コンビニ 国内4,800店出店 大手5社14年度 過去最多、消耗戦に
 コンビニエンスストア大手5社は2014年度、合計で4,800店を国内で出店する。出店から閉店を引いた純増数は3,200店程度で、ともに過去最多となる見通しだ。セブン―イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートの上位3社がそろって千店以上出すのは初めて。国内店舗はすでに5万店を超え、各社の消耗戦になりつつある。今後はシニアや主婦など顧客層を一段と広げることが課題になる。
 3社とサークルKサンクス、ミニストップの大手5社の13年度の新規出店は計約4,560店の見込み。14年度はこれを6%ほど上回る。他チェーンの買収などを除いた新規の出店数が4年連続で過去最多を更新する。
 最大手のセブンイレブンは14年度、約900億円を投じて1,600店以上の出店を計画。13年度見込み(1,500店)を上回り最多になる。既存店ベースの売上高は11月まで16カ月連続で前年同月を上回り集客力の強さが目立つ。純増数も1,200店の見込み。14年度末には店舗数は1万7千店を超え、売上高シェアは4割に達する見通しだ。
 2位のローソンは14年度、1千店を新規出店する計画。首都圏が中心だった健康志向の商品を集めた「ナチュラルローソン」を全国で出店する。
 ファミマは13年度と同水準の1,500店を出店する。ドラッグストアや調剤薬局と提携し、コンビニとの融合店を200店以上出す。4位のサークルKサンクスは13年度見込みより2割以上多い600店を出店する。
 13年度の5社の店舗純増数は国内の3千店弱に対し、海外は5千店規模になる見通し。国内の競争激化に対応し、海外展開を加速させている。

伸びる食品宅配、コンビニなど競う
 インターネットで注文した生鮮食品などが早ければ当日中に自宅などに届くという利便性の高さから、ネットスーパー市場は着実に伸びている。調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)によると、2012年度のネットスーパーによる国内の食品宅配市場の規模は940億円で、今後も拡大する可能性が高い。
 利用者も幅広い。イズミヤによると同社のネットスーパーの利用者は7割が30~40代で、65歳以上の高齢者層も2割を占める。「子どもが小さくてなかなか買い物に行けない主婦や、働く女性などの利用が多い」という。今後は「インターネットに慣れた高齢者も増えて利用がますます広がる」(大手スーパー)と見る向きも多い。
 スーパー各社は消費者の根強い節約志向などを背景に厳しい販売競争を続けている。それだけに、新たな収益源にしようと強化に動くが、成長が見込める分野だけに「スーパー」以外の企業の関心も高い。
 セブン―イレブン・ジャパンは国内約1万6,000店というコンビニエンスストアの店舗網を活用して、店舗の商品などを届けるサービスを拡充。楽天なども食品宅配に力を入れる。ネット小売り大手、米アマゾン・ドット・コムは米国で即日配達にも対応した生鮮食品通販を拡大しており、同様のサービスを日本で展開する可能性がある。
 今後は取扱商品や店舗の拡大に加えて、よりきめ細かい配達時間の設定などサービス面での競争も激しくなりそうだ。

