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スリーエフ、首都圏のコンビニで被災地・熊本の野菜など販売

2016/7/30 日経 地域ニュース

 スリーエフは熊本地震の被災地の企業を支援する企画を始めた。無農薬野菜など、大規模な流通ルートに乗らない地元の少量生産の産品を、首都圏のコンビニ店舗で取り扱う。現地の食材をつかったオリジナル商品を発売する。
 震災の影響で販路がなくなった熊本の産品を集めて販売しているテラ(熊本市)と協力し、野菜セットやウインナー、阿蘇高菜の油いためなども扱う。熊本県物産振興協会や天草宝島物産公社の協力も得て、約40種類の同県産品を集めた。
 同社は2013年から大手チェーンの流通ルートに乗らない少量生産品を地域限定で取り扱ってきた。今回もその枠組みを活用し、同県産品を販売する。
 同県で生産されている「万次郎かぼちゃ」を使ったパンやプリン、地元の酒造会社の酒かすを使った酒まんじゅうなどのオリジナル商品も発売した。

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ローソン保険薬局併設、京都府と協力

京都府などと健康長寿日本一に向け協定を結ぶローソンが、南丹市日吉町の明治国際医療大学前に出店するのに合わせて、保険薬局や民間の訪問介護ステーションなどの施設が一体的に本格稼働した。オープン当日は南丹市、府南丹保健所による健康チェックや健康相談などの記念イベントが実施された。
 府、府市長会、府町村会は今年1月、ローソンと府民の健康づくり推進に向けた連携及び協力に関する協定を締結。府民に健康に関する情報提供のほか、特定健診・がん検診受診の場所提供などを進めることになっていた。
 今回は協定に基づく取り組みの一環。医薬品も販売するコンビニ「ヘルスケアローソン」に併設するように保険薬局(「ゆう薬局」)や訪問看護ステーションなどを組み合わせたサポートセンターがオープンした。
 今後も、10月7日午後4時半から20分間、ローソン福知山郵便局前店で市民20人を目標に肺がん検診を行うほか、10月31日も同長岡京インター前店で午前9時~11時、午後1時半~3時に、市民150人を目標に肺がん検診を実施する予定。

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ミスド、経営危機状態に突入…閉店の嵐、コンビニ・ドーナツの破壊力を受け撃沈

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント2016.08

 今春、クリスピー・クリーム・ドーナツ(クリスピー)が相次いで閉店したことが話題になりました。クリスピーは行列ができるドーナツ店として一時もてはやされていました。しかし、2015年11月時点では全国に64店舗を展開していましたが、本稿執筆時点では47店舗にまで激減しています。クリスピーの経営状態は良好ではないと考えられますが、これはミスドにとっても対岸の火事ではありません。ミスドの経営状態も危機的状況だからです。ミスドを運営するダスキンの17年3月期第1四半期の連結決算は、売上高が前年同期比1.0%減、本業の儲けを示す営業利益が61.6%減と減収減益になりました。ミスドを主体としたフードグループが深刻で、売上高が4.3%減、営業利益が4億円の赤字(前年同期は6700万円の赤字)です。
 ミスドの不振は一時的なものではありません。国内チェーン全店売上高は下降線をたどっています。直近5年では、12年3月期が1147億円、13年が1111億円、14年が1030億円、15年が1020億円、16年が915億円と一貫して減少しています。フードグループの営業利益は3期連続で赤字です。店舗数(営業拠点数)も激減しています。12年3月末には1373店ありましたが、16年3月末には1271店にまで減っています。4年間で102店もの減少です。クリスピーは“閉店の嵐”として話題になりましたが、ミスドもハイペースで閉店しているのです。
 外食産業の市場規模は、1997年の29兆円をピークに下降線をたどっています。コンビニエンスストアなどの中食産業の台頭で外食産業は脅威にさらされています。ミスドも例外ではありません。
 中食産業による脅威に加えて、コンビニのレジ横におけるドーナツの本格的な販売の開始がミスドに追い打ちをかけました。いわゆる「ドーナツ戦争」により大きな打撃を受けた格好となりました。
 店舗数を減らしているとはいえ、ミスドはドーナツチェーンでは圧倒的です。しかし、ドーナツを販売しているセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ主要3社だけでも店舗数は4万店を超えています。規模の面では太刀打ちできません。ミスドの周りには、さしずめ“コンビニ連合による包囲網”が敷かれており、四面楚歌の状態といえます。
コンビニにない武器を持つミスド
 厳しい状況に置かれているミスドですが、一方でミスドにはコンビニドーナツにはない差別化された武器が存在します。「品揃え」「できたて」「熱烈なファン」の3つです。
 品揃えに関しては、ミスドの代名詞といえる「ポン・デ・リング」や定番の「オールドファッション」、クリーミーな味わいが売りの「エンゼルクリーム」といったドーナツを数多く取り揃えていることが特長となっています。品揃えの豊富さは、コンビニドーナツを圧倒しています。
コンビニが仕掛けたドーナツ戦争、コンビニもミスドの客を奪うには至っていませんが、ミスドも経営が逼迫しています。ミスドは生き残ることができるのでしょうか。それとも、クリスピーのように閉店の嵐でジリ貧に陥ってしまうのでしょうか。今、ミスドは試練に立たされているといえそうです。
ミスドは、多くの店舗で店内調理を行っています。これは現状のコンビニではできないことです。ミスドならではといえるでしょう。できたてのドーナツを提供するために、一店一店でドーナツを手づくりしています。できたてを強調するために、店の外からドーナツを調理している様子が見えるよう店舗の大規模改装も進めています。
 ミスドには熱烈なファンが存在します。71年に1号店がオープンし、75年にオールドファッション、03年にポン・デ・リングを販売開始しています。その後、長きにわたって親しまれてきました。また、ミスドの人気キャラクター「ポン・デ・ライオン」がミスドのイメージアップに一役買っています。「ミスド好き」を公言する人は少なくありません。確固たるブランドを築いているといえます。
 ミスドは、コンビニにはない強みを持っていますが、経営環境は厳しさを増していることに変わりありません。コンビニドーナツに対抗できる新機軸を打ち出していく必要があります。8月1日から順次実施するドーナツの食べ放題「ドーナツビュッフェ」のような、コンビニではできないことを行っていく必要があります。話題性のあるキャンペーンを継続していくことが必要不可欠といえるでしょう。

