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流通のカリスマ退場 セブン&アイ鈴木氏「私の不徳」

2016/4/8 2:02

 「世代が変わった」。グループの全役職から退くことを決めたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)は7日、このような言葉で大きな節目を迎えたことを表現した。自身が主導した子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長交代案には、社内で翻意を迫る意見があったが、聞き入れなかった。結果、議案は否決され、「流通のカリスマ」自身が退任する異例の展開になった。

社長交代案を強行、社外取締役が「ノー」

 セブン&アイは7日、井阪隆一セブンイレブン社長の交代案を取締役会にかけた。ただ、交代案の提出を強行することで否決される可能性もあり、幹部の中には「会議の前日の夜まで、鈴木会長案への賛成票を取り付けようと走り回る人もいた」(セブン&アイ関係者)。
 鈴木会長が積み上げてきた実績は疑うまでもなく、「人事案の採決がどうなろうと、鈴木会長が辞めるような事態だけは、絶対に避けなければいけない」(別の関係者)と懸念していた。
 それでも鈴木会長主導による交代案は取締役会に提出された。背景には鈴木会長の井阪氏に対する厳しい目があり、リーダーシップに疑問を抱いていたという。鈴木会長は「井阪氏が作り出した新しいものはない」とも周囲に漏らしている。7日の記者会見でも、井阪氏は否定しているが、鈴木会長は「井阪社長からは、彼が1人でセブンイレブンの成長を支えてきたという趣旨の発言があった」と発言した。
 個人消費の不透明感がぬぐえない中、セブンイレブンは業績好調だ。中興の祖である鈴木会長が求める理想像は高く、井阪社長の交代について独自の「センサー」が働いたのかもしれない。ただ、円滑なトップ交代を醸成していったとはいえなかった。取締役15人のうち7人が鈴木会長の人事案を支持した一方、2人が棄権、6人が反対した。
 今回、セブン&アイの鈴木会長の電撃退任は、「物言う株主」として知られる米投資ファンド、サード・ポイントや、セブン&アイの社外取締役の存在も大きかった。
 サード・ポイントがセブン&アイの株を取得したことが明らかになったのは、2015年10月のこと。16年3月には「井阪氏の社長職を解く噂を耳にしたが降格は理解できない」との書簡を送り、セブン&アイ側をけん制した。
 こうした流れが影響し、社外取締役の多くも「5期連続最高益の社長を代える理由が見当たらない」として鈴木会長の人事案に反対を投じたとみられる。
 サード・ポイントのダニエル・ローブCEOは7日、「セブン&アイ・ホールディングスの企業統治が安倍政権の掲げる第3の矢である成長戦略に沿って進化を遂げたことを喜ばしく思う」とコメントした。

退任理由 残るナゾ 「創業家の信任失った」

記者会見に臨むセブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長(7日午後、東京都中央区)=写真 伊藤航
 企業統治機能が働いたといえる今回の社長交代案の否決だが、鈴木会長自身の退任の理由については、やや不透明な部分が残る。
 「引退するのは私の不徳のいたすところ。こんな説明をしなければならないのはざんきに堪えない」。マイクを持ちながら微動だにせず、言葉を絞り出すように語った。
 都内で開いた記者会見には、鈴木会長のほか、セブン&アイの村田紀敏社長、長年鈴木会長の側近として仕えてきた顧問の後藤光男氏と佐藤信武氏も同席した。
 ここで明かされたのが、セブン―イレブン・ジャパンの井阪隆一社長とだけでなく、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊名誉会長との確執だ。顧問の2人も一方的な批判を展開するという前代未聞の記者会見となった。
 ヨーカ堂を創業した伊藤名誉会長は鈴木会長を自身の後継者としてグループのトップに据えた。鈴木会長は「全面的な信任を得てこれまでは経営を指揮してきた」としており、日本を代表する流通グループに育て上げた鈴木会長のこれまでの手腕を伊藤家も支持してきた。
 今回、伊藤家が示したのは、井阪社長交代案への反対だった。会見で鈴木会長は「今までは伊藤家と良好な関係にあった。でも今回は違った」と語り、「もはや信任されていない」と語った。
 決してクーデターが起きたわけではなく、社内の大半の社員が留任を望んだにもかかわらず鈴木会長は退任を決めた。「これまで私が提案したことを拒否されたことはない。しかし世代が変わった」。鈴木会長はそう語り会社を去るが、自身の穴を埋められるような後継者がグループにいるかは未知数だ。誰もが得をしない中興の祖の退任劇となった。
 7日の株式市場で、セブン&アイ株は乱高下した。人事案を巡る取締役会内の対立が表面化し、午前に一時前日比9%安まで売られた。その後、鈴木会長の退任意向が伝わると売買が活発になり、午後は1%安まで値を戻した。終値は73円(2%)安の4489円だった。