(進化するコンビニ 未来への針路)(上) ネットと融合成長維持 通販の受取窓口、道半ば
日本に1号店が開業してから40年になるコンビニエンスストア。取扱商品やサービスを充実させることで店舗の飽和論を打ち破り市場を広げてきた。成長持続に向けさらなる進化は可能か。コンビニの未来を探る。
NYでロッカー:米ニューヨーク、ビジネス街のセブンイレブンに、日本のマンション1階にあるようなロッカーが並ぶ。米アマゾン・ドット・コムで購入した商品を顧客が好きなときに受け取れる「アマゾン・ロッカー」だ。昼時にはコーヒーを買うついでにロッカーを開けるビジネスマンが目立つ。
「顧客にどう商品を届けるかの『ラストワンマイル』が勝負といわれ、当社の店舗網が期待されている」。セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長はアマゾンの要請を受け、一部にとどまるロッカー設置店の拡大を検討している。日本でもネット通販の市場はスマートフォン(スマホ)の普及で、コンビニを大きく上回る速度で成長し、10兆円を突破した。コンビニが「世の中の変化に対応し続けて成長の第2段階に入る」(セブン&アイの鈴木敏文会長)ためにはネット消費の取り込みが不可欠だ。受け取り拠点というネット社会のインフラとしてコンビニを活用する動きが広がりつつある。ファミリーマートは「ネット対応は外部企業と組むオープン型で取り組む」(中山勇社長)方針で、アマゾンや楽天などのネット通販の商品の受け取りを始めた。ローソンでもアマゾンなどの商品が、サークルKサンクスでは楽天の書籍が受け取れる。新しい顧客の獲得や来店時のコンビニ商品の購入に期待する。
セブン&アイは米国では外部のアマゾンと組むが日本では圧倒的な店舗網を「簡単には外部に明け渡すつもりはない」(鈴木会長)。自前のネット通販の受け取り拠点としてセブンイレブンを活用し、グループ内のネット事業とリアル店舗を融合させる「オムニチャネル戦略」をねらう。
「有名店のチョコレートがお近くのセブンイレブンで受け取れます」。広島県の店舗にはこんな広告が置かれている。バレンタインデーに向けてそごう・西武で扱う著名ブランドのチョコを受け取れる。全国に先行してセブン&アイのネット通販の受け取りを昨年末から広島で拡充し始めた。
「サイトの商品のリコメンド(おすすめ)機能はリアル店舗の従業員のノウハウが反映される設計にすること」。都内のセブン&アイのオフィスで先週開かれたオムニチャネル会議。鈴木敏文会長の次男で、グループのネット事業責任者の鈴木康弘氏が指示を飛ばす。セブンイレブン、イトーヨーカ堂など各社の担当者ら約20人がグループの通販サイトの刷新を膝詰めで議論する。小売りのノウハウを応用し独自の強みにする考えだ。昨年末、セブン&アイはバーニーズジャパンなど有力小売業への出資を相次ぎ発表。ネットで扱う商品を充実させ、オムニチャネル戦略を軌道にのせるのが大きな目的だ。セブンイレブンは店舗からの食品の宅配も強化しており「将来はネットで購入した商品を一緒に届けるサービスも検討する」(井阪隆一社長)。
ただ現時点でネットの商品を自宅ではなくコンビニで受け取るというニーズは多くない。広島のセブンイレブンでは昨年末以降、1店舗あたりコンビニでの受取件数は多くて10件程度という。全国でサービスを手掛ける他のコンビニでも「1店につき1日数件」だ。
セブンのネット通販ではコンビニで受け取れば配送料は原則無料。自宅を留守にすることが多い人は近所のコンビニに寄ったときに受け取れるのは便利だ。だが一方で日本の宅配サービスは時間指定などニーズに合わせ進化し、自宅でも受け取りやすくなってきた。
一度は構想倒れ
 振り返ればITバブルに沸いた2000年前後もコンビニが一斉にネット戦略を掲げて「日本型電子商取引」の担い手ともてはやされた。店頭の情報端末を活用した音楽ソフト販売などが注目されたが一部を除くと構想倒れだった。小売業に詳しいGマネジメント&リサーチの清水倫典代表は「ネットに関連した幅広いサービスを構想したが、小売業としての商品力を生かせず、ネット専業に勝る魅力に乏しかった」と指摘する。
 米国でもウォルマート・ストアーズが店舗での受け取りを強化し始めたばかりだ。コンビニを核にした総合小売業がネットと融合を目指すのは世界でも先行例のない取り組み。成功の方程式を求めて模索が続く。

「無茶だ」社内猛反発 セブン&アイで最も反対されたこと
 グループ総売り上げ9兆円を叩きだす、セブン&アイ・ホールディングスのカリスマ経営者・鈴木敏文会長。これまでプライベートブランドであるセブンプレミアムや、米国セブンの経営再建など、常に周囲の反対を押し切って成功してきた。
そんな彼が、最も「無茶だ」「失敗する」と周囲から強く反対されたのは、2001年のセブン銀行設立のときのようだ。鈴木もこう記憶している。
「周囲は皆、素人が銀行をやってもうまくいくはずないという見方でした。メインバンクの頭取さんが私のところへ来られて、『やめたほうがいい。あなたが失敗するところを見たくない』とおっしゃったくらいです」
それでもやろうと決断した理由は何か。鈴木はこう話す。
「銀行は、土日は休みだし、午後3時に閉まってしまう。私は、家計は妻任せですが、素人目に見ると、近所のコンビニで夜中でも日曜でもお金が下ろせたら、お客様にとって便利だろう、と当たり前のことを思っただけです」