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ユニーグループHD、総合スーパー25店閉鎖へ

ユニーグループ・ホールディングスは9日、2019年2月期末までに総合スーパーの「アピタ」「ピアゴ」を新たに25店舗程度閉鎖すると発表した。コンビニエンスストアの「サークルK」「サンクス」も合計約1000店舗を閉鎖・移転する。9月にファミリーマートとの経営統合を予定しており、不採算店舗を縮小することで統合後の収益力向上につなげる。
 アピタとピアゴは計216店舗あり、閉鎖対象は全体のほぼ1割にあたる。店舗の閉鎖や「置き換え」と呼ぶ近隣への移転に踏み切るコンビニは全体の約16%に達する。
 ユニーのスーパー事業(ホームセンター含む)の店舗数は16年2月末時点で228あった。これまでに不採算店を中心に22店舗の閉鎖をすでに決めていた。今回追加で閉鎖を決めた25店舗を合わせると、3年間で2割強の計47店舗を整理する形となる。
 総合スーパーの撤退店舗などの詳細や地域別の内訳は明らかにしていないが、今後は顧客基盤を持つ愛知、岐阜、三重の3県などに経営資源を集中する可能性が高い。
 統合新会社で社長に就任予定のファミリーマートの上田準二会長も「中京から東海地区に基盤を置いて地域密着の小売りとしてやれば、立て直しできる」と述べており、営業エリアの縮小を進めていくとみられる。
 ユニーGHDは同日、店舗閉鎖関連損失や収益性の低下した店舗の減損損失、棚卸し資産評価損の合計720億円を16年3~8月期に計上することも明らかにした。同社は8月下旬に株式上場を廃止する。

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ローソン、ITで業務支援 本部から従業員に直接指示
玉塚会長「今年度末から導入」 店舗の競争力底上げ

2016/7/31 3:30 日経朝刊
 ローソンが店頭でのIT(情報技術)の活用を広げる。6月の就任後初めて日本経済新聞の取材に応じた玉塚元一会長兼最高経営責任者(CEO)は「人手不足に対応するためには現場の生産性の向上が必要」と述べ、店頭で働く従業員の業務を支援するタブレット端末を2016年度末から順次導入する計画を明らかにした。従業員の働き方に本部が直接関わる仕組みを整え、店舗の競争力を底上げを図る。
横浜市内では、タブレット端末を約20店舗で試験導入している(横浜市西区のローソン横浜駅東口店)
 ローソンでは6月1日付で三菱商事出身の竹増貞信氏が副社長から社長兼最高執行責任者(COO)に昇格。竹増氏が新規事業や海外事業、社長から会長兼CEOとなった玉塚氏が国内のコンビニエンスストア事業を統括する体制に移行した。
 業務支援用のタブレット端末は現在、横浜市内の約20店舗に試験導入している。端末を通じて、従来は店長がそれぞれの経験則で決めていた店内調理の揚げ物を仕込む個数などを本部から指示。店内での従業員の仕事についても1時間ごとに細かく提示している。この端末について、「16年度末から順次、導入店舗を拡大していく」考えだ。

