Q.私はAさん所有の店舗を借りてコンビニを営んでいます。店舗賃貸借契約書に、「賃料は、毎年、その時点の賃料の10%に当たる金額を自動的に値上げする」との特約がありますが、このような特約は有効ですか?
A.社会情勢にもよりますが、現在では毎年10%の自動増額特約は修正される可能性が高いので、一旦、賃料減額交渉をしてください。
解説
 借地借家法32条では「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」と定められています。ですから、本来これらの条件を満たさないと家賃の増額はできません。
 過去の裁判例の中には、自動増額特約を有効とするものと無効とするものがそれぞれ認められます。しかし、いずれの判例でも、借地借家法32条の趣旨に反する自動増額特約は認められていません。毎年8%の自動増額特約を有効とした裁判例もありますが(東京地判昭和56年7月22日)、この事件は「土地神話」が生きていた昭和50年代の事なので、少なくとも現在では毎年10%の自動増額特約は修正される可能性が高いと言えます。従って、賃貸人からこの特約に基づく賃料の増額を申し込まれた場合、賃料減額交渉を行ってください。もし賃貸人が交渉に応じなければ、調停や裁判で争うことができます。

Q.私は繁華街でコンビニを経営しています。ところが、隣の居酒屋が大きな看板を設置したために、当店の看板の片面が覆われて全く見えなくなりました。隣の居酒屋に対して損害賠償請求することができるでしょうか?
A.故意に当方の看板を隠そうとするなどの場合でなければ、原則として賠償請求は困難です。
解説
 都市部では土地も空間も限度があるため、ある程度の譲り合いが必要です。繁華街において、隣の店舗の看板のために一方の看板が見えなくなったという事件において、裁判所は「相隣関係においては一方の物の利用または使用は、必然的に他方の物に影響を及ぼすから、隣接する不動産相互の利用の調整を図る必要があるため、互いに社会生活上是認させる範囲で相手方がその不動産を利用することによって生ずる不利益を忍容すべき義務を負っていると解される。市街地における店舗の使用については、特にしかりである」としています(東京地裁昭和44年6月17日判決)。
 ですから、隣の店舗が看板を設置したことで生ずる不利益が、こちらの受忍すべき限度内(=社会生活上の譲り合いの範囲内)にあるときは、たとえ自店の看板が見えにくくなったとしても、それを理由に損害賠償の請求はできません。
 他方、社会生活上の譲り合いを超えるような悪質な場合は、隣の店舗の看板設置行為は違法となります。例えば、隣の店舗が、当方の看板を見えないようにするために、わざと看板を設置した場合は、隣の店舗に対し損害賠償を請求でき、極端にひどい場合はその撤去を求められます。