 しかし「あったら便利」はコンビニでは重要だろうが、銀行にとっては無関係に思える。それに、銀行業をやるには免許が必要だ。誰が考えたって、無理な話だった。
勝算はあった。
「80年代後半から電気やガス料金の収納代行をスタートさせていましたが、取扱件数や金額が年々伸びていました」
つまり、店内でお金を下ろす顧客ニーズを察知していたのだ。
ただ、そうはいっても金融筋には簡単には理解してもらえない。わずかにATM設置に賛同してくれる銀行があり、共同で銀行設立プロジェクトチームを組んだが、交渉に出向くメンバーは皆、沈んだ様子で帰ってくる。
その姿に鈴木は、「失敗してもいいじゃないか、失敗も勉強のうちだよ」と声をかけた。「責任はトップがとればいい」と内心思っていた。
風向きが変わったのは、新設銀行のトップが決まってからだ。数人候補がいたが、元日本銀行理事で、一時国有化された旧日本長期信用銀行の頭取として幕引きを果たした安斎隆と面会し、鈴木は「直感的に決めた」。福島弁が残る気さくな口調に裏表のない人柄が出ていた。
「あなたに決めました。引き受けてもらわなければ困ります」と、即答を求めた。
こうして組織の姿が見えてきたことで、チームに活気が出た。流通畑、金融畑、それぞれの専門知識を生かして監督官庁との折衝や、提携金融機関の確保などの課題を克服していく。

 ついに01年、銀行免許の予備審査終了書を受けた。小売業初の銀行が設立されたのである。収益は利用者が店内のATMを使い、口座を持つ金融機関からお金を引き出すときの手数料を柱にし、基本的に融資などは行わないナローバンク。おサイフケータイならぬ、おサイフ口座とした。

「これまでの銀行がハイヤーなら、我々はどこでも乗り降りできる乗り合いバスを作ろう」

 そんな鈴木の明確な方針が奏功した。セブン−イレブンでお金が下ろせる、という認知度が急速に高まり、利用者は激増していった。(文中敬称略)