初心者も即戦力

 本部では店舗ごとの販売実績や出退勤などのデータから仕込みの個数や仕事のスケジュールを割り出している。導入店舗を広げることで本部から指示する内容の精度が高まれば、不慣れなアルバイトでも即戦力になるとみている。
 将来は端末を通じて、それぞれの従業員の仕事ぶりを記録し、個々の能力の適切な把握にも役立てる考え。仕事ぶりを時給などに反映する仕組みも取り入れ、従業員の士気高揚や優秀な人材の確保につなげる。
 本部と加盟店の役割について、ローソンは「本部はこれまで商品開発や販売促進を担い、店内のことは加盟店の仕事という分担になっていた」。人手不足で留学生など外国人もアルバイトに活用するなか、店頭の従業員の業務支援にも本部が積極的に関わっていかなければ、「現場がもたなくなる」と玉塚氏は危機感を示した。
 従業員の仕事ぶりに積極的に関わるとともに店頭での従業員の業務負担の軽減にも力を入れる。17年度末からは顧客から受け取ったお金を投入口に入れれば、釣り銭が出てくる「自動釣り銭機」の導入を始める。「デジタルを使って店舗の従業員の負担を軽減し、小売業で最も重要な接客などにさける時間を増やす」という。
 ローソンは現在、売上高シェアでコンビニ業界2位。ただ、4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと3位のファミリーマートが9月に統合し、売上高シェアでは新生「ファミリーマート」に逆転される。
 6月の既存店売上高もトップのセブン―イレブン・ジャパン、ファミリーマートが前年実績を上回る一方、ローソンは前年割れに沈んでいる。セブン、ファミマ、ローソンの3社の売上高シェアの合計が90%を超える寡占状態となるなか、競争力を維持するためには店舗の生産性向上は最優先の課題となっている。

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コンビニ売上高、7月0.3%増 来店客数は0.4%減

2016/8/22 20:30 企業

 日本フランチャイズチェーン協会が22日発表した7月の全国コンビニエンスストアの既存店売上高は、前年同月比0.3%増の8800億円だった。前年を上回るのは2カ月連続だが、来店客数は0.4%減と5カ月連続のマイナスだった。
 ソフトドリンクやアイスクリームなどの加工食品が0.7%増えたものの、たばこや雑誌などの非食品分野の動きが鈍かった。平均の客単価は0.7%増と16カ月連続でプラスになっており、客数の減少を客単価が支えているかたちだ。
 企業別ではセブン―イレブン・ジャパンが1.7%増でローソンは2.3%減った。フラッペや冷やし麺が伸びたファミリーマートは1.9%増だった。

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関西コンビニ戦争」セブン-イレブンが近畿でも店舗数1位に、ローソンの牙城崩す

コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンが、近畿2府4県の店舗数で大阪発祥のローソンを抜いて首位になったことが18日、分かった。
 近畿のコンビニ業界では、かつて阪神地区を地盤に勢力を誇った流通大手、ダイエーの子会社として創業したローソンが長らく存在感を示してきた。しかしセブンはJR西日本の駅構内進出などで勢いを増し、ローソンの牙城を崩した格好だ。
 近畿2府4県の7月末時点の店舗数は、ローソンの2393店に対し、セブンが2433店で40店上回った。3位のファミリーマートは2081店。
 セブンは昭和49年に東京都江東区で、ローソンは50年に大阪府豊中市で第1号店をオープンさせ、ともに全国展開を進めてきた。ただ、セブンが大阪へ進出したのは平成3年で、ローソンより16年も遅い。
 しかし、ローソンの近畿での店舗拡大が一段落する中、セブンはJR西の駅構内売店「キヨスク」の近畿圏約150店をコンビニに転換するなど、店舗数拡大を加速していた。
 セブンは今年3月からの1年間で国内の店舗を約1200店増やし、約1万9800店とする目標を掲げている。人口は減少局面にあるが、セブンでは「路面店から駅や病院といった施設内へ、また若者から女性やお年寄りへとニーズが広がっている」(広報)と指摘。今後も戦略次第で需要を喚起できるとみて、新規出店を進める考えだ。

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「第1種低層住居専用地域」の規制が緩和

「自宅の近くにコンビニがあったら……」。そう思いながら日々生活をしている人は意外に多いのではないだろうか。特に閑静な住宅地に限ってコンビニはないものだ。なぜならコンビニの出店には用途地域という壁があるためだ。これは都市計画法の一つで、土地の用途の混在を防ぐことを目的としている。
たとえば「閑静な住宅地にパチンコ屋」「大型トラックが行き交う工業地域のなかに住宅地」といったようにならないために土地の用途を12種類に分類している。自分の土地であれば何を建ててもいい、というわけではないのだ。
閑静な住宅地のほとんどは、この「第1種低層住居専用地域」となっている。これは一戸建てを中心とする住宅地とするもので、12種類用途地域の中でもっとも規制が厳しい地域だ。コンビニなどの店舗や事務所の出店は原則不可。原則というのは、銀行の支店や給食センターなど公共性の高い店舗は許可される場合があるからだ。ところが2016年6月2日、「規制改革実施計画」が閣議決定され、住環境を害さない、公益上やむを得ないといった条件をクリアすれば、コンビニの出店が許可される見通しとなった。この規制緩和により、私たちの暮らしはより便利になるのだろうか。
土地の用途を12種類に分類している用途地域。「第1種低層住居専用地域」は一戸建て中心の住宅地とするもので、12種類中でもっとも規制が厳しい地域だ

