消費税の軽減税率とはそもそも何だろうと思われる方も多いと思うので、改めてそもそも論から始めてみよう。

消費税の「軽減税率」とは?

標準の税率よりも低く抑えた税率の事であり、具体的にいうと、生活必需品と贅沢品に区分し、前者は軽減税率で課税率を低くして課税しようとするもので、何でそのような事を論議しているのかと言えば、消費税は今まで一律に課税していたが、低所得者も高所得者も同じであるために、低所得者の相対的な負担割合が大きくなる。この逆進性を軽減税率の導入により、解消しようとする制度上の対策でもある。

消費税の軽減税率を取り上げる理由は?

ではなぜここで、まだ導入もされていない現状の与党税制協議会での討議内容をここで述べてるかと言えば、再来年4月の消費税10%へ増税時に、もしこの軽減税率が導入されれば、コンビニの販売現場も売る商品によって税率が変わる事になり、大変な負担を強いられることになるからである。従ってコンビニ事業に大きく影響を及ぼすかも知れない税制の協議内容を事前に把握しておくことは、決して無駄ではないことはご理解いただけるであろう。

最新の与党税制協議会消費税軽減税率制度検討委員会での討議内容

2015年5月22日開催された第2回消費税率制度検討委員会で、まずは飲食料品分野を対象とする制度案について具体的な検討を進めるとの方針の下、「消費税の軽減税率に関する検討について」(平成26年6月5日、与党税制協議会)で示された8品目のうち、代表的な例として、「酒類を除く飲料品」「生鮮食品」「精米」を対象とする場合のそれぞれの具体案と課題について議論が行われた。
各制度試案の比較表はその議論において、相対的に比較検討を行う観点から、試みに符号をつけてみたとのことで、あくまでも参考資料とのことである。

各制度試案の比較

視点 「酒類を除く飲食料品」を対象とする場合 「生鮮食品」を対象とする場合 「精米」を対象とする場合
視点1 低所得者への配慮(「逆進性の 緩和」)として有効であること ×
視点2 消費者が痛税感の緩和を実感で きること ×
視点3 消費者にとって、分かりやすく、納得できること × ×
視点4 対象品目の判断や区分経理などの実務運用が容易で、納税義務者たる事業者の事務負担が小さいこと × ×
視点5 代替性のある品目の税率を同一にするなど経済活動への歪みが生じないこと × ×
視点6 社会保障の充実・安定を確実に実施できるよう、安定財源が手当てできること ×
視点7 消費税制度への信頼を維持するため、対象品目について、場当たり的に決定されたり、なし崩し的に拡大されないこと × ×

※第3回 消費税軽減税率制度検討委員会資料より

表を見ていただくと分かると思うが、視点1~視点7までの位置づけで、前記3品目について分析を行っている。特に元々が低所得者への配慮から検討されている物なので、表の視点1が最重要項目となる。そこで総務省統計局の世帯収入別5分位での試算が行われている。第Ⅰ分位世帯が年収262万で第Ⅴ分位世帯が1176万の範囲の中で、消費税軽減税率をそれぞれ前期3項目について行った場合、それぞれの分位世帯において、軽減税率を2%(消費税率が8%から10%になった時に導入を検討している為)と仮定して、金額・収入に対する軽減額の比率について比較検討が行われていて、比較はもっとも数字の開きが分かりやすい、世帯所得分位の両側である第Ⅰ分位世帯と第Ⅴ分位世帯で行われている。細かい比較数字は良いとして、結論から言うと、軽減金額の世帯所得比率は、第Ⅰ分位世帯が高いが、金額自体は第Ⅴ分位世帯が当然ながら使う金額も高いので、高額所得世帯ほど多く軽減金額がある事になり、逆進性は結論としては、解消されないことになる。世帯所得に対する比率は所詮数字の問題であり、大切なのはいくら低所得世帯の負担軽減が出来るかが問題だからである。3品目の中で精米だけでは金額が小さく、実行する意味がなく、また生鮮食品だけを対象にした場合、最近の食品の購買傾向調査では、世帯所得低い層の方が、惣菜や加工食品を買う事が多い(共働きが多いためと思われる)事が分かっており、これも高額所得世帯に有利に働くことが分かってきた。また何を持って軽減か軽減しないかの区別をつけるのが、難しく軽減税率を先行導入しているヨーロッパの
国々でも度々議論が起こっている。
という事で実行するなら、酒類を除く飲食料品と成るが、これも持ち帰りは軽減だが、同じものをそこのイートインコーナーで、食べた場合は飲食になるので軽減しないとか、先行した国々でも矛盾点が議論になっていて、販売現場の負担は結構軽くないと思われる。
結論として、現状では消費税の逆進性の解決には、軽減税率制度はあまり効果が見込めず、制度の矛盾や複雑さの問題を考えれば、小売業界の者としては望ましくないと考えざるを得ない。現状の低所得者向け一時金支給制度を拡充して制度化した方が、簡単で低所得者負担軽減になるのではないだろうか?
今後の消費税軽減税率制度検討委員会の議論の推移を見守りたい。