休職者を復職させるか否かの判断基準とは

休職者の復職の際にはトラブルが起こりやすいです。どのように復帰の可否を判断すればよいのでしょうか。

はじめに
私傷病で休職している社員の復帰扱いは、「復帰したい社員」「復帰してほしくない会社」という対立構造になりやすいため判断を慎重に行う必要があります。本稿では休職社員が復職する際の判断基準について、過去の裁判例を踏まえ解説します。

そもそも休職はさせるべきか
休職制度は、有給休暇や育児休暇のように法律で付与が義務付けられているものではありません。就業規則などで規定していない限りは、まったく休暇を認めないことも可能です。

ただし、現実的に起こる私傷病に対しては、回復と病状確認のための猶予期間があったほうが運用上好都合なことが多く、多くの会社では何かしらの休職制度が用意されています。

休職期間は概ね3~6ヶ月くらいが一般的でしょう。

復帰の判断の難しさ
休職は「休み始める場面」よりもむしろ「復職の場面」のほうが判断に迷うことが多いといわれています。その理由は主に以下のようなものです。

 1.精神的な病気などは、治癒したかどうかの判断が難しい
 2.代替要員が職場で機能しており、復職させるポストがない

判例による解釈
判例では、復職を判断する「治癒した状態」を原則として以下のように定義しています。

治癒 = 従前の職務を通常の程度に行える健康状態に復した状態

この定義によると、例えば体力仕事に就いていた社員が休職を経て復帰する際「軽作業なら可」という診断書が提出されてきたならば、それは休職前の業務を通常程度行うことはできないだろうことの裏返しでもあるため、会社は復帰を拒否できることになります。

ところが、この原則には例外があり、得に「別の業務へ配置転換して復職させるという会社側の配慮が求められることがある」という点には注意が必要です。

判例によると、「職種や業務内容を特定せずに雇用した場合、元の仕事について労務の提供が十分にできないとしても、その能力、軽軽、地位、企業規模、業種、配置転換の実情及び難易度から考えて、他の業務であればできそうで、本人もそれを望んでいる場合は、復職をさせるべき」という解釈があります。

この解釈は企業規模が大きいほど、配置転換先の種類が多いほど強くなる傾向があります。

復職をめぐるトラブルを予防するためには、就業規則上の休職規定を整備することはもちろん、「通常程度の職務とは何をさすか」を具体的行動で例示し、その項目をクリアできない場合復帰できないということについて休職者に事前説明しておくことも有効でしょう。

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