理由の一つは高齢者の生活利便性の向上

高齢者を中心に、近くに買い物をする店舗がない、という買い物弱者が全国で700万人に達している。コンビニ出店の規制緩和はその対策となり得るのか高齢者を中心に、近くに買い物をする店舗がない、という買い物弱者が全国で700万人に達している。コンビニ出店の規制緩和はその対策となり得るのか
コンビニを含む小売店には、スーパーやホームセンターなど様々な業態がある。なぜコンビニだけが今回の規制緩和の対象になったのか。その理由は大きく二つある。
一つは、高齢者を中心とする”買い物弱者”の存在だ。昨今、少子高齢化による人口減などで、大型スーパーの撤退や商店街の衰退が進み、食料品などの日常の買い物が困難な状況に置かれている人々が増加している。
経済産業省の調査によると、高齢者の約17%が”買物に困難を感じている”と回答しており、その数は700万人にのぼると推計される。また、農林水産政策研究所の調査では、自宅から生鮮食料店までの距離が500メートル以上あり、且つ自動車を持たない65歳以上と定義した”買い物弱者”が、2025年に全国で598万人にのぼり、2010年の382万人から200万人以上増えるとの推計されている。また、その増加の大部分が都市的地域であることも報告されており、買い物弱者は、過疎化の進む地方だけでなく、居住者の高年齢化が進む都市郊外でも問題が表面化している。
買い物弱者を救うために、コンビニの出店は有効なひとつの手段となるだろう。そこで動きもでてきた。2016年7月5日、UR都市機構は、大手コンビニ3社との連携協定を発表した。セブン‐イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンは、URが管理する団地、約100カ所に出店する方針だという。品ぞろえは小分けのおかずや日用品など高齢者のニーズの高いものを増やし、室内の清掃など家事代行サービスも受け付ける。店舗によっては住民の集会所としてスペースを開放する予定だ。URは全国で1,664団地(74万戸)を管理し、高齢者世帯が約4割を占める。

まちの”ライフライン”としての活用も

そしてもう一つの理由は、コンビニ出店による経済効果だ。魚屋や肉屋といった昔ながらの商店が少なくなっている一方で、全国のコンビニが加盟している日本フランチャイズチェーン協会の発表によると、2016年2月末現在でコンビニの店舗数は5万5,000店以上と、前年と比べて2,872店増えており、10兆円を超える市場規模となっている。最近は肉や野菜などの生鮮食品まで品揃えを広げる店舗も増え、さらにATM設置による金融サービスの提供、宅配サービスの受付、住民票の写しや戸籍証明書の取得など、公共性の高いサービスの提供をしている店舗もある。
また、同協会は、2009年に「社会インフラとしてのコンビニエンスストア宣言」を取りまとめている。この中では、消費者の利便性向上に加え、地域経済の活性化やまちの安全・安心、地域社会への貢献を目標に掲げている。2011年3月の東日本大震災では、仮設店舗、移動販売車による食糧、緊急時支援物資の提供や、帰宅困難者への水道水やトイレ、休憩場所などの提供など、コンビニが”ライフライン”として活用されるなど、社会インフラとしての役割も果たしていた。
結局、出店できるかどうかは周辺住民の理解次第
では、「第1種低層住居専用地域」への出店は誰もが望むことなのだろうか。出店の条件は、住環境を害さない、公益上やむを得ないなど。しかし、住環境を害さないかどうかの基準は人それぞれだ。
おもに問題となるのは騒音だろう。これは客の車の排気音や話し声だけではない。弁当などを配送するトラックは深夜でも行き来する。また、エアコンの室外機の騒音も設置場所によっては近所迷惑となり得るだろう。実際にこれらの問題で警察や裁判沙汰になっているケースもある。
また、筆者は自宅近くで出店後でも数年に渡って周辺住民が反対運動を展開しているケースを目にしている。そこは前面道路が片側2車線の広い通りで、交通量も多い。一見コンビニ向きの立地だ。しかし、両隣の家は反対の大きな看板を庭に掲げ、反対していた。現在は解決し、営業を続けているが、それでも円満なご近所づきあいは難しいだろう。
このようにコンビニの出店に対する周辺住民の理解は千差万別。強引に出店してしまうと周辺住民から強烈に反対されてしまうこともある。また、どの範囲の住民まで賛成してもらえればいいという基準もない。規制は緩和されるものの、出店できるかどうかは個別対応ということになる。これから出店を計画するオーナーは、規制緩和を頭ごなしに主張することなく、とにかく穏便に計画を進めてほしい。

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セブンも伸び悩み。なぜコンビニドーナツは苦戦しているのか?

