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コンビニでクラフトビール!? さらなるヒットの予感

キリンビールの『グランドキリン』は、クラフトビール界の新境地を切り開いた異端児 コーヒーやスイーツ、食パンなど、近年、独自性を打ち出した商品開発で次々ヒットを生み出しているコンビニ業界。かつて“立地”で勝負していたコンビニはなぜ今、独自商品で他社との差別化を進めるようになったのだろう? コンビニのトレンドに詳しい公認会計士の眞山徳人氏に話を聞くと、コンビニとプレミアム商品の意外な相性が見えてきた。

ヒット商品番付、1位に「コンビニコーヒー」

“プチ贅沢”なプレミアム商品で競争を加速化するコンビニ各社。次なる“走者”について眞山氏は、「コーヒーやスイーツ、食パンなど、これまでのコンビニの主力商品は、朝の通勤時間や昼の休憩に買いたくなるものへのニーズに応える商品でした。次は、夜の時間帯に買われるものとして、ビールを中心とした酒類、おつまみなどで、そろそろ新しい“何か”が現れてくるのでは」と睨んでいる。
◆コンビニとプレミアムビールは好相性
 その言葉に応えるかのように、最近勢いを増しているのがクラフトビール。少し前まで、コンビニで手に入るビールといえば、大手ビールメーカーの鉄板銘柄だったが、最近では『グランドキリン』(キリンビール)や『よなよなエール』(ヤッホーブルーイング)、『COEDO』(コエドブルワリー)、『御殿場高原ビール』(御殿場高原ビール)など国産のクラフトビールが買えるようになり、各コンビニの限定ビールも目にする機会が増えている。
 こういったプレミアム感のある商品展開は、コンビニ利用客のニーズとマッチするという。「値引きを売りとしないコンビニはそもそも、プレミアムビール枠と相性がよく、安さが売りの発泡酒などがスーパーで箱買いされる一方で、“中食”ブームや、おひとり様消費のトレンドと上手くかみ合っています」。
◆買い回ってでも飲みたい遊び心あるクラフトビール
 なかでも異端児としてクラフトビール界の新境地を切り開いたのが、“一本で満足できるビール”をコンセプトに、2012年に登場した『グランドキリン』(キリンビール)だ。ビール通の眞山氏も、「麦芽の風味がガツンと豊かに襲ってくる感覚は、ほかのプレミアムビールとしっかり違いが出ている」と太鼓判を押す『グランドキリン』のほか、コンビニごとに異なるフレーバーを販売するなど取り組みもユニーク。ホップが華やかに香る「ジ・アロマ」と、12月より新発売された、甘く香ばしい麦の香りが特長の「ビタースウィート」(セブン-イレブン)、麦芽のコクとホップの苦味がおいしい「ブラウニー」(サークルKサンクス/数量限定)、なめらかなコクと深みある香りの「マイルドリッチ」(ローソン/数量限定)、フルーティな香りと上質な苦味の「ホップフルーティ」(ファミリーマート/年内販売終了)と、コンビニごとのニーズに合わせて、これまで6種がラインアップされた。
 この細やかなフレーバー展開は、クラフトビール好きのニーズにマッチしているという。「ベルギーやドイツなどでは、同じ銘柄からいくつもの味を出すことは珍しくありません。飲み比べて自分の好みや料理との相性を追求する消費のスタイルの提案をする、というクラフトビールの戦略に注目しています」。
◆最近は女性も楽しめるビールが続々
 地産地消のイメージが強かった“地ビール”から、製法へのこだわりに注目する呼び方が定着しつつあるクラフトビール。市場拡大への“本気”を見せつけるように、最大手ヤッホーブルーイングはローソンと共同開発した『僕ビール、君ビール』を10月28日に発売した。各コンビニに本格参入を開始したクラフトビールは、今後、どのようなラインナップで店頭にお目見えするのだろうか? 眞山氏は、「コンビニに並ぶビールの酒類は、クラフトビールの取り扱いにより爆発的に増えることになると思います。最近では、男性を中心にした商品開発だけではなく、フルーツフレーバーを取り入れるなど女性でも楽しめるビールも出てきているので、今後は各社の味覚提案に注目していきたいですね」と話す。
◆今後は、クラフトビールを買うならコンビニ!?
 コンビニの進化は、近年盛り上がる家飲みの需要にもマッチ。これまでは、各プライベートブランドのパウチ惣菜やプレミアム缶詰、カウンターフードの充実などが、“コンビニ家飲み”をリードしてきたが、多彩な味わいが魅力のクラフトビールの参入によって、そのグレードがより高いものへと変貌を遂げている。このままクラフトビールの参入が続いていけば、ビール好きな人ほど足繁くコンビニに通うようになる可能性も。いずれにせよ、クラフトビールの存在が、男女・年代問わず幅広くビールのおいしさを提供していることは確実。近年さまざまなヒットを生んでいるコンビニ業界は、今後は「すぐに買える贅沢」としてクラフトビールを充実させていくことが、ひとつのミッションといえそうだ。

