ブラック企業と言われないための労働時間管理
労働時間管理やルール整備を行い「ブラック企業」のレッテルを貼られないようにしましょう。

はじめに
 ブラック企業という言葉が世間を賑わせています。広くは労働法など、法令に抵触するような条件での労働を分かっていながら従業員に強制する、あるいはその他の就業環境整備が十分でない企業を批判する意味合いで使われています。
 その批判は特に企業の「長時間労働・残業代未払いなど時間拘束行動」と「パワハラなど肉体的・精神的圧力行動」に向けられることが多いようです。人手に余裕のない中小企業にとって切実な問題である「労働時間」に着目し、世間から批判を受けないための時間管理・ルール整備の方法について解説します。

労働時間の上限
労働基準法では、1日および1週間の労働時間の上限を定めて、法定労働時間を超える勤務について賃金の割り増しを義務化することで、労働時間の増加抑制を図っています。

 【法定労働時間】1日8時間・1週40時間

この法定労働時間を超えた労働については割増賃金、いわゆる残業代の支払い義務が発生します。
(※変形労働時間制などにより割増賃金発生に例外あり)

批判の対象
労働時間に関して「ブラック企業」と言われる可能性があるのは、主に以下のようなことです。

 長時間労働
  法定労働時間を著しく上回っている(月45時間以上または月80時間以上など)
 未払い残業代
  割増賃金を支払っていない(あるいは割増しない通常の残業時間分を支払っていない)
 休日数の不足
  休日が少ないため割増賃金支払い義務があるが賃金を支払わない
 労働時間計算のいい加減さ
  労働時間を記録せず、実質的には労働時間にもかかわらず不就労時間とみなしている

対策
【長時間労働】
長時間労働については、まず残業時間を「月間45時間程度」におさえる努力をしましょう。
 労働基準法では、時間外労働の限度に関して月間45時間・年間360時間などの基準を設けているため、その基準を守る姿勢が肝心です。
 また、繁忙期などで45時間を超える場合であっても「月間80時間」というラインを超えないように気をつけてください。月間80時間を超える残業が続くと、過労による脳疾患・心臓疾患が労災事故として判断される可能性が高まります。
【未払い残業代】
未払い残業の発生を防ぐには、毎月定額で残業代を支給するなど、毎月の残業時間をある程度見越した給与体系の整備を検討してください。
【休日数の不足】
休日数については、繁閑に合わせて変形労働時間制を採用するなどし、割増賃金の発生をおさえることができないかを考えるとよいでしょう。

 なにより大事なことは、問題を放置して感情的対立のタネを育てないことでしょう。上記の労働時間限度基準はときに中小企業の事業実態にそぐわないものであるからこそ、法令違反を糾弾されると会社側は弱い立場になります。
 「中小企業だから残業は仕方ない」で片づけず、真摯に対策に取り組む企業側の姿勢が求められています。

社会保険未加入のデメリット
社会保険に未加入のままでいることに対する企業のデメリットとは何でしょうか。

概要
 社会保険未加入事業者に対する加入調査が厳しくなっています。平成22年に日本年金機構が発足して、年金記録問題に向けた注目が落ち着いた今、社会保険未加入の法人などへの立ち入り調査が頻繁に行われています。
 社会保険未加入のままでいると、会社がどのようなデメリットを負うか見てみましょう。

【前提】
加入・非加入は企業の自由ではない
まず大前提として、法律上多くの事業者にとって社保険加入・非加入が選択できるものではないことを知る必要があります。

下記の図の通り、全ての法人並びに法定16業種の個人事業主は強制加入の対象となります。
労務1月図
つまり「社員が加入を望んでいるか否かにかかわらず」会社は社会保険に加入しなければなりません。未加入状態は法律違反になってしまいます。

【デメリット1】求人の魅力低下
社会保険未加入であることで、求職者に対する福利厚生アピールが弱くなります
 特に新卒などの若い世代は、より安定志向で福利厚生の充実を求める傾向があり、紹介元の学校や親に対してもよくない印象を与えやすいでしょう。
【デメリット2】加入指導を無視し続けると最大2年の遡及加入命令も
前述の通り社会保険加入が法律上の義務である以上、未加入状態を放置していると最大2年間遡及して加入を命じられることもありえます。
 こうなると一時期に多くのキャッシュアウトが発生してしまい、経営計画に大きく影響が出ます。
【デメリット3】年金記録と手当金
国民健康保険にはない社会保険(健康保険)の独自給付に「傷病手当金」と「出産手当金」があります。
 私傷病に対して給与の約3分の2の休業補償があるとないとでは、その安心度に違いがあります。また年金についても、未加入の間は従業員の厚生年金加入記録は蓄積されないので、将来の従業員の年金受給額を低下させます。
 「会社が法定どおり社会保険に加入していればもらえていた金銭」が存在することは、後々に社員から権利主張をされる可能性を意味します。
 社会保険未加入状態の事業者は、法令遵守の観点はもちろん、上記のデメリットもお考えになり加入を検討してください。