昨年あたりから、各コンビニのレジ脇に並ぶようになったドーナツ。定番商品として早くも定着した感があるいっぽうで、セブンイレブンでは先日より個包装で販売するスタイルに変更されるなど、売上アップに向けての試行錯誤が続いています。そこで今回は、食のトレンドやコンビニ事情に詳しいライターの日比谷新太さんが、前回の最新ビール事情レポートに続き、コンビニドーナツの現状を徹底分析。コンビニドーナツが「真の主力商品」となるためには、何が必要かを解説しています。

コンビニ各社の販売方法とターゲットの違い

15年にセブンイレブンが全国での販売を開始したのを皮切りに、他のコンビニチェーンもすぐさま追随し、今ではすっかりおなじみの光景となったコンビニでのドーナツ販売。以前取りあげたコンビニコーヒーとも相性が良い商品ということもあって、各チェーンともに大いに力を入れています。
そんなコンビニドーナツですが、販売方法など各社で大きな違いがあります。まずは大手3社のドーナツ販売の現状をチェックしてみましょう。

●セブンイレブン

 発売アイテム数:11
 レジカウンターにて販売(店舗スタッフに注文し購入)

●ローソン

 発売アイテム数:14
 レジカウンターにて販売(店舗スタッフに注文し購入)

●ファミリーマート

 発売アイテム数:7
 パン売場にて販売(お客さんがセルフで手に取り購入)
「店舗スタッフが提供」するセブンイレブンとローソン、「お客さんがセルフで購入」するファミリーマートという、2つのパターンに分かれている販売方法ですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
「店舗スタッフが提供」するスタイルは、いかにも出来立てのようで美味しそうに見えるものの、店舗スタッフに注文をしなくてはいけないので、お客さんによっては心理的なストレスになることも。また、提供スピードが遅れるデメリットもあります。いっぽうで「セルフ購入」スタイルは、お客さん自身が自分で選べ、販売スタッフに声をかけなくても良いということで、気軽に購入できるという利点があります。ただその反面で、出来立てっぽくないというイメージがついてしまいます。
また、各社のドーナツの価格帯を確認してみると、各社の戦略が見えてきて面白いです。
セブンイレブン、ファミリーマートは低価格勝負。ローソンは健康志向商品(スコーン等)も加えて、幅広い価格帯を持っています。商品回転数を上げて、売れ筋商品中心にしたいセブン・ファミマに対し、ローソンは女性客も含めた幅広い顧客獲得を狙っていることが窺えます。

なぜコンビニドーナツは苦戦しているのか

このように各社が鎬を削るドーナツ販売ですが、実際のところ現状はどこも売上が厳しい状況です。
ドーナツ導入時の目的は、挽き立てコーヒーの“ついで買い”をレジカウンターで実現させて、挽き立てコーヒー購入客のプラスαの売上(客単価アップ)を図る、ということでした。言い換えますと、通常の他の商品とカニバリ(共食い)を起こすことなく、売上が上乗せされることを目指していたのです。
ところが実際には、それまで挽き立てコーヒーを購入していたお客さんは、同時にパンやスイーツなどを購入していました。そこにコンビニドーナツが登場したことで、売上がそのまま上乗せされることなく、それらの他商品からの切り替えが発生したのです。その結果、当初目論んだ売上の上乗せには繋がりませんでした。
ましてや、パン売場に展開する「セルフ購入」スタイルを導入しているファミリーマートでは、特にパンとのカニバリが強く発生する可能性が高いです。また商品パッケージも、出来立て感よりもお菓子感が強く出てしまっていることも、売上上乗せ効果が低かった理由ではないでしょうか。くわえて、コンビニドーナツが今ひとつ人気が出ない原因のひとつとして、お店で出来立てを提供しないという点も挙げられるでしょう。コンビニのカウンター商材といえば、レジの裏でフライヤー調理を行ったり、中華まんを蒸したりと、出来立て感が強くひと手間かかっているところが、お客さんにとっても大きな魅力でした。しかし残念なことにコンビニドーナツは、他のカウンター商品とは異なり、店舗で最終調理をするのではなく、トラックが運んできたドーナツを、販売什器に陳列しているだけでした。発売当初、筆者自身もこれには非常に残念な印象を持ちましたし、他のお客さんも同様だったのではないでしょうか。