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コンビニのアジア戦略 成長市場、出店相次ぐ

2016/3/28 3:30 朝刊 [日経]

▽…コンビニエンスストアは6億の人口を抱え消費意欲が旺盛な中間層も増えている東南アジアを中心に店舗数を拡大、成長のけん引役に据えている。セブン&アイ・ホールディングスは2017年度にもベトナムに進出し、ファミリーマートは16年2月期に東南アジアの店舗純増数が過去最大規模の約230店となるもよう。各社とも日本で培った物流や商品開発のノウハウを生かし新興国・地域でのシェアを伸ばす考えだ。
▽…セブン&アイはベトナムで現地企業と組み、専用の食品工場や最適な温度帯で配送するための物流拠点などを日本同様に設ける。まずはホーチミン市内で3年で100店まで増やし、10年後には1000店体制に広げる計画だ。ファミリーマートは16年2月期、中国でも上海や杭州で出店を進め、純増数は15年2月期より33店多い244店となる見通しだ。ローソンは14年にフィリピンに1号店を出し、20年度までに500店体制を目指す。ミニストップもベトナムで出店を拡大。双日と組み、今後3年で200店に広げる。10年後には800店を展開する計画だ。

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ファミマと郵政、業務提携を発表 海外配送などで協業

2016/4/5 16:49企業〔日経QUICKニュース(NQN)〕

 ファミリーマートと日本郵政は5日、海外配送事業で提携すると発表した。同日付で業務提携に関する基本合意を結んだ。国内のコンビニ店舗で預かった荷物を海外の店舗で受け取れるようにする。越境輸送は日本郵政が担い、訪日外国人による配送需要を取り込む。今年度中に台湾向けのサービスを開始し、タイなどのアジア諸国に順次拡大していく方針だ。
 国内ではさらにコンビニ店舗での郵便商品の取り扱い拡大や通販商品などを任意の時間に受け取れる宅配ロッカー「はこぽす」の設置も検討する。また、ゆうちょ銀行とも提携を広げる。現在首都圏を中心に導入している店内のゆうちょ銀ATMの設置を全国に拡大。現行の約500台に加え、2017年1月から1年間で2000~4000台の設置をめざす。
 同日に合同記者会見を開いたファミリーMの中山勇社長は、具体的な取り組みについては今後協議を進めるとした上で「毎年2つか3つ出るように頑張っていきたい」と述べた。日本郵政の長門正貢社長は「我々の関係は排他的なものではない。他の会社ともお付き合いしていく」との意向を示した。

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現役コンビニ店長「私が毎日、廃棄弁当を食べる理由」

日本全国に5万店以上あり、飲食料品やもちろん、納税や公共料金の支払いに宅配便の取り扱いなど、「社会のインフラ」として、いまや現代人の生活にとって欠かすことのできないコンビニ。しかし、その裏側はあまり知られていない。このほど、『コンビニ店長の残酷日記』(小学館新書)で、コンビニの知られざる内幕や、そこで日夜繰り広げられるトンデモ客との攻防などを書いた著者で現役コンビニ店長の三宮貞雄氏に話を聞いた。
 * * *
「この本を書いたきっかけは、コンビニという社会インフラが現代日本社会にとって必要不可欠な存在になりましたが、その実情は知られていません。365日24時間営業の実態や、そこに関わる人間模様をみなさんに知ってほしいとの思いから執筆しました」
──仲間であるはずのスーパーバイザー(SV)に苦しめられるとは意外です。
「もちろん、中にはこちらのことを親身になって考えてくれるSVもいるんですが、自分のノルマを達成することだけを考えて、加盟店に無理な発注を強要してくるSVも多いんです。フランチャイズのコンビニオーナー(店長)と本部との契約は有期契約です。悪いSVになると、契約解除権や契約更新拒絶権をちらせつかせながら、推奨商品の大量発注や季節ごとのキャンペーンへの協力などを求めてくる。こちらは契約解除されるのが怖いから、ついつい唯々諾々と従わなくてはならないというのが実態です」
──キャンペーン商品にはノルマがあるとか。
「今年2月、ネットで、あるコンビニでの“恵方巻き大量破棄事件”が話題になりましたが、氷山の一角です。やはり悪いSVが大量発注をごり押しした結果、そんなに売れずに廃棄するしかないわけです。ただ、廃棄した分はすべて加盟店の負担になるから、どうしても店長自ら、そしてアルバイト従業員へのノルマが課せられてしまう。ノルマが達成できないと、自腹で何本も恵方巻きを購入するハメになります。このことを業界用語で“自爆”と呼びます」
──廃棄と聞くとお弁当などが思い浮かぶのですが。
「お弁当など消費期限が短い商品は、たとえばスーパーマーケットなどだと“タイムセール“で消費期限が近づくたびに値下げして売り切っていますよね。ときには半額セールとかしてまで。ところが、コンビニではこれが認められていないのです。そして、廃棄した商品は普通の会計では売上から引く”売上原価“に含まれることが普通です。しかし、コンビニ会計という特殊なシステムでは廃棄弁当は”営業費“から引かれてしまう。つまり、店の負担となってしまうのです。だから、私などはほぼ毎日、廃棄弁当を食べて生活費を浮かせています」