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セブン&アイvsイオン、どっちに軍配が? グループ両者の真の実力

「金の食パン」「コンビニコーヒー」など次々とヒットを飛ばすセブン-イレブンは国内だけでも1万7,000を超える店舗数が強み。ミニストップは飲食コーナーを設け、ファストフード店的な色合いを濃くしている
コンビニ、ファミレス、スーパー、銀行…など多くの分野でライバル関係にあるセブン&アイグループvsイオングループ。
2014年2月期の決算で発表された売り上げは、セブン&アイが5兆6,318億円で、イオンが6兆3,951億円。あまりにも巨大すぎてピンとこないが、まさに両者とも日本を代表する小売業グループだ。
大げさではなく、コンビニで朝食を買い、それを車内でパクつきながらデパートへ出かけ、買い物や昼食を楽しみ、たっぷり遊んだ帰りにファミレスで夕食を食べたら、すべて同じグループ内の企業だった…なんてことも起こり得るのが今の日本。まるでお釈迦(しゃか)様の手のひらから逃げられない孫悟空のようだが、それだけ我々の生活にどっぷり浸透しているともいえる。
14年9月、イオングループが大手総合スーパーの「ダイエー」を完全子会社化することが大きなニュースになったが、基本的に両グループの巨大化の流れはM&A(企業の合併・買収)の繰り返しにある。ここ数年の動きだけを見ても、イオンがスーパーの「マルナカ」や「ピーコックストア」、ドラッグストアの「ウエルシア」、セブン&アイは「ロフト」「赤ちゃん本舗」といった具合に激しいM&A合戦が行なわれている。
巨大化の目的は主に生産性や経営効率の向上。例えば、両グループとも「トップバリュ」と「セブンプレミアム」というプライベートブランドを持つが、グループ内のどの店でも買うことができれば、認知度も売り上げも上がる。名前の違うスーパー同士でもポイントを共通にすれば、客の囲い込みが可能だ。
「そこで最近、セブン&アイが確立しようとしているのが『オムニチャネル』です」と解説するのは経済評論家の平野和之氏。
「“オムニ”には“あらゆる”という意味があり、“チャネル”には“経路、手段”といった意味があるのですが、簡単に言えば、同じグループ内の商品がどこからでも買える仕組み。例えば『セブンネットショッピング』から、西武やそごうでしか買えない商品を注文し、セブン−イレブンの店頭で受け取るといったことが可能です」
確かにそれは便利そうだが…。
「ただ、高級ブランド品をコンビニで受け取る人はあまりいないわけで、実際には持ち帰るのには重いものの注文が現実的。例えば、米や飲料のケース買いなどです。するとそこには『Amazon』や『カクヤス』などの競合企業がありますから、ネットスーパーの域を超えるのはもっと思い切った組織改革や投資が必要です」(平野氏)
いくら巨大でも新規事業を立ち上げるのは簡単ではないのだ。
では、ざっくりと両グループの現状がわかったところで、われわれの生活に関係の深い4業態を、本誌的な観点から比較してみよう。