支持拡大を目指し続く試行錯誤

そんななか、これまで行ってきた販売方法を変えるという決断を下したのがセブンイレブンです。セブンイレブンでは、お客さんの注文に応じて販売スタッフが販売什器から商品を取り出し、一品ずつ袋に詰めて販売するという方法を採用していました。しかし今年7月下旬より、ドーナツが既に個包装された状態で各店舗に納品されるという方式に改めたのです。これによって、注文から商品提供までのスピードアップに成功しました。また店舗サイドにとっても、個包装された状態で納品されることによって販売期限が伸びるため、商品廃棄のリスクが減少するというメリットがあります。廃棄リスクが減れば、陳列ケースにより多くの商品を並べることが可能になり、賑やかになったケースを見せることで、お客さんの購買意欲を掻き立てるという効果も期待できます。このように販売方法の変更等を行いつつ、コンビニ各社はまだまだドーナツマーケットに攻めこみ続けるでしょう。しかしながら現状では、本質的な課題解決ができていない印象です。
そもそものコンビニドーナツの使命とは、コンビニコーヒー購入客にプラスαで購入してもらうこと。これが出来ずして、通常商品とカニバリが発生せず、狙い通りの売上アップには繋がりません。筆者としては、ここはコンビニのカウンター商材としての基本に立ち戻って、店内で「出来立て」を提供する方向を模索して欲しいですね。そうすることで初めて、従来のパンや菓子との違い(ポジショニング)が明確になるのではと考えます。コンビニドーナツの最大のライバルと言えばミスタードーナツ。言わずと知れた日本のドーナツ市場におけるナンバーワン企業で、ブランド力では勝てませんし、商品開発力も段違いです。そんなミスタードーナツの売れ筋上位商品をチェックしてみると、実は「ポンデリング」が一番人気なんです。コンビニドーナツが今ひとつブレイクスルーできていないのは、このような独自のヒット商品を開発できていないことも、ひとつの要因ではないでしょうか。

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

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最低賃金、上げ幅最大 平均時給は823円に

2016/8/23 日経
 2016年度の都道府県別最低賃金の改定額が23日出そろった。全都道府県の時給が初めて700円を超え、全国平均は現在より25円高い時給823円となった。上げ幅は比較可能な02年度以降最大。高知、鳥取など6県は厚生労働省の審議会が地域別に示した引き上げ額の目安を上回った。人口減により地方でも人手不足は深刻で、最低賃金を引き上げて労働力確保を図る例が目立つ。

小売りなどで人手不足が深刻

 最低賃金は雇用形態を問わずに適用される。厚労省の中央最低賃金審議会は7月、各地の労働者数を加味した加重平均で算出する全国平均の時給について、24円引き上げる方針を決定。経済状況に応じた都道府県別の引き上げ額の目安(25~21円)を示した。都道府県の審議会は地域の実情を踏まえ、引き上げ額を各地域の労働局長にこのほど答申。正式決定後、10月に順次適用される。
 時給が最も高いのは東京の932円、最も低いのは宮崎、沖縄の714円。上げ幅は東京、愛知、大阪など大都市部の25円から、東北や九州を中心とした地方の21円まで幅がある。現在、青森、徳島、高知、佐賀、沖縄など16県の時給は600円台だが、改定後は全てが700円を超える。
 特に、埼玉、兵庫、鳥取、島根、香川、高知の6県は目安を1円上回った。若い世代の労働力流出に悩む地域が多く、建設、小売業などで深刻化する人手不足の改善にもつなげる狙いだ。
 現在、時給が693円と全国最低の高知県は22円増の715円を答申。労使で構成する地元の審議会が「若者の流出を止めようと、引き上げ方針を示した」(事務局の高知労働局)という。同局の試算では、時給714円以下の県内労働者は全体の10%近くを占める。時給最下位から脱することで「県全体のイメージアップで移住者の増加にもつながる」(県内経営者)という声もあった。
 兵庫県は25円増の時給819円になる見通し。「大阪、京都に比べ最低賃金が低く、県内に住みながら近隣府県で働く労働者が多い課題がある」(兵庫労働局)という。
 安倍晋三政権はニッポン一億総活躍プランに最低賃金を毎年3%程度引き上げる方針を盛り、「全国加重平均で最低賃金1000円」という中期目標を掲げる。都道府県の答申は、正社員と非正規労働者の賃金格差解消や、脱デフレに向けた大幅な賃上げを求める国の意向に沿う形となった。
10月から施行予定の都府県別最低賃金(最低賃金は確定前の答申ベース)
最低賃金で時給600円台の地域がなくなる見通し
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ファミマ、総菜を全面刷新 スーパーに対抗