──スーパーでやっている割引品がダメというのがわからないです。
「たとえば、原価100円、売値150円のおにぎりを1000個仕入れ、700個が売れて、300個を廃棄したとして考えてみましょう。このときの売上は150円×700個で10万5000円となります。一般的な会計方式であれば、この売上から売上原価10万円(100円×1000個)が引かれて5000円が粗利となります。
 ところがコンビニ会計では、売上高から差し引くのは売上原価ではなく純売上原価(廃棄ロスを含まない)であるため、10万5000円(売上)-7万円(100円×700個)で3万5000円と7倍にも膨らみます。チェーン本部と加盟店は粗利分配方式を取っているから、チェーン本部は利益がぐっと膨らむわけです。
 この例で150円の売値のおにぎりを80円に値下げして廃棄する分の300個を売り切ったと仮定します(小売業界ではこれを“見切り”と呼びます)。その場合、売上は定価分(150円×700個)+見切りで売れた分(80円×300個)で12万9000円となります。コンビニ会計では先述したように純売上原価だから12万9000円-10万円(原価100円×1000個)で2万9000円となります。
 チェーン本部と加盟店は粗利分配方式を取っていて、たとえばですが、粗利の7割を本部、3割が加盟店が分配したとします(チェーン本部の取り分をロイヤリティと呼ぶ)。
 すると、今のケースでいえば、2万9000円×70%で2万300円。一方、見切りせずに廃棄にした場合は3万5000円×70%で2万4500円と4200円もロイヤリティが増えるのです。見切りを嫌う理由はここにあります」
──変なお客さんにも困っているとか。
「酔客に絡まれたり、暴言を吐かれたりするのはもう慣れました。すごいのになると、店の看板の電源を引っこ抜いてスマホの充電をしていたり、トイレの電源でやはりスマホの充電をしてそのままにして、トイレの水が流れないなんて騒ぎもありました。トイレは特に鬼門ですね。この前などは、トイレ掃除したらタンクの裏側から万引きされた成人雑誌が山のように出てきたことがあります。
 要はここで付録のDVDだけを抜き取って、カバンに詰めて帰るということ。現行犯でなければ捕まえられませんしね。トイレは万引きロンダリングの聖地といってもいいかもしれません。とにかく、最近のお客さんには変わった方が多くなって、少々の事には驚かなくなりました(苦笑)」

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ファミマ、専門学校と連携 留学生のバイト採用拡大

2016/4/7 3:30 日経朝刊

人手不足解消へ説明会

 ファミリーマートは外国人留学生のアルバイト従業員への採用を拡大する。留学生を受け入れている全国の専門学校と連携し、コンビニエンスストアでの仕事の内容についての説明会を開催。その場でフランチャイズチェーン(FC)加盟店のオーナーによる面接も実施する。FC加盟店の外国人留学生との接点を増やし、人手不足の解消につなげる。
 まずは東京都内の専門学校と連携し、月1校のペースで説明会を開く計画。このほど初めての説明会を「サンシャイン学園 東京福祉保育専門学校」(東京・豊島)で開催。参加した留学生24人のうち13人の採用が決まったという。専門学校との連携は全国に広げ、説明会を開く機会を増やしていく。
 コンビニ業界では人手不足に対応するため、大手を中心に本部がFC加盟店のアルバイトの採用を支援する動きが広がっている。セブン―イレブン・ジャパンやローソンでは本部がコールセンターを設置し、加盟店の従業員採用を担っている。