■コンビニ

セブン&アイの「セブン−イレブン」は1973年の創業以来、常に業界1位に君臨。対するイオンの「ミニストップ」はローソンやファミマなどの後を追う第5位だ。国内の店舗数を見てもセブン−イレブンが約1万7,000店に対し、ミニストップは約2,100店。セブン&アイの7割以上がセブン−イレブンからの収益ということを考えても圧勝だろう。

■ファミレス

イオングループのファミレスと聞いても思い当たらない人も多いかもしれないが「れすとらん四六時中」「おひつごはん四六時中」(計約310店)などをイオン内に出店。イオンによく行く人にはおなじみだが、それ以外では見かける機会は少ない。しかし、セブン&アイの「デニーズ」(約470店)も首都圏と中部が中心で、それ以外ではまったく展開していない地域もある。この勝負は引き分け。

■スーパー

「イオン」(約611店)、「イトーヨーカドー」(約185店)など全国的にも有名な総合スーパーを擁する両グループだが、やはりこの分野に、より力を入れているのはイオングループ。買い控えを招くため、値上げもできず、苦境が続くスーパー業界でダイエーの買収は吉と出るか。イオングループの勝ち。

■銀行

365日24時間利用できるATM、預け入れや引き出しの手数料が無料(セブンの引き出しは時間による)、利用によってnanacoやWAONのポイントがたまる点などサービス面では非常に似ている。だが、セブン銀行の収益が212億円なのに対し、イオンのそれは100億円と倍の差があり、セブンの勝利。
というわけで、本誌判定では2勝1敗1分けでセブン&アイの勝利。この、似て非なる両者について平野氏はこう語る。
「両者のどこが違うかは『?』です。これだけすべてがそろっていると、利用する側から見れば差がわからない。ただ、セブン&アイは事業の中核がコンビニのフランチャイズ展開ですからロイヤリティが入ってくる。この仕組みは、経営リスクをフランチャイザーに分散できるので本体のセブン&アイはローリスクハイリターンです。
しかし大型店が多く、直営ですから不採算店舗は大きな痛手となるイオングループは買収を繰り返してきましたが、立て直しできないと逆に赤字が膨れます」
専門家の目から見ても結果は同じようだ。イオンの勝利はダイエーの立て直しがカギになりそうだ。

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セブン&アイの3~11月期、営業益が過去最高 コンビニなど好調

セブン&アイ・ホールディングスが9日発表した2014年3~11月期連結決算は、営業利益が前年同期比0.1%増の2,494億円だった。微増益ながら3~11月期としては過去最高だった。積極出店が寄与したコンビニエンスストア事業や金融関連事業が好調だった。
 売上高にあたる営業収益は8%増の4兆5,017億円。純利益は固定資産の廃棄損などが影響し、0.6%減の1,273億円だった。
 2015年2月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比9%増の6兆1,300億円、営業利益は5%増の3,560億円、純利益は5%増の1,840億円を見込む。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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ローソン、3~11月期営業益9%増 総菜など好調、減価償却変更効果も

ローソン(2651)が9日発表した2014年3~11月期の連結決算は、営業利益が前年同期比9%増の597億円だった。消費増税後に既存店売上高が苦戦しているが、採算の良い店内調理の総菜や、いれたてのコーヒーなどの販売が好調だった。
 売上高に相当する営業総収入は2%減の3,624億円。増税後の4月以降、既存店売上高は前年同月を下回って推移した。客単価は1.5%上昇した半面、客数が2.5%減った。一方で、販管費は前年同期を下回る水準に抑えた。「ゲンコツコロッケ」をはじめ店内調理の総菜販売や、国産を中心とした原材料の弁当の販売も伸びた。純利益は8%増の329億円。通期予想に対する進捗率は85%だった。営業益、純利益は今期からの減価償却方法の変更による会計上の数字の押し上げもあり、3~11月期として過去最高となる。
 15年2月期の連結業績予想は従来予想を据え置いた。営業総収入は前期比微増の4870億円、営業利益は10%増の750億円、純利益は2%増の389億円を見込む。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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コンビニ出店、5年ぶり減