2016/8/24 0:31 日経新聞

 ファミリーマートは店頭で販売する総菜を全面刷新する。冷蔵ケースで販売する総菜は鮮度を高めるため、現行のパック包装からガスを充填するトレー型のパック容器に変更。同時に商品数を現在の2倍の約40品目にする。レジ横に総菜の専用ケースも新たに設置し、揚げ物などを常温で販売する。スーパーが得意としてきた総菜の取り扱いを増やし、夕食向けの主婦層の需要を取り込む。
常温で揚げ物などを販売するケースもレジ横に配置する
 まず8月29日に関東の約1000店で新しい総菜の販売を始める。10月には関東の5000店に広げ、2016年度中の全国展開を目指す。紙パックの飲料などを並べている冷蔵の棚を1本、品ぞろえを増やす総菜向けに変更する。
 コンビニエンスストアではセブン―イレブン・ジャパンがいち早く総菜に注目。プライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」で07年ごろから、パック包装のポテトサラダなど冷蔵の商品を本格展開し、ローソンやファミリーマートも追随してきた。
 ファミリーマートは今回、パック包装を廃止。冷蔵の総菜はすべてガスを充填させて密封するトレー型のパック容器に切り替える。熱湯消毒するパック包装に比べると、消費期限は短くなるものの、鮮度や風味を高めることができるという。
 パック容器は消費者が中身を確かめながら購入できるように上部に透明の素材を採用。ひじき煮(50グラム、128円)やマカロニサラダ(78グラム、128円)などを少量で価格を抑えた商品を増やすことで回転率は高まるとみている。
 冷蔵商品の刷新と併せ、揚げ物など常温で販売する総菜もそろえる。専用ケースと揚げ物の店内調理用機器の刷新で約20億円を投資する。
 ファミリーマートは現在、フライドチキン「ファミチキ」などを買ってすぐに食べるように保温ケースで販売している。店内で調理し、常温で販売する総菜では「チキンステーキ」(220円)や「フィッシュフライ」(150円)などを用意し、夕食のおかず向けに主婦層の購入を見込む。
 11年の東日本大震災以降、コンビニは「生活インフラ」としての存在感が高まった。さらに共働き世帯や一人暮らしの高齢者の増加に伴い、家族向けの容量の大きい商品が中心になるスーパーからコンビニに顧客が流れる傾向も続いている。
 ファミリーマートはスーパーが強みとしてきた総菜の取り扱いを拡充することでコンビニが弱いとされている午後から夕方にかけての集客力を強化する。総菜に続き、冷凍食品の刷新も計画している。

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セブン、欠品ゼロへ 10年ぶり新システム

2016/8/25 日経新聞

 セブン―イレブン・ジャパンは全国約1万9000店のコンビニエンスストアと本部を結ぶ情報システムを10年ぶりに刷新する。投資額は過去最高の520億円。店舗に配る新型の発注端末に売り切れ間近の商品を従業員に知らせる機能を持たせる。欠品による販売機会の逸失を防ぎ、店舗の稼ぐ力を底上げする。
 今秋までに店舗の発注端末やパソコンなど機器の更新を完了し、2017年度から順次、新システムの運用を始める。
 新型の発注端末は飲料や菓子などの加工食品、雑貨について、各店の発注個数や販売個数、売れ行きから見た適正在庫などの情報をもとに、追加すべき商品を液晶画面に表示する。警告音でも注意し、欠品をゼロに近づけることをめざす。
 コンビニはスーパーに比べて各店の倉庫スペースが小さく、欠品が発生しやすい。同社は商品の販売状況を即時に把握する情報システムなどで流通各社に先行してきた。それでも加工食品や雑貨では売り切れへの注意を促す仕組みはなく、従業員が気付かないまま欠品になっていることも少なくない。
 欠品で失った売上高や利益の推計は難しいが、各社の間では業績を押し下げる主要な要因の一つになっているとの見方が多い。また、前回の来店時に買えた商品がなくなっていることへの失望から、客離れが起きることへの危機感もある。
 新型の端末では弁当や総菜についても、いつ売り切れになったかを従来より簡単な操作で確認できるようにする。システムの刷新により、約2900品目に上る店頭商品の大半で欠品状況の「見える化」が実現する。
 流通業界では人手不足が一段と厳しくなっている。セブンイレブンは新システムの導入により、経験の少ない従業員でも欠品の確認ができるようにする。
 17年夏からはクレジットカード決済端末を組み込んだ新型レジも導入。来店客の利便性を高める。
 セブンイレブンは1店舗の1日当たりの平均売上高(日販)が65万円を超え、競合するローソンやファミリーマートを10万円以上引き離す。新システムで販売機会の逸失を減らし、品ぞろえに対する満足度を高めることもできれば、さらに差が開く可能性がある。

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ユニー・ファミマ、コンビニ「3強時代」へ生き残りの船出

店舗数は最大手のセブンと肩を並べる。「規模」のメリットを生かせるか

 ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(GHD)が9月1日に経営統合し、「ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)」が誕生する。コンビニエンス業界3位のファミマと、ユニーGHD傘下で同4位のサークルKサンクスが組むことで、コンビニ事業では国内最大級の企業となる。コンビニ業界はセブン―イレブン、ローソン、ファミマの大手3社への集約が進んでいる。ファミマは09年にエーエム・ピーエム・ジャパンを完全子会社化し、15年に合併したココストアの店舗についても、年内にファミマへの転換を完了する。ファミマは7月末時点で1万1872店舗を運営している。エーエム・ピーエムやココストアと同様に、サークルKサンクスの店舗もファミマにブランド転換する予定で、店舗数は最大手のセブン―イレブンと肩を並べる。 規模を追う背景には、商品生産や物流の効率化で、商品力や価格競争力を上げられるメリットがある。店舗数の拡大を図るにあたり、ファミマは加盟店を運営するオーナーを獲得するため、シニアや単身者も加盟できるよう、制度を見直した。

