら積極的に商品を、ボリュームを持って展開してくたさいと。思想としては評価できる内容だと思う」

図表は公表されているデータを元に編集部が作成した日販別の廃棄ロス原価に対する助成金の比較である。ローソンが対象とする廃棄ロス率も算出している。
図表中、ファミリーマートは、廃棄ロス原価で30万円の部分についてはセブン-イレブンを下回っているが、(図表中)40万円以上の部分については、全て上回っている。特に50万円以上になると、セブン-イレブンを大きく引き離している。
一方で低日販店についてはローソンの助成金が高くなっている。ローソンは売上に対するロス率に料率を設定しているので、当然売上が低いと、同じ廃棄ロス原価でもロス率が高くなるので、その分の助成金が上がる設定である。
ファミリーマートの日販は今年度の計画値で52万5000円。仮に日販50万円として、廃棄ロス原価が50万円から70万円のゾーンを競合チェーンより手厚くし、加盟店に訴えかけていこうとしている。

「廃棄ロス原価をどこまで出すかは政策の問題。営業コストと見るべきである。販促費を掛けすぎれば利益を失ってしまうし、将来に向けた売上アップの投資として捉えれば、ある程度は出していく必要がある」(前出の三橋氏)

ロイヤリティは高めでも支援金、助成金でカバー

本部フィーについては、以下のような見直しが行われた。

「1FC-A」タイプ

(オーナーが土地・建物、店舗工事費用を負担)/(従前)営業総利益の35%→(新規)月額営業総利益(※)のうち、250万円以下の部分について49%、同250万円を超え、350万円以下の部分について39%、同350万円を超える部分について36%。

※営業総利益=商品総売上高-売上原価+営業収入

「1FC-B」タイプ

(オーナーが土地・建物を負担、店舗工事費の一部を本部が負担)/(従前)営業総利益の38%→(新規)月額総利益のうち、250万円以下の部分について52%、同250万円を超え、350万円以下の部分について42%、同350万円を超える部分について39%。

「1FC-C」タイプ

(オーナーが内装設備工事費用負担)/(従前)営業総利益の48%→(新規)月額総利益のうち、300万円以下の部分について59%、同300万円を超え、450万円以下の部分について52%、同450万円を超える部分について49%。

「2FC-N」タイプ

(右記のオーナー負担なし)/(従前)月額総利益のうち、300万円以下の部分について48%、同300万円を超え、450万円以下の部分について60%、同450万円を超える部分について65%→(新規)月額総利益のうち、300万円以下の部分について59%、同300万円を超え、550万円以下の部分について63%、同550万円を超える部分について69%。

従前は、契約タイプの中で、本部が土地・建物、工事費の全額負担、ないしは一部負担の3タイプについては、本部フィーは各々35%、38%、48%と一律であった。今回の新FCパッケージについては、営業総利益の高低に対して掛け率を細かく割っている。特に営業総利益の低い部分については本部フィーが高く、利益の高い部分に進むと本部フィーが低くなるといった設計である。
営業努力により利益を上げれば上げるほど本部フィーが低くなる、すなわち加盟店のモチベーションが高まる制度になっている。
もう1つの、土地・建物、工事費の負担のない「2FC-N」タイプについては、月額総利益の低い300万円以下の部分は本部フィーが従前より11%アップしている。ただし、ボリュームゾーンである、300万円を超え550万円以下の部分については従前の60%から63%と、3%のアップに留めている。
9月1日に合併するサークルKサンクスも含めた加盟店に配慮した格好になった。

前出の三橋氏は今回の新契約パッケージについて、コンビニ業界共通の傾向であるとして、次のように指摘する。
「本部がロイヤリティ(本部フィー)を高めに設定する一方で、助成金や支援金を増やして、加盟店の水準を保っていこうとする姿勢が、今回の改正に出てきている。こうした傾向は競争が厳しくなれば続いていく」