Q.私は、妻・長男・次男と共にコンビニを経営しています。会社形式での経営で、社長の私が全株式を持っています。息子への事業承継を考えていますが、どちらに経営を譲るか判断しかねています。どうすればよいですか?
A.遺言がなければ、株式は相続分に応じた共有になります。そこで「相続させる」遺言を作成しておきます。
解説
 今の状態で経営者が亡くなれば、事業施設や株式は法定相続人に相続されます。その場合、相続分に応じた共有となります。あなた(経営者)にとって「この者に事業を引き継いでもらいたい」という人物がいるならば、その者に承継してもらえるように遺言書を作成しておきます。事業承継のための遺言書を作成する場合は、その事業用財産を特定の相続人に「遺贈」するのではなく、「相続させる」という内容にします。
 長男・次男のどちらかに事業を継いでほしいが、その判断がつきかねている場合は、遺言執行者を選定し、受遺者(会社の株式を譲り受ける者)の選定を、遺言執行者に委任することができます(受遺者選定の委任)。例えば、遺言で妻を遺言執行者と定め、将来の相続後は、妻の判断で長男・次男どちらが経営者にふさわしいかを判断してもらいます。

Q.店舗の家主から、建物を建て替えるので出て行ってほしいと言われました。 立退料を請求しようと思うのですが、どのくらい請求できますか?
A.建物の老朽化による建て替えの必要性等の家主側の事情と、借家人側の営業権 保護の必要性等の事情を考慮し、立退料を決めることになります。
解説
 店舗の経営者は、家主から店舗物件を賃借して、その店舗で商売を行い、顧客を開拓しますので、家主の都合で店舗から立ち退かなければならなくなるとすると不都合です。そこで、借地借家法は、賃貸人が賃借人に立ち退きを求める場合には「正当事由」が必要となります。
 家主が借家人に立ち退きを求める場合、家主側にもさまざまな事情がありますが、「その建物で長年商売をして生計を立てている」という借家人の事情等も考えると、家主が立退料を支払うことで家主側の正当事由が補われます。
 立退料は、借家人が賃借物件から立ち退く場合に被る不利益を補償するものですが、その内容としては、①立ち退きのための移転費用、②立ち退きにより借家人が被る事実上の不利益の補償(営業権補償)、③立ち退きにより借家人が失う借家権価格の補償等が含まれます。
 本件では、家主から「建物を建て替えるので出て行ってほしい」と言われていますので、建物の老朽化による建て替えの必要性等の家主側の事情と、借家人側の営業権保護の必要性等の事情を考慮し、立退料決めることになります。過去の裁判例には、営業用建物の立退料として、月額の営業利益の10倍としたものもあります。