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ファミマ、純利益4%増へ 17年2月期
営業益は連続最高更新へ

2016/4/7 14:10業績ニュース〔日経QUICKニュース(NQN)〕

 ファミリーマートは7日、2017年2月期の連結純利益が前期比4%増の220億円になる見通しだと発表した。新規出店や中食を中心とした商品面の強化が寄与する。今年9月に予定するユニーグループ・ホールディングスとの経営統合の影響は織り込んでいない。
 売上高にあたる営業総収入は4%減の4103億円を見込む。営業利益は3%増の500億円と連続して過去最高を更新する計画だ。年間配当は2円増やし112円とする。
 併せて発表した16年2月期の連結決算は、営業総収入が前の期比14%増の4276億円、純利益が18%減の210億円だった。前の期に韓国事業撤退に伴う関係会社株式の売却益を計上した反動が出た。営業利益は21%増の487億円、経常利益は22%増の518億円でいずれも過去最高となった。

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ローソン、営業益3%増で過去最高 健康志向商品が好調
16年2月期

2016/4/13 15:52業績ニュース〔日経QUICKニュース(NQN)〕

 ローソンが13日発表した2016年2月期の連結決算は、営業利益が前の期比3%増の725億円と過去最高だった。総菜や自社ブランドの「グリーンスムージー」がヒット。14年に買収した高級スーパー、成城石井も寄与した。17年2月期は前期比5%増の760億円を見込む。
 売上高にあたる営業総収入は5834億円と前の期から17%増えた。健康志向の商品などが消費者に受け入れられ、チェーン全店売上高が4%増加。同日記者会見した玉塚元一社長は「健康に対する顧客の嗜好が高まっている」述べ、今後も健康を軸に食料品販売を拡大する方針を示した。成城石井などの年間を通じた寄与も大幅増収につながった。
 純利益は4%減の313億円だった。前の期の利益を押し上げた為替差益がなくなったほか、減損損失などの計上が響いた。
 今期の配当は年250円(前期は245円)を予定する。

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コンビニ、前年割れ
3月売上高、12カ月ぶり 天候不順で

2016/4/21 3:30 朝刊 [日経]  
日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)が20日発表した3月のコンビニエンスストア売上高(既存店ベース)は、前年同月比微減の7929億円だった。前年実績を割り込むのは12カ月ぶりとなる。既存店客数は0.7%減で4カ月ぶりのマイナスとなった。3月は上・中旬の気温が高く、下旬から低下するなど、天候不順が響いた。平均客単価は0.6%増と12カ月連続で前年を上回ったが、補えなかった。
 商品別では、いれたてコーヒーや弁当・調理麺などの日配食品が好調に推移し、0.7%伸びた。菓子やソフトドリンクなどの加工食品も0.7%増となった一方、たばこや雑誌といった非食品は動きが鈍かった。
 企業別では、セブン―イレブン・ジャパンが1.5%増と44カ月連続でプラスとなった。ローソンは1.3%減、ファミリーマートは1.6%増だった。