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コンビニが扱うサービスは、どこまで広がっていくのだろうか。スタート時は、近所の酒屋さんが長時間営業を始めた程度だったが、しばらくすると、弁当やおにぎりを売るようになり、収納代行も扱うようになった。  この「収納代行」という業務は、コンビニの価値を大きく変えることになった。コンビニが、買い物をするだけの場所ではなくなったからだ。それまで、電気・水道・ガス・電話代は銀行や郵便局といった金融機関で振り込まなければいけなかった。しかし多くの人が「お金を振り込むだけなのに長時間待たされる……」といった不満を感じていた。  それが、近くのコンビニでわずか数分、いや数十秒待つだけで処理できるようになった。しかしここ数年、「収納代行業務を止めよう」という動きがあるのだ。その理由として「もうからない」ことを挙げる人がいるが、意味は少し違う。収納代行業務は手数料商売で、1つの取り引きで数十円の収入がある。なので「もうからない」という表現は、少し誤解を生む。  「もうからない」のではなく、「収入に対してリスクが高い」と言ったほうがしっくりくる。どんなリスクがあるかというと、「受付漏れ」による損失だ。受付のピークは毎月15日から25日かけて。その間、1人で数件の受付をこなしていくわけだが、年に数件受付漏れが発生するのだ。どういう事態になるかというと、領収書はお客さんに渡っているが、料金はもらっていないことになる。  以前は、店の控えにお客さんの情報が印字されていたが、昨今の個人情報規制によって、店でお客さん情報を管理することができなくなっている。結果、「払った」「いや払わなかった」の水掛け論になってしまう。当然、領収書を出している側が不利になるので、店が立て替える形になるのだ。残念ながら、回収できる見込みはほぼゼロ。店側のミスなので、仕方がない部分もあるが、それでも収納代行業務をしている以上、ミスはなくならない。 ●収納代行を止めたい理由  このほか、受付後に取引中止をしているのにもかかわらず、お客さん側から「払った」と主張するケースがある。またもや「払った」「払わない」という水掛け論になるのだが、コンビニに設置されているPOSレジは優秀で、受付後に「取り消し」をした場合、その記録が残る。つまり、お客さんが「払った」と主張しても、ウソがばれてしまうだ。  もう1つ、収納代行を止めたい理由がある。それは、受付後の処理が大変なのだ。  受付件数のピークは、1日に100件を超える。店側は膨大な伝票を処理する必要があるが、最終的には機械でなく、手作業で行わなければいけない。それが終わればやれやれ……というわけではなく、次に、本部がその書類を突き合わせなければいけないのだ。  店と本部の膨大な作業量を人件費に換算すると、手数料収入が割に合わなくなってきている。水道代を支払うついでにジュースでも買うか……という人が多ければいいのだが、最近は水道代だけ支払って、店を後にする人が増えてきているのだ。  収納代行業務が店だけの負担であれば、本部は見て見ないフリをするだろう。しかし本部での処理が必要なので、人件費が負担になってくる。昨今の「収納代行を止めたい」という流れは、店側というよりも本部側の意向が強いのだ。 ●コンビニの本音  コンビニの本音は、ズバリこうだ。「収納代行はコンビニ以外のところがやってほしい」――。  最近は「クレジット払いのみ」というサービスも出てきている。利用者側も「クレジットカードで支払ったほうがポイントが付くので、メリットが大きい」と感じているのではないだろうか。電気・水道・ガス・電話……もろもろの支払いはクレジットで、という流れが主流になると、コンビニでの「収納代行」業務は役目を終えるだろう。  コンビニで扱うサービスは増えるばかり……と思っている人が多いかもしれないが、実は終了したサービスもある。例えば、写真印刷サービスだ。指摘されて「そーいえばあったなあ」と思い出した人も多いだろう。デジカメを利用する人が増えたので、写真現像の受付は終了したが、今ではコピー機でプリントできるようになっている。写真現像のように、収納代行も将来的には形を変えるのかもしれない。 ●「コンビニATM」が出現  コンビニが「収納代行」を行うようになって、お客さんのコンビニ利用法が大きく変化した。同じように大きな変化をもたらしたのが、「コンビニATM」の出現だ  銀行の窓口取引時間は「午後3時まで」(一部例外あり)。「お金を振り込みたいのに、仕事があってできない。なぜ銀行の窓口は午後3時までなの?」――こんな不満を感じている人も多いはず。ライフスタイルの変化などから、銀行は使い勝手の悪いモノになっていたのだ。  24時間営業のコンビニにATMを設置することで、現代人のライフスタイルをバックアップすることになった。ただ、注意も必要。取引銀行や取引内容によって、稼働時間に違いがある。なぜ稼働時間が違うのかというと、“ATMはコンビニに置いているだけ”だから。つまり、コンビニ内にあるATMは銀行の「出張所」扱いなのだ。  コピー機にしてもFAXにしても、店が管理しているが、ATMだけは、手を触れてはいけない。お金の補充からナニからナニまで、銀行から委託された警備会社が対応する。  例えば、キャッシュカードが機械に吸い込まれ、取り出せなくなるケースがある。当然、お客さんから「どうにかなりませんか?」と頼まれるのだが、コンビニのスタッフが機械をこじあけて、カードを取り出すことはできない。お客さんに事情を説明して、警備員がやって来るまで待ってもらわなければいけないのだ。  コンビニはこれまで、さまざまなサービスを取り込みながら、お客さんの来店動機を変化させてきた。昨年「コンビニコーヒー」がヒットしたが、やり方次第ではコンビニの店舗レイアウトを大きく変化させるかもしれない。  また都内では、喫煙所をコンビニに併設する動きも出てきている(今はまだコンビニに併設というよりビルの喫煙所がコンビニに寄り添っているという形であるが)。  10年後のコンビニは、どんな形になっているのだろうか。これまでの歴史を振り返ると、かなり変化しているはずだ。