大手5社、15年度計画 セブンは最多に
 コンビニエンスストア大手5社の2015年度の国内の新規出店計画数が5年ぶりの前年割れとなる。過去最多を予定するセブン―イレブン・ジャパン以外は出店を抑える。これまでコンビニ各社は積極出店で成長してきたが、消費増税後は全体に売り上げが伸び悩む。収益を確保するためにも、不振の既存店舗への投資などを重視する姿勢が目立ってきた。
 5社合計の15年度の出店計画数は4,350店と14年度当初計画より1割近く減る。減少が目立つのがファミリーマート。ドラッグストアなど異業種との融合を増やす一方、テコ入れが必要な既存店の改装などの投資を拡大する。新規出店は14年度の当初計画よりも500店少ない1,100店程度になるとみられる。
 14年度には13年度より2割以上多い出店を計画していたローソンも、15年度は横ばいの1,000店の見通し。サークルKサンクスも400店で前年度並み、ミニストップは150店で約40店増となる計画だ。
 一方、セブンイレブンは1,700店と5年連続で最多となり、投資額も計1千億円と過去最高を見込む。都市部で積極出店を続けるほか、空白地域だった青森、高知の両県で店舗網を広げる。
 大手5社は14年度当初に過去最高の約4,700店の新規出店を計画していた。しかし、増税後は食品スーパーなどとの競合が激化。弁当や総菜など独自商品が好調なセブンイレブン以外は既存店売上高の前年割れが続く。国内では地域によっては飽和感も出つつある。

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セブン&アイHD会長 鈴木敏文氏

足取り鈍い消費、どう対応? コンビニ、地域の嗜好反映
2014/12/25 3:30 朝刊
消費増税後は個人消費の足取りの鈍さが目立った。10%への消費税率の引き上げは1年半先送りされたものの、国内の消費には不透明感が残る。セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長にどう対応するのかを聞いた。
――2014年は増税や円安が小売業に影響しました。
 「企業の対応の仕方で結果が違った。消費が飽和状態にある中で、価格を優先したところはいい結果にはなっていない。質を追求した企業が消費者に受け入れられたのではないか」
 ――15年の消費環境をどう見通していますか。
 「10月に増税していたら消費は相当落ち込んでいた。だが先延ばししても急に良くなるわけではない。少なくとも年前半は今年と同じ傾向が続くだろう」
 ――15年度は「セブンイレブン」は過去最高の1700の出店を計画しています。
 「特別なことがない限り計画を進める。出店することで(売り上げなどの)成績が落ちてはならない。来年も商品開発など新しいことに挑戦する。過去のチェーンストアの考えは通用しなくなっている。地域ごとにその土地の嗜好を取り入れた商品を出していく」
 ――総合スーパーのイトーヨーカ堂が不振です。
 「まずは既存店をどうテコ入れするかだ。建築費が上がる中、大きな施設を作れば無理がくる。出店を抑えて今ある店の立て直しに注力することが重要だ」
 「本部に様々な権限があるため現場の意見が通りにくくなっている。来年から現場が売り上げや仕入れ、利益責任を持つ仕組みにする。実験的に導入している店では成果が出つつある」
 ――グループ各社の商品をネットで注文してコンビニで受け取れるサービスを始めます。
 「世界でも初めての取り組みにする。多少の試行錯誤はあるだろうが、10月までにはスタートを切りたい。グループの企業だけで300万品目もの商品を確保して販売できるのは世界でうちしかない。持っている資源を有効活用する」
 「ヨーカ堂やそごう・西武なども、セブンイレブンの店舗で商品を販売できる。消費環境が不透明な中で、より利便性を高めたサービスを消費者に提供しなければ生き残れない」
 ――14年はM&A(企業の合併・買収)を増やしました。
 「たまたま重なった。いい相手がいれば(ネットと融合した)『オムニチャネル』戦略を進めるため検討していくが、積極的にM&Aをやるということはない。地方のスーパーとも考えの合う相手でないと組めない」