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コンビニ戦争」の行く末 進む業界再編で今後

行き着く先の見えない闘い-コンビニ業界を取り巻く環境はそんな様相を呈している。そのコンビニ業界で大型の買収・提携が相次いでいる。主導するのは現在第3位のファミリーマート。09年に当時6位のエーエム・ ピーエム・ジャパン(当時約1120店舗)、昨年8月にCoco!(約650店舗)を展開するココストアを買収したあと、今年2月には同4位のサークルKサンクス(約6300店舗)を傘下に持つユニーグループHDと経営統合で合意した。
そして、今年9月に持株会社「ユニー・ファミリーマートホールディングス」を設立予定、18年度をメドにブランドを「ファミリーマート」に一本化する。これで国内店舗数は1.8万強となり、現在は僅差で2位のローソン(約1.3万店)を一気に抜き、首位のセブン-イレブンと肩を並べる計画だ。
エーエム・ ピーエムの買収でファミリーマートに出し抜かれたローソンも黙っていない。14年12月に中国・四国地方が地盤のポプラ(約520店舗)と資本・業務提携したあと、4月13日には首都圏のスリーエフ(約560店舗)との資本・業務提携を発表し、1.3万店強になった。
ファミマに抜かれたローソンも積極攻勢
このような大型の買収・提携の狙いはもちろん収益拡大にあるが、うがった見方をすれば人口減少・高齢化で縮みゆく国内市場での生き残りを賭けた「椅子取りゲーム」といえよう。
コンビニ店舗数が日本全国で約5.6万、東京都で約7400もある現在、店の商圏は当初の半径2kmから500m程度に狭まったといわれ、立地面でほぼ飽和状態にある。したがって業容拡大には買収・提携が一番手っ取り早い。利益面でも、店舗数が増えれば大量購入による仕入れ価格の引き下げや、配送効率が上がるなどのスケールメリットがある。
いうまでもなく、各社は買収・提携以外にも売り上げ拡大に努めている。商品の拡充、サービス機能の拡大、新店舗形態への展開などだ。商品の拡充では、パン、菓子、弁当などの独自商品の開発はもとより、おでん、淹れ立てコーヒー、チキンフライ、ドーナッツなど次々と新商品を投入してきた。今後は牛丼やハンバーガー、スープなどへの「浸食」も十分考えられ、関連業界は戦々恐々としている。
生き残りを賭けた大手グループ傘下入りが加速?
サービス面では、ATM設置、公共料金等各種料金の代理受領、食事の場を提供するイートイン、宅配などに参入。そして店舗形態としては、「駅ナカ」への進出を狙う一方、自然食品やクスリを販売するナチュラルローソン、介護サービス事業者と連携して要介護者や高齢者に的を絞った介護ローソン、ファミリーマートのドラッグストア一体型店舗、ミニストップの「働く女性」をメインターゲットに品ぞろえを充実させたcisca(シスカ)など、各社が新型店舗を展開している。
このように、コンビニは単なる小売店から現代の「よろずや」、よく言えば地域の生活インフラに進化し、それがこれまでの収益拡大をけん引してきた。しかし、今後30年で人口が2割も減る国内市場では収益を維持することさえ難しくなっていく。
したがって今後も業界再編は進むだろう。当面のターゲットは店舗数で「3強」に大きく水を開けられる4位以下の中堅チェーンになりそうだ。株主やオーナーの意向で実現しそうもないケースもあるが、スケールメリットや商品・サービス開発面で大手に太刀打ちできなければ収益環境は今後ますます厳しくなる。身売りまでいかずとも大手グループ傘下入りを余儀なくされるチェーンが増えるだろう。

業界再編は今後も進み、2強に集約?

コンビニ売上高は14年度に初めて10兆円に乗せたが、ファミリーマートとの統合を決めたサークルKサンクスも含めると、3強がその85%を占める寡占業種だ。9月にそのユニー・ファミリーマートHDの社長に就任予定のファミリーマートの上田会長はコンビニが2強に集約されるとみている。
仮にそうなれば、これまで買収・提携に目もくれず独自成長路線を歩んできたセブン-イレブンのカリスマ経営者、鈴木敏文氏の突然の辞任を境に、いよいよ動くのか。また、ファミリーマートは買収先を自社ブランドに塗り替える「ワンブランド」戦略をとってきたが、今後もそれを貫けるか。さらに今後の競争・再編が消耗戦になるのか、あるいは業界全体の成長が続くのか。コンビニ戦争の行方に興味は尽きない。(シニアアナリスト 上杉光)

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コンビニ、東日本の教訓で高まった地震対応力
工場連携や新システムで「生活インフラ」強化