日販で大差、「稼ぐ力」にはまだ弱さ

 一方で店舗の「稼ぐ力」にはまだ弱さがある。店舗の1日当たりの売り上げを示す全店平均日販は、16年3―5月期にセブン―イレブンが64万円だったのに対し、ファミマが51万円、サークルKサンクスが42万円と大きな差がついている。
 商品力を上げるためには、ベンダーを巻き込んだ商品開発が欠かせない。規模が拡大すれば、発言力も増す。
 一方で問題も起きている。ファミマは25日、公正取引委員会から「下請けいじめ」に関する勧告を受けた。14年7月から16年6月にかけて、下請け業者20社に対して、プライベートブランド(PB)の弁当やパンについて売れ残った商品の損失の一部を負担させたり、期間限定のキャンペーンでの値引き分を転嫁するなど、6億5000万円の支払いを不当に減額したとしている。統合を前に、コンプライアンス(法令順守)に対する姿勢について、課題が浮き彫りとなった。

沢田氏の手腕に期待

 持ち株会社であるユニー・ファミリーマートHDの社長には、上田準二ファミマ会長が就く。現在69歳で「昨年3月にはリタイアするつもりだった」としつつ、かねて業界再編を視野にユニーGHDとの統合構想を描いてきた立場から、引き続きかじ取りを担う。コンビニ事業を担う新生ファミリーマートの社長に就くのは、沢田貴司ファミマ取締役専務執行役員だ。事業再生会社のリヴァンプ(東京都港区)を設立し、ロッテリア(同新宿区)の再建や、クリスピー・クリーム・ドーナツ(同渋谷区)の運営に関わってきた。コンビニ事業に直接携わった経験はなかったが「しがらみがなく馬力がある」として、伊藤忠商事に同期入社した中山勇ファミマ社長が招いた。商品やシステム、カルチャーの違うファミマとサークルKサンクスをまとめる手腕に、期待が掛かっている。ローソンの玉塚元一会長とは、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングでともに経営を担った後、リヴァンプを共同設立した間柄だ。意識しないとのスタンスながら、直接対決も注目される。
 流通の第三極としての存在感を発揮し、飽和状態にある国内で生き残りを図るとともに、成長に向けて海外市場をいかにつかむか。急激に拡大したコンビニ事業で、日販を「できるだけ早く60万円に引き上げる」(中山ファミマ社長)という目標を達成し、IT導入などで「次世代コンビニ」(同)を構築してセブン―イレブンに立ち向かう体制を築けるか。直面している課題は多い。

(文=江上佑美子)

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コンビニ、書籍に注力なぜ? 芥川賞作家のサイン会も

守真弓、高津祐典2016年8月30日

 コンビニエンスストアを舞台にした小説「コンビニ人間」で芥川賞に輝いた村田沙耶香(さやか)さん(37)のサイン会が24日、東京都内のコンビニであった。大手書店が定番のサイン会がコンビニで開かれるのは、極めて異例。その狙いは?
 東京都千代田区のセブン―イレブン神田専大通り店。店内のチラシなどで予約を募り、サイン会には約130人が集まった。店内の四つの書棚を自身の小説が埋め尽くした様子に、村田さんは「異常としかいいようがない。こんな光景、見たことがない」と驚いた。
 村田さんは作家業と並行して、アルバイトでコンビニ店員も続ける。「コンビニ人間」はコンビニ勤務の30代の女性が主人公。普通でないものを疎外する社会の偏狭さを描いて、高い評価を得た。ただ、コンビニでサイン会が実現したのは、そうした要因だけではなかったようだ。
 芥川賞の発表は7月19日。「受賞が決まった瞬間、版元さんに(サイン会開催の)電話をしました」。店舗数約1万9千(7月現在)の業界最大手、セブン―イレブン・ジャパンで出版物を担当する伊藤敦子さんは明かす。
 雑誌の売り上げは出版不況で急速に落ちている。コンビニ経営者から、雑誌の棚を減らし、利益率の高い商品を置きたいという声も上がる。同社では、5年ほど前からセブン―イレブン専用に再編集した実用書の販売など、書籍を売る取り組みを進めてきた。
 「コンビニのオーナーさんにもお客さんにも、単行本をコンビニに置くことへの理解を広げる最大のチャンス。偶然ですが、天恵のような作品です」と伊藤さん。
 サイン会会場で村田さんは「単行本が売れるかどうか分からないですけど、コンビニにいろんな本が並ぶのはうれしい」。職場が近く、昼食を買う時にサイン会の開催を知ったという岡本彩さん(31)は「食べ物と一緒に小説を買うのは新鮮。気軽に買えるのは楽しい」と話した。
 文芸春秋によると、「コンビニ人間」の刷り部数は35万部。セブン―イレブンの店舗内の端末経由では約3千冊が売れ、他の本の100倍の売れ行きという。
 期待をかけるのは、業界2位で、店舗数約1万2千(7月末現在)のローソンも同じだ。2年前から一部店舗に本棚を置き、200冊程度の単行本を売る。「マチの本屋さん」と呼ぶこうした店舗は今、全体の1割強、約1300店に上る。一斉に「コンビニ人間」を売り出すキャンペーンを展開中だ。

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