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セブン&アイ、地域限定商品を5割に

効率追求型から転換
  セブン&アイ・ホールディングスは傘下のコンビニエンスストアやスーパーなどで、店舗のある地域の嗜好を反映した地域限定商品の比率を高める。全国に商品調達や開発の担当者を配置し、2017年度までに地域限定商品の比率を現在の1割から5割にまで引き上げる。画一的な品ぞろえで効率を追求する商品戦略を転換し、味や機能などで消費者ニーズにきめ細かく対応する。
 セブン―イレブン・ジャパンはこのほど、新たに全国を9地区に分け地区ごとに商品開発の責任者を配置した。それぞれの地域で売れそうな商品を企画し、メーカーなどに働きかけて商品化を進める。これまでは東京にある本部に人員を多く配置し、本部で開発した商品を全国共通で展開するケースが多かった。
 イトーヨーカ堂も商品本部が確保した全国共通の商品が全体の9割近くを占めている。7日からは店舗のある地域を13地区に再編し、セブンと同様に地区ごとに商品開発の責任者を置く体制に変更する。本部は共通商品を仕入れるほか、地区や店舗から上がってくる商品開発の要望を聞き取り実際に商品を確保する役割となる。
 イトーヨーカ堂の大型店では約8万~10万品目を取り扱っており、最大4万品目が切り替わる見通しだ。セブンイレブンは約3,000品目が店頭にあり、1,500品目を地域限定商品にする。
 多店舗展開する小売企業は、これまでは本部が一括で調達した商品を大量に販売することで仕入れ値を下げて収益を確保してきた。しかし増税後の消費低迷で、消費者の選別の目は厳しくなっている。地域によって消費者の購買力にもばらつきがみられ、本部主導の品ぞろえでは消費者ニーズをとらえきれなくなっているとの判断がある。
 昨年からは、関西で実験的に地域の嗜好をとらえた商品開発を始めた。既にセブンイレブンでは約230ある弁当や総菜の7割を地区限定商品に切り替えた。地元の有名料亭などを参考にして関西のだしで作っただし巻き玉子を出したところ、全国でも突出して販売が伸びたという。
 独自商品だけでなく既存のNB(ナショナルブランド)でもメーカーと組み、地域性を反映した限定商品を投入した。消費者の慣れ親しんだNBブランドでも地域仕様をそろえる。
 12月中旬からはサントリー酒類(1月からサントリースピリッツ)の低アルコール飲料「ほろよい」シリーズで、関西で人気の飲み物「オーレ」を再現した「ほろよい いちごオーレサワー」をセブンイレブンとヨーカ堂で発売した。カップ焼きそばでもエースコックから、大阪の老舗ソースメーカーのソースを使用した「『大黒屋 大阪の味』甘辛ソース焼そば」を商品化した。
 ヨーカ堂では生鮮食品や店内調理品でも地域限定商品を増やす。埼玉県にあるショッピングセンター(SC)の「アリオ上尾店」では、地元で豚のモツを好む食文化があるため種類を拡充し売り場を広げた。
 今後は衣料品や日用品を含めたあらゆる分野で地域の嗜好を考慮した商品開発を進める。例えば衣料品では、雪国の北海道ならば運転のしやすいハーフサイズのコートが好まれる傾向が強く、ハーフサイズのコートの商品数を北海道限定で現状の1割から5割まで増やす。

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足踏みコンビニどうみる消費の地合い5月注視

コンビニエンスストアの成長が足踏み状態になっている。新規を含む全店ベースは拡大基調だが、2014年の既存店売上高は前年比0.8%減で3年連続のマイナスとなった。食品を軸に生活に密着した商品、サービスを扱うコンビニから見える消費の地合いはどうか。業界2位のローソン、玉塚元一社長に聞いた。
年明けは薄日に
 ――年明けの商況はどうですか。
 「基調は弱いが、それでも年明けは少しずつ明るくなっている。昨年夏以降、消費の地合いは天候不順などで芳しくなかったのに比べ変化の兆しはある」
 「消費の二極化(高額品と割安商品が人気)といわれるが、そんな単純なものではない。機能や品質で買う理由が明確な商品やサービスでないと売れない。その店にしかないプライベートブランド商品や手に入りにくい輸入食品は好調だ。品質と価格のバランスを消費者はよく知っている」
 ――具体的には。
 「健康志向の商品を多く扱うナチュラルローソンは既存店売上高は約5%増で推移し、昨年秋に買収した高級食品スーパー、成城石井は約10%増だ。消費者の心をつかめた商売をしている店は堅調だ。主力業態の看板が青いローソンではいれたてコーヒー、フライドチキンのような独自商品が好調だ。消費はまだまだ喚起できる」
 ――地域別では。
 「首都圏は相対的にいい。地方と比べると既存店増減率では首都圏は数ポイント上回る。都市と地方の差はいろいろな経済統計のそれとも合致する」
 ――今、どの時期の販売実績を注視していますか。
 「5月だ。昨年4月の消費税率引き上げの影響が一巡する。ゴールデンウイーク後の平時の消費活動で個人消費の実力がわかる。産業界に広がりつつある賃上げ機運が追い風にもなると見ている。既存店ベースでもプラスになればいい。そのためにも政府は経済が成長軌道に乗るような施策の実施や方針を立て続けに出して、好循環の流れをつくってほしい」
国産に競争力
 ――円安は輸入食材の値上がりにつながり、逆風ではないですか。
 「今は1ドル=125円を前提としている。半年先までは調達など仕事のメドはついている。逆に国産の競争力が出てきており、海外と国産の原価コントロールが難しくなってくる」
 「原料高だからといって量を減らすと消費者に見透かされる。それは少量しか必要としないと思われる高齢者でもそう。ローソンは一部のおにぎりの量を増やしたらよく売れるようになった」
 ――人手不足にどう対応していますか。
 「パートやアルバイトだけでなく、加盟店希望者も集まりにくくなっている。製造業が国内回帰するとその傾向は強くなるだろう。その対策としてこれまで加盟店希望者を55歳までとしていたが、65歳までに枠を拡大した。コンビニはいろいろな面でマクロ経済に連動するようになってきたが、そのマクロの指標に流されるのではなく、ミクロで変化に対応していけば、まだ成長できる。この3年前後が勝負だ」

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強い寒気や個人消費の低迷、たばこ・雑誌購読者の減少で来客数減が響く……2014年12月度のコンビニ売上高は既存店が1.2%のマイナス、9か月連続

日本フランチャイズチェーン協会は2015年1月20日に、コンビニエンスストアの同年12月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は前年同月比でマイナス1.2%となり、9か月連続してのマイナスを示すこととなった。淹れたてコーヒーなどのカウンター商材、さらには年末向け商品は好調で客単価を押し上げたが、強い寒気に伴い平均気温が低く、降水・降雪量が多かったことなど気象状況がマイナスに作用し、さらに個人消費の低迷、たばこ・雑誌など集客力の強かった商品の訴求力減退などの影響を受け、客数は減退し、売り上げの頭を押さえる形となった。
主要項目における前年同月比は次の通りとなる。
●店舗売上高:既存店は9か月連続のマイナス、全店は22か月連続のプラス
全店ベース……+3.2%
既存店ベース…−1.2%
●店舗数(前年同月比)
+5.0%
●来店客数:既存店は10か月連続のマイナス、全店は45か月連続のプラス
全店ベース……+2.6%
既存店ベース…−2.2%
●平均客単価:既存店は3か月連続のプラス、全店は2か月連続のプラス
全店ベース……+0.6%(637.4円)
既存店ベース…+1.0%(629.6円)
●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……−0.1%
加工食品……−1.8%
非食品………−3.7%
サービス……+9.3%
合計…………−1.2%
※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)
12月は強い寒気が全国的に覆いかぶさり、平均気温を押し下げ、さらに降水量や降雪量の上乗せをしたことで外出機運を頭打ちとさせ、さらに個人消費の低迷感もマイナスに作用。その上、来店機会をもたらす大きな集客力を有していたたばこや雑誌などの購入者数が減退し、来客数は減少。他方、淹れたてコーヒーをはじめとする各種カウンター商材、惣菜、さらには年末向けの商品(年賀状、鏡餅や飾り物、お節料理用品など)も好調に推移し、客単価は底上げされた。しかし結果として客数の減少分を客単価の増加分で補うことはできず、売り上げはマイナスとなってしまっている。
ここ数年コンビニ界隈で大きな注目を集めている、売り上げ・集客の主力的存在のたばこと雑誌の動向だが、先月同様今月もまた、リリースでは特記事項として取り上げられている。具体的な減退率までは公開されていないが、売上全体に影響を及ぼすほどの比率で売上、そしてそれらを購入するために足を運ぶお客の減少が生じていることは容易に想像できる。
商品構成別の売上高の動向を確認すると、淹れたてーコーヒーの堅調ぶりで全体をけん引する日配食品はマイナス0.1%、加工食品・非食品はそれぞれマイナス1.8%・マイナス3.7%とマイナス圏にある。既存店における来客数がマイナス2.2%と結構大きな値を示していることから、日配食品・加工食品は客数減退に足を引っ張られ、売り上げがマイナス圏に沈んだ感は否めない。一方で加工食品は来客数の分を差し引いてもなおマイナス圏に留まる試算ができることから、消費性向そのものの減退、特にたばこや雑誌の購入者減少の影響が大きく働いているとする解釈が妥当だろう。
売り上げ全体に占める構成比は今回月なら5.8%と小さいものの、サービス部門は相変わらず堅調な伸びを示している(プラス9.3%)。客足がマイナス2.2%の中での売り上げ増であることを考えると、注目に値する伸びではある。多種多様な支払いが可能となり、さらに機能集約が著しい情報端末の利用度が増したのも一因といえる。今月は正月商品がセールス対象となる月であることから、昨年以上に年賀状をはじめとする季節商品への注力が功を奏したとも考えられる。
ここ数か月はガソリン代の高騰が来店機運の足を引っ張り、集客の観点でマイナスに働いているのではとの懸念があった。昨今では原油価格の下落に伴いガソリン代もじわりと値を下げ始めており、その観点での心配は次第に薄れつつある。しかし気象状況までは覆すことは叶わない。
コンビニにおいては、かつて集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。代替軸となる各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供される淹れたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンにおけるドーナツも然り)は順調に成長を続けているが、今なお模索が続けられていることからも分かる通り、不安定要素は大きい。イレギュラー的要素によって生じた軟調な環境の中でも、堅調な売り上げを維持できる軸の模索も多方面で進められている。関連他業界を巻き込む形で、今後も多様な動きが見られそうだ。

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ファミマ、経常益15%減

14年3~11月、増税で既存店苦戦
 ファミリーマートが6日発表した2014年3~11月期の連結決算は、経常利益が336億円と前年同期比15%減った。消費増税後に消費マインドが冷え込み、天候不順もあって既存店の販売が苦戦した。積極出店に伴うコスト増も響いた。3~11月期に経常増益を確保したとみられるセブン&アイ・ホールディングスやローソンと比べ苦戦が目立つ。
 売上高にあたる営業総収入は7%増の2,781億円。3~11月期は805店を新規出店(純増は599店)して増収を確保した。半面、既存店売上高は4月以降、前年同月割れが続いており、3~11月の累計でも1.5%減収だった。
 力を入れているデザート類やいれたてコーヒーなどは着実に伸びた半面、弁当やパスタなど麺類の販売が振るわなかった。他のコンビニエンスストアやスーパーとの競争激化も減益の背景にある。
 大規模な出店や店舗の改装に伴うコストも利益を圧迫しており、営業利益は317億円と13%減少した。韓国でのコンビニ事業撤退に伴う株式売却益の計上で純利益は237億円と20%増えた。
 15年2月期通期については営業総収入が前期比9%増の3,779億円、経常利益は11%減の420億円とする従来予想を変えなかった 。

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