2016年04月19日 大竹 剛
コンビニの「生活インフラ」としての重要性を再認識することとなった(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
 東日本大震災以降、「生活インフラ」としての機能への注目が高まったコンビニエンスストア。熊本地震でも、その重要性が改めて認識された。熊本地震は東日本大震災のときと比べると影響範囲が狭いために、「店舗に届ける商品がないという状況にはなっていない」(ローソン広報)。特に、デイリー品と呼ばれる弁当・おにぎりなどの米飯類やパン類、麺類については、九州にある他県の工場から配送されている。
 熊本県内に289店舗を展開するセブン―イレブン・ジャパンは、がけ崩れや入居しているビルの安全性の問題などによって営業できない店舗が2つ。セブンイレブン向けデイリー品の専用工場は熊本県内に4つあるが、いずれも停電や設備破損で生産停止状態だという。しかし、主に福岡県の工場や一部の本州工場が生産を代替し、熊本県内の店舗に商品を届けている。
 セブンイレブン広報によると、熊本県内の店舗からのデイリー品や水、カップラーメンなどの発注は平常時の3~4倍に達しているという。それだけ、生活インフラとして周辺住民から頼りにされていると言えそうだ。納品してもすぐに売れてしまうような状況だという。
一方、ローソンは熊本県内に141店舗を展開し、そのうち6店舗が運営できないでいる。デイリー品の配送については、そもそも熊本県内に工場がないために、福岡県や佐賀県の工場から商品を届けている。ファミリーマートは熊本県内に163店舗を持ち、10店舗が休業状態だ。デイリー品(弁当など)のファミリーマート向け専用工場は熊本県内に1つあるが、「平時ほどではないが稼働はしている」(ファミリーマート広報)。平常通り、長崎県や福岡県の工場からもデイリー品は配送しているという。
過去の地震の教訓を生かす
 工場が被災しても、他の工場が生産を代替する「工場の連係プレー」は、「東日本大震災の経験を踏まえて、比較的スムーズにいっている」(ファミリーマート広報)。課題となっているのは、熊本県内の物流センターから各店舗への配送だ。商品を他県から熊本県内の物流センターに届けることができても、道路の寸断などで店舗への配送に支障が出ている。
 ただし、ここでも過去の地震の教訓が生かされているようだ。セブンイレブンでは、2015年5月に稼働した新システム「セブンVIEW」が効果を発揮しているという。同システムは東日本大震災などの教訓を踏まえ、インターネットの地図上で災害の状況を把握しやすくした。地図上に店舗の位置や配送トラックの位置などを表示。店の営業状態や天気、国交省提供の渋滞情報なども一括で確認できるようにした。配送トラックにカメラも搭載し、道路の状況も画像で把握できるという。平時は渋滞回避などに活用しているが、う回路による配送ルートの特定などに役立てている。

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熊本のコンビニ97%再開 大手3社、過去の教訓生かす

被災地では多くのコンビニエンスストアが営業を再開している。大手コンビニ3社の店舗でみると、19日午後6時現在で、熊本県内では全体の約97%が再開しているという。飲料水や食料品を優先的に出荷し、全国から応援社員を集めるなど、過去の震災で培ったノウハウを生かした。
 ただ、飲料水などの売り切れは相次いでおり、従業員も不足していて、営業時間を短縮している店がかなりある。通常の品ぞろえで24時間の営業ができるまでには、なお時間がかかりそうだ。
 熊本県高森町の「ローソン阿蘇高森店」に19日午前、トラックが到着した。食べ物が届くのは16日未明の地震以来で、オーナーの住吉哲郎さん(36)は「やっときた」と話した。
 おにぎりやサンドイッチ、弁当などを棚に並べると、さっそく住民や復旧作業員らが買い求めていた。近くに住む岩下能子さん(49)は「近くで食べ物が買えて本当に助かる」と、5千円以上購入した。
 ローソンは本部から約120人を熊本県に派遣し、18日には玉塚元一社長も現地入りした。少ないトラックでも効率よく運べるように、配送する商品を飲料水や食料品などに絞り込んだ。20日はパンを東京から空路で熊本に届ける予定だ。東日本大震災などの事例をもとに、緊急時の対策を準備してきたという。
 セブン―イレブン・ジャパンは、建物が大きな被害を受けた南阿蘇村の1店舗を除き、288店が営業。熊本県内に4カ所ある食料品の工場が被災したため、福岡県でも代わりに生産して商品を確保している。設備の改修などで24時間営業ができないケースもあるが「各店長の判断によって、できるだけ開店する方針にしている」という。
 ファミリーマートは、弁当などをつくる工場が被害を受け、長崎県や福岡県などからも商品を送っている。宮崎県産の自社ブランドのミネラルウォーターを集中的に届けている。
 一方、規模が大きいスーパーは復旧を急ぐが、再開できない店も残る。
 イオン九州は熊本県内に総合スーパーが8店舗あり、19日時点では熊本店が休業。宇城店など3店は駐車場で販売した。
 熊本県内に20店を展開するサンリブ・マルショクグループは、サンリブ健軍など5店で再開のめどが立っていない。ゆめタウンなどグループで33店あるイズミは、16店